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ギグワーカーとは?ほかの働き方との違いやメリット・デメリットを解説

U-NOTE編集部

2022/12/21(最終更新日:2022/12/26)


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単発・短時間の仕事をする「ギグワーカー」。数時間単位のスキマ時間に仕事をする人も多く、1日単位で仕事をする日雇い労働者や、中長期契約を前提とするフリーランスとは少し異なります。

本記事ではギグワーカーとは何か、その歴史や注目される背景を解説します。ギグワーカーとしての働き方や、労働者と企業、それぞれにとってのメリット・デメリットも紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • ギグワーカーの概要や歴史、日本に増えた背景
  • 労働者がギグワーカーとして働くメリット・デメリット
  • 企業がギグワーカーと協業するメリット・デメリット

 

ギグワーカーとは?

インターネットを介して請け負うことが多く、単発、特に短時間の仕事のことをギグワーク、それに取り組む人をギグワーカーと呼びます。企業に属さず、外注先として働くフリーランスや個人事業主を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、単発のアルバイトをする労働者もギグワーカーにあたります。

 

ギグワーカーの職種例

単発で行う仕事のことをギグワーカーといい、様々な職種があります。具体的には、次のような職種でギグワーカーとして働く人が多いです。

  • 家事代行
  • 配達代行
  • 運転代行
  • イベントスタッフ
  • コンサルティング
  • プログラマー
  • デザイナー
  • イラストレーター
  • ライター など

 

英語の「gig」の意味と、もともとの使われ方

英語の「gig」には、「定期的に開かれるものではない演奏会」「一度きりの仕事」といった意味があります。もともとはミュージシャンが一度だけ行うセッションを指す言葉で、これが派生して「単発の~」という使い方をするようになりました。

 

ギグワーカーの歴史

2010年代、アメリカで「ギグエコノミー」と呼ばれる、インターネット中心の新しい経済圏が誕生しました。

ギグエコノミーは人(人材)を共有する考え方です。人材それぞれのスキルに注目し、企業と個人が単発で仕事を受発注することで成り立つ経済圏がギグエコノミーです。このエコノミーの中で働く人をギグワーカーと呼びます。

 

日本でギグワーカーが増えた背景

日本でギグワーカーが増えた背景には、働き方の多様化や副業解禁など、政府主導の社会の動きが大きく関わっていると考えられます。

副業元年と呼ばれる2018年には、政府発行の「モデル就業規則」が改正され、勤務時間外の副業を認めるような内容になりました。働き方の多様化により「時短勤務」や「リモートワーク」を認める企業は増え、個人の可処分時間は増えました。

単発・短時間で働くギグワークは、副業にはぴったりです。日本でギグワーカーが増えた背景には、副業に取り組む時間が増えたこと、副業をするのが当たり前になってきたことがあるでしょう。

 

ギグワーカーとほかの働き方の違い

ギグワーカーと混同されやすい働き方に、フリーランスやノマドワーカーがあります。また、アルバイトや日雇い労働者とギグワーカーは、どのように違うのでしょうか。ギグワーカーとほかの働き方の違いについて解説します。

 

フリーランスとの違い

フリーランスとは組織に属さず、個人で仕事を請けて働く人です。プログラマー・エンジニア・デザイナー・ライター・カメラマン・編集者・翻訳者などが、フリーランスの主な職種といえます。

フリーランスとギグワーカーの違いは、「安定性」「継続性」にあるでしょう。ギグワーカーが単発で仕事を請け負うのに対し、フリーランスは継続・長期の仕事を請け負うことが多いです。

また、ギグワーカーは専門的なスキルがなくてもできる仕事をすることが多いのに対し、フリーランスは専門性の高い仕事に取り組んでいることが多いです。

 

ノマドワーカーとの違い

ノマドワーカーとは、働く場所を固定せず、自由に移動しながら仕事をする人です。「働く場所が自由であること」「移動しながら働く人」といった、働くスタイルを指す言葉で、契約形態に関する定義はありません。

雇用されているか、その仕事が単発なのか長期なのかにかかわらず、好きな場所を移動しながら働く人がノマドワーカーです。ギグワーカーは単発・短時間でできる仕事をする人のことであり、働く場所に関する定義はありません。

 

アルバイト(フリーター)との違い

中長期の雇用を前提とするという意味で、アルバイト(フリーター)とギグワーカーは異なります。ただ、アルバイトの中には単発・日雇いのものもあります。単発アルバイトメインで働く人は、フリーターというよりは、ギグワーカーに近いでしょう。

 

