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ビジネスモデルキャンバスとは?9つの構成要素と作り方、作成後にすべきことを解説

U-NOTE編集部

2023/09/05(最終更新日:2023/09/12)


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ビジネスモデルキャンバスとは?9つの構成要素と作り方、作成後にすべきことを解説

ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスを構成する9つの要素を一枚のシートにまとめるフレームワークです。これによりビジネスの全体像を、シンプルに把握できるようになるでしょう。

ビジネスモデルキャンバスを構成する9要素とは何か、各要素についてどのようにまとめればいいのかを解説します。ビジネスモデルキャンバスを作成・活用するうえでの注意点も紹介するので、頭の片隅に置いておきましょう。

本記事の内容をざっくり説明
  • ビジネスモデルキャンバスとは何か、どのようなメリットがあるか
  • ビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素とは?
  • ビジネスモデルキャンバスを作成・活用するうえでの注意点

 

ビジネスモデルキャンバスとは?

ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルやその関連要素を押さえ、視覚化するためのフレームワークです。ビジネスモデルを考えたり共有したりする際に重要な9つの要素を、1枚のキャンバスにコンパクトにまとめます。

これにより、顧客に対してどんな価値を提供できるのか、どのように収益を上げるのかなどの洞察が得やすくなります。

競合他社と自社のビジネスをそれぞれキャンバスにまとめることで、市場や競合に対する理解を深めたり、ビジネスモデルを比較したりもしやすくなるでしょう。

 

ビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素

ビジネスモデルキャンバスでは9つの要素を1枚のシート(キャンバス)にまとめ、ビジネスについて俯瞰できるようにします。

ビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素

  • 顧客セグメント
  • 価値提案
  • 顧客との関係
  • チャネル
  • 収益の流れ
  • コスト構造
  • 主要活動
  • 主要リソース
  • 主要パートナー

顧客セグメント

顧客セグメントではどのような属性の人がターゲットとなるのか、彼らはどんなニーズや解決したい悩みを抱えているのかを決めます。ペルソナ設定とも言い換えられるでしょう。

ここで重要なのは具体的な顧客像を描くことです。BtoBの場合は決裁権や意思決定の流れを踏まえて誰に提案するのかまで、BtoCでも「旅行をする人」のような抽象的なイメージではなく、「家族で国内旅行によく行く人」「旅先での食事が何より楽しみ」というような具体的な人物像を描きましょう。

価値提案

商品やサービスにはどんな価値があるのか、顧客はどこに価値を感じるのか、具体的に複数の要素を書き出します。

顧客が商品やサービスを購入するのは、それにより悩みが解決したり何らかの欲求が満たされたりするからです。このような「購入する理由」を具体的にすることが大切です。

顧客との関係

顧客になってくれた人とどのような関係を築いていくのか、中長期的な目線で具体的に書きます。

顧客とのコミュニケーションの方法や、コミュニティを形成するか否かなどについても決めましょう。

たとえば顧客とは電話やメールでやり取りするのか、定期的に直接訪問するのか。顧客同士で形成されるコミュニティは必要なのか。顧客が自力で問題解決できる、FAQやAIチャットのようなシステムを構築するのかなどを考えます。

チャネル

チャネルとは商品やサービスの販売チャネル、つまり認知・集客・販売の経路のことです。

たとえば認知・集客のチャネルにはSNSや自社Webサイト、販売のチャネルには実店舗やECモール・自社ECなどが挙げられます。ほかにも広告やアフィリエイト、D2C、ステップメールを使った見込み客育成など、チャネルにはさまざまなものがあります。

簡単にいえば、商品やサービスそのもの、もしくはその情報を「顧客にどうやって届けるのか」がチャネルです。

収益の流れ

商品やサービスからどのように収益が得られるのか、お金の流れを書き出します。簡単にいえば販売方法や料金形態のことで、次のようなものが考えられます。

  • 買い切り制での販売
  • サブスクリプション
  • レンタル・リース
  • ロイヤリティ
  • ライセンス料
  • 手数料 など

コスト構造

そのビジネスに必要なコストを洗い出します。少なくとも固定費・人件費・広告費・材料費・輸送費などは必要になるでしょう。ビジネスモデルや事業展開の方法によっては、業務委託やコンサルティングなどの費用もかかるかもしれません。

すべてのコストを細かく記載するのではなく、「どんなカテゴリのコストがかかるか」を洗い出せればOKです。

主要活動

主要活動とは、そのビジネスを進めるうえで必要となる活動、つまりタスクのことです。

商品・サービスの企画や製造、営業やマーケティング、顧客対応など、まずは必要となる大枠の活動を洗い出しましょう。そのうえで、各活動を細分化し、タスクとしてリスト化していきます。

主要リソース

そのビジネスを進めるうえでどんなリソースが必要になるのかを洗い出します。ここでは「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つの経営資源を軸に、主要リソースのリストアップをするといいでしょう。

これらのリソースには不動産や設備などの有形資産だけでなく、著作権やノウハウなどの無形資産も含まれます。

主要パートナー

ここでいう主要パートナーとは、業務委託をする外部パートナーや合併相手、サプライヤーなどのことです。外部の関係者を洗い出し、どのような協力関係を築くのかを明らかにします。

 

