HOMEビジネス データサイエンスとは?歴史や活用方法、流れをわかりやすく解説

データサイエンスとは?歴史や活用方法、流れをわかりやすく解説

U-NOTE編集部

2023/09/04(最終更新日:2023/09/12)


このエントリーをはてなブックマークに追加

ビッグデータ活用により、組織や社会の課題を解決したり、意思決定のスピード・精度を高めたりする「データサイエンス」への注目が高まっています。

本記事ではデータサイエンスとは何か、その歴史と、データの分析・活用を行うデータサイエンティストについて解説します。データサイエンスが注目される背景や、何ができるのかなどを紹介するので、これからデータサイエンスについて知りたい人はぜひ参考にしてみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • データサイエンスの意味や歴史
  • データサイエンスでできる4つのこと
  • データサイエンスの大まかな流れ

 

データサイエンスとは?

データサイエンスとはビッグデータを分析し、組織や社会の課題解決、より良い環境づくりに活かす技術のことです。

データサイエンスには従来の統計学の知識も求められますが、ITの進歩により扱うデータが膨大かつ複雑になった現代において、従来的な方法でのデータ活用には限界があります。

そこで統計学に加えてITや数学、経営学などの研究分野からの知識・知見を活かすことで、より精度が高く効率的なデータの分析・活用を叶えます。

特にIT分野に関しては、「IoT」「AI(ディープラーニング)」「プログラミング」「データベース」などの広範な知識が求められます。

データサイエンティストとは

データサイエンスの知識と先述した各種スキルを持ち、これらを組み合わせてデータの分析・活用をするのが「データサイエンティスト」です。

データサイエンティストになるための共通した資格はなく、プログラマーやエンジニアのように、資格よりも実務経験やスキルが重視される職業といえます。

ただ、データサイエンティストは比較的新しい職業であるうえに広範かつ高レベルのスキルが求められるため、需要に対して供給が不足しています。実務レベルのデータサイエンティストの育成は、もはや国家レベルの課題といえるでしょう。

データサイエンティストの仕事内容や求められるスキル、キャリアパスなどについて、こちらの記事で詳しく解説しています。データサイエンティストを目指したい方はぜひお読みください。

データサイエンティストとは?平均年収や仕事内容、求められるスキル、役立つ資格を紹介

データサイエンスの歴史

データサイエンスの発祥については諸説あり、「1960年代には統計のことをデータサイエンスとも呼んでいた」「デンマークのコンピュータ学者・ピーターナウア氏が、1974年に著書『Concise Survey of Computer Methods』でこの言葉を使った」などといわれています。

いずれにしても、データサイエンスはそう真新しい分野ではありません。日本では情報産業サービスが1960年に誕生したといわれており、ITの黎明期から、各種テクノロジーとともにデータサイエンスは研究されてきました。

データサイエンスが学問として研究されるだけでなく、社会や組織の課題解決に活用されるようになったのは、2010年頃からだといわれています。

データサイエンスが注目されている背景

データサイエンスへの注目は、近年急激に高まっています。そこには技術的な背景とビジネス的な背景があります。

ビッグデータ活用の土台ができたため

データサイエンスが注目される背景には「ビッグデータ活用の土台ができた」というものが挙げられます。

ビッグデータとは、人間ではとても扱えないような膨大かつ複雑なデータ群のことです。データの収集・管理・分析・活用などに関する技術が発展したことで、ビッグデータの活用が容易になり、一般企業もデータサイエンスに取り組めるようになりました。

データの収集に関しては、たとえばIoTやクラウド、スマートフォンやインターネットの普及などが挙げられます。これらの技術により多くの一般消費者から、その行動や興味などの傾向をデータとして集められるようになりました。

データの管理・分析・活用に関しては、DWHやデータレイクなどによるビッグデータの保管、BIによりデータの処理や分析が容易になったことなどが挙げられます。

これらの技術・ツールが普及し、廉価になったのも、一般企業がデータサイエンスに取り組めるようになった大きな要因でしょう。

ビジネスへのデータ活用が一般的になったため

先述の通り、テクノロジーの進歩によりビッグデータの活用は容易になりました。これまでは技術や資金などの問題でデータ活用が難しかった組織でも、テクノロジーやシステムがより扱いやすくより廉価になったことで、データサイエンスに取り組めるようになったのです。

データサイエンスのビジネス活用は、IT分野の企業やスタートアップのような先進的な企業、資金力のある大企業からはじまったのでしょう。彼らがデータ活用により業務の効率化やマーケティングの強化などを行っているのを見て、それ以外の企業も「データサイエンスに取り組んでみよう」という意識になったはずです。

「データサイエンスに取り組んでいる」という意識がない企業でも、何かしらの方法でデータ活用はしているはずです。

たとえばCRMによる顧客管理やMAによる見込み客の獲得・育成、オウンドメディアのアクセス分析など、ビジネスシーンにおけるデータ活用は社会に浸透したといえます。

 

