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Z世代の就活生が“理想の企業”と出会うには?「共感」がキーワードの新たな新卒採用手法

U-NOTE編集部

2023/05/24(最終更新日:2023/05/24)


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人々の価値観や働き方が多様化し、従来の採用戦略では新卒で入社する社員を確保することが難しくなってる昨今。

SNSが普及し、どのような状況でも自分の欲しい情報が簡単に手に入る時代に育った「Z世代」を惹きつけるためには、どんなアプローチが必要なのでしょうか?

今回は、株式会社プレシャスパートナーズの常務取締役 COOである佐伯昌哉氏に、Z世代を取り込むために“共感”を起点とした新たなアプローチに取り組んでいる企業の事例とともに、これからの時代の新卒採用手法について解説していただきます。

「やりたい仕事」より「安定した企業」を選ぶ真意

『マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査』から、2020年以降に卒業した学生たちが就職活動の際に、「自分のやりたい仕事(職種)ができる」よりも「安定した企業」を選ぶ比率が多いことがわかりました。

SNSが普及し、様々な価値観に共感しながら育ってきたZ世代は、その一世代前の「ミレニアル世代」よりも“安定志向”のようです。

Z世代とは、1990年代中盤~2010年ごろまでに生まれた世代と言われています。2019年以降に新卒で入社した若者がZ世代にあたり、彼らはITバブル崩壊やリーマンショックの時期に子ども時代を過ごしてきました。

2020年以降に卒業した若者も含まれるので、就職活動の時期に新型コロナウイルスの影響を大きく受けていた世代と言えます。こうした要因から、将来の安定性を重視している傾向があると考えられます。

それでは、そんな彼ら・彼女らが考える企業の“安定性”とは、いったい何を指すものなのでしょうか。

結論から言えば、Z世代が考える安定性は、上場企業であるとかネームバリューがあるということではなく「福利厚生が充実している」「安心して働ける環境である」「売上高」といった具体的な項目です。

ネットリテラシーの高い世代ならではの情報収集能力を駆使して「自分が安心して働ける環境かどうか」「自分の価値観と照らし合わせたときの納得感があるか」などを考えて企業を選ぶ傾向があるようです。

Z世代が望む「心理的安全性」の具体例

Z世代の考える“安定性”は、企業の業績などの「外側」の部分だけではありません。働く環境や働き方、つまり数字だけでは見えない会社の「内側」への期待も大きいのです。

そこでキーワードとなるのが「心理的安全性」です。「心理的安全性」とは、集団の中で身体的にも精神的にも無理なく・ストレスがない状態を指します。

心理的安全性が高い環境については、具体的に下記のような例が挙げられます。

・従業員同士のコミュニケーションが円滑で、リスクを冒したり失敗したりしても非難されない雰囲気・文化がある。
・多様な生き方・価値観を認めている
・福利厚生(従業員への還元)が充実している

Z世代は「ウェルビーイング(心身が健康で、社会的にも満たされた状態)」を幸せなライフスタイル像として重要視する傾向が強くあります。

だからこそ心理的安全性が担保され、なおかつ納得して成長できる環境にいることで、ウェルビーイングが叶えられると考えている人が多いようです。

「共感」を取り入れた採用方法を選ぶメリット

Z世代の大きな特徴としてよく挙げられるのが「デジタルネイティブ/SNSネイティブ」という点です。成長期の段階からすでにスマートフォンとSNSが日常的に存在していたためそう呼ばれています。

SNSを使うことが“普通”の世界であるということは、常に人に見られていることが当たり前になるということです。だからこそ「他者からどう見られるか?」ということには敏感で、同調思考からくる「共感力」の高さが世代の特徴として表れています。

「心理的安全性」の観点でも、“共感できるもの=安心”につながると考えると、Z世代が就活する場合、やはり同様に共感できる情報やコミュニティを探すのではないかと考えられます。

そして、企業選びの材料としても、“共感”できるかどうかは重要なポイントになるはずです。

Z世代向けの共感を起点とした施策・事例

Z世代向けの新卒採用として、企業理念に共感した学生を採用するという取り組みが注目されています。

こうした“理念共感型採用”は、社長・経営者がその企業の理念やカルチャーを直接伝えることで、学生に対し企業理念への“共感”を深めてもらう採用手法です。

学生側は入社する前の段階で会社の理念を深く知ってから選考に進むことができ、企業側は価値観のズレがある人材の採用を防げるため、入社後ギャップが軽減されます。これにより、若手社員の早期離職率の低下や雇用のミスマッチ解消が期待できるのです。

