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有休はいつから何日もらえるの?基準日や義務化、有効期限などについて紹介

U-NOTE編集部

2023/05/17(最終更新日:2023/08/27)


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病気や私用などで休んだ際、出勤と同様の扱いになり給与が発生する「有給休暇」。1年ごとに付与され、その有効期限は付与された日から2年間とされています。有給休暇があるおかげで、給与の心配をせずに心身の回復に努めたり、大切な用事に参加したりすることができます。

本記事では、そんな「有給休暇」の基本を解説。有給休暇が発生する基準日や労働基準法により定められている義務などについてもご紹介します。有給休暇の仕組みを知っておけば、就職や転職をした際にも安心して働けるようになるでしょう。

本記事の内容をざっくり説明
  • 有給休暇が発生する2つの要件を解説
  • 雇用形態別の付与日数
  • 有給休暇の年5日取得義務について解説

 

有給休暇が発生するための条件

有給休暇は、労働基準法により義務付けられた制度です。正しくは「年次有給休暇」と呼びます。有給休暇は労働する方のうち条件を満たしている場合に発生します。どんな条件があるのか、条件を満たしている際に付与される有給休暇の日数もあわせて解説します。

1.雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務している

有給休暇が発生するための1つ目の条件は、雇入れの日から起算して6ヶ月間継続して勤務していることです。有給休暇は、労働基準法により6ヶ月以上継続して勤務した方に付与することが義務付けられています。

継続勤務の期間ごとに付与しなくてはならない有給休暇の日数は異なります。また、有給休暇は事業規模に関係なく付与されることも覚えておきましょう。

参考:大阪労働局「年次有給休暇(年休・有休)について

2.全労働日の8割以上出勤している

有給休暇が発生するための2つ目の条件は、全労働日の8割以上出勤していることです。この場合のみ、10日以上の有給休暇が発生します。

なお、有給休暇は継続勤務の期間が6ヶ月以上の場合に付与されますが、1年の所定労働日数が少ない場合には、発生する有給休暇の日数は少なくなります。

例えば、6ヶ月以上継続して勤務していても労働日数が週に1回で1年の所定労働日数が48〜72日の場合は、有給休暇は1日しか付与されません。年に労働する日数が少ないと、その分有給休暇の日数も少なくなると覚えておきましょう。

参考:大阪労働局「年次有給休暇(年休・有休)について

 

有給休暇における基準日とは

有給休暇が発生するタイミングは労働基準法により定められています。一般的な基準日だけでなく、前倒しで付与する際の基準日についても決まりがあります。年5日の有給休暇取得義務に関係する部分ですので、正しく理解しておきましょう。

一般的な基準日は雇入れの日から起算して6ヶ月間後

有給休暇が発生する一般的な基準日は、労働基準法に定められている通り雇入れの日から6ヶ月間後です。その後は、継続勤務している方の場合のみ1年ごとに法令で定められた有給休暇の日数が与えられます。

なお、2019年4月に労働基準法が改正されたことにより、有給休暇は年に5日間取得することが義務付けられています。最初に有給休暇を付与した日から1年間となるので、取得日数の管理も忘れないようにしましょう。

参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得(1P)

基準日を前倒ししている企業もある

多くの企業は、雇入れの日から起算して6ヶ月間後に有給休暇を従業員に付与しています。ただし、なかには基準日を前倒ししている企業もあります。特例として認められてはいるものの、年5日の取得義務の内容が少し変わるため注意が必要です。

例えば、2023年4月1日の入社と同時に10日間の有給休暇を付与されている場合、労働者は2024年3月31日までに5日分の有給休暇を取得しなければなりません。

参考:年休を前倒しで付与した場合の年休時期指定義務の特例について(案)(1P)

分割付与する場合の基準日は前倒して付与した日

有給休暇は、前倒しでかつ分割して付与されることもあります。前倒しで数日付与される場合、年5日の取得義務は与えられた有給休暇の日数が10日に達した日を基準に発生するので注意が必要です。

例えば、2022年4月1日入社と同時に5日の有給休暇が付与され、2022年10月1日に残りの5日が与えられた場合は、2022年10月1日〜2023年9月30日の間で、5日分の有給休暇を取得しなければなりません。

ただし、2022年4月1日に付与されたタイミングで3日分の有給休暇を取得しているのであれば、2022年10月1日〜2023年9月30日の間で取得するべき日数は残り2日間となります。分割で付与された場合は取得すべき日数とタイミングが少し複雑になると覚えておきましょう。

参考:年休を前倒しで付与した場合の年休時期指定義務の特例について(案)(4P)

 

有休は前倒しで使用できる場合もある

有給は前倒しで使用できる場合があります。例えば、インフルエンザや病気での療養が必要などのケースがそれに該当します。

雇い主が労働者に対して前倒しで有給を付与する場合、それが特別休暇ではなく年次有給休暇から前倒しで発生することは必ず伝えましょう。あわせて、本来の基準日である入社から6ヶ月後に残りの有給休暇が付与されることも労働者本人に伝えて了承を得てください。

 

有給休暇の付与日数

有給休暇は基本的に雇用形態に関係なく付与されます。ただし、週の労働日数や年間の労働日数に応じて発生する有給休暇の日数は異なります。正社員・派遣社員とアルバイト・パートに分けて付与される日数をご紹介します。

正社員や派遣社員の場合

正社員や派遣社員の場合、6ヶ月継続して勤務しており、かつ全労働日の8割以上を満たしていれば有給休暇が付与されます。発生する有給休暇は継続勤務年数により異なります。

6ヶ月以上 10日
1年6ヶ月以上 11日
2年6ヶ月以上 12日
3年6ヶ月以上 14日
4年6ヶ月以上 16日
5年6ヶ月以上 18日
6年6ヶ月以上 20日

