マタハラはマタニティハラスメントの略称で、妊娠・出産・育児をする従業員に不利益な取扱いや嫌がらせをすることです。マタハラの防止措置を講じることは、授業主に対して法律で義務付けられています。
本記事ではマタハラとは何か、定義やよくあるケース、なぜ起こるのかなどをまとめて解説します。組織としてマタハラを防ぐためにできること、マタハラを受けたときの対処法も紹介するので、できそうなものから実践していきましょう。
- マタハラとは?厚生労働省が定義する2タイプのハラスメント
- よくあるマタハラのケースと、防ぐためにできること
- マタハラを受けたときの相談先と対処法
マタハラとは?
マタハラとは「マタニティハラスメント」の略称で、働く女性が妊娠・出産を理由に組織から不当な扱いを受けたり、上司や同僚などから嫌がらせをされたりすることです。
精神的・肉体的な苦痛をともなうハラスメントの一種で、セクハラやパワハラなどと並んで働く女性を苦しめています。
厚生労働省が定める2種類のマタハラ
厚生労働省はマタハラについて、「妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い」と定義しています。具体的にどのような取扱いがこれにあたるのか、次はその一例です。
【妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの例】
1 解雇すること。
2 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
3 あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
4 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規雇用社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
5 降格させること。
6 就業環境を害すること。
7 不利益な自宅待機を命ずること。
8 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
9 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
10 不利益な配置の変更を行うこと。
11派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。
引用:職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!! │ 厚生労働省
また、厚生労働省はマタハラをその内容により、「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」の2つのタイプに分けています。
制度等の利用への嫌がらせ型
「制度等の利用への嫌がらせ型」は妊娠や出産、育児に関する次のような制度・措置の利用に関する言動を行った人(労働者・マタハラの被害者)が、解雇などの不利益な取扱いを示唆されることで起こるマタハラです。
【男女雇用機会均等法が対象とする制度・措置】
- 産前休業
- 妊娠中および出産後の健康管理に関する措置
- 軽易な業務への転換
- 変形労働時間制での法定労働時間を越える労働時間の制限
- 時間外労働・休日労働・深夜業の制限
- 育児時間
- 坑内業務の就業制限及び危険有害業務の就業制限
【育児・介護休業法が対象とする制度・措置】
- 育児休業
- 子の看護休暇
- 所定外労働の制限
- 時間外労働の制限
- 深夜業の制限
- 育児のための所定労働時間の短縮措置
- 始業時刻変更等の措置
※育児に関するものを抜粋
このような制度・措置を利用したいと労働者が相談したことにより不利益を被ることで、マタハラが起こります。この場合、上司や人事担当者、雇用主などの「労働者から相談を受けた人」がマタハラの加害者(厚生労働省はハラスメント行為者と呼んでいます)となります。
状態への嫌がらせ型
「状態への嫌がらせ型」は働く女性が妊娠や出産をしたことに関する言動をすることで、就業環境が害されることで起こります。具体的には、働く女性の次のような内容の言動に対して不利益な取扱いを示唆したり、嫌がらせをしたりするのがこのタイプです。
【マタハラの対象となる事由】
