MBA(経営学修士)は経営資源や経済学、マーケティングなど、組織運営や経営に役立つさまざまな知識を学ぶプログラムです。転職やキャリアアップのために、MBAの取得を検討している人もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事ではMBAとは何か、取得するメリットや方法を紹介します。MBAはどんな人におすすめなのか、一般社員にとっても意義あるものなのかも解説します。
- MBAで身につく知識
- MBAを取得する2つの方法
- MBAを取得するメリット、取得がおすすめなケース
MBA(経営学修士)とは?
MBAは「Master of Business Administration」の略称で、日本語では「経営学修士」と呼ばれています。経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位のことです。学位であるため資格とは異なり、そのためMBAが必要な仕事というものもありません。
しかし、MBAを取得することで転職やキャリアアップが有利になったり、経営を進めやすくなったりすることはあるでしょう。MBA取得の過程で経営に関する知識を広く深く学ぶことができますし、MBA取得はこれらの知識を持っていることを証明できるからです。
MBAのプログラムを進めていくことで、具体的には「経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)」「経済学」「法律学」「組織行動論」「人的資源の管理」「マーケティング」など幅広い知識を身につけられるでしょう。
なお、MBAプログラムの修了には1年から2年ほどの学修期間が必要です。
MBAを取得するメリット
MBAを取得すると転職やキャリアアップが有利になったり、経営を進めやすくなったりするといわれているのはなぜなのか、まずはMBAを取得する3つのメリットを解説します。
MBAを取得するメリット
- メリット1.経営に関する知識・視点が身に付く
- メリット2.取得過程で人脈が広がる
- メリット3.収入アップや転職に有利
メリット1.経営に関する知識・視点が身に付く
MBAを取得する1つ目のメリットは、「経営に関する知識・視点が身に付く」ことです。
先述の通り、MBAでは経営上必要になる知識を幅広く学びます。広範な知識が身に付くこと、同じ志をもった仲間と学び交流することから、知識と知識を結びつけて「知見」へと昇華することもしやすいでしょう。
単に知識を身につけるだけでなく、学修を通して知見を深めたり、経営者(あるいはそれに近い立場)としての視点を身につけたりできるのがMBAの大きなメリットです。
メリット2.取得過程で人脈が広がる
MBAを取得する2つ目のメリットは、「取得過程で人脈が広がる」ことです。
先述の通り、MBAは資格ではなく学位です。そのため、MBAを取得するにはスクール(プログラム)に通わなければなりません。
一般的な資格と異なり独学ができないこと、取得に時間がかかることはデメリットですが、同じ志をもった仲間と学修を進めていけるメリットもあります。
経営において人脈は非常に重要です。有力者とのつながりが有利に働くのはもちろん、起業においては仲間とのつながりが、挫折しそうな場面で自分を奮い立たせてくれるでしょう。
メリット3.収入アップや転職に有利
MBAを取得する3つ目のメリットは、「収入アップや転職に有利」です。
MBAは一般的な資格と比べて取得が難しく、MBAをもっているだけで人材としての希少価値が高まります。経営にかかわる学位であるため、経営層へのキャリアアップ、経営者を相手にするコンサルタントへの転職などでは特に有利になるでしょう。
MBAを取得する意味・意義
MBAは経営に関する学位ですが、起業や経営層へのキャリアアップをするつもりのない一般社員でも、取得する意味・意義はあります。
経営者と一般社員、それぞれにとってMBAはどんな意味をもつのか解説します。
経営者にとってのMBA
経営者にとってのMBAは、経営を進めていくうえでの礎になるものといえます。MBAの学修を通して、組織の運営や事業成長のための幅広い知識を身につけられるからです。
もちろん、MBAを持たずに経営している経営者、これらの知識が乏しい状態でうまくいっている経営者もいるでしょう。
しかし、知識が増えるほど選択肢は増え、リスクも抑えやすくなります。経営者自身がこれらの知識に乏しくても、MBA取得者やそれに近い知見をもつ相談役・幹部を置いている会社は多いです。経営者自身がMBAを取得していることで、会社の成長を促進させ、倒産のリスクを下げることができるといえるでしょう。
一般社員にとってのMBA
一般社員にとって、MBAはキャリアアップや転職を有利にするものです。特に経営層へのキャリアアップ、一部コンサルタントへの転職は、MBA取得でかなり有利になるでしょう。
しかし、キャリアアップや転職を考えていない人にとっても、MBA取得の過程で得られる知識・考え方は有用です。
MBAで学ぶ「組織行動論」「人的資源の管理」などは、企業経営はもちろん、部署やチームの運営にも役立ちます。
