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ロジカルシンキング(論理的思考)とは?手法やフレームワーク、鍛えるための習慣を紹介

U-NOTE編集部

2023/08/30(最終更新日:2023/09/12)


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ロジカルシンキングは論理的思考のことで、物事を筋道立てて考えることです。課題や問題を分析し、解決策を導き出すために最適な考え方といえます。

本記事では、ロジカルシンキングを身につける方法やメリット、思考の過程で躓いたときのチェックポイントを紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • ロジカルシンキングの意味と、ほかの思考法との違い
  • ロジカルシンキングを鍛えるメリットと方法
  • ロジカルシンキングがうまくいかないときのチェックポイント

 

ロジカルシンキング(論理的思考)とは?

ロジカルシンキングとは論理的思考のことで、物事を細かな要素に分解し、それを整理しながら筋道立てて考える思考法です。

事象を要素に分けることで全体像を把握しやすくなること、多角的に分析できることなど、メリットも多い思考法です。そのため、ビジネスシーンで活用されることも多く、ロジカルシンキングができる人材は重宝されています。

 

ラテラルシンキングとの違い

ロジカルシンキングと似た言葉として「ラテラルシンキング」が挙げられます。

ラテラルシンキングは日本語で「水平思考」となり、固定観念にとらわれず、物事を多角的に考える思考法です。新しいアイデアを生み出したり、常識を破り新たなチャンスに気付いたりできるとして注目されています。

筋道立てて体系的に物事を考えるロジカルシンキングと比べて、自由度が高く、独創的なアイデアを見つけたいときに有効です。

 

クリティカルシンキングとの違い

ロジカルシンキングと似た言葉として「クリティカルシンキング」も挙げられます。

クリティカルシンキングは日本語で「批判的思考」となり、その名の通り、批判を軸に思考を進めていきます。ただし、批判といっても主観的なものではなく、結論に至るまでの過程や集めた情報などが本当に正しいのかをよく吟味するものです。

ロジカルシンキングで得られた結論、考察を、クリティカルシンキングで検証するという使い方もできます。

 

ロジカルシンキングの3つの手法

ロジカルシンキングの手法は大きく3つに分けられます。それぞれどのように結論を導き出すのか、どのような強みがあるのかを紹介します。

 

演繹法

演繹法(えんえきほう)は一般的な法則やルールに事象を当てはめ、少しずつ段階的に論理を積み重ねていく思考法です。一般的な大前提からスタートし、まるで階段を一段ずつ上るように、小前提、結論へと論理を展開していきます。

多くの人が納得できるような大前提から思考を始め、少しずつ結論に近づいていくため、複雑な事象についても比較的容易に考えられるでしょう。

 

帰納法

帰納法は複数の事実や事象の共通点をまとめ、それを根拠に結論を導き出す思考法です。簡単にいえばたくさんのデータから傾向やパターンを見つけ、それに基づき推論をします。

そのため帰納法で導き出される結論は、必ずしも正しいとは限りません。「論理的に考えて、まぁこうなるだろう」「一般的にはこうなるはずだ」という推論であり、パターンに反する事象があると論理が一気に崩壊してしまうこともあります。

具体的には「人間にも犬にも猫にも心臓は1つしかない。だからラクダも心臓は1つしかないはずだ」のような考え方です。しかし、この推論は対象がたまたま哺乳類だったため成り立つだけで、たとえばタコには心臓が3つあります。

 

弁証法

弁証法は「肯定」と「否定」の2つの考え方・案を掛け合わせて、新たな解決策を導き出す思考法です。

たとえば「ダイエットをしたい(肯定)」「運動は辛いし続いたことがない(否定)」の2つの考えを合わせ、「なら、無理のない食事制限で少しずつダイエットしよう」という解決策を導き出します。

ほかの手法と比べ、「実現したいことや解決したいことがあるが、それを妨げる要素もある」という場合の、解決策の模索に役立つでしょう。

 

ロジカルシンキングを鍛えることで高まる3つの能力

ロジカルシンキングのトレーニングを積むことで、物事を筋道立てて考えたり、人に伝えたりする力が鍛えられるでしょう。ロジカルシンキングにより高まる3つの能力を紹介します。

 

分析力

ロジカルシンキングは事象を細かな要素に分解し、整理しながら結論を導き出す思考法です。この過程は「分析」そのものであり、ロジカルシンキングを続けることで分析力が鍛えられます。

