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オンボーディングとは?意味や実施のメリット、8つのポイントを紹介

U-NOTE編集部

2023/07/21(最終更新日:2023/08/27)


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近年、人事分野で重要性が高まっている「オンボーディング」。新たに入社した社員の早期離職を防ぎ、早期戦力化するための施策のひとつです。会社の制度として導入している企業も複数あります。

本記事では、そんな「オンボーディング」について基本的な知識を解説。オンボーディングの意味や実施するメリット、実施する際の8つのポイントもご紹介しています。自社でオンボーディングの導入を検討している人事担当者はぜひ参考にしてみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • オンボーディング実施の目的と得られるメリットを解説
  • オンボーディングが注目されている理由とは?
  • オンボーディングを成功に導く8つのポイント

 

オンボーディングとは

人事分野ではよく耳にする「オンボーディング」。労働人口の減少が見込まれており、企業の成長には人材の確保が重要視されている日本において、今後は必要性がより高まっていくとされています。採用人事分野に携わる方なら知っておきたい、オンボーディングの意味とOJTとの違いを解説します。

オンボーディングの意味

オンボーディングは英語の「on-boarding」を由来とする人事用語のひとつです。「on-boarding」は目的地まで乗り物に乗るという意味があります。

人事用語におけるオンボーディングは、新入社員や中途社員がいち早く職場に馴染み、組織の戦力となるよう促進する取り組みのことを指します。入社前から行われ、入社後も継続されるのが一般的です。

オンボーディングとOJTとの違い

オンボーディングが新しく入社した社員が組織の文化に馴染み、力を発揮できるよう取り組むのに対して、OJTは実務を通して必要なスキルや知識を身につけてもらうよう取り組みます。

オンボーディングは実務に必要な研修制度から歓迎会・交流会まで含まれていますが、OJTは実務周りの教育制度のみというのが両者の大きな違いです。

また、実施期間も異なります。オンボーディングは入社前・入社直後に加えて、入社から半年〜1年など継続的かつ定期的に行われます。一方でOJTは入社直後から入社1年後までと具体的な期間が決まっていることがほとんどです。

 

オンボーディング実施の目的

オンボーディングは主に社員のエンゲージメントを高め、定着率をあげるために実施されます。その他、どのような時に実施すると効果が得られるのでしょうか。オンボーディングを実施する一般的な目的をご紹介します。

定着率を上げる

オンボーディングは、社員の定着率をあげる目的で実施されます。他の社員と交流する機会が設けられるため、入社したてでも周囲にすぐ馴染むことができます。仲間意識や帰属意識も芽生えやすく、それが自社への信頼にも繋がり、結果として定着率の向上を期待できます。

新入社員を積極的に教育できる

新入社員を積極的に教育する際の手法として、オンボーディングが実施されることがあります。

オンボーディングは、部署を横断して既存社員が新入社員に関わることができます。例えば、OJTは担当者を1人つけてその社員が新入社員を指導します。密にやりとりができるのがメリットですが、時期によっては担当社員がOJTの時間を取れなかったり、期間内で予定していた通りの教育ができなかったりします。

オンボーディングでは、心理サポートを行う社員やオリエンテーションを行い、社内風土や社内の用語などを共有する担当など複数人で関わることができます。積極的に新入社員とコミュニケーションを取り、効果的に教育できるのがメリットです。

人材育成環境の格差を減らす

入社後の教育内容は、担当者によってどうしてもバラつきが出てしまうもの。それを解消する目的でもオンボーディングが実施されています。

体系的な教育が受けられるよう人事部がプログラムを組むことで、配属先や教育担当者の違いに関係なく新入社員は標準的な教育機会を得られます。

 

オンボーディングが重視されている背景・原因

オンボーディングは継続的かつ定期的に実施しないと効果が得られないことから、人事の手間が増える取り組みです。しかし、それ以上に実施する意味があると言われています。それはなぜなのでしょうか。人事分野でオンボーディングが重視されている背景や原因を3点に絞って説明します。

新入社員の早期離職率の上昇

近年、新入社員の早期離職率の上昇が問題視されています。厚生労働省が公開している「学歴別就職後3年以内離職率の推移」によれば、令和3年度の新卒1年目の離職率は全体の12.2%。令和2年度は10.6%だったので、1年の間に上昇しているのがわかります。