法律学は事業を進めたり部下に指示を出したりするとき、無用なトラブルを避けるために役立つでしょう。統計学やマーケティングの知識は、複雑化した現代の市場で利益を出し続けるための強力な武器となります。
何より、今は一般社員にも自分で考え、主体的に動く力が求められています。MBAの学修を通して身につく「経営者視点」は、これからの時代で活躍するために欠かせないといえるでしょう。
MBAを取得するうえでの注意点
MBAの取得にはかなりの時間と費用がかかります。仕事を続けながらプログラムを受ける場合は2年ほどの時間が、休業して集中的に学習しても1年ほどの時間が必要です。
特に仕事を続けながら取得する場合、仕事と学修の両立に苦労するでしょう。講義を受ける時間だけでなく、予習・復習や課題などの時間も確保しなければなりません。家族がいる場合、家族の協力も不可欠です。
また、MBA取得にかかる費用は国内で300万円ほど、海外なら現地での生活費も含めて1,000万円以上がかかるでしょう。
MBAは「就職や転職に有利になるから、とりあえず取っておこう」というものではありません。自分にとって本当に必要なのか、なぜ取りたいのかを明確にしておかないと、プログラムの途中で挫折してしまうでしょう。
MBAはどこで取る?2つの取得方法とそれぞれのメリット
MBAを取る方法は国内もしくは海外のビジネススクールに通い、決められたプログラムを終了することです。日本国内と海外、それぞれのスクールについて紹介します。
日本のMBA
日本国内のビジネススクールの多くは、夜間や休日に開講したり、インターネットで講義をしたりしています。そのため、会社に勤めながらMBAを取得できます。価格も比較的割安で、今までどおりに安定した収入を得ながら、少しずつプログラムを進めていけるでしょう。ただ、その分プログラム修了までには時間がかかることに注意が必要です。
大学で講義を受けたい場合も、国内であれば移動費も海外に比較するとかかりません。進学する場合も、同じ日本国内のため言語や生活が大きく変わる心配も海外と比較すると少ないこともメリットだといえます。
海外のMBA
海外のビジネススクールは日本と比べて割高で、現地への渡航費や生活費もかかります。海外であるため仕事を続けながらプログラムを受講することはできず、基本的に収入は途絶えることになります。それなりの貯金と、家族や職場の協力が必要でしょう。
もちろん、講義も現地の言葉で行われるため、語学力も必要になります。
ただ、海外には有名なビジネススクールも多く、世界中から優秀な人たちが集まります。より優れた人材たちと人脈を築けること、彼らと高度な議論を交わしながらプログラムを進めていけることなど、メリットも多いです。
MBAの取得はどんな人におすすめ?
MBAの取得はどんな人におすすめなのか、3つのケースを紹介します。
起業・社内起業したい人
MBAの取得がおすすめな1つ目のケースは、「起業・社内起業したい人」です。
MBAの学修を通して、事業をイチから立ち上げ、成長させるために必要な知識が身につきます。プログラムを通して築いた人脈が有利に働くこともあるでしょう。これらの知識や人脈は、社内起業においても役立ちます。
当然、すでに起業している人にとってもMBA取得は役に立ちます。一度経営をした経験があることで、学んだことが机上の空論にならず、実感を持って学ぶことができるのは大きなメリットだといえるでしょう。
コンサルタントになりたい人
MBAの取得がおすすめな2つ目のケースは、「コンサルタントになりたい人」です。
経営関連のコンサルタントになりたいなら、MBAで学ぶような知識が求められます。MBAを持っていれば、転職や営業活動も有利になるでしょう。
広範な知識が求められるため、独学するよりも、MBAのプログラムを通して体系的に学んだ方が効率的といえます。
経営層へのキャリアアップを目指す人
MBAの取得がおすすめな3つ目のケースは、「経営層へのキャリアアップを目指す人」です。
MBAのプログラムを通して経営に役立つ知識と人脈が身に付くのはもちろん、上層部へのアピールにもなります。MBAでは簡単に取れる学位ではないため、熱意やポテンシャルを伝えられるでしょう。
MBA取得は目的ではなく手段!取得するかどうか、どこで取得するかはキャリアプランにより異なる
- MBAでは経営に役立つ広範な知識が身につく
- MBA取得を通して有力者との人脈も広がる
- 自分にMBAが必要な理由をよく考えてみよう
MBAのプログラムでは組織運営やマーケティングなどの幅広い知識を身につけられます。同じ志をもった仲間、起業家のたまごとの人脈も広がり、彼らとの交流によりビジネスへの知見も深まるでしょう。
ただ、MBAは簡単に取得できるものではありません。仕事を続けながらプログラムを受講するとなると、2年はかかるでしょう。
自分にとってMBAが本当に必要なのか、なぜ取得したいのかを考え、受講の決断を下すことが大切です。
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