高校生のうちに読んでおきたい本36冊をジャンル別に紹介【ライフハック・教養・哲学・小説】
大人と子どもの境目にいる高校生。多くの人が大人になってから気がつくことですが、高校生はとても多感な時期であり、この時期にたくさんの本を読んでおけばよかったと後悔する人も多いです。
本記事では、そんな高校生におすすめの本をジャンル別に紹介します。それぞれどんな本で、読むことで何が得られるのか、1冊ずつ丁寧に紹介します。自分用に、プレゼント用に、自信を持っておすすめできる36冊を厳選しました。
- 高校生のうちに読んでおきたい4種類の本
- 人生を豊かにする本の読み方
- 高校生におすすめの本をジャンル別に紹介
高校生のうちに読んでおきたい4種類の本
高校生のうちにたくさんの本を読んでおくことで、その後の人生が豊かになるでしょう。本を読むことは知識を増やすことだけでなく、得た知識を使って自分の頭で考え、価値観を広げることにもつながるからです。
知識を深め価値観を広げるためには、たくさんの本を読むだけでなく、さまざまなジャンルに触れることが大切です。高校生に読んでおきたい本にはどんなジャンルがあるのか、4つ紹介します。
ライフハック
ライフハック系の本には心理学や脳科学などに基づいて生活や勉強のコツを教えてくれるもの、文章術や会話術などのハウツーなどがあります。すぐに役立つテクニックはもちろん、進学したり社会に出たりしてから必要になる考え方を身につけられるものも多いです。
高校生のうちにこれらの本を読んでおくことで、残りの学生生活とその後の人生がスムーズに進むようになるでしょう。
教養
教養を深めることで人生は豊かになります。今まで自分の中になかった考え方や価値観に触れることで、自分のやりたいことや在り方が見つかることもあるでしょう。
教養系には文系・理系のさまざまな本がありますが、特に高校生は、ジャンルを絞らず広く読むのが大切です。幅広いジャンルに触れてみることで、自分が何に興味を持てるのかわかることもあります。興味は進路を決めるうえでの道しるべとなるでしょう。
哲学
哲学は考えを深めたり、自分や世の中を見つめなおしたりするためのヒントになります。難解なイメージがあるかもしれませんが、哲学についてまとめた入門書や、本記事後半で紹介するプラトンやセネカなどの初期の哲学者の書いたものはわかりやすいです。
わからないことはスマートフォンですぐに調べられる現代だからこそ、自分の頭で考える力、自分にとって大切なものを見つける力が大切です。哲学書はこれらの力を育んでくれるでしょう。
小説
小説は単なる娯楽とはいえません。教養や哲学の本と同じように、人の考えを深め、価値観を広めてくれます。小説を読むことは、自分ではない誰かの人生を追体験することだからです。
本記事後半では、人生や人としての在り方について考えるヒントになる小説を厳選して紹介しています。どれもふと思い出したときに読み返したくなるような作品で、そのときどきの気持ちや置かれた状況によって受け取り方も変わってくるでしょう。もちろん、面白く読める作品ばかり選んでいます。
高校生のうちに読んでおきたいライフハックの本11冊
高校生のうちに読んでおきたいライフハックの本を11冊紹介します。日々の生活に役立つテクニックが詰まった本、人間関係ややりたいこと探しの悩みを解決する本など、高校生のうちから役立つ良書を厳選しました。
嫌われる勇気
『嫌われる勇気』はすべての悩みは対人関係の悩みであると断言し、対人関係を改善し、自分らしく生きていくための在り方を教えてくれる本です。本書は対話形式で進んでいくため、本を読み慣れていない人でも内容が頭に入ってきやすいでしょう。