- 妊娠したこと
- 出産したこと
- 産後休業をしたり、産後の就業制限により就業できなかったこと
- 妊娠・出産による症状(つわりや切迫流産、出産後の回復不全など)により今までどおりに働けなくなったこと
- 坑内業務や危険有害業務に就けなくなったこと
働く女性が上記のような言動をしたり、状況に置かれたりしたことにより解雇などを示唆したり嫌がらせをしたりすることでマタハラは怒ります。解雇などの不利益な取扱いの示唆は上司が、嫌がらせは上司や同僚がマタハラの加害者になりえます。
マタハラに似たハラスメント
マタハラと似たハラスメントに「パタハラ」と「ケアハラ」があります。これらはマタハラと近い状況下・内容で起こるため、併せて覚えておきましょう。
パタハラ
パタハラは「パタニティハラスメント」の略称で、育児休業や育児のための勤務時間見直しなどを求めた男性社員に対するハラスメント行為です。
これらの制度・措置の取得を妨げたり、それを理由に解雇や出世コースから外すことなど不利益な取扱いを示唆したりします。
ケアハラ
ケアハラは「ケアハラスメント」の略称で、「介護ハラスメント」とも呼ばれます。育児や介護のための制度・措置を利用しようとする労働者に対し、それを妨害する言動を取るハラスメントです。
制度・措置の利用そのものを認めない、妨害するのはもちろん、「あなたのような人は戦力にならない」「組織の足を引っ張っている」などの侮辱を浴びせるのもケアハラです。
マタハラやパタハラと同じく、育児や介護のための制度を利用したことを理由に解雇したり出世コースから外したりといった不利益な取扱いをするのもケアハラにあたります。
よくあるマタハラのケース
次からはよくあるマタハラのケースを5つ紹介します。どんなケースがマタハラにあたるのかを念頭に置くことで、ハラスメントをしないように気をつけたり、されたときにすぐに気付き適切に対処したりできるようになります。
妊娠・出産に対してネガティブな態度を取る
よくあるマタハラの1つ目のケースは、「妊娠・出産に対してネガティブな態度を取る」ことです。具体的には次のような言動がこのマタハラにあたります。
- 「繁忙期に妊娠するなんて。もっと時期を考えて妊娠すべきだった」
- 「妊婦はいつ休むかわからないから仕事を任せられない」
- 「あなたが休んだ分、私たちの仕事が増えている」
- 「妊婦は楽できていいな」 などの発言
- 妊娠を境に急に仕事を与えなくなる
- 体調の変化に配慮せず無理を続けさせる
- 明らかに体調が悪いのに気付いていながらわざと放置する などの行動
これらはマタハラである以前にいじめです。上司だけでなく、同僚・先輩・後輩など、あらゆる人がこれらのマタハラをしてしまう可能性があります。
妊娠に限らず、病気や怪我などでいつ誰に周囲の助けが必要になるかはわかりません。助け合いの気持ちや妊娠を祝う気持ちを一人ひとりがもつことで、このようなマタハラを防げるでしょう。
出産や育児に関する制度を利用させない
よくあるマタハラの2つ目のケースは、「出産や育児に関する制度を利用させない」ことです。産休や育児休業を取得させない、ギリギリまで取得させることを渋るなどがこのケースにあたります。
このようなあからさまなケース以外にも、「妊婦検診に休日に行くように強要する」「体調不良による早退を認めない」などもマタハラにあたるでしょう。
出産や育児を理由にキャリアを制限する
よくあるマタハラの3つ目のケースは、「出産や育児を理由にキャリアを制限する」ことです。具体的には次のような言動がこのケースにあたります。
- 産休や育児休暇を取ったことで人事評価を低くする
- 本来の出世コースから外す
- 一方的に雇用形態を変える
- 期間を定めて雇用された労働者に対して、一方的に契約の更新を拒む
- 「休むなら辞めてもらう」と脅す など
このような取扱いを実際にすることはもちろん、示唆することもマタハラにあたります。
一方的に仕事を取り上げたり就業時間を変えたりする
よくあるマタハラの4つ目のケースは、「一方的に仕事を取り上げたり就業時間を変えたりする」ことです。
先述の「妊婦はいつ休むかわからないから仕事を任せられない」のような発言をしたり、発言をしなくとも妊娠をきっかけに急に仕事を与えなくなるなどがこれにあたります。
厄介なことに、このケースは悪意でなく善意で行われることもあります。
