世界90カ国に自社拠点を持つ市場調査会社イプソスは6月21日、29カ国の21,816人(74歳以下)を対象に「難民に関する意識・行動調査」を実施。その結果、「この1年間難民のための支援は何もしていない」と回答した人の割合が、日本は29カ国中1位となりました。
イプソスは、6月20日の「世界難民の日」に合わせて、難民をめぐる課題やニーズの把握を目的にオンラインで調査。4月21日~5月5日まで行い、日本からは1,001人が回答しています。
6月には、議論が紛糾した入管法改正案が国会で可決
難民の問題をめぐっては、6月に日本への出入国の管理や難民の認定手続きなどについて定めた「出入国管理及び難民認定法」の改正案が可決。3回目以降の難民認定申請者を認定手続き中でも強制的に帰還させることが可能になった点など人権上の問題が多くあるとして反対の声が上がっており、議論が紛糾しました。また、2021年には、名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが十分な治療を受けられずに死亡した事件もあり、今も遺族による国家賠償請求訴訟が続いています。そんな中で、日本での関心はいまだ低いままのようです。
平均値を大きく引き離す結果に
調査では、「難民支援に関して、過去12カ月間にあなたが行ったことをお答えください」との設問に、日本人の93.1%が「何も行動を起こしていない」と回答。2位の韓国(80.3%)を10%以上、平均値(67.0%)を25%以上引き離す結果となっています。
行動した人のなかでは、トップが「資金や物品を寄付した」で3.8%、次点が「難民を支援するメッセージをSNSに投稿した」で1.6%に。「難民の滞在先として自宅を提供した」という人も1.1%いました。
日本における難民の待遇について、どう思っているのか
難民が自国で受けている待遇の良し悪しについて尋ねると、最も多かったのは「わからない」の36.7%。「待遇は非常に良い」「まあまあ良い」の計27.9%、「非常に悪い」「あまり良くない」の計35.4%を上回る回答となったうえ、29カ国で見ても一番多い回答となりました。
亡命希望者の動きの制限について
「難民申請が処理され、自国に在留できる許可が下りるまで、亡命希望者の動きを制限する(移民拘留センターや国境施設などで)という方針を、どの程度支持できますか」という設問への回答は、「支持も反対もしない」が33.8%、「わからない」が20.1%という結果に。半数以上が明確な意見を持っていませんでした。
調査結果を受け、イプサスは、「日本の難民に対する意識や理解は他国と比べて低く、多くの人々が、難民に関する正確な情報を持っていないことが、今回の調査で明らかになりました」とコメント。日本の難民認定率が1%以下と海外と比べても非常に低く、難民の問題を身近に感じにくい環境にあることなどが大きな背景にあると分析しました。
<参照元>
難民支援の行動「何もしていない」日本が1位~難民に対する理解度の低さ浮き彫りに~
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