対話をする登場人物は2人。古代ギリシアの哲学者ソクラテスを思わせる「哲人」と、彼を論破しようとする「青年」です。2人の対話を通して、自分らしく、心穏やかに生きる術が学べます。
高校生になると人間関係はより複雑になります。はじめての恋人ができる人も多く、より一層、人に嫌われるのが怖くなるかもしれません。そんな高校生にこそ、読んでもらいたい一冊です。
>>嫌われる勇気
完訳 7つの習慣 人格主義の回復
『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』は豊かな人生を生きる方法、そのために限りある時間をどう使えばいいのかを、7つの習慣として教えてくれます。世界3,000万部を超える大ベストセラーで、古くから読み継がれる自己啓発の古典です。
7つの習慣というタイトルどおり、本書に書かれたテクニックは習慣として落とし込めるものばかりです。高校生のうちにこれらの習慣を身につけておくことで、大学に進んだり社会に出たりしてからも、より有効に時間を使えるようになるでしょう。
ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣
『ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣』はお金との向き合い方や稼ぎ方、仕事の選び方などについて、ストーリー形式で教えてくれる本です。著者はお金の専門家として知られる本田健さんで、彼が大学生のときにアメリカでした実体験に基づいて書かれています。
本書で教えてくれるのは単なるお金の稼ぎ方ではありません。自分にお金をくれる人、つまりお客さんや仕事相手を幸せにして、その対価として気持ちよくお金を受け取る方法です。
幸せになるためにはお金だけでは足りません。学校では教えてくれない「お金の勉強」をはじめるのは、早ければ早いほどいいでしょう。
本当の自由を手に入れる お金の大学
『本当の自由を手に入れる お金の大学』も、お金と上手に向き合い幸せになるための方法が書かれた本です。先述の『ユダヤ人大富豪の教え』が天職の探し方やビジネスの本質に重きを置いていたのに対し、本書はお金を稼ぎ、貯め、守るための具体的な方法を教えてくれます。
本書ではお金を貯める・稼ぐ・増やす・守る・使うための5つの力を身につけられます。特に貯めるパートでは、通信費や光熱費、保険といった「毎月出て行くお金」「生活費」についてどう考えるべきかを詳しく学べるでしょう。
高校生のうちは生活費について学んでも、理解はできても納得はできないかもしれません。
しかし、高校を卒業して一人暮らしを始める人も多いでしょう。家を出てから困ることがないよう、これらの知識は早めに身につけておきたいです。そうすることで、アルバイトや仕事で得たお金を貯めたり、本当に大切なことに使ったりできるようになるでしょう。
書くのがしんどい
『書くのがしんどい』はタイトル通り、書くことがしんどいという人に向けた文章術の本です。伝わる文章を書くための方法や考え方を、細かく章を分けて具体的に教えてくれます。
現代では会話からテキストへと、コミュニケーションの比重が移りつつあります。もちろん会話も大切ですが、さまざまな企業がリモートワークやフリーランスとの協働のためにチャットを導入し、プライベートでもSNSでのコミュニケーションが増えました。
これからの時代、仕事をするにも誰かと親密な関係を築くにも、伝わる文章が書ける人が有利になります。本書の内容を実践することで、伝えたいことを端的に伝える力、きちんと読んでもらえる文章を書く力、文章に感情を込める力が身につくでしょう。
>>書くのがしんどい
原体験ドリブン 人生の答えの9割がここにある!