「妊婦さんは体調の変化が激しいというし、私が代わりに仕事をやってあげよう」「負担が減るように勤務時間を短くしてあげよう」という配慮をするのは素晴らしいことですが、一方的ではいけません。
本人は妊娠期間中もできるだけ仕事をしたいかもしれませんし、これからの生活に向けて少しでも貯金を増やしておきたいかもしれません。話し合い、本人の希望を踏まえた対応をしてあげましょう。
価値観を押し付ける言動を取る
よくあるマタハラの5つ目のケースは、「価値観を押し付ける言動を取る」ことです。次のような言動を取ることがこのケースにあたります。
- 「女性は出産したら育児や家事に専念すべきだ」
- 「私にも子どもはいるけど、ギリギリまで仕事を頑張っていた」
- 「身体が辛いのはわかるけど育児や教育にはお金もかかるし、もう少し頑張ったら?」
- 妊婦検診の立会いのために休む男性労働者に対し「毎回着いていく必要はないんじゃないの?」
- 立会い出産のための休暇や育児休業を望む男性労働者に対し「男のくせに」「奥さんに任せておきなよ」 など
最後の2つはパタハラですが、上記のような発言をしたこと・されたことがある人、「うっかり言ってしまいそうだ」という人は多いのではないでしょうか。
妊娠による体調変化は個人差が大きく、妊娠期間をどう過ごしたいかも人によります。自分と他人の境界線をはっきりさせること、相手には相手の考え方があることは、マタハラにかかわらず常に意識しておきたいです。
マタハラが起こる原因
マタハラはどうして起こるのか、なぜなくならないのか、3つの原因を紹介します。これらを理解しておくことでハラスメントに対する考え方が変わり、防ぐためにできることも思い浮かびやすくなるでしょう。
法律や制度への認知不足
マタハラが起こる1つ目の原因は、「法律や制度への認知不足」です。
詳しくは後述しますが、改正男女雇用機会均等法や改正育児・介護休業法などの法律にはマタハラを防ぐための項目が盛り込まれています。嫌がらせのような言動を取ることはもちろん、妊娠・出産・育児のための休業を取ることを会社は拒否できません。これは相手が女性でも男性でも同じです。
また、法律による制度とは別に、自社の就業規則で定めた制度もあるはずです。就業規則を破った従業員を懲戒処分にできるように、会社がそれを守らないのは労働基準法違反にあたります。
出産や育児に関する理解不足
マタハラが起こる2つ目の原因は、「出産や育児に関する理解不足」です。
出産や育児のことがよくわからず、「まだあまりお腹も大きくないし、仕事も今までどおりできるのでは?」「子どもが生まれてしばらく経つし、そろそろ今までどおり働けるのでは?」などと思ってしまう人もいます。
これは出産・育児を経験してきた人(経産婦)でも起こりえることで、妊娠中の身体の負担も生まれてきた子どもの性格もそれぞれ違います。
臨月ギリギリまで仕事をして出産後1ヵ月に職場復帰する女性もいれば、妊娠初期のつわりがとても重く、出産後もとても手のかかる子でまともに休めず回復に時間がかかるという女性もいるでしょう。
出産や育児がどんなものか、どのくらい大変かがわかっていないと、相手を思いやる気持ちはなかなか持てません。せめて管理者は出産や育児について最低限知っておくこと、家族のサポートや子どもの泣き方などが人により違うことを常に念頭に置いておきましょう。
各個人の価値観に対する不寛容
マタハラが起こる3つ目の原因は、「各個人の価値観に対する不寛容」です。
考え方は人それぞれ違います。たとえば体調的に仕事ができたとしても、流産のリスクを少しでも低くするために勤務時間を短くしたいという人もいれば、反対にギリギリまで働き養育費を貯めておきたいという人もいるでしょう。
男性や妊娠をしたことがない女性はもちろん、経産婦であっても相手と自分は違うのだということを念頭に置き、相手の価値観を尊重するよう気をつけなければなりません。
厳密にはマタハラではなくパタハラですが、先述の「妊婦検診に毎回付き添わなくてもいいんじゃないの?」というのも一人ひとり価値観が異なることを意識できていないから出てしまう発言です。
マタハラに関する法律
マタハラの防止措置を講じることは「改正男女雇用機会均等法」や「改正育児・介護休業法」で定められています。これらの法律は改正・施行されたため、過去の法律について知っている人も改めて概要を押さえておきましょう。
改正男女雇用機会均等法
