本記事はモノグサ株式会社の中村大志氏にご寄稿いただいたものです。
「記憶を日常に。」するためにMonoxerを全人類に届けることを目指す
モノグサ株式会社は、リクルート出身のCEO竹内孝太朗、Google出身のCTO畔柳圭佑の2名が共同創業した企業です。世界的にも解決されていない課題の多い、記憶領域に挑戦しています。
「記憶を日常に。」をミッションに掲げ、全人類の記憶体験をより良いものにすることを目指しています。
具体的なプロダクトとしては、記憶を定着させ成績向上を図る学習サービスの「Monoxer」を教育機関を中心に提供しています。Monoxerは、あらゆる知識を確実かつ最小限の負荷で身につけることができる “記憶のプラットフォーム”です。現在の主な提供先は日本国内ですが、少しずつ海外での活用事例も増えてきています。
モノグサのバリューの1つには「人類への奉仕」を掲げ、行動指針に「全人類に届けるのを諦めない」が入っており、全人類にMonoxerを届けることを目指しています。
この度ミッションの実現に向けて、モノグサだからこそできる、モノグサが取り組むべき、ウクライナ避難民支援を実施しました。
モノグサだからこそできる、モノグサだからこそ取り組む意義のある支援とは
2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻が大きなニュースとなりました。政府もウクライナ避難民受け入れを開始し、ウクライナ避難民支援に関するムーブメントが日本でも大きくなりました。
そのような中で、懇意にしている新聞記者の方から「モノグサさん、ウクライナ避難民支援活動と相性良さそうですよね。」という話をいただいていました。
社内でもウクライナの状況を見たエンジニアメンバーから「ウクライナ避難民のために何かできないか。」という声がチャットツール上であがり、多くのメンバーが賛同を示していました。
社内外でそのような提案があったことをきっかけに、何かモノグサにしかできない、私たちが取れるアクションがないのだろうかと考えるようになりました。
Monoxerは全人類に届けることを目指しているため、既に様々な言語に対応しています。ウクライナ語にも対応しているため、記憶定着の観点からMonoxerを通した日本語学習機会の提供という支援はできると感じていました。
実態を調べるため、その新聞記者経由でウクライナ避難民学生を教育を通して受け入れる支援を行なっている団体、一般財団法人パスウェイズ・ジャパンと繋いでいただきました。
そこでウクライナ避難民の課題やニーズをお聞きすると、日本で一定期間生活することを考えている方にとっては、日本語学習支援は、レベルの差はあれど多くの方にとって役立ちそうであるということがわかりました。
Monoxerは海外での活用事例もありますが、ウクライナの方に使っていただいた事例はこれまでありませんでした。
Monoxerを通した日本語学習機会の提供が「本質的にウクライナの方々の役に立てるのか?」についてはCFOと、複数回に渡って話し合いを続けました。
実際にどのような方々がウクライナから日本に避難されているのか、話を聞いて想像するだけでは限界があったので、パスウェイズ・ジャパンが主催するウクライナ避難民学生の受け入れレセプションパーティにも招いていただきました。
そこで実際にウクライナ避難民学生の方と話してみると、日本に対して興味や関心が高い学生がとても多いものの、日本語能力には個人差があり英語ベースでないとコミュニケーションが難しい方も数多くいらっしゃる印象でした。
そこで、交流の時間にMonoxerで作成したプロトタイプの日本語学習用コンテンツをウクライナ避難民の学生に利用していただきました。
特に詳細な説明もせず渡したスマホのMonoxerアプリをサクサクとゲーム感覚で解き進めている様子を見て、「Monoxerはウクライナ避難民の方の日本語学習の一助となれる」と確信しました。
「日本語は、漢字が特に難しい」という生の意見も聞くことができ、Monoxerで漢字を中心とした日本語の学習機会を無償提供し、日本での生活のしやすさを高める一助となることを目指すことにしました。
そこから、具体的なプロジェクトの進め方をパスウェイズ・ジャパンの担当者と相談することを始めました。
避難民や難民の雇用における課題
パスウェイズ・ジャパンの担当者からは、「日本では、“避難民”や“難民”というだけで優秀なスキルを持っている方でも雇用先が限られてしまう傾向が強い。可能であれば、モノグサのようなスタートアップで雇用に関して積極的にご検討をいただけると大変ありがたい」という話をいただきました。
日本にはアフガニスタンやシリアをはじめ様々な国からの難民の方もいらっしゃいますが、仮にスキルがあったとしても知的産業における従事の事例は非常に少ないということでした。