『原体験ドリブン 人生の答えの9割がここにある!』は、自分らしい生き方を探している人、やりたいことが見つからなくて苦しいと感じている人におすすめの本です。原体験を探すことで、自分の軸を見つけ、自分らしく生きられるようになるでしょう。
原体験とは自分のルーツであり、その人の行動や考えの根底にある体験です。これがない人には軸がなく、周りに振り回されて生きることになると著者は言います。
反対に、原体験がある人は自分の言動の理由を説明できるようになり、自分の価値観や選択に自信が持てます。
このような自信は、進学するか就職するか。進学ならどんな学校の何学部に、就職ならどんな企業や業界に進み、どんなキャリアを進みたいかを考えなければならない高校生に欠かせないものです。
本書の内容を意識しながら生活を送ることで、残りの高校生活が、原体験を探す旅路になることでしょう。
理系という生き方: 東工大講義 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか
『理系という生き方: 東工大講義 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』は第一線で活躍する科学者たちが、生涯をかけるテーマをいかにして選び、挫折をどう乗り越えてきたかを伝えてくれる本です。
本書で紹介されるのはクラゲの研究でノーベル賞を受賞した科学者や、星新一が唯一の弟子と認めた作家兼研究者など、少しクセのある人物が多いです。
YouTubeやSNSが普及し、「個」が強く意識される現代ならまだしも、彼らの生きた時代では「周りと足並みを揃えること」が重視されていました。当然、挫折も苦悩も多かったはずです。
先駆者たちのエピソードを知ることで、自分の進むべき道を見つめなおせるようになるでしょう。もちろん、文系に進みたい高校生にもおすすめです。
>>理系という生き方: 東工大講義 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか
ドーパミン中毒
『ドーパミン中毒』は人を行動に駆り立て、時には中毒を引き起こす「ドーパミン」の恐ろしさと付き合い方を教えてくれる本です。
本書には「動画、ネットショッピング、酒、セックス 快感に殺される!」という、衝撃的な帯が付いています。事実、これらに依存し、人生を破壊された人は星の数ほどいます。
高校生はスマホを手にしたり恋人ができたりと、誘惑が一気に増える時期です。本書にはこれらの誘惑・快感と上手に付き合い、限られた人生を豊かに生きるための方法が詰まっています。
>>ドーパミン中毒
インターネットポルノ中毒 やめられない脳と中毒の科学
『インターネットポルノ中毒 やめられない脳と中毒の科学』も、ドーパミンや快感との向き合い方について書かれた本です。先述の『ドーパミン中毒』がさまざまな対象への中毒・依存について書かれた本だったのに対し、本書はインターネットポルノに特化して書かれています。
インターネット回線の高速化やスマートフォンの普及により、誰もが手軽に、無料でインターネットポルノにアクセスできるようになりました。高校生は性への関心が高まり、スマートフォンを手にし、脳がまだまだ発達途上にある時期です。
この時期にインターネットポルノにのめり込んでしまうと脳の構造に異常が生じ、学習や仕事はもちろん、性生活に対する満足度も下がります。このことを多くの研究データや世界中の人々の実体験をもとに解説してくれるのが本書です。
インターネットポルノは人の意志を乗っ取り、優先順位をめちゃくちゃにします。日常生活でポルノが気になってしまう、気がついたらすさまじい数のタブで動画を開いていたという経験があるなら、高校生のうちに本書を読み知識をつけておきましょう。
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 』は地頭力を「結論から」「全体から」「単純に」考える力と定義し、これを訓練によって鍛える方法を教えてくれる本です。
インターネットやスマートフォン、SNSが普及した現代では、玉石混合のさまざまな情報が溢れています。間違った情報がさも正しい風に書かれていたり、ひとつの意見や感想が圧倒的に支持され他が排斥されたりすることも多いです。
そんな現代において大切なのは、情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考えることです。その情報や意見が正しいのかを検証し、自分に取り入れるべきかを考えなくてはなりません。