パートやアルバイトの場合

有給休暇は正社員・派遣社員・パート・アルバイトなど雇用形態にかかわらず、条件を満たしている全ての労働者に与えられます。ただし、パートやアルバイトの場合、全労働日の8割を満たすことが少ないため、その分付与される有給休暇の日数は正社員と比べて少なくなることは覚えておきましょう。

週の労働日数が4日以下で週の所定労働時間が30時間未満の場合に発生する有給休暇の日数は下の通りです。

<継続勤務年数6ヶ月の場合>

  • 週の労働日数4日、1年間の労働日数169〜216日:7日
  • 週の労働日数3日、1年間の労働日数121〜168日:5日
  • 週の労働日数2日、1年間の労働日数73〜120日:3日
  • 週の労働日数1日、1年間の労働日数48〜72日:1日

<継続勤務年数1年6ヶ月の場合>

  • 週の労働日数4日、1年間の労働日数169〜216日:8日
  • 週の労働日数3日、1年間の労働日数121〜168日:6日
  • 週の労働日数2日、1年間の労働日数73〜120日:4日
  • 週の労働日数1日、1年間の労働日数48〜72日:2日

<継続勤務年数2年6ヶ月の場合>

・週の労働日数4日、1年間の労働日数169〜216日:9日

・週の労働日数3日、1年間の労働日数121〜168日:6日

・週の労働日数2日、1年間の労働日数73〜120日:4日

・週の労働日数1日、1年間の労働日数48〜72日:2日

 

<継続勤務年数3年6ヶ月の場合>

  • ・週の労働日数4日、1年間の労働日数169〜216日:10日
  • ・週の労働日数3日、1年間の労働日数121〜168日:8日
  • ・週の労働日数2日、1年間の労働日数73〜120日:5日
  • ・週の労働日数1日、1年間の労働日数48〜72日:2日

 

<継続勤務年数4年6ヶ月の場合>

  • 週の労働日数4日、1年間の労働日数169〜216日:12日
  • 週の労働日数3日、1年間の労働日数121〜168日:9日
  • 週の労働日数2日、1年間の労働日数73〜120日:6日
  • 週の労働日数1日、1年間の労働日数48〜72日:3日

 

<継続勤務年数5年6ヶ月の場合>

  • 週の労働日数4日、1年間の労働日数169〜216日:13日
  • 週の労働日数3日、1年間の労働日数121〜168日:10日
  • 週の労働日数2日、1年間の労働日数73〜120日:6日
  • 週の労働日数1日、1年間の労働日数48〜72日:3日

 

<継続勤務年数6年6ヶ月以上の場合>

  • 週の労働日数4日、1年間の労働日数169〜216日:15日
  • 週の労働日数3日、1年間の労働日数121〜168日:11日
  • 週の労働日数2日、1年間の労働日数73〜120日:7日
  • 週の労働日数1日、1年間の労働日数48〜72日:3日

 

参考:「次年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています

 

有休の有効期限

有給休暇の有効期限は発生日から2年と決まっています。労働者は、付与された日から計画的に消化するよう計画を立てることが必要です。2年以内に使用されなかった有給休暇は自動的に消滅してしまうので注意しましょう。

また、有給休暇は、事業者によって1日単位ではなく、半日、数時間単位で利用できることもあります。自社の有給休暇の取得方法を確認しておきましょう。

参考:「次年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています

 

有給休暇の義務化とは

労働基準法が改正されたことにより、2019年4月から全ての企業で年5日の年次有給休暇の取得が義務づけられています。雇用側は労働者に対して、有給休暇のうち年5日の使用時期を指定して取得させることができます。ただし、年10日の有給休暇が付与されている労働者のみが対象です。

時期の指定は労働者の意見を聞いてから決めます。雇い主側が独断で決めることは避け、なるべく労働者の意見を尊重しましょう。

ちなみに、自主的に年5日の有給休暇を取得している労働者に対しては、時期を指定する義務はなく、することもできないので注意しましょう。

 

有休に関するよくある質問

新卒で入社したり、中途で入社したりした場合にはいつ有給休暇が発生するのかわからなくなるものです。それぞれ労働基準法により、発生日や発生要件が明確に定められているので、この機会に覚えておきましょう。有給休暇に関する2つのよくある質問に回答します。

4月入社の正社員はいつから有休を使えるの?

有給休暇は、6ヶ月間の継続勤務かつ全労働日の8割働いている場合に発生します。4月入社の正社員の場合、上記の要件を満たしていれば、有給休暇は半年後の10月に付与されます。与えられた有給休暇の使い道は労働者の自由なので、早ければ10月から使うことが可能です。

中途社員、派遣、バイトでは有休が付与される条件が違うの?

有給休暇が付与される条件は中途社員や派遣社員、バイトなど、雇用形態に関係なく同一です。入社日から6ヶ月以上継続して勤務しており、全労働日の8割以上出勤していれば有給休暇が発生します。

 

有休の仕組みについて正確に把握しよう

本記事のまとめ
  • 有給休暇は6ヶ月の継続勤務かつ全労働日の8割出勤した際に発生する
  • 基準日の前倒しもできるがその後の発生日と年5日の使用義務には注意
  • 有給休暇には2年の有効期限があり、超過した分は消滅する

有給休暇は労働者が心身を休ませる際、給与の心配をせずにゆとりある生活を保障するために作られた制度です。雇用形態に関係なく、要件を満たせば誰にでも有給休暇が与えられます。有給休暇の仕組みについて正確に把握したうえで、心身の疲労を回復させるため適切に使用していきましょう。

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