支援という名のもとだったとしても、アルバイトやインターンという形で雇用した方が弊社において何らかの成果を生み出せる状況でなければ、弊社にとっても雇用された方にとっても本質的に意味がありません。雇用するなら、力になっていただけるスキルのある方にしようと決めました。
既にモノグサには、アメリカ、フランス、韓国、中国、台湾とインターナショナルなメンバーも在籍しており、国籍や人種に関係無くミッションに共感したメンバーが集まっています。そのため、外国人の採用という観点では、一切気にする必要がありませんでした。
雇用するならばどのような人か、と考えた時に、ウクライナの方に日本語学習機会を届ける上で、ウクライナ語と日本語の両方がわかる方の力が必要だと感じました。
また、文化も大きく違う国の方々に届ける上で、同じウクライナの方から伝えていただく方が伝わりやすく、安心していただきやすいと考えました。
そこで、日本語で会話ができて、ITが得意な方を最初に条件としました。また、我々も避難民の方の雇用というケースは初めてだったので、しっかりコミュニケーションできた方が両者にとって良いだろうと考え、オフィスに定期的に通える方も条件に含めさせていただきました。
業務にあたって必要なスキルについても面接時にテストし、一切妥協しない条件で募集をさせていただきました。
かなり厳しい条件だったと思うのですが、マックスさんという1名のウクライナ避難民学生が面接を通過し、広報チームのメンバーとしてアルバイトで働いてくださることになりました。
ミッション実現に向けた行動を体現する1つの活動に
マックスさんの活躍ぶりは想像を超えて素晴らしいものでした。
ウクライナ避難民の方が基礎レベルから日本語が学べるようにコンテンツを早々に揃えていただきました。その後もより良いコンテンツラインナップの拡充を手掛けてもらっています。
ウクライナ避難民学習者とのコミュニケーションツールも、マックスさんの助言のもと、ウクライナ人に合わせた馴染みのあるツールを活用することにしました。
Monoxerの説明資料もウクライナ語に全て翻訳してもらいました。
ウクライナ避難民の学習希望者が増えるタイミングで定期的にオンラインでマックスさんに説明してもらっています。使い方がわからない方には、ウクライナ語で個別でのサポートも実施しています。
また、マックスさんは社内のメンバーとも気さくにコミュニケーションをとっています。社内向けにウクライナ文化を理解するbook(Monoxer上の問題集)も自主的に作成し、プレゼント付きのコンテストのような催しまで企画・開催して盛りあげてくれました。
そんなマックスさんなので、部署を越えて社内からも愛されています。他チームの懇親会にひょっこり参加していたり、時にモノグサメンバーとボードゲームをしていたりする姿も見受けられます。
適切なプロセスを経て採用したマックスさんは、様々な側面で弊社との相性がとてもよく、期待以上の活躍をしてくれています。このように避難民や難民となり日本にいる方が活躍できるケースが、ほかの企業でも増えれば嬉しく思います。
Monoxerを通した日本語学習機会提供プロジェクトは、日本のウクライナコミュニティ「KRAIANY」の代表の方から提供の輪を拡げてほしいと問い合わせをいただいたことで、日本在住のウクライナ人向けのラジオ番組でウクライナ語で紹介していただきました。
また、ウクライナ大使館のSNSでも発信されるなど、少しずつ盛りあがりを見せています。現在は50名のウクライナ避難民の方が、Monoxerを通した日本語学習を始めてくださっています。
ある取材の際に弊社CEOの竹内は、「創業当初からプロダクトを『全人類に届ける』ことを目指していて、マックスさんは社員にそれを思い出させてくれる。」とも話していました。このプロジェクトは、モノグサのミッションに向けて進むための1つの活動になっているのだと感じています。
避難民の方の日本語スキル向上についての具体的な成果として結果が表れるには、少し時間がかかるかもしれませんが、少しでも本質的な問題解決に繋がるようにモノグサにできる取り組みを継続できればと思っています。
中村大志
モノグサ株式会社 広報
2013年新卒で株式会社マイナビ入社。求人広告の営業に従事した後、2015年より食品・ヘルスケア専門のPRエージェンシーに入社して食品やサプリメント等の商材のPR業務に従事。2020年にモノグサ株式会社へ1人目の広報担当として入社後、自社と提供しているプロダクト「Monoxer」の認知向上と支持者の増加に向けて、PR活動を担当している。
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