このような考える力を身につけるためのツールとして、本書ではフェルミ推定を扱っています。フェルミ推定に興味がある高校生というよりは、考える力を高めたい高校生におすすめの一冊です。
シングル単位思考法でわかるデートDV予防学
『シングル単位思考法でわかるデートDV予防学』は恋愛に悩む高校生はもちろん、人間関係に不安を抱えるすべての人におすすめできる一冊です。デートDVとは、結婚前のカップル間で起こるDVのことです。
日本はDVについての認知が遅れており、DVは家庭でのみ起こるもの、殴る蹴るの暴力をともなうものとして扱われています。
しかし、DV本質は「相手を支配しようとすること」「恋人なんだからこうあるべき。と考えること」です。たとえば「パートナーの悪いうわさを流す」「自分以外の異性と話さないようにさせる」といったこともDVにあたります。
また、学校において相手を支配しようとすることはいじめであり、職場(アルバイト先)であればパワハラ・モラハラとなります。
これらのDV的な行動は人間関係を壊し、被害者だけでなく加害者をも不幸にするでしょう。恋人はもちろん、すべての人とより良い人間関係を築くために、早いうちにDVやハラスメントに関する知識をつけておきましょう。
高校生のうちに読んでおきたい教養の本8冊
高校生のうちに読んでおきたい教養の本を8冊紹介します。生き方や考え方を変えてくれるような本、社会の在り方や変化について深く学べる本など、面白くて読み応えのある本を厳選しました。
思考の整理学
『思考の整理学』は無意識に行っている「思考」に焦点をあて、それを整理・改善するための本です。「2022年 全国の大学生に1番読まれた本(全国大学生協調べ)」であり、東大生や京大生から根強く支持されています。
もちろん、本書は高校生でも十分に読めます。本書には思考の整理についてたくさんのコラムが載っていますが、一つひとつが短く、わかりやすく書かれているからです。本をあまり読んだことがない人でも、スラスラと読み切ってしまうでしょう。
「もっと若いときに読んでおけばよかった…」という感想をもつ人も多いようです。早い段階で本書を読み、思考を整理する力を高めておくことで、進学や就職もスムーズに進むでしょう。
>>思考の整理学
銃・病原菌・鉄
『銃・病原菌・鉄』は人類がどのように生まれ、文明を発展させてきたのかを、歴史的なエビデンスを使って推測する本です。知的好奇心を刺激し、自分で考えたり調べたりしようという意欲を高めてくれる本として、たくさんの人から支持されています。
本書では歴史的なエビデンスが豊富に載っていますが、それはあくまでも考えるための材料として扱われます。歴史について理解を深める本というよりは、歴史という材料を使って考える力、わからないことと向き合う力を高める本です。
さまざまな作業が機械化されていくこれからの時代において、人間に残される仕事は「考えること」になるでしょう。新しい時代を生き抜く力を身につけるために、高校生のうちに読んでおきたい一冊です。
>>銃・病原菌・鉄
教養としての認知科学
『教養としての認知科学』はタイトルの通り、認知科学を教養として学ぶための本です。認知科学とは人間をはじめとする生物の認知活動を解明するための学問で、認知活動とは外部から情報を受け取りそれを自分なりに解釈することです。
つまり、認知科学を知ることは自分が何かものを考えるときの過程をなぞり、自分の考え方について見つめなおすことにつながります。
気軽な読書として読み始めると挫折するかもしれない程度の難しさの本ですが、その分、専門書に近い読み応えのある一冊です。教養を高めるためにも、難しい本にじっくり取り組む練習をするためにも、高校生のうちに読んでおきたい本といえます。
漫画 君たちはどう生きるか
『漫画 君たちはどう生きるか』は、出版80年を超えて読み継がれる名著「君たちはどう生きるか」の内容を漫画でわかりやすく伝えてくれる本です。人間としてあるべき姿とは何か、どうすればあるべき姿に辿り着けるのかを、ストーリー仕立てで教えてくれます。
本書は好奇心旺盛な少年「コペル君」と、彼を見守る教養ある「おじさん」のやり取りを通して進んでいきます。おじさんからコペル君へのアドバイスが詰まった「ノート」の部分はあえて漫画化せず、テキストで掲載されています。
漫画とテキストを織り交ぜた情報量はちょうど良く、読み進めやすく理解しやすい一冊として人気です。