改正男女雇用機会均等法では「働く人が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分発揮することができる雇用環境を整備すること」を目的に、2007年に施行されました。
この法律により妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止が強化され、女性はもちろん男性を含む労働者に対する「性別による差別」がより強く禁止されています。
育児・介護休業法
育児・介護休業法は2021年3月に改正され、2022年4月1日から2023年4月1日にかけて段階的に施行されてきました。現在では、下記の改正すべてが施行済みです。
1 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設 【令和4年10月1日施行】
2 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け 【令和4年4月1日施行】
3 育児休業の分割取得 【令和4年10月1日施行】
4 育児休業の取得の状況の公表の義務付け 【令和5年4月1日施行】
5 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 【令和4年4月1日施行】
改正法では育児休業をより柔軟に取得できるようになり、男性の育児休業の取得促進にも重きが置かれています。
妊娠・出産した労働者に対して個別に制度を周知し、取得の意向を確認すること。育児休業の取得状況を公表することなどが義務付けられています。
これらの法律について知り、遵守することは、自社のイメージアップや採用拡大にもつながるでしょう。働きやすい環境をつくり優秀な人材を集めることができれば、妊娠・出産・育児にともなう制度をより使いやすい環境をつくることもできます。
マタハラを防ぐためにできること
マタハラを防ぐことは「改正男女雇用機会均等法」や「育児・介護休業法」により、雇用者に義務付けられています。労働者を雇う立場にある人・組織は、マタハラ防止措置を取らなければなりません。そのために何ができるか、3つの措置を提案します。
妊娠・出産に関する情報の周知徹底や教育、研修
マタハラを防ぐためにできる1つ目のことは、「妊娠・出産に関する情報の周知徹底や教育、研修」です。
妊娠・出産・育児とはどのようなものなのか、それを防ぐことにどんな意義があるのか、具体的にどのようなことに気をつければいいのかなどを従業員に周知徹底しましょう。
外部から講師を招いたり、経産婦や育児休業を取得したことのある男性などの従業員に頼んだりして、社内研修を開くのもおすすめです。
妊娠・出産をすると体調がどう変わるのか、妊産婦はどんなことに気をつけて生活しなければならないのか。育児とはどのようなことをするのか、生活や意識がどう変わるのかなどをたくさんのエピソード付きで伝えていけば、従業員のマタハラに対する意識も変わっていくでしょう。
制度の内容や運用の見直し
マタハラを防ぐためにできる2つ目のことは、「制度の内容や運用の見直し」です。
マタハラを防いだり、妊娠・出産・育児にともなう休業を認めたりすることはすべての事業者に義務付けられていることですが、そのための制度の内容は各社にゆだねられています。
自社の制度を見直し、きちんとマタハラを防げるような内容になっているか、妊娠・出産・育児に携わる従業員にとって使いやすいものになっているかを見直しましょう。
これらの制度の対象になる人、ならない人両方の意見を集め、それぞれにとって納得感のある内容・運用をしていくことが大切です。
相談窓口の設置
マタハラを防ぐためにできる3つ目のことは、「相談窓口の設置」です。
組織内にマタハラを含む各種ハラスメントの相談ができる窓口を設置しておきましょう。このような相談は直属の上司には相談しづらいからです。
このような相談への対応を上司やマネージャーに任せておくと、人による対応差が大きくなってしまいます。妊娠や出産、育児などに関する知識には個人差があり、個人の価値観によるところも大きいです。
誰もが安心して相談できるよう、これらについてきちんと学んだ人材を担当者にし、相談口を設置しましょう。
マタハラを受けた際の対処法
マタハラのようなハラスメントを受けている本人は、それがハラスメントであることを自覚しづらいものです。
