昨今、個人情報を正しく取り扱うことは、企業にとってリスクを避けるための重要なポイントです。個人情報の正しい取り扱い方や管理体制の構築、実務への落とし込みが可能な人材であることを証明する「個人情報保護士」。2005年より毎年実施されている民間資格です。
本記事ではそんな「個人情報保護士」について解説。認知度はあまり高くない資格ですが、現代社会で活躍するビジネスパーソンの1人として知っておきたい、個人情報法やマイナンバー法について学べるのは大きなメリットです。興味のある方は取得を検討してみてください。
- 個人情報保護士の試験内容を解説
- 試験に合格するために必要な勉強時間の目安とは
- 個人情報保護士の試験対策におすすめのテキストを3冊ご紹介
個人情報保護士とは
「個人情報保護士」とは、企業内の個人情報保護に関する民間資格のことです。2003年5月に成立した「個人情報保護法」をとりまくさまざまな知識や法律への正しい理解、安全管理体制の構築や実践の中心となれる人材育成を目的に作られました。2005年に第1回認定試験が行われ、17年間で約20万人のビジネスパーソンが受験しています。
個人情報を扱ううえでスタンダードな資格と言われており、管理職全員に対して資格取得を義務付けている企業もあれば、役職に関係なく全社員を対象に資格取得を推奨している企業も存在します。受験資格が特に定められていないため、全ての方が受験できるのも情報保護士という資格の特徴です。
個人情報の利用に必要以上に反応することなく適切に扱うためには、個人情報保護士の資格を取得するうえで身につけた知識が役に立ちます。
参考:個人情報保護士認定試験
参考:一般社団法人 個人情報保護士会「個人情報保護士認定試験の経緯」
個人情報保護士の試験の内容
個人情報保護士の試験時間は150分。内容は、課題Ⅰと課題Ⅱに分かれており、各50問ずつの計100問が出題されます。
課題Ⅰでは「個人情報保護の総論」として、「個人情報保護法の理解」から40問、「マイナンバー法の理解」から10問が問題として出されます。個人情報に関する法律や制度を知識として身につけられているかどうかが問われます。
課題Ⅱでは「個人情報保護の対策と情報セキュリティ」として、「脅威と対策」「組織的・人的セキュリティ」「オフィスセキュリティ」「情報システムセキュリティ」に関する内容が出題されます。こちらは実務に関する内容の理解度を測る項目です。
また、個人情報保護士の試験には、紙の問題でマークシートに解答する公開会場受験と、パソコンのシステムを活用したCBT会場受験、そして360°カメラとパソコンを用いたオンライン受験の3パターンがあります。
公開会場受験は全国に会場があるものの、12の場所に数が限られています。一方、CBT会場受験も全国にある提携校のパソコンを使用しなければならないものの、47会場で試験を受けられます。特に希望がなければ、CBT形式での受験がおすすめです。
オンライン受験は、教会指定品の360°全周Webカメラのほか、パソコンや安定したインターネット環境などの用意が必須。受験料以外の費用がかかるうえ、試験中に接続が切れると失格になってしまいます。なるべくオンライン受験は避け、CBT会場受験や公開会場受験を選択しましょう。
参考:個人情報保護士認定試験
個人情報保護士の難易度・合格率
個人情報保護士試験は、他の法律を取り扱う資格に比べると難易度は低いと言われています。ただし、過去の平均合格率は37.3%となっているため、容易に取得できるとは限りません。
合格基準としては、課題Ⅰ、課題Ⅱ共に正答率70%以上が目安です。問題の難易度によっては、正答率70%以下で合格することもあります。
参考:個人情報保護士認定試験
個人情報保護士の受験費用
個人情報保護士試験の受験費用は税込11,000円です。学割制度があり、学生であれば税込8,800円で受験できます。
他にも割引プランが2種類あり、1つは「ワンスモア・キャンペーン」です。過去に受験したことがある方のみが対象で、税込9,900円で受験できます。
もう1つは全日本情報学習振興協会の資格部会の会員を対象としたキャンペーン。会員の方は個人情報保護士試験を20%引きの金額で受験できるほか、受験対策セミナーやアップグレードセミナーもお得な金額で受講できます。
参考:個人情報保護士認定試験
参考:全日本情報学習振興協会 資格部会「【個人会員】試験・アップグレードセミナー・対策セミナー申込」
個人情報保護士の試験日
個人情報保護士の試験は、年に4回実施されています。3ヶ月に一回の頻度で行われているので、社会人として働きながら取得を目指しやすいと言えます。