空想科学読本 第二版
『空想科学読本 第二版』は、特撮番組やアニメなどの身近な作品を通して科学を学ぶ本です。
「ウルトラマンがマッハで飛行すると衝撃波で身体が裂けたり、大地震が起きたりしてしまう」「宇宙船間ヤマトはどうやって重力を作り出しているのか」など、エンタメ作品に現実の物理法則を当てはめることで、楽しみながら科学を学べます。
シリーズ化されており、たくさんの本が出ているため、自分のお気に入りの作品について扱った本を選ぶのがおすすめです。
人新世の「資本論」
『人新世の「資本論」』は資本主義の限界について解説し、それに終止符を打つための提案をする本です。人新世とは、人類の経済活動が地球を破壊することで訪れた、環境危機の時代のことです。
本書ではSDGsや温暖化対策などを痛烈に批判しながら、資本主義の問題点や限界を明るみに出していきます。先進国はこれまで自分たちの目の届かない遠くの途上国に豊かな生活の代償を押し付けてきましたが、グローバル化によりそれも限界を迎え、今度は未来の世代に代償を押し付けようとしていると著者は語ります。
このような耳に痛くなる現実と正面から向き合い、解決策として新しい社会の在り方を提案します。先進国としての豊かさを享受しながらも、未来の世界でその代償を受け入れることになる高校生世代こそ、読んでおきたい一冊です。
国家の品格
『国家の品格』は、「日本は世界で唯一の情緒と形の文明である」という考え方を軸に、日本としての国家の品格とは何かを見つめなおす本です。行き過ぎたアメリカナイズを脱し、日本らしい社会と在り方を取り戻そうと、本書は説きます。
武士道精神や自然を愛する心、徳など、現代社会で失われつつあるものの大切さを伝えているのが本書です。本書を読みこれらの心を取り戻す(あるいは手に入れる)ことは、合理性や論理ばかりが重視される現代において、豊かな気持ちで生きることにもつながるでしょう。
ちなみに、著者ももともとはアメリカ流を押し通してきた人物です。そんな著者だからこそ、日本とアメリカの違いを深く掘り下げられるのかもしれません。
>>国家の品格
コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった
『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった』はタイトルの通り、コンテナの歴史とそれが世界にどんな影響を与えたのかについて、徹底的に掘り下げた本です。コンテナは世界経済とグローバルな貿易を飛躍させた、一大イノベーションだったのです。
本書はビル・ゲイツ氏やひろゆき氏も推薦しています。ビル・ゲイツ氏は「この夏私が読んだ最高に面白い本」だと、ひろゆき氏は「人生を変えた本・ベスト3」と、ともに太鼓判を押しています。
イノベーション(特に破壊的イノベーション)とは何かを、面白おかしく、説得力をもって教えてくれる一冊です。
高校生のうちに読んでおきたい哲学書9冊
高校生のうちに読んでおきたい哲学書を9冊紹介します。哲学の知識が必要な本や難しすぎる本は避け、面白くてわかりやすい哲学書、実生活に活かしやすい本を厳選しました。
14歳からの哲学 考えるための教科書
『14歳からの哲学 考えるための教科書』は、14歳・15歳からの考えるための教科書です。「言葉」「自分とは何か」「死」「心」「体」「他人」「家族」「社会」「規則」「理想と現実」「友情と愛情」「恋愛と性」「仕事と生活」「メディアと書物」「人生」などの30テーマを通して、考えることと知ることの大切さと方法を学べます。
哲学に答えはありません。答えがでないことを考え続けるのが哲学です。
情報が溢れ、スマートフォンで簡単に答えが見つかる現代だからこそ、哲学の大切さが見直されています。答えを知ることで物質的な豊かさは手に入るかもしれませんが、それだけでは精神的な豊かさは手に入れられません。
精神が豊かであることだけが人生を豊かにすると本書には書かれています。そのために必要なのが自分の頭で考える訓練であり、本書はそのやり方を教えてくれます。
勉強の哲学 来たるべきバカのために
『勉強の哲学 来たるべきバカのために』は、勉強とは何かということを哲学的に考える本です。本書によると、勉強とは自己破壊であり、勉強をすることでかつての自分を失うことになるといいます。
そんなショッキングな書き出しから始まる本書ですが、勉強を続けることで人は今までの自分や周囲のノリから解放され、新しい自分へと変わっていけるといいます。
