HOMECareer Runners 「若い頃の色んな心配は妄想。稼ぎや周りに捉われない方が良い」 日本の“SX”に挑む起業家・福元雅和さんインタビュー【後編】

「若い頃の色んな心配は妄想。稼ぎや周りに捉われない方が良い」 日本の“SX”に挑む起業家・福元雅和さんインタビュー【後編】

菓子翔太

2023/06/20(最終更新日:2023/06/20)


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福元雅和さん(黒木美沙さん撮影)

「SX」という言葉が近年ビジネスにおいて注目を集めています。「Sustainablity Transformation(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」の略称で、企業がビジネスとESG(環境・社会・ガバナンス)を長期的に持続させるために変革していくことです。

「社会課題に挑む人の力を結集して日本をSXする」という方針のもと、株式会社コルを運営している福元雅和(ふくもと・まさかず)さんは、さまざまな企業とともにフードロス対策やアップサイクル(※)商品の販売などを進めています。

U-NOTE編集部は、福元さんが株式会社コルを立ち上げるまでの半生、U-NOTE読者層となる20代前半へのメッセージなどをお聞きしました(前後編の後編)。

※アップサイクル:これまで廃棄されてきたものに手を加えて、新たな商品としてよみがえらせること

「サステナビリティの知見はキャリアに直結していく」 日本の“SX”に挑む起業家・福元雅和さんインタビュー【前編】

―――学生時代には、今につながることを何かやっていらっしゃったんでしょうか?

大学時代はお恥ずかしながら結構遊んでいましたね(笑)。ただ、高校2年生だったときに「30歳までに自分で会社作って事業をする」と決めました。(進学先に)横浜市立大学を選んだ理由も、商学部が老舗なので非常に経済、経営、マーケティング領域の科目が多く、(起業に)役立つだろうと思ったからです。

―――どうして起業されたかったんでしょうか?

性格を自己分析したときに、サラリーマンとしては不適合者だろうなと。人の言うことを素直に聞くタイプでは全然ないし、自分がこうした方がいいんじゃないかと思ったら先輩にも部活動とか平気で盾突くタイプだったので、組織においては本当に不適合だと思っていたことがあります。

また、母は自分で喫茶店とか色々なお店を作って(規模を)拡大しており、身近なところに起業家タイプの人がいたことも大きかったと思いますね。

―――大学卒業後、最初は就職されました。

本当であれば大学を卒業した時に始めようと思っていたんですけど、自分の父親が倒れるとか色々な家族事情があって就職せざるを得なくなりました。商売を学ぶという意味では商社は勉強になるだろうなと思い、3年間と決めて修行して退職した後、地方の中小企業を相手にしたコンサルティング会社の代表に2年間弟子のような形でお手伝いさせてもらっています。その後、その会社の専務として地方企業の東京での営業を代行するグループ会社を作りました(2年目から代表に就任)。

その時が28歳で、第1ターゲットにしていた30歳までの起業は何とか達成できましたね。ゴールを決めていたので常に焦っていました。もう「何をやるか」だけずっと考えていたんです。そのうち、自分の考えが足りていなかったことに気付いて「もともと自分って何がやりたいんだっけ?」と原点に帰って色々と棚卸しをしました。その時に、自分は、自分のために頑張るよりも人のために頑張っていく方がパワーが出る性格だなと分かったんです。

―――そこから、なぜ株式会社コルを立ち上げたのでしょうか。

40歳になった時、人生が折り返したと感じたとともに、“自分が何をやりたいか”が社長になることよりも大事だったんだなと思いました。40を過ぎると今度は“どう死ぬか”も頭に浮かんできて、人生をちょっと俯瞰(ふかん)した感じになってくるんです。

というのもあるし、30代半ばからは完全にマネジメントをしていたんですよね。副社長として新規事業立ち上げなどで色々なことをやりましたけど、人を使わざるを得ない。自分の手触り感はどんどんなくなっていく。現役感というか、人生で成し遂げ足りないものを感じていますし、「まだまだなにくそ」って。折り返しと言いましたけど、「カーネルサンダースがケンタッキーフライドチキンを立ち上げたのは60代じゃないか、なのでまだまだやろう」と。

―――ソーシャルビジネスに取り組まれようと思ったのはなぜですか?

社会人になって最初に棚卸しをした時点から、自分以外の誰かのためにやるという考えはブレていないですね。ここまでも、これからも多分そこはブレることはないと思います。

―――U-NOTEの読者層となる20代前半に向けてメッセージをお願いします。

まぁありきたりですけど、やりたいことをやるのが一番良いかなと思います。特に、やりたいことがお金になるかが結構悩みどころだと思うんですけど。あんまりそこにはとらわれない方がいいです(笑)。

―――周りの人に迷惑かけるんじゃないかと考えてしまうところも、やりたいことをやれない理由の1つだと思います。

それも無駄な心配です。特に若いころほど他の人に迷惑かけちゃうとか考えますけど、色々な心配事って妄想なんです。でも、年を取ると心配事が現実になってくるんですよ。「親が倒れて介護状態になる」とか「子供が生まれる」とか。どんどん守らなきゃいけないものが増えていきます。それでも踏み切るやつは踏み切るんですけど。

格段に自分を縛るものは、若ければ若いほどないですよ。失敗が資産になりやすいし、失敗ほど若い頃にしとくべきだってよく聞きますけど、本当にその通りだと思います。(了)

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