新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で激減したものの(2019年:3188万人⇒2020年:412万人)、数字を回復してきている訪日外国人数。Tokyo Creative株式会社は、コンサルティングやインフルエンサーマーケティング、動画制作など多岐にわたって企業や自治体に対する訪日インバウンドの集客支援をしている会社です。U-NOTE編集部は、同社の代表・中川智博さんに対し、コロナ禍で訪日外国人旅行者が激減するなかでどう乗り越えてきたのか、自身の人生も踏まえて若者へ送るメッセージなどをお伺いしました(全2回中2回)。
インバウンド対応って重要? 何すれば良い? 増加する訪日旅行者は日本経済の救世主か:Tokyo Creative代表・中川智博さんインタビュー(1)
―――中川さんがTokyo Creativeに入社された経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか?
大学時代の友人に誘われたのがTokyo Creativeに入るきっかけでした。いろいろな紆余曲折があって代表が(会社から)離れ、私が引き継ぐことになったんですけど、経営を立て直さなきゃいけないフェーズでした。(そこから)施策をいろいろと打っていった結果、2年半ぐらいで黒字転換しています。
―――コロナ禍は訪日外国人旅行者数が激減しましたが、その厳しさをどう乗り越えられたのでしょうか?
正直、かなり厳しかったですね。その中で弊社がやったことは、とにかく強みに集中することです。(弊社の)もともと強みは、海外の方向けのプロモーションをすることでした。
ただ、結局、海外から人が来ないと、特に企業はプロモーションにかける予算を絞ってしまうんですよ。数千万円の案件がなくなったこともありました。
一方で、日本を忘れられないようにするためにプロモーションをしているところもあるはずと考えた時、公共投資の火はすぐには消えないのではと考え、公共のプロモーション案件を取りに行きました。
ほかにも、プロモーションノウハウや教育の観点も強みととらえることができたんですよね。大学の講師をさせていただいているのですが、そういったアセットをうまく転用できないかと。岸田総理が注力されている“リスキリング”において、大阪観光大学とタイアップして社会人の観光教育という事業を立ち上げ、そこも1つの大きな柱になりました。
あとは、越境EC(電子商取引。ネット通販やネットショッピングのこと)のプロモーションですね。日本でつくっている商品の輸出は、コロナ禍でものすごく市場が成長しました。プロモーションの需要は高まると考え、そこにも網を張っていき、かなり大きな成果を出すことができました。
自分たちの強みをもう1回再定義して、活かせるかたちを探すことで事業を広げ、コロナ禍でしたが弊社は増収・増益となりました。
―――U-NOTEの主なターゲット層である20代前半に向けて、メッセージをお願いします。
包み隠さずお話しますと、私は20代前半で入社した会社に3年後で退職勧奨されるぐらい、できない社員でした。ダメダメ社員でしたが、退職勧奨されたことでスイッチが入りました。
(それまで)ずっと自分に対して言い訳をしていたんですよね。「自分はもっとやれるけど、好きなことは何なのだろう」って悶々とした青い鳥症候群の期間だったんです。20代の方と話をしていても、やっぱりキャリアに対して悶々としている方がたくさんいるのかなと感じます。私は、それはそれで良い傾向なのだろうなと思っているんですよ。
食べ物の好き嫌いって、みなさんはっきりわかると思います。私はキャリアも全く同じかなと思っていまして。食べてみないとわからないんですよね。美味しければ食べ続ければいいし、不味くて、もう2度と食べたくないということも、食べればわかるじゃないですか。それくらいまず仕事の「量」に向き合うことがとても大事だと思っています。
やっぱりバッターボックスにまず立つことだと思うんですよね。とにかく場数を増やし、だんだん美味しいものとま不味いものがわかってくると、仮説の精度がかなり高くなると思うんですよね。
私は今、働いていてすごく楽しいんですけど、それは自分が好きなこととか得意なことが20代で大分わかってきたから。自分が「楽しい」とか「活躍できる」(と思う)ところを理解して時間を投下し続ければ、成果が出るに決まっていますよね。
小さいころ、ゲームに夢中になって何時間でもやる感覚と同じだと思っていまして。20代のうちは、その感覚がまだまだ見えていない状態だと思うので、まずはやっぱり行動してふり返り、向き・不向きを自分の中で理解する。自分が楽しくて能力を発揮したり、成果を出せたりするところに自分のリソースを集中投下していくと、キャリアは開けるのかなとは思っています。
―――すごく理路整然とお話されるので、20代前半で退職勧奨されるのはかなり意外に思いました。
いやいや、昔はもっとひどくて、意識高い系でしたね。言っていることは崇高だけど行動が伴っていないイタい社員だったと思います(苦笑)。
―――仕事が楽しいとおっしゃっていましたが、やりがいはなんですか?
いろんな軸であるのですが、一番は反響が見えるところかなと思います。自分たちでプロモーションした結果、実際に自治体の人たちからも「集客数がかなり上がりましたよ」とか「地域に外国人がちらほら見られるようになって。あの動画を見て来るようになったんだよ」と言ってもらえるとか。
あとはYouTube上にはなりますけど、反響のコメントですよね。「実際に行きました」というコメントがあふれてくるとか。あと弊社はYouTubeチャンネルを持っているのですが、「Tokyo Creativeだ!」「Tokyo CreativeのCEOだ! 動画見たよ!」と声をかけてくれた外国人観光客の方もいました。自分たちがやったことで、日本を知って日本に来ている人たちを目の当たりにする瞬間。これが一番やっていてよかったなって思う瞬間です。(了)
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