日本では常識や体裁が重視され、未だに同調圧力も強いです。そんな社会に息苦しさや疑問を感じているなら、高校生のうちに本書を読んでおきましょう。勉強による自己破壊により、自分にとって大切なもの、心から楽しめるものが見つかるはずです。
国家
『国家』は哲学者プラトンの著書の中で、最も有名といっても過言ではない一冊です。本書では正義とは何かを定義し、個人における正義を明らかにしたうえで、それを国家へと適用していきます。
プラトンの哲学書の多くは彼の師匠であったソクラテスと、当時の有力者との対話を通して進みます。「哲学書は難しい」というイメージがあるかもしれませんが、対話を通して進むプラトン哲学は読みやすく、哲学の知識がなくても理解できるでしょう。
今、社会の在り方は大きく変わりつつあります。社会とは、つまり国家です。本書の読み方は時代や国家の在り方が変わるたびに変わってきました。高校生のうちに本書を読み、社会とどう向き合って生きていくかを考えておきましょう。
>>国家
パイドロス
『パイドロス』もプラトンの哲学書ですが、短めであること、恋愛や人間関係といったわかりやすいテーマであることから国家よりも読みやすいでしょう。哲学書をはじめて読む高校生にもおすすめです。
哲学者の中には、「西洋哲学はすべてプラトン哲学の脚注である」という人もいます。プラトン哲学は哲学の源流ともいえるため、ほかの哲学書と比べて前提知識が求められません。哲学を深く学ぶうえでも、まずはプラトンを読むことで基礎を押さえられるでしょう。
本書ではソクラテスと、パイドロスという青年が愛や魂の本質について議論します。どんな相手と親密な関係を築くべきか、どう生きれば豊かな精神を育み充実感を得られるのかを、ソクラテスが優しい語り口で教えてくれます。
>>パイドロス
生の短さについて 他2篇
『生の短さについて 他2篇』も哲学の古典として知られる一冊です。本書は「生は浪費すれば短いが、活用すれば十分に長い」と説きます。哲学書ではありますが、その内容は自己啓発やライフハックに近いです。
本書の教えは現代にも通ずるどころか、現代だからこそ活きる部分も多いです。限られた時間を有効に使うために、人間関係や誘惑・快楽との向き合い方を真摯な姿勢で教えてくれます。
生の短さについて以外にも、欲望に惑わされずに心の平静を手に入れる方法を述べた「心の平静について」、徳と快楽の両方を手に入れ幸せに生きるための「幸福な生について」が収録されています。
「心の平静について」では欲望や悲しみといった心の動き、自分の中の怠惰な部分と向き合うための方法が。「幸福な生について」では人間にとって最も大切なものである徳を高めることで、さまざまな楽しみや喜びが付随してくることがわかるでしょう。
SNSに膨大な時間を取られ、勉強や趣味に時間を使えずイライラしている高校生。学校やアルバイト先での人間関係に疲弊した高校生におすすめの一冊です。
読書について
『読書について』はタイトル通り、読書について深く考えるための哲学書です。本書は一見、読書(特に多読)に対して否定的ですが、著者のショウペンハウエルは稀に見る読書家です。
本書の表紙には、「読書とは他人にものを考えてもらうことである。1日を多読に費やす勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく。」とあります。本書は単なる読書批判ではなく、「何も考えず、ただインプットのためだけに本を読むこと」を批判しているのです。
本に書かれていることを正しく理解し、自分の頭で考えることの大切さを本書は教えてくれます。他者の意見を受け入れながら自分の頭で考え、思考を深めていくことは、現代において欠かせない能力です。
その能力を高めていくためにも、高校生のうちに読んでおきたい一冊です。
>>読書について
「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 日本縮約版
『「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 日本縮約版』は、死についてとことん考える哲学書です。
タイトルの通り本書はイェール大学で23年連続する人気講義を本に落とし込んだものです。余命宣告を受け、この講義を受けることに文字通り命をかけた学生もいます。
本書では「魂はなく、輪廻転生や死後の世界もない」「死んだら一巻の終わりである」という立場から、死について考えます。死んだら一巻の終わりなのになぜ生きるのか、なぜ死を恐れるのかといった疑問に、自分なりの答えが見つかるかもしれません。
