年賀状は普段から付き合いのある相手だけでなく、あまり交流のない恩師や友人などともコミュニケーションを取るきっかけになります。取引先やパートナー企業、上司や部下など、ビジネスシーンで年賀状を出す人も多いでしょう。
本記事では、ビジネスシーンで年賀状を書く基本的なルールや注意点を紹介し、よくある質問にも答えていきます。
- 年賀状の基本的な書き方
- 相手との間柄による賀詞の使い分け
- 年賀状のよくある間違いや質問
ビジネスシーンでの年賀状の例文
ビジネスシーンでは、相手との間柄によって年賀状に何を書くのかを変えなければなりません。まずは「目上の相手」と「対等または目下の相手」、それぞれに送る年賀状の例文を紹介します。
【目上の相手に送る年賀状の例】
- 新年おめでとうございます
- 旧年は格別のご指導を賜り 厚くお礼を申し上げます
- 本年をさらなる飛躍の年とするべく努力する所存です
- 変わらぬご指導のほど よろしくお願いいたします
- 令和5年元旦
【目下または対等な相手に送る年賀状の例】
- 賀正
- 旧年のあなたの活躍と前向きな姿勢には感動しました
- この一年でのさらなる成長を期待しています
- 本年も公私ともによろしくお願い申し上げます
- 2023年1月1日
【宛名編】年賀状の基本的な書き方
年賀用ハガキを使うという以外、年賀状の宛名(表面)の書き方は、普通のハガキと変わりません。
ただ、ビジネスシーンで送るハガキ・年賀状には、押さえておくべきポイントがいくつかあります。年賀状・ハガキの宛名はどう書けばいいのか、基本的なマナーを押さえておきましょう。
住所
住所は都道府県から建物名まで、抜け漏れがないように書きましょう。番地や階数のような数字は、縦書きなら漢数字(一、二、三)、横書きなら算用数字を使います(1、2、3)。
肩書き
ビジネスシーンで送る年賀状には、相手の氏名の上に小さく肩書きをつけます。「肩書き、氏名、敬称」の順番で書きましょう。
敬称
敬称は送る相手が個人か団体・組織かで変わります。相手が個人なら「様」、団体・組織なら「御中」と書きましょう。
なお、相手が個人かつ恩師や医師、弁護士などの士業の場合は「先生」と書くこともあります。このような相手に年賀状を送るときは、個人的な付き合いなら「様」で、そうでないなら「先生」とつけましょう。
氏名・連名
年賀状を送る相手が1人なら、その人の名前に適切な敬称をつけるだけですが、連名の場合は「名前を書く順番」に気をつけましょう。なお、連名は家族に対して使うもので、企業に対しては連名は使用できません。
連名での氏名の書き方
- 1番右側(最初)に世帯主の名前を書く
- 世帯主の左に配偶者の名前を、その左に子どもの名前を書く
- 苗字は世帯主の名前の上に書き、それ以外の部分は省略する
- 敬称は全員につけるが、子どもの名前の下には「くん」「ちゃん」でも構わない
- 相手が大家族で名前を書ききれない場合、世帯主の名前だけ書き、その左に「ご家族様」と書くだけでも構わない
【裏面編】年賀状の基本的な書き方
ビジネスシーンで送る年賀状の裏面には、「賀詞、挨拶、添え書き、日付」を