時間は10時〜12時45分までに行われるのが基本ですが、一部CBT会場では試験日時が異なります。自分が申し込んでいる会場での試験日時はしっかりとチェックしておきましょう。
参考:個人情報保護士認定試験「試験内容・試験日程」
個人情報保護士に受かるための勉強時間の目安
個人情報保護士試験に合格するための勉強時間の目安は、20時間以上が目安。学習期間は1ヶ月取るのが推奨されています。
全日本情報学習振興協会が実施した合格者を対象としたアンケートでは、合格者の多くは20〜50時間程度学習したと解答しています。学習期間は1〜3ヶ月がボリュームゾーン。
通勤時間を使った学習よりも、休日や帰宅後の自宅学習の方が合格率は上がります。
参考:全日本情報学習振興協会「個人情報保護士認定試験」
個人情報保護士の過去問の手に入れ方
個人情報保護士の過去問は、1冊にまとめられたテキストを購入するのがおすすめです。個人情報保護士認定試験の公式サイトにて「参考問題」は公開されていますが、あくまでも参考にするためのものなので、過去問ではありません。
問題集として試験問題がまとめられているテキストを購入しましょう。
参考:個人情報保護士認定試験「参考問題」
個人情報保護士を勉強する際のおすすめのテキスト
合格率を見ると難易度が高い資格にも思える個人情報保護士資格ですが、1ヶ月以上・20時間以上を目安に学習計画を立てれば、合格も決して難しくはありません。初学者でも個人情報保護士についてわかりやすく学べる、おすすめのテキストを3冊ご紹介します。
改正法対応 個人情報保護士認定試験 公認テキスト
『改正法対応 個人情報保護士認定試験 公認テキスト』は、全日本情報学習振興協会が発行している、2022年の改正個人情報保護法にも対応したテキストです。近年、話題になっているマイナンバー法の解説も掲載されているため、これから個人情報保護士の資格取得を目指す方だけでなく、個人情報の正しい取り扱いと情報セキュリティについて理解を深めたい方にもおすすめです。
実際の出題に即しが内容が考えられているのも特徴。「課題Ⅰ 個人情報保護法の理解」「課題Ⅰ マイナンバー法の理解」「課題Ⅱ 個人情報保護の対策と情報セキュリティ」の3分野構成で、得点アップを目指しやすいテキストです。
スピード学習 個人情報保護士試験≪完全対策≫
『スピード学習 個人情報保護士試験≪完全対策≫』は、2006年の初版から改訂され続けている個人情報保護士協会の公式対策本です。働きながら勉強する時間が限られた社会人でも合格できるよう、重要なポイントが30個に絞って解説されています。
特に、個人情報保護にまつわる見慣れない単語が丁寧に説明されているのが特徴。巻末には索引が付いているので、言葉の意味を確認し、しっかりと理解したうえで学習を進められます。
知識の定着度を確認できる過去問も収録。解説も掲載されているので、誤答してしまった理由もきちんと確かめられます。一歩ずつ着実に合格への歩みを進めたい方におすすめのテキストです。
個人情報保護士認定試験公式テキスト
『個人情報保護士認定試験公式テキスト』は、一般財団法人個人情報保護士会理事や個人情報の取り扱いに特化した弁護士など、情報・IT分野に強い方々が著者として関わっているテキストです。全日本情報学習振興協会が公式認定している参考書のひとつ。2022年4月の法改正にも対応しています。
第1〜第9章までで構成されています。個人情報法やマイナンバー法などの関連法規の解説に加えて、具体的な実務の運用事例を紹介。頻出の過去問も掲載されているので、自身の習熟度を確かめながら学習できます。
個人情報保護士試験の合格を目指す方だけでなく、最新の個人情報管理の知識を知っておきたい方にもおすすめのテキストです。
個人情報保護士の出題内容や難易度を把握しよう
- 個人情報保護士の資格は個人情報を扱う部署では必携の資格
- 合格の勉強目安は1ヶ月以上かつ20時間以上
- テキストは2022年4月の法改正に対応したものがおすすめ
個人情報保護士試験の出題範囲はそこまで広くありませんが、関連法規は専門的な用語が多く言い回しも難解なため、1つずつ確実に理解したうえで学習を進める必要があります。出題内容をしっかりと確認しておけば、あとは学習計画を立ててその通りに行うだけ。しっかりと勉強をした場合、難易度はそこまで高くない資格なので、確実に学んで1発合格を目指しましょう。
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