なお、本書は原書の縮約版です。全体の半分ほどのページを割いて書かれた、「魂がない理由」「なぜ、死んだら一巻の終わりなのか」の部分が省かれています。
これらの理屈や形而上学に興味のある方は完全翻訳版を。生きるうえでの迷いに答えが出したい方や、自らの死生観が変わってしまうのが不安な方は縮約版を読むといいでしょう。
>>「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 日本縮約版
>>「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 完全翻訳版
生き方
『生き方』は日本発、世界16ヵ国で翻訳された哲学書です。日本人の著者が知識と経験に基づき、実践を意識した人生哲学であるため、哲学書を読んだことがなくてもわかりやすいでしょう。
本書では大きな夢を叶えるために、自分らしい人生を歩むために何が大切なのかを教えてくれます。「生まれてはじめて本を読んで涙を流した」「もう一度中学生に戻り、新しい人生を生きてみたいと切に思った」と、多くの人の心を動かしてきた一冊です。
本書で身につくのは「足るを知る」という考え方です。今あるものに満足すること、目標達成よりも目標を達成するために努力することが大切だということを、本書は教えてくれます。
勉強や部活で頑張ることに疲れてしまった高校生、これからの人生に大きな野望を持った高校生に読んでもらいたい本です。
>>生き方
心。
『心。』も、先述の『生き方』と同じ著者による人生哲学の本です。著者は第一線を歩き続けた稀代の経営者でありながら、心の在り方や豊かな人生について考え続けてきた人物です。
「仕事に夢中になり家庭を顧みない」「数字ばかりを見てその会社で働く人たちが見えていない」など、経営者に対してマイナスイメージを持つ高校生も多いでしょう。実際、利益偏重に陥った現代社会では、このような経営者も少なくありません。
卒業後の進路や将来就くべき仕事に迷いがある高校生、いつか自分でビジネスを起こしてみたいと思っている高校生には、何度も読み返したいバイブルとなるでしょう。
>>心。
高校生のうちに読んでおきたい小説8冊
高校生のうちに読んでおきたい小説を8冊紹介します。面白さはもちろん、会話のタネになるような本や自分の考え方を見つめなおすきっかけになるような、人生を豊かにしてくれる8つの物語を厳選しました。
博士の愛した数式
『博士の愛した数式』は映画化もされた、小川洋子さんの代表作です。小川洋子さんは心にスッと入ってくる文体と、少し不思議な世界観を醸し出すのがうまい作家です。彼女の作品にはスッキリとした読後感があります。
本書は80分しか記憶が続かない数学者が、息子や家政婦と少しずつ心を通わせていく物語です。
切なさと悲しさの中に、人の気遣いや心のあたたかさを感じられると、多くの人に感動を与えてきました。
>>博士の愛した数式
ホテルアイリス
『ホテルアイリス』も小川洋子さんの作品で、海外の場末感のただよう小さなホテルが舞台です。ここで働く主人公の少女と、どこか怪しげな中年男の恋を描いた作品です。
小川洋子さんはどこかファンタジー感のある不思議な世界観を描くのが得意で、本作も夏の話でありながら暑さやじめじめとした感じのしない、クールな雰囲気で進んでいきます。
小川洋子さんの作品の中では異色であり、ファンの中でも評価が分かれる作品ですが、独特の世界観にどっぷりと浸かれるでしょう。
>>ホテルアイリス
小説 言の葉の庭
『小説 言の葉の庭』は深海誠監督の映画『言の葉の庭』を、監督自らの手でノベライズした小説です。映画本編は46分と短編ですが、本作は396ページにも渡る長編。映画では描かれなかった脇役たちの人物像やエピソードが、丁寧に織り込まれています。
深海誠監督は『言の葉の庭』以外の映画作品も自らノベライズしていますが、特に本作は、脇役たちを深く掘り下げた作品です。小説を読むことで映画の見方が変わり、より深く楽しめるようになるでしょう。
>>小説 言の葉の庭
小説 天気の子
『小説 天気の子』も、深海誠監督による映画作品のノベライズです。天気の子では子どもと大人の違いや、それぞれの苦悩が描かれています。特に大人の代表として描かれる須賀の内面が垣間見えることで、映画とは違った面白さを感じられるでしょう。