分析力を鍛えることで物事の因果関係を明らかにしたり、状況に応じた解決や判断がスピーディーにできるようになったりするでしょう。

 

問題解決能力

ロジカルシンキングは事象を構成する要素を分解・整理する思考法です。その事象の根底には何があるのかを突き詰めて考えるのがロジカルシンキングであり、そのため何か問題が起きたときに、その原因を突き止める力を高められるでしょう。

問題の原因を突き止め、要素ごとの相関を明らかにしながら結論を導き出す思考法であるため、「どうすれば原因を取り除けるか」「原因除去を妨げている要素は何か」というように、解決志向の考え方ができるようになります。

 

提案・対話力

ロジカルシンキングでは事象を細かな要素に分解し、それを整理します。これは思考をするときだけでなく、人と話したり、相手に何かを提案したりするときにも役立ちます。

人に何かを伝えるとき、根底にある要素(前提)から始まり、相関する要素を順を追って伝えていく方がわかりやすいはずです。

「〇〇だからこうだよね?」「ということは、こうした方がいいよね?」と一つひとつ根拠を示しながら話せば説得力が上がり、提案も受け入れられやすくなるでしょう。

 

ロジカルシンキングができる人の5つの特徴

ロジカルシンキングができる人には一定の特徴があります。彼らの特徴を知り、真似することで、ロジカルシンキングの力を高めましょう。

 

物事を筋道立てて考える

ロジカルシンキングができる人は、普段からそのような考え方を心がけている人です。仕事や生活で日常的にロジカルシンキングを使うことで、その考え方に慣れ、使いこなせるようになります。

常に物事を筋道立てて考える習慣が、ロジカルシンキングの力を育んでくれるでしょう。

 

情報を分解・整理して考える

ロジカルシンキングができる人は、情報を分解・整理して考えます。情報の分解・整理もロジカルシンキングの基本です。日常の中でこれをくり返すことで、どんな要素がどのカテゴリに分類されるのかがわかるようになり、より細かな分析ができるようになるでしょう。

 

因果関係を重要視する

ロジカルシンキングができる人は情報の分類や整理を意識していますが、そのうえで重要なのが因果関係です。分類した要素同士がどのように関わり合っているのかを知ることで、結論を導き出すのが容易になります。

 

言葉や数字を慎重に扱う

ロジカルシンキングができる人は、言葉や数字を慎重に扱います。数字は物事の状況や相関を知るうえで役立つデータです。物事や要素を数字で比較すること、その数字は本当に正しいのか検証することで、より正しい思考ができるようになります。

言葉を慎重に扱うのも彼らの特徴です。言葉にはそれぞれ意味があり、自分の意見を正しく表せる言葉を選ぶことで、思考の精度が高まります。

 

バイアスにとらわれない

ロジカルシンキングができる人はバイアスにとらわれません。自分がバイアスにとらわれていないか常に意識し、思い込みや先入観を取り除こうとしています。

バイアスにとらわれた状態では、自分にとって都合のいいデータばかりを偏って集めたり、物事の解釈を捻じ曲げたりしかねません。物事を筋道立てて考えるうえで、バイアスほど邪魔になるものはないでしょう。

 

ロジカルシンキングを鍛える5つの習慣

ロジカルシンキングを鍛えるために、普段の生活や仕事を活用しましょう。日常の出来事に対して、ロジカルシンキングで考察や分析を行うのです。

何かの能力を鍛えるためには、それをくり返し使うことが大切です。ロジカルシンキングをくり返し行い、その力を鍛えるための習慣を5つ紹介します。

ロジカルシンキングを鍛える5つの習慣

  • 習慣1.常に筋道を立て、因果関係を意識して考える
  • 習慣2.事実や根拠を集め、これらを軸に考える
  • 習慣3.目的ベースで考える
  • 習慣4.言葉選びに気をつける
  • 習慣5.習慣1~4を意識して文章を書いてみる

 

習慣1.常に筋道を立て、因果関係を意識して考える

まずは日常生活でロジカルシンキングを行うことを意識しましょう。常に物事を筋道立てて考えること、事象同士の因果関係に注目することで、ロジカルシンキングの習慣が養われます。

 

習慣2.事実や根拠を集め、これらを軸に考える

ロジカルシンキングでは結論を導き出すための事実や根拠が必要です。これらのデータが多く集まるほど、思考の過程や結論の正しさが補強されます。

普段から事実や根拠を集める習慣をつくることで、より正しいロジカルシンキングができるようになるでしょう。

 