日雇い労働者との違い

日雇い労働者とは、1日単位で雇用される労働者のことです。単発・短期間の仕事に取り組むという意味ではギグワーカーに近いでしょう。

ただ、ギグワーカーには数時間単位の短時間で働くという特徴もあります。日雇い労働者よりも短いスパンで仕事に取り組むのがギグワーカーといえます。

 

派遣労働者との違い

派遣労働者とは、派遣会社に雇用され、派遣先で仕事に取り組む人です。ギグワーカーは特定の企業に属さずに働く人です。企業に属する点と、雇用契約を結ぶ点が派遣労働者とは異なります。

 

【労働者側】ギグワーカーとしての働き方やメリット・デメリット

単発・短時間の仕事であるギグワークに、副業として取り組む人が多いです。ギグワーカーにはどんなメリット・デメリット、働き方があるのかを紹介します。

 

ギグワーカーとして働くメリット

ギグワーカーとして働く主なメリットは、次の通りです。

  • 自由度が高い
  • ストレスを感じづらい
  • 収入を調整しやすい
  • 得意なことを活かせる

単発の仕事をするギグワーカーは、場所や組織に縛られません。毎日同じ会社に出勤したり、チームの人間関係に煩わされたりといったストレスは感じづらいです。働く日時を自分で決められるので、仕事とプライベートの両立もしやすいでしょう。

ギグワーカーは1日単位というよりは、数時間単位で働くため、スキマ時間を有効活用するのにも向いています。その時々のスケジュールに応じて仕事を入れられるため、収入も調整しやすいです。

仕事の内容も自分で選べるため、やっていて楽しい仕事、自分のスキルを活かせる仕事だけを選んで働くこともできます。

 

ギグワーカーとして働くデメリット

ギグワーカーとして働く主なデメリットは、次の通りです。

  • 収入が不安定になりやすい
  • 社会的な保障が弱い

ギグワークは単発の仕事なので、働こうと思ったら、その都度仕事を探さなければなりません。仕事が見つからない、応募したが採用されないことが続くときもあるでしょう。ギグワーカーの収入は不安定になりやすく、それだけで生計を立てるには不安が残ります。

雇用されるわけではないため、有給休暇や社会保険なども対象外です。社会的な保障が弱いのはフリーランスも同じですが、単発前提のギグワーカーは、より不安定といえます。

 

働き方1.ギグワーカー1本で働く

ギグワーカー1本で、単発・短時間の仕事だけで働く方法です。働きたいときだけ働く、自分のスケジュールを最優先にして仕事を選ぶという生き方は自由度が高いです。

ただ、毎回仕事が見つかるとは限りません。会社員やアルバイトのように、仕事を続けることで昇給することもなく、不安の多い働き方でもあります。

 

働き方2.働きながらスキマ時間にギグワークを

会社に勤めながら、スキマ時間にギグワークをする働き方です。たとえば休日は8時間、平日は出勤前後のスキマ時間を使って、副業としてギグワークに取り組みます。会社員としての保障を受けながら、スキマ時間を使って収入を増やしていけるでしょう。

 

働き方3.フリーランスの収入調整に

フリーランスの収入調整として、ギグワークに取り組む人もいます。「取引先から依頼された仕事はすべて終わったが、まだ時間が余っている」「だけど、これ以上取引先を増やすとキャパシティをオーバーしてしまいそうだ」というときは、フリーランスとしてのスキルを活かせる単発の仕事を探してみましょう。

 

【企業側】ギグワーカーと協業するメリット・デメリット

一時的な人手不足の解消や、高い専門性が求められるが常にあるわけではない仕事などで、ギグワーカーと協業をする企業が増えています。ギグワーカーとの協業にはどんなメリット・デメリットがあるのか、どんな業務が適しているのかを紹介します。

 

ギグワーカーと協業メリット

企業がギグワーカーと協業する主なメリットは、次の通りです。

  • 採用コストの削減
  • 人件費の削減
  • 必要な人材をその都度確保できる

正社員やアルバイトを採用するにはそれなりのコストがかかります。従業員を雇用すれば、保険料の一部は会社側で負担しなければなりませんし、簡単に辞めさせるわけにもいきません。

「一時的な人手不足」「局所的に、高度なスキルを持つ人材を確保したい」といった場合には、ギグワーカーとの協業が適しています。必要な人材を、必要なときだけ確保すれば、人件費も採用コストも最小限に抑えられるでしょう。

 