あとがきと解説も必読で、これらを読んだ後にもう一度映画を観ることで、ラストシーンがより心に響くようになるはずです。
>>小説 天気の子
人間失格/グッド・バイ 他一篇
『人間失格/グッド・バイ 他一篇』に収録された『人間失格』は、太宰治の代表作であり、彼の遺書ともいわれる作品です。小説として純粋に楽しみたいという人も、日本文学への教養を深めたいという人にもおすすめできます。
人間失格というタイトルとは裏腹に、主人公は人並み以上の弱さを抱えるものの、それと同じくらいに優しさをもった人物です。大なり小なり誰しも抱える人間の本質を赤裸々に描き出した作品で、ふと思い出して何度も読み返したくなる作品です。
なお、遺書というのは最後の作品という意味ではなく、彼自身の人生を土台にすえた私小説のような作品という意味で言われています。彼の最後の作品は『グッド・バイ』という未完の小説と、『如是我聞』という評論です。
『如是我聞』にも太宰治の内面が色濃く出ており、人間失格が気に入った人にはぜひ読んでもらいたい一冊です。岩波文庫出版の本書には、この3作品がすべて収録されています。
舟を編む
『舟を編む』は出版社を舞台にした小説で、映画化・アニメ化もされた作品です。
出版社の営業部で働いていた主人公は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に異動することになります。編集部には個性豊かな編集者=言葉のプロたちがおり、彼らは辞書作りに情熱をもち、それに没頭していきます。
本作の『舟を編む』は、「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味でつけられたそうです。
世界で最も難解な言語であり、単語数も多い(≒豊かな表現ができる)日本語という言葉の美しさに触れられる、人生の早い段階で読んでおきたい一冊です。
>>舟を編む
存在の耐えられない軽さ
『存在の耐えられない軽さ』は20世紀恋愛小説の最高傑作といわれる海外小説です。1988年に映画化もされました。
本書は不思議な三角関係と、それに苦悩する恋人たちの愛と転落を描いています。哲学的恋愛小説と呼ばれることも多く、読み進めるうちに、愛について考えを深めていけるでしょう。
人生の重さや自分自身の内面に苦しみを抱えている人ほど共感でき、読了後に心が軽くなると評価されています。
アルジャーノンに花束を〔新版〕
『アルジャーノンに花束を〔新版〕』は、国内外で何度も映画化された作品の原作小説を、新たに翻訳したものです。新版の訳はわかりやすく、作品に没頭できるとの評価も多いです。
主人公は32歳になっても幼児並みの知能しかない青年で、彼が手術により天才なみの知能を手に入れていく過程を描きます。彼は知能を手に入れる過程で、自分の美徳を少しずつ失っていきます。
人間としての在り方や幸福を問う、折に触れて何度でも読み返したい一冊です。
ちなみに、映画版はこちらがおすすめ。もちろん好みは人それぞれですが、フランス映画ならではの芸術作品らしい映像と空気感、物語が淡々と進む没入感がたまりません。
高校生のうちに読んで心に残った本は、ときどき読み返そう
- 高校生のうちにいろいろなジャンルの本をたくさん読もう
- ライフハック、教養、哲学、小説をバランス良く読むのがおすすめ
- 高校生のうちに読んで心に残った本は、きっと何度も読み返したくなる
高校生は脳がまだ発達しきっておらず、学校で学ぶだけでなく働くこともできるようになる時期です。大人と子どもの境目にいるのが高校生であり、この時期にどんな本を読むかで、その後の人生観が変わってくるかもしれません。
高校生のうちになるべくたくさんの本を読みましょう。小説だけ、ライフハックだけでも構いませんが、できればいろいろなジャンルの本を多読・乱読してみてください。
全く異なるジャンルの本から得た知識・考え方が、ほかの本に書かれていることとつながることも多いです。この体験をくり返すことで、自分自身の考えや価値観が醸成されていくでしょう。
高校生のうちに読んで心に残った本は、きっと何度も読み返したくなります。大学に進学したときや就職したとき、恋人ができたり失ったりしたときはもちろん、ふと思い出して何の気なしに開いてしまうこともあるでしょう。
そんな本は、あなたの人生の道しるべになり、著者は人生のよき友になります。人生のパートナーとなってくれるお気に入りの本を探してみてください。
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