習慣3.目的ベースで考える

ロジカルシンキングの目的は、問題を解決したり事実を正しく認識したりすることです。ロジカルシンキングはあくまで手段であることを忘れてはいけません。目的を果たすためにはロジカルシンキングよりも、ラテラルシンキングのような思考法が適していることもあります。

常に目的ベースで考えることで、1つの手段・1つの要素に固執せず、フラットに考える力が養われるでしょう。

 

習慣4.言葉選びに気をつける

ロジカルシンキングを鍛えるうえで、データの数字を比較したり数値の正しさを確かめたり、言葉を慎重に選んだりすることが大切だとお伝えしました。

言葉選びは思考を進めるうえでも大切ですが、人に物事を筋道立てて、誤解がないように伝えるためにも重要です。言葉選びを意識することで、ロジカルシンキングを応用して、人に話したり提案したりする力も養えるでしょう。

 

習慣5.習慣1~4を意識して文章を書いてみる

ここまで意識してきた4つの習慣を意識して文章を書いてみることは、ロジカルシンキングのいいトレーニングになります。

文章は、書いたものが形に残ります。そこまで書いてきた内容を確認しながら続きを書いたり直したりすることもできます。頭の中だけで考えるよりも、文章を書きながら考えた方が、理路整然とした思考ができるでしょう。

 

ロジカルシンキングをうまく活用できないときは?3つの原因・チェックポイント

ロジカルシンキングをうまく活用できないとき、考えられる3つの原因を紹介します。当てはまるものがないかチェックし、改善してみましょう。

 

感情的になっていないか

感情的になると冷静な思考ができなくなったり、考えに偏りが出たりしてしまいます。感情的になっていないか自分を見つめなおしてみること、意識的に冷静になることが大切です。

 

集めたデータに偏りがないか

ロジカルシンキングではデータを根拠として論理を展開していくことも多いです。このデータに偏りがあると、導き出される結論も偏ったものになってしまうでしょう。結論に違和感があるときは、集めたデータに偏りがないか見直してみましょう。

 

相手を尊重できているか

ロジカルシンキングを会話に応用するときは、相手に自分の意見を受け入れさせようと感情的になってしまうことも多いです。

何より、人間は論理ではなく感情で動きます。意見を押し付けるのではなく、相手の感情に目を向け、尊重することが大切です。

 

ロジカルシンキングに使える3つのフレームワーク

ロジカルシンキングに使える3つのフレームワークを紹介します。うまく考えられないときはもちろん、ロジカルシンキングのトレーニングにも使ってみましょう。

 

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーは、ピラミッドの底辺から頂点に向かって結論を導き出していくフレームワークです。ピラミッドの頂点に最終的な結論や主張を書き入れ、その根拠を下層に配置していきます。

 

ロジックツリー

ロジックツリーは事象や課題をツリー型に分解し、その構成要素や解決案を分解していくフレームワークです。要素を分解しながら問題の全体を把握する「要素分解ツリー」、問題の原因を突き止める「原因究明ツリー」、問題の解決策を洗い出す「問題解決ツリー」の3つがあります。

 

MECE

MECE(ミーシー)は集めた情報に抜け漏れや重複がないか確認するためのフレームワークです。MECEはそれぞれ次の単語の頭文字で、集めたデータや分解した要素のチェックに活用できます。

  • Mutually:互いに

  • Exclusive:重複しない

  • Collectively:全体に

  • Exhaustive:漏れがない

 

ロジカルシンキングを鍛えるには、普段の生活での意識・姿勢が大切

本記事のまとめ
  • ロジカルシンキングは事象を細かな要素に分解し、整理しながら考える思考法
  • ロジカルシンキングを鍛えることで、分析力や提案力を高められる
  • ロジカルシンキングを鍛えるには、普段の生活で論理的に考えることが大切

ロジカルシンキングは論理的思考のことで、事象を細かな要素に分解・整理し、因果関係に注目しながら筋道立てて考えることです。

ロジカルシンキングを鍛えることで分析力や問題解決能力が高まり、その思考の過程は、人との対話や提案にも活かせるでしょう。

ロジカルシンキングのトレーニングには、普段の考え事を論理的に進めるのが最適です。目の前の出来事はどんな要素で構成されているのか、要素同士はどう関連し合っているのかを考えることで、論理的思考力が鍛えられるでしょう。

まずは意識的にロジカルシンキングをするところから始めてみてはいかがでしょうか。

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