モノグサ株式会社(以下モノグサ)では、学校や塾といった教育機関を中心に記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer」を提供しています。現在は4,000教室以上で利用され、専門学校、大学、企業での活用も増え始めています。
モノグサでは、社内コミュニケーションツールにSlackを活用しています。社員数が増え、Slackに流れる情報量も増えたため、SlackとNotionを組み合わせた『slack社内報』を始めました。
SlackとNotionを組み合わせた『slack社内報』が実際会社でどのように使用されているのか、モノグサ広報の中村大志氏にご寄稿いただきました。
社内報、始めるのが大変そう問題
広報業務は多岐にわたります。様々な業務がある中で、特にスタートアップにおいて社内広報領域は後回しになりがちなのではないでしょうか。私もモノグサに1人目の広報として入社させていただきましたが、まさに後回しになっていました。
社内報の実施を決めた2022年1月時点で、モノグサメンバー(正社員)の人数は60名弱でした。
私は18人目の入社であるため、1年で3倍ほどに増えていることになります。そして現在では100名を超えています。
CFOと広報全体の話をざっくばらんにしていたとき、社内報の話になりました。最初は「日々のSlackで流れて行ってしまうフロー情報をまとめて振り返れるようなような場があるといい」という話になり、着手することにしました。紙はコストがかかりすぎるため、手軽にできるWEBから始めることにしました。
そこで、Slackで流れてくるいい情報をストック情報にすることから始めました。弊社はNotionも社内ツールとして活用しているので、情報蓄積場所をNotionにしました。SlackのURLをNotionに貼り付けて見出しをつけるだけで、いい形にまとめられるため、これを基本フォーマットにしました。
情報収集について
次なる問題は、情報の取捨選択です。Slackの中で拾いたい情報をいちいちさかのぼって探すのは大変です。Slackで特定のスタンプを押したときにNotionやスプレッドシートに連携できるスタンプ文字の作成の検討を始めました。
「社内報」や「社内報に載せます!」だと、万が一そのスタンプが押された投稿を載せなかったときに角が立ってしまいます。
間違えてスタンプを押すことがあったり、誰かが押してくださったがそれが載せられなかったりするなど「社員の善意を踏みにじってしまう可能性」は避けたい次第でした。その結果、こんなスタンプにしました。
他の部署のメンバーも、面白い投稿や素敵な投稿に「もしかしたら社内報に載せるかもしれません」スタンプを押してくださるようになり、情報収集が非常に円滑になりました。また、いつの間にかこのような海賊版のスタンプを作るメンバーも現れてくれて、嬉しい限りです。
このような形で、月1回Slackの中でピックアップすべき情報を集めて、Notion上で編集して発信する方向になりました。
クローズドにすることで、社員だからこそ面白いと感じるコンテンツを提供
オープン社内報に取り組まれている会社のお話も沢山聞いていたので、オープンにするかクローズドにするかは迷ったポイントでしたが、最終的にクローズドにしました。
理由は2つあります。1つめは、オープンだと出せる情報が限られてしまうことです。社内のSlackの情報なので当然、オープンにできないものもあります。その中にこそ大切なストーリーが潜んでいるので、それらを捨てるという選択は大きな損失ではないかと感じました。
2つめは、ターゲットであるモノグサで働く皆様にとって読みたいもの、気になるものにしたかったということです。外の人が読んでも面白くないかもしれないけれど、モノグサで日々働いているからこそ、面白いと思うことがあると感じています。
弊社はボードゲームやおやつ会や部活動など、ユニークなカルチャーがあるので、それらをコンテンツとして扱うのに際して、熱量を落とさずに情報をお届けしたいと思いました。
その結果、尖ったコンテンツが作れるようになり、モノグサメンバーだからこそ面白いと思ってもらえそうな情報が出せるようになりました。
段々Slackの情報に留まらず、個人が有志で書きたいことを執筆する特集コーナーが充実し始め、楽しみにしてくれるメンバーも増えたこともクローズドならではのよさだったと感じています。
方針は、「無理なく継続できて効果がある」こと
まずは「継続できること」を重要視しました。蓄積することは社内報において大切なことだと思ったからです。工数がかかりすぎてしまった結果、翌月以降の継続が難しいとなってしまっては本末転倒です。
そこでベースはシンプルにSlackに流れてくる情報をピックアップして編集する形にし、時間に余裕があるときは「特集」として別に企画を立てるようにしました。
最初は「特集」も自分で進めていましたが、1人では作れるものに限界があったので他のメンバーを巻き込んでいく方針に変えました。ユニークな趣味や特技の領域を持つメンバーを巻き込むことでより読み応えのあるコンテンツが作れるとも思っていました。
実際に社内報施策を初めて数ヶ月で、セールスやエンジニアやデザイナーといった他部署のメンバーからも「社内報でこれを発信したら面白そう!」というアイデアを随時受け取る環境ができ、多くの社員の力を借りながら作成する体制にシフトしました。
1年続けてみた反響
楽しみにしているという声を定性的にいただくことは増えてきました。閲読率を厳密に計測できてはいないのですが、社内の6〜7割くらいの方には読んでいただいています。
ランチ情報などは反響がわかりやすく、社内報に載っていたところを探して食べに行ってみたという話も聞きました。新しく入社した方からは過去の号を見ることで「会社の雰囲気がわかった」と言ってくれたケースもありました。
「一緒に働くメンバーの理解が深まるひとつの場」を目指す
社内報は目に見える形で生産性が上がる類の施策ではありません。ですが、読むことで「やっぱりモノグサ(会社)いいな!」と思い返せるような機会にできたらと思っています。
また、様々な専門性を持つ会社の社員のことを業務のことだけではない側面から知ることでコミュニケーションが円滑になり、仕事を進める上でもポジティブに働くことにつなげたいです。
また蓄積したコンテンツは、採用広報用目的で運営をしているnoteやいずれ「紙の社内報を作ろう」となった際にを活用したいです。
こだわろうと思えば、いくらでもこだわれるのが社内報だと思いますが、この「slack社内報」はスタート時はSlackの内容をNotionに貼り付けて見出しをつけるだけのところから始めているので、始めるための工数はかなり少なくできると思います。社内報を検討されている企業様にとっての1つの参考事例になれば嬉しいです。
中村大志
モノグサ株式会社 広報
2013年新卒で株式会社マイナビ入社。求人広告の営業に従事した後、2015年より食品・ヘルスケア専門のPRエージェンシーに入社して食品やサプリメント等の商材のPR業務に従事。2020年にモノグサ株式会社へ1人目の広報担当として入社後、自社についてや提供しているプロダクト「Monoxer」のPR活動を担っている。
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