新入社員研修は入社後長くても半年間ほどしか行われず、その短さが早期離職の原因のひとつと言われています。オンボーディングは入社後に時間が経過しても継続して行われるため、業務サポート以外に心理サポートもでき、早期離職の軽減を期待できます。

参考:厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移

人材不足の深刻化

今後、日本は深刻な人材不足に陥ると予想されています。厚生労働省の「令和4年版 労働経済の分析」によると、多くの産業で人材が不足していることがわかります。この動きはコロナによる感染拡大前から起こっており、今後も現在の状態が続くと予測されています。

2020年に比べ、2021年の転職者数が減少していることからも、今後の人材不足が心配されています。企業は既存社員を自社に留めるため、オンボーディングを含め何らかの対策をする必要があります。

参考:厚生労働省「令和4年版 労働経済の分析」P4

新しい働き方への適応

コロナの感染拡大により、日本社会では新しい働き方ができるようになりました。令和元年にはテレワーク導入企業が全体の20.1%だったのに対して、令和2年には47.4%まで上昇。コロナが落ち着きを見せている令和5年もほぼ同水準だと言われています。

出社せず在宅で勤務したり、企業に属しながら地方に移住したりと多様な働き方が一般化しています。出社がないと社員は会社に愛着がわきにくく、仕事のモチベーションを保つのも難しいことから、オンボーディングを通した帰属意識の醸成は重要だと考えられています。

参考:厚生労働省「テレワーク導入状況

 

オンボーディングを実施するメリット

オンボーディング実施の一番のメリットは定着率の向上。しかし、その他にもさまざまなメリットが考えられます。どんなメリットが得られるのかを正確に把握して、オンボーディングを効果的に実施しましょう。

オンボーディングを実施するメリット

  • メリット1.定着率を上げることで採用コストを削減できる
  • メリット2.人材育成状況がよくなる
  • メリット3.生産性が向上する
  • メリット4.生産性が向上する
  • メリット5.従業員満足度の向上が期待できる

メリット1.定着率を上げることで採用コストを削減できる

オンボーディングは社員の定着率をあげる目的で実施されます。定着率が上がれば採用にかけるコストも削減することが可能です。

採用は、新卒・中途ともに1人あたり約100万円かかるとされています。せっかく採用した人材が1年もたたずに辞めてしまえば、費用対効果を得られたとは言えません。オンボーディングなどを実施して、1人でも定着してくれる社員を増やすことは採用コストの面でお大きなメリットがあります。

メリット2.人材育成の体制強化に繋がる

オンボーディング施策には、一般的にメンター制度・各種面談・キャリア相談・社内交流会など、幅広い取り組みが含まれます。近年は在宅勤務が一般化していることから、オンライン上でのオンボーディング施策も珍しくありません。

慣習的に行われていた人材育成制度にオンボーディングを取り入れることで、自社の育成制度を強化・アップデートすることも期待できます。

メリット3.コミュニケーションが活発化する

オンボーディングはOJTとは違い、部署を横断して取り組みが行われます。部署内外でさまざまな社員と関わる機会を提供することで、自然とコミュニケーションの量が増加。新入社員・中途社員を含めた全従業員の関係が良好になりやすいのがメリットです。

メリット4.生産性が向上する

オンボーディング施策によりコミュニケーションが活発化すれば、部署間の連携もスムーズになり業務も円滑化が期待できます。部署内だけで完結するような仕事だけでなく、複数の部署を巻き込んだ仕事も生まれるため、生産性が向上する可能性もあります。企業の業績アップにもつながるでしょう。

メリット5.従業員満足度の向上が期待できる

オンボーディングでは、業務面や心理面などを細かくサポートできます。従業員は自分の行動や実績がきちんと評価されていると感じやすいため、従業員満足度の向上も期待することが可能です。

満足度がアップすればより会社に貢献しようと積極的な行動が増え、それが業績にも繋がります。オンボーディングにより自社への愛着や信頼を形成し、それが成果に反映され、よりエンゲージメントが高まっていく。社員の定着率向上のための好循環を作れるのがオンボーディングの一番のメリットです。

 

オンボーディング実施する際の8つのポイント

オンボーディングを成功させ、目的を達成するには実施時にポイントを押さえておく必要があります。実施した分の成果があげられるよう、8つのポイントを知っておきましょう。