ギグワーカーと協業するデメリット

ギグワーカーと協業する主なデメリットは、次の通りです。

  • 人材の質にバラつきがある
  • 難しい業務を任せづらい
  • 自社にノウハウを蓄積できない
  • 情報漏えいのリスクがある

ギグワーカーはインターネットを介して単発で仕事を請け負います。単発が前提であるため面接や教育ができず、人材の質にはバラつきが出ます。自社の業務フローを理解していないとできないような、難しい業務も任せづらいでしょう。

優秀な人材が見つかっても、その仕事が終わったら、ギグワーカーは去ってしまいます。ギグワーカーのもつスキルや、継続的に協業することで得られるはずだったノウハウを、自社に蓄積することはできません。

たくさんのギグワーカーに仕事を任せるほど、情報漏えいのリスクも高くなっていきます。

 

ギグワーカーと協業しやすい業務

ギグワーカーとの協業には、「説明を行えばできる仕事」や「専門的なスキルが必要だが、常にあるわけではない仕事」が適しています。具体的には、次のような業務がギグワーカーとの協業に向いています。

【説明を行えばできる仕事】

  • 単純な軽作業
  • 仕分け
  • 配達代行
  • 家事代行
  • 工場のレール作業
  • イベントスタッフ など

【専門的なスキルが必要な仕事】

  • デザイン
  • プログラミング
  • コーディング
  • ライティング
  • コンサルティング など

 

ギグワーカーと協業しづらい業務

「数週間~数ヵ月かかる業務」や「自社の業務フローやビジョンを理解していないと難しい業務」はギグワーカーとの協業に向いていません。具体的には、次のような業務が挙げられます。

  • 中長期のシステム開発
  • システムの運用・保守
  • マーケティング
  • カスタマーサクセス など

これらの業務を発注したい場合は、フリーランスや個人事業主と業務委託契約・業務委嘱契約を結ぶことがおすすめです。

 

ギグワーカーの集まるプラットフォーム例

ギグワーカーが集まるプラットフォームには、どのようなものがあるのでしょうか。どんな人材が集まっているのか、どんな業務に適しているのかという視点から、4つのプラットフォームを紹介します。

 

クラウドワークスやランサーズなどの「クラウドソーシング」

クラウドワークスやランサーズなどの「クラウドソーシング」は、インターネット経由で完結する業務に適しています。

短時間で終わるPC作業や、納期は決まっていても稼働時間は自由という仕事が多く、ギグワーカーにとっては「スキマ時間に少しずつ進められる」というメリットがあります。

【クラウドソーシングに適したギグワークの例】

  • 事務作業
  • テレアポ
  • 営業リストの作成
  • ライティング
  • プログラミング
  • コーディング
  • 画像制作 など

 

Timeeやシェアフルなどの「単発バイトサイト」

Timeeやシェアフルなどの「単発バイトサイト」は、イベントスタッフや封入など、ギグワーカーに現地まで来てもらう必要がある業務に適しています。監督は自社社員がしなければなりませんが、実際の業務は現地のギグワーカーに任せられれば、人件費を抑えられるでしょう。

【単発バイトサイトに適したギグワークの例】

  • 封入
  • 農作物の収穫
  • イベントスタッフ
  • 臨時の店舗スタッフ
  • 工場や倉庫での単純作業
  • 簡単な問い合わせ対応 など

 

UberEats

UberEatsも、ギグワーカーの一大プラットフォームとして有名です。自社で宅配をする余裕がない飲食店でも、UberEatsを利用すれば、簡単にフードデリバリーをはじめられます。

「飲食店」「配達員」「配達先のユーザー」の三者による評価制度、世界的に高い知名度などから、安心して利用できるでしょう。

 

ココナラ

ココナラは、個人のスキルを売り買いできるプラットフォームです。たとえばイラストが描ける人にSNSアイコンを書いてもらったり、語学力を生かして翻訳を行ったりといった使い方ができます。

家事代行やちょっとしたお悩み相談など、自分の得意分野を活かした仕事ができます。

 

自分の働き方やライフスタイルに合わせて、ギグワークを取り入れてみよう

本記事のまとめ
  • ギグワーカーとは、単発・短時間の仕事をする人
  • ギグワークは会社員やフリーランスの副業におすすめ
  • ギグワーカーとの協業で、一時的な人手不足・人材不足を解消しよう

ギグワーカーとは、単発・短時間の仕事をプラットフォームから請け負う人です。特定の企業に雇用されず、1日・数時間単位で働くのが特徴で、スキマ時間の副業におすすめです。

企業にとっては、単純作業や「高度なスキルが必要だが、常にあるわけではない仕事」を依頼しやすいメリットがあります。一時的な人手不足、特定のスキルをもった人材が局所的に必要なときは、ギグワーカーとの協業を検討してみてはいかがでしょうか。
 

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