それでは、Z世代向けの共感を起点とした施策・事例を紹介していきます。

①合同説明会よりも深く企業とつながる就活イベント「アウトドアDAY就活」

“自然の中でBBQを楽しみながら「働くこと」への理解を深める”という取り組みが福井県で行われています。

福井新聞社が運営する就活サイト「Steping(ステッピング)」が主催する「アウトドアDAY就活」は、学生と企業が相互理解を深めながら就活できるイベントです。

自然の中でBBQをするという体験を通して学生同士・企業と学生が打ち解け合うことで、就活に対する悩みを共有したり、堅苦しい雰囲気の就活では聞くことができない“本音”を交えて対話したりできます。

それぞれの立場からの本音のコミュニケーションが“共感”を生み、合同説明会よりも気軽でありながら、深いつながりを創出できる取り組みです。

②募集要項では伝えきれない会社の“ストーリー”を伝えるビジネスSNS「Wantedly」

ビジネスSNS「Wantedly」には、一般的な求人情報サイトの募集要項で必ず表記されている「給与・待遇」の記載がありません。企業や仕事に対しての共感ややりがいで採用活動・就職活動を行うことを重視しているからです。

募集内容には「会社のメンバー」「何をやっているのか」「なぜやるのか」「どうやってやるのか」「こんなことをやります」という項目が記載されており、企業は自社のミッションや、そのためにどんな事業を行っているのかを求職者にアプローチできます。

また「ストーリー」の機能を使用すれば、ブログのようなかたちで会社のカルチャーの紹介や従業員にフォーカスした記事を投稿できます。そうしたコンテンツを通じて企業の“想い”を伝えることで、そこに共感する求職者との精度の高いマッチングが実現するのです。

③社長に会える就活イベント「WinC Audition」

「WinC Audition」が他の就活イベントと大きく違う点は、学生が社長・経営者と直接話せること、そして、理念への共感度を独自のポイント制度による“マッチング”ができる点です。

「WinC Audition」ではまず、中小・ベンチャー企業6社の経営者が登壇し、「どんな人と働きたいか」などのテーマでトークセッションをした後、1グループ8~9名程度の学生たちと経営者1人のグループに分かれて座談会を行います。

その後のマッチングタイムでは、座談会での意見交換を通じて企業・学生それぞれが相互評価し、企業との合計ポイントの高かった学生は特別選考パスを獲得することが可能。

さらに双方のマッチ度が最も高い組み合わせは“ベストマッチ”となり、イベント後に経営者との食事会へ参加することができます。

学生は経営者の想いや「どんな人と働きたいか?」というメッセージを直接聞くことができ、企業側も学生とのマッチ度を評価するので、お互いに「一緒に働きたい」と感じたうえで、次の選考のチャンスを得られるのです。

実際に「WinC Audition」に参加した学生は「自分が働くうえで、人事担当の方ではなく会社を企業した人の考えを聞き、自分がマッチしているか知りたいと思った。」と“理念共感”の就活に前のめりな姿勢で臨んでいました。

また「今後の企業選びのときにも、今日話を聞いた企業は選択肢に入ると思う。」と、経営者との対話を通じて企業への志望を検討する学生もいました。

こうした“共感”を起点とする柔軟なコミュニケーション方法で就活生へアプローチすることで、企業と学生がこれまでより密に関係性を構築できるのではないでしょうか。

そのために、まずは企業側から学生たちに“共感”するポイントをつくっていくことが必要だと考えます。

著者プロフィール

佐伯 昌哉
株式会社プレシャスパートナーズ
常務取締役 COO

1980年生まれ、石川県出身。
飲食企業での勤務を経て不動産会社に入社し営業を経験。その後、2008年に株式会社プレシャスパートナーズの立ち上げに参画。求人広告事業に携わり、名古屋支社・大阪支社・福岡支社の立ち上げに携わる。2016年に執行役員に就任し、2017年に常務取締役に就任。2019年より現職。

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