オンボーディング実施する際の8つのポイント

  • ポイント1.入社前から信頼関係を作っておく
  • ポイント2.教育体制の見直しを行う
  • ポイント3.メンターやOJTを育成する
  • ポイント4.目標を細かく設定しPDCAを回す
  • ポイント5.メンター制度を導入する
  • ポイント6.会社全体でオンボーディングの意識を持ちサポートし合う
  • ポイント7.新入社員と積極的にコミュニケーションを取る
  • ポイント8.必要ならオンボーディングを促進するツールを使う

ポイント1.入社前から信頼関係を作っておく

オンボーディングを実施する際の1つ目のポイントは、入社前から信頼関係を作っておくことです。新卒の内定者は、内定から入社までの期間が長いため、その期間もオンボーディングを行い、信頼関係を作っておく必要があります。

具体的には、入社前研修や内定者インターン、内定者交流会などがあげられます。課題図書や実際の業務で必要な知識が学べる教材の提供などもおすすめです。

中途入社の場合は入社まで短期間のことが多いので、社内のことがわかる社内報の送付が適しています。企業情報をオープンにして、入社意欲を高めましょう。

ポイント2.教育体制の見直しを行う

オンボーディングを実施する際の2つ目のポイントは、教育体制の見直しを行うことです。会社の方向性が変われば、新たに入社してくる社員が研修で求める内容は変わるもの。従来、実施してきた教育制度や内容が適しているか、オンボーディング前に必ず見直しましょう。

具体的には、マニュアルがきちんとアップデートされているかを確認したり、オンラインでも実施できるようオンラインツールの導入を検討したりすることがあげられます。担当者が教える内容とマニュアルに記載されている内容に違いが出てしまわないよう、教育体制は細部までチェックしましょう。

ポイント3.メンターやOJTを育成する

オンボーディングを実施する際の3つ目のポイントは、メンターやOJTを育成することです。

メンター制度やOJT制度は、新しく入社する社員を育成・サポートするための制度ですが、それを効果的に行うためには、まずメンターやOJT担当者のモチベーションを高めたり、人材育成意識を向上させたりする必要があります。

メンターやOJTがなぜ必要とされているのか、メンタリングをどのように進めれば良いのかなどを含めて、事前研修を実施しましょう。

ポイント4.目標を細かく設定しPDCAを回す

オンボーディングを実施する際の4つ目のポイントは、目標を細かく設定しPDCAを回すことです。新入社員がどのような状態になっているかを目標として定めます。

具体的には、1ヶ月後・2ヶ月後・3ヶ月後とスモールステップを用いるのがおすすめです。目標を達成するごとにオンボーディング施策の内容を見直し、改善をして新たなゴールを目指す。PDCAを回し、オンボーディングの効果を徐々に高めていきましょう。

ポイント5.メンター制度を導入する

オンボーディングを実施する際の5つ目のポイントは、メンター制度を導入することです。メンター制度とは、新入社員と年齢や階級が離れていない従業員をサポート役につけ、業務面・心理面のフォローを行う制度のことです。

早期離職を予防するには、早い段階で職場環境や業務に慣れてもらうことが大切。オンボーディングの補助制度として、メンター制度を取り入れましょう。

ポイント6.会社全体でオンボーディングの意識を持ちサポートし合う

オンボーディングを実施する際の6つ目のポイントは、会社全体でオンボーディングの意識を持ちサポートし合うことです。

オンボーディングは、新入社員の配属部署や人事部だけの協力では成り立ちません。全社でオンボーディングに取り組む意識づくりを行い、社員一人ひとりが新入社員と積極的に関わるような環境を整備する必要があります。

オンボーディングの実施が決まったら全社に説明する機会を設け、「すれ違う際は挨拶をする」「チャットでのやりとりはスタンプを増やす」など、馴染みやすい環境づくりに協力してもらうよう呼びかけましょう。

ポイント7.新入社員と積極的にコミュニケーションを取る

オンボーディングを実施する際の7つ目のポイントは、新入社員と積極的にコミュニケーションを取ることです。

仲間意識を醸成して早期離職を防ぐには、多くの既存社員との関わりが必要です。部署を横断して行うランチやミーティングの機会を設けたり、社内交流会を開催したりとコミュニケーションが取りやすいよう場のセッティングを行います。

