HOMEライフスタイル 東日本大震災・津波による被災状況を再現「大槌町震災伝承ARアプリ」公開。岩手県大槌町と凸版印刷が開発

東日本大震災・津波による被災状況を再現「大槌町震災伝承ARアプリ」公開。岩手県大槌町と凸版印刷が開発

服部真由子

2023/05/23(最終更新日:2023/05/23)


このエントリーをはてなブックマークに追加

岩手県大槌町と、凸版印刷株式会社は、東日本大震災津波の痕跡を後世に伝承することを目的とした「大槌町震災伝承ARアプリ」を共同で開発。2023年5月19日から公開しています。
このアプリは、スマートフォンのカメラ取得する画像情報から、利用者の位置情報を取得するVPS(Visual Positioning Service)技術とAR技術を活用したもの。大槌町内にある旧役場庁舎跡地および旧民宿あかぶ跡地を訪れた際にアプリ内で再現された被災建築物を見ることができます。

アプリ開発の背景

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、岩手県・大槌町に家屋の全壊・半壊4,167棟、死者・行方不明者1,286名という未曽有の被害をもたらしました。大槌町は、津波の記録を正確に残し、将来の町民に「防災文化」として継承し、国内外に向けて東日本大震災津波の教訓を伝承することで、大災害に備えることの重要性をひとりでも多くの人に伝えることを責務としています。

今回、その取り組みの1つとして、被災した当時の状況を体験できるスマートフォン向け高精度ARアプリを開発しました。当時の写真を始めとした被災状況の記録資料をもとに、凸版印刷が長年培ってきたCG制作技術と最新のVPS技術が活用されているということです。

解体された被災建築物の被災時の姿を再現

大槌町の津波被害を雄弁に語る象徴として、さまざまなメディアでも取り上げられた観光船「はまゆり」が乗り上げた岩手県大槌町赤浜の民宿「あかぶ」があります(21年に観光船は撤去、旧民宿は取り壊されました)。また、高さ10メートルを超える津波に襲われ、庁舎の2階まで津波にのみこまれたという大槌町旧役場庁舎では、町長をはじめ40人の職員が命を落としました。

このアプリでは、カメラで取得した現在の風景に、「はまゆり」や「あかぶ」、大槌町旧役場庁舎の位置や大きさなどを正確に再現。VPSによるリアルタイムでの位置情報測位を利用したことで、建物に回り込んで観察できることから、静止画像ではわかりづらい情報を体感することが可能です。さらに、役場旧庁舎では10.7m、民宿あかぶでは12.9mを記録したという押し寄せた津波の高さがAR画像に表示され、浸水高も実感できます。

この「大槌町震災伝承ARアプリ」はApp StoreおよびGoogle Playよりダウンロード可能です。

大槌町東日本大震災津波犠牲職員状況調査報告書「大槌町役場職員」https://www.town.otsuchi.iwate.jp/gyosei/docs/438744.html

大槌町震災アーカイブ
観光船はまゆり解体作業開始
https://archive.town.otsuchi.iwate.jp/search/archive/000029575_1150295_001.html

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001153.000033034.html

【関連記事】


hatenaはてブ


この記事の関連キーワード