データサイエンスの活用方法

データサイエンスでは大きく4つの方法に分けてデータを活用します。

データサイエンスの活用方法

  • データを記録・分析し、何が起こっているのか明らかにする
  • 複数のデータを活用し、事象を掘り下げる
  • 履歴データを活用し、将来を予測する
  • 予測したことへの対応策を導き出す

データを記録・分析し、何が起こっているのか明らかにする

データサイエンスでは、データを記録・分析することで、何が起こっているのかをまずは明らかにします。集めたデータを数値からグラフや表、説明などに変換することで、データが人間にとってわかりやすいものになります。

たとえば客数の増減を月ごと、シーズンごとにグラフ化することで、1年を通したパフォーマンスの変化を把握しやすくなるでしょう。

複数のデータを活用し、事象を掘り下げる

複数のデータを組み合わせて活用することで、起こった事象について深く掘り下げることができます。ここではドリルダウンやデータマイニング、データディスカバリーなどの手法が用いられます。

たとえば先述の客数の増減を示したデータを、月・シーズンごとのイベントや客層などのデータと結びつけることで、「客数が増えたのはなぜか」が見えてくるでしょう。

履歴データを活用し、将来を予測する

これまで起こった事象について記録した履歴データを活用することで、将来を予測できます。ここでは先述の「複数のデータを組み合わせ、事象とその原因を明らかにしたデータ」が役立つでしょう。

たとえば客数の増減がどのようなイベントと関連しているのか、どの月にどの客層が多いのかなどの履歴データを活用することで、1年を通した客数の増減や客層の変化を予測できます。

予測したことへの対応策を導き出す

将来を予測し、答え合わせをするだけでは意味がありません。ビジネスにおけるデータサイエンスで重要なのは、予測を活かして対応策を導き出すことです。将来起こりそうなことを予測し、どのような対策を取るのが最適なのか、データを使って導き出すのです。

先述の客数の増減や客数の変化などの予測は、マーケティングやターゲティング、人材配置などに活かせるでしょう。「この月は女性客が多いから、広告のテイストを変えてみる」「この月は客数が多く回転率も高いから、人員を多めに配置する」などの対策ができます。

 

データサイエンスの流れ

データサイエンスには大まかな流れがあり、これに沿ってデータの収集・分析・活用を進めていきます。

データ活用の目的を明確にする

まずはデータ活用の目的を明確にします。目的が曖昧だと、どんなデータを集めればいいのかがわかりません。

たとえばマーケティングを強化したいのに、月ごとの従業員の残業時間に関するデータを集めても意味がないでしょう。これは極端な例ですが、何よりもまずは目的を決めることで、目的達成のために集めるべきデータが見えてきます。

データの収集

目的を決めたら、その達成に必要なデータを集めましょう。先ほどの「マーケティングを強化したい」という目的なら、オウンドメディアやSNSなどへのアクセス・Web行動などのデータ、アンケートで集めた顧客の声、各店舗の客数や客層のデータなどが役立ちます。

データの処理

データを分析する前に、集めたデータの処理をしなければなりません。ここではフォーマットが異なるすべてのデータを1つの形式に統合します。欠落データの保管や項目ごとの整理なども大切です。

データのモデリング

収集し処理したデータはコンピュータに分析させます。そのため、コンピュータがデータ分析をするためのモデル構築をしなければなりません。統計や機械学習などの方法に基づき、データをモデリングしていきます。

モデリング結果の評価

データ分析により導き出された結果は正しいのか、課題解決につながるものなのかを評価します。

間違いのあるモデリング結果に基づき対策や予測を進めてしまっては、課題を解決するどころか、悪化させてしまうかもしれません。

モデリング結果が間違っていたり、課題解決につながらないものだったりしないか検証し、必要に応じてモデルの再構築をします。

レポートの作成

データサイエンスの目的はデータそのものを得ることではなく、データを活用し課題解決やより良い環境づくりなどをすることです。そのためにはデータを踏まえた対策や施策の立案が必要です。

データ分析によりわかったこと、分析結果を踏まえた提案をレポートにまとめ、実際に判断を下すマーケターやマネージャー、経営層などに提出します。

 

データサイエンスにより、ビジネスへのデータ活用・意思決定の精度アップを目指そう

本記事のまとめ
  • データサイエンスはビッグデータを分析・活用する技術
  • ビッグデータを分析することで、課題解決の道筋が見えてくる
  • 現代社会においてビッグデータの活用は重要

データサイエンスはビッグデータを分析し、課題解決やより良い環境づくり、マーケティング強化などに活かす技術です。

ビッグデータを分析することで、組織や市場で起こっていること、その事象の原因などが見えてきます。どんなときにどんな事象が起こるのか、傾向がわかれば事前に対策が打てます。原因を深く掘り下げることで、改善策も考えやすくなるでしょう。

ビッグデータ活用の土台ができあがり、IT人材のレベルが上がり、システムが廉価になったことで、多くの企業がビジネスへのデータ活用を行うようになりました。マーケティング強化や意思決定のスピード・精度アップのために、データサイエンスを取り入れてみましょう。

【関連記事】


hatenaはてブ