ポイント8.必要に応じてオンボーディングを促進するツールを使う

オンボーディングを実施する際の8つ目のポイントは、必要に応じてオンボーディングを促進するツールを使うことです。

オンボーディングを全て人力で行おうとすると、手間も時間もかかりすぎてしまいます。対象の新入社員が多かったり、メンターの業務負担を減らしたりする場合には、ITツールの利用も検討してみてください。

例えば、1on1やフィードバックの内容を記録できるツールや、簡単に目標を管理できるツール、タスク管理ツールなどがあげられます。ツールを適切に利用し、効率的にオンボーディングを実施しましょう。

 

オンボーディングの3つのプロセス

オンボーディングの実施プロセスは、大きく分けて入社前・入社直後・入社後の3つに分けられます。各段階で何を行うかが非常に大切です。実施するべきオンボーディング内容をきちんと理解しておきましょう。

入社前

内定が出て、実際に入社する前の段階は内定者にとって不安を感じやすいため、手厚いサポートが必要です。この期間に密にコミュニケーションを取っておくことで、入社直後の不安を和らげることができます。企業情報をオープンにし、内定者と信頼関係を築きましょう。

  • 会社見学
  • 定期面談
  • 企業資料の送付
  • 社内報の送付
  • 内定者インターン
  • 内定者懇談会
  • 先輩社員との交流会

入社直後

入社直後は、仕事へのモチベーションが高まっています。勉強意欲もあるため、この期間に企業文化や風土、企業理念への理解を深めたり、業務に活かせる技術や知識を学んだりする場を設けましょう。

新卒の社員に対してはどの企業も手厚い研修制度が用意されていますが、中途社員の場合は簡易的なオリエンテーションのみで済ませるところも少なくありません。すでに一定のスキルを備えた中途社員が能力を発揮できるよう、十分なオンボーディングを実施しましょう。

  • 同期会
  • 交流会や歓迎会
  • 企業理念について学ぶ研修
  • 業務に必要な知識や技術を学ぶ研修
  • 短期的な目標設定とサポート
  • 質問・相談会

入社後

入社後のオンボーディングは、3ヶ月後・6ヶ月後・1年後など期間を設定して実施しましょう。入社後のオンボーディングでは、新入社員が職場環境に馴染んだり、業務に慣れたりできているかどうかを確認します。部署を横断した取り組みも継続します。

  • 1on1
  • スキルアップ研修
  • 同期会
  • 部署を横断した交流会
  • メンター制度

 

オンボーディングの施策・事例

Webサービスの開発を行うサイボウズ株式会社では、「新卒オンボーディング」「キャリアオンボーディング」と2つのオンボーディング制度を用意しています。

オンボーディングの目的は、多様な経験・知識を持つメンバーがチームの一員として力を発揮するため、組織文化理解と関係性構築をすることとしています。

例えば、新卒オンボーディングでは、企業理解や基本的なビジネスマナーの習得、同期への理解などを中心に行います。同時期には、「内定者懇親会」「Welcomeセレモニー」「新人研修打ち上げ」を開催。社員とのコミュニケーションを行える機会も用意しています。

また、オンボーディング受講者のアンケートや各チームの振り返りを元に、内容をブラッシュアップしているのも特徴。リモートワーク中心の現在では、オンラインでの開催が中心となっています。働き方の多様化にあわせて改善を行いながらオンボーディングのPACDを回している好事例です。

参考:サイボウズ「オンボーディングと学習支援

 

オンボーディングを理解し、会社全体で取り組もう

本記事のまとめ
  • オンボーディングは入社前・入社直後・入社後の3段階に分けて行う
  • オンボーディングは社員が定着することによる採用コストの削減ができる
  • 全社の協力があってこそ成功する

早期離職を防ぐため、多くの企業は何らかの対策を講じています。そのひとつがオンボーディング。実施目的や得られるメリットを正しく理解した上で導入すれば、社員の定着だけでなくモチベーション向上による業績アップも期待できます。

成功させるには全社の協力が必須です。本記事を参考に、オンボーディングへの理解を促し、自社の成長のために会社全体でオンボーディングに取り組みましょう。

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