ビジネスモデルキャンバスを活用するメリット

ビジネスモデルキャンバスを活用することで、事業の全体像を一枚のシートにまとめ俯瞰できるようになります。これによりもたらされる3つのメリットを紹介します。

ビジネスモデルキャンバスを活用するメリット

  • メリット1.ビジネスの全体像を把握しやすい
  • メリット2.ステークホルダー間で共通認識を持てる
  • メリット3.競合分析にも活用できる

メリット1.ビジネスの全体像を把握しやすい

ビジネスモデルキャンバスの1つ目のメリットは、「ビジネスの全体像を把握しやすい」ことです。

ビジネスモデルキャンバスでは、事業を進めるうえで決めなければならない9つの要素を一枚のシートにまとめます。これによりビジネスの全体像が把握しやすくなります。

全体像を把握することで、ビジネスについて俯瞰して考えられるようになるでしょう。要素同士の相関性やビジネスモデルの問題点なども見つけやすくなります。

メリット2.ステークホルダー間で共通認識を持てる

ビジネスモデルキャンバスの2つ目のメリットは、「ステークホルダー間で共通認識を持てる」ことです。

一枚のシートに事業に必要な要素をまとめたビジネスモデルキャンバスを見れば、ビジネスの全体像を少ない時間と労力で把握できます。そのビジネスについて簡単に理解できるため、関係者との情報共有も容易です。

重要な情報だけを簡単に共有できるビジネスモデルキャンバスを活用することで、関係者と共通認識を持ちやすくなるでしょう。

メリット3.競合分析にも活用できる

ビジネスモデルキャンバスの3つ目のメリットは、「競合分析にも活用できる」ことです。

競合他社のビジネスについて、ビジネスモデルキャンバスの9要素を、わかる範囲で書き出してみましょう。これにより競合のビジネスについてより深く理解したり、全体像を把握したりしやすくなります。

自社と競合のビジネスモデルキャンバスを見比べることで、事業改善のヒントや新しいアイデアが見つかることもあるでしょう。

 

ビジネスモデルキャンバスを作る際の注意点

ビジネスモデルキャンバスで大切なのは、「とにかくシンプルであること」です。ビジネスの全体像についてシンプルに、しかし抜け漏れなくまとめることで、事業案のブラッシュアップや共通の認識づくりができます。

すべての項目を埋める

ビジネスモデルキャンバスを作るときは、9つの要素すべてを埋めましょう。9つの要素はそれぞれ相関しているため、抜け漏れがあると要素同士の関係性が見えなくなってしまいます。

なるべくシンプルにまとめる

ビジネスモデルキャンバスでは一枚のシートを9分割し、事業を構成する9つの要素を書き出すフレームワークです。各要素について書き込めるスペースは限られています。シンプルに書かなければ、枠をはみ出したり文字が読みづらくなってしまうでしょう。

シンプルにまとめるべきなのは、このような物理的な理由からだけではありません。

情報量を抑えることで、各要素をわかりやすくまとめられます。要素同士の相関もイメージしやすくなるでしょう。

一つひとつの要素に時間をかけすぎない

ビジネスモデルキャンバスはビジネスの全体像を把握したり、関係者と共有して共通認識をつくったりするためのものです。全体を俯瞰することで見えてくる改善点もあれば、関係者から指摘されて気付くこともあるでしょう。

大切なのは完ぺきなビジネスモデルキャンバスを作ることではなく、ビジネスモデルキャンバスを使って事業案をブラッシュアップすることです。そのためにはスピーディーに情報をまとめ、分析や協議に使える時間を増やすことが重要です。

 

作成したビジネスモデルキャンバスの効果を高めるために

ビジネスモデルキャンバスは手段であり、目的ではありません。ビジネスモデルキャンバスを活用してその事業の問題点を見つけたり、必要なものを把握したり、ビジネスをブラッシュアップすることが目的です。

そのためにできること、意識したいことを3つ紹介します。

ステークホルダーと共有する

ビジネスモデルキャンバスを作ったら、何はともあれ社内外のステークホルダーと共有しましょう。社内のチームメンバーや上長、社外の重要なパートナーなどと共有することで、全員で共通認識を持てます。

各要素を検証し、現実とマッチさせる

ビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素について検証し、各要素を現実とマッチさせていきましょう。

作ったばかりのビジネスモデルキャンバスには思い込みや決め付けなどが含まれているかもしれません。

特に顧客セグメントと価値提案は現実との乖離が生まれやすいです。顧客へのヒアリングやPoCを通して各要素について検証し、現実に近づけていきましょう。

定期的に検証・更新をくり返す

ビジネスモデルキャンバスは一度作ったら終わり、ではありません。定期的に検証をくり返し、必要に応じて更新していきましょう。

ビジネスモデルキャンバスを構成する要素が現実と乖離していることもあるのは先述の通りです。作成時点では現実とマッチしていても、時間の経過とともに市場が変化し、ビジネスモデルキャンバスの情報が古くなってしまうこともありえます。

間違った情報や古い情報でビジネスを進めてしまわないよう、検証と更新を続けることが大切です。

 

ビジネスモデルキャンバスはブラッシュアップを続けることが大切

本記事のまとめ
  • ビジネスモデルキャンバスは事業を構成する9要素をまとめたもの
  • ビジネスモデルキャンバスを活用することで、事業案の改善や共有が容易になる
  • ビジネスモデルキャンバスの内容は常に検証し、ブラッシュアップしていこう

ビジネスモデルキャンバスは新規事業の提案や事業案のブラッシュアップ、既存事業の情報共有などに使われるフレームワークです。一枚のシートにビジネスを構成する9つの要素をまとめることで、ビジネスの全体像を容易に把握できるようになります。

全体像を俯瞰することで、要素同士の相関やビジネスの問題点も見えやすくなるでしょう。一枚のシートに情報をシンプルにまとめているため、関係者との情報共有、共通認識づくりにも最適です。

ただ、ビジネスモデルキャンバスに書き入れた内容が間違っていたり、時間経過とともに情報が古くなったりすることもあります。

シート内の9要素、特に「顧客セグメント」や「価値提案」については定期的に検証し、現実の最新情報に近づけていきましょう。

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