カラフルで遊び心にあふれた生地“アフリカンプリント”やウガンダのサステナブルな素材を使った洋服・バッグなどを展開するライフスタイルブランド「RICCI EVERYDAY」。同ブランドを運営する仲本千津さんはウガンダの直営工房で、都市部に暮らすシングルマザーや紛争被害に遭った人など社会的に疎外されやすい人たちを積極的に雇用。次々と商品を生み出し、自身の母親とともに日本を中心に商品を販売しています。
そんな仲本さんはもともと、三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)で法人営業を務めていました。なぜ、そこからウガンダに飛び、RICCI EVERYDAYを運営するようになったのでしょうか。
U-NOTE編集部は仲本さんに対し、現在のお仕事やウガンダの現状、今に至るまでの経緯などについて伺いました(全3回中2回目)。
―――ウガンダは、経済成長率だけで見ると日本よりも伸びています(IMFによると、2022年は日本が1.08%に比べてウガンダは4.93%)が、1人当たりの名目GDPを見ると世界の中でもかなり低いです(2022年は193カ国中170位)。
コロナで大分(経済が)後退したところはあります。もともと観光産業で生きているような国なので、コロナは本当に大打撃。経済自体は今は戻りつつあるんですが、一部のウガンダ人富裕層に富が集中していて、残りの人たちの生活は全然変わっていない、むしろ悪化しているというのが実情です。最近ではガソリン代の高騰やインフレなども影響していると思います。
“リープフロッグ”(先進国と比べて既存の技術・サービスとの摩擦が少ない新興国・途上国で、新技術・サービスが急速に普及すること)という言葉があるじゃないですか。私はリープフロッグも良いけど、雇用創出につながる産業基盤を構築していかないとやっぱり駄目だよなとすごく感じているんですね。雇用を一気に促進するような産業がちゃんと育たないと、現地の人たちがきちんとした給料を得るチャンスがなく、いつまで経っても、不安定なその日暮らしから抜け出せないと思います。
―――日本企業がアフリカへ乗り込む余地はあると思いますか。
あるとは思いますが、生産効率を考えると、やはりアジアの方が魅力的というのが正直なところです。距離的にも近いですし。色んなコストを考えると、アフリカに来る選択肢は一番最後かもしれません。ただ、中国や中東、ヨーロッパなどの国々がアフリカにどんどん来ているので、今から日本が本格的に出るとなると、大分出遅れている気はします。
―――現地に住んでの起業も、やはり厳しいでしょうか。
本当に色んな意味で不完全な社会なので、どこかで知らないうちに落とし穴にはまってしまっている可能性もありますし、そういった怖さはありますよね。現地の人たちとコミュニケーションを取って関係性を作っていくのも難しいです。
―――仲本さんがNGOで活動するのではなく、ビジネスとして行っているのはなぜですか。
(ウガンダの工房で働いている)
―――起業されて、特に苦労した点はどこですか。
予定通りに物事が進まないことが多々あるのがすごく大変ではありますよね。不透明感が漂う中で仕事をしているというか、現地で事業を運営するにしても、法律や制度もコロコロ変わりますし。(行政の)担当者によって言うことが違ったり、届く予定のものが届かなくって機会損失に繋がってしまったり、とても大きな問題があったというよりかは、側からはあんまり見えないような、でもダメージ大きめな問題が日々ボディブローのように効いてくるみたいな感じです。
それに対していちいちストレスを感じると気力・体力ともにもたないので、「また来たー!」みたいなゲーム感覚でやっていくのがいいのかなと思います。
日本では、相手もビジネスの進め方が大体分かっているので、
―――起業してよかったなと思うときはどういうときですか。
女性たちの変化を見られる時ですね。本当は子どもたちにちゃんとした教育を受けさせたいけど、仕事がなくてどうしようもなかったという絶望の淵にいた人たちが、仕事を得て自分の力でどうにかここまでこれて、子どもたちにちゃんと教育を受けさせられている。そういう日々の小さな幸せを実感している様子を目の当たりにできることは、自分にとって仕事のやりがいだなと思います。
起業する前の仲本さんが抱いていた葛藤、彼女の人生を変えた出来事とは。そして、自身の経験も踏まえて今の若者に伝えたいことは? 第3弾につづく。
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