「これって、もしかしてマタハラでは?」と感じたときは誰に相談すればいいのか、いざマタハラを受けてしまったときはどう対処すればいいのかを紹介します。
まずは身近で信頼できる相手に相談を
自分がマタハラを受けているかもしれないと思ったら、まずは身近で信頼できる相手に相談をしましょう。妊娠中は体調が目まぐるしく変わるため、すぐに相談し、早めに対処が取れるようにしておく必要があります。
信頼できる上司や経産婦、育児中の先輩・同僚はもちろん、社外の知人・友人や家族でも構いません。とにかく自分にとって信頼できる相手に相談すること、意見が偏ってしまわないようなるべく複数人に相談することが大切です。
妊娠・出産に関する法律を一通り把握する
身近な相手に相談しても問題が解決しないときや、モヤモヤが残るときは、妊娠・出産に関する法律について一通り調べてみるといいでしょう。これらの法律について知らずに、不利益を被っている労働者はたくさんいます。
たとえば、アルバイトやパートを辞めるときに有給を消化しようとしたら、「うちはアルバイトには有給を出していないんだ」と言われたことはないでしょうか。
有給は雇用形態にかかわらずすべての労働者に付与されるため、「バイトだから有給がない」ということはあり得ません。しかし、そのことを知らなかったため有給を消化しないまま辞めてしまうという人も多いです。
同じことが妊娠・出産に関する制度でも起こるかもしれません。どのような言動がマタハラにあたるのか、雇用主は妊娠・出産・育児にかかわる労働者にどのような措置を取らなければならないのかは、法律によりある程度決まっています。
「マタハラを受けてるような気がするけど、違ったらどうしよう…」と不安に思っているなら、このような法律について簡単にでも学ぶことをおすすめします。自分の疑念や不満が正しいものだと思えれば、各種窓口の利用や対処もしやすくなるはずです。
マタハラに関する法律や制度については、厚生労働省が発行する下記パンフレットがわかりやすいです。
職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!! │ 厚生労働省
社外の相談窓口を活用する
身近に相談できる相手がいない、「マタハラを受けていると思うが自分では対処できない」というときは、社外の相談窓口を活用しましょう。次のような相談窓口は誰でも利用できます。
労働基準監督署や弁護士に相談する
マタハラを受けていて、自分の力だけで対処できないときは、労働基準監督署や弁護士に相談してみましょう。まずは相談費用がかからない労働基準監督署に相談してみるのがおすすめです。
各自治体には弁護士に無料相談できる窓口があり、1つの案件につき1回のみ、20~30分ほど相談ができます。相談時間が短いこと、相談に乗ってもらえるだけで具体的な対処は基本的に自分で取らなければならないことから万能ではありませんが、どのような対処が取れるのかの糸口は見つけられるでしょう。
これらの機関に相談するなら、どのようなハラスメントを受けているのか、その内容・ハラスメントを受けた日時・誰にされたかなどを箇条書きで良いのでメモしておくことをおすすめします。このメモが証拠となることも多く、そうでなくとも相談相手が事態を把握しやすくなります。
マタハラは違法なうえに組織の生産性を下げる
- マタハラを防ぐ取り組みは法律で義務付けられている
- ハラスメントへの理解と個人の尊重が防止につながる
- マタハラが蔓延る職場は働きづらく生産性も低い
マタハラは違法行為ですし、マタハラを防ぐための取り組みをすることは法律で義務付けられています。
妊娠・出産・育児に携わる人が休業や時短勤務できる制度を設けることも義務付けられています。「うちには産休はあるけど育休はないよ」などと言われたら、まず就業規則を確認しましょう。
マタハラを防ぐために社内制度を充実させることも大切ですが、一人ひとりの従業員の理解を深め、互いを尊重し合う風土をつくることが最重要です。社内研修を開いたり、管理者の意識を育んだりして、誰もが働きやすい環境をつくっていきましょう。
柔軟な働き方ができる職場や復帰しやすい職場は離職率が低く、組織全体の生産性も高まります。自社で働くすべての人のために、ハラスメント防止の取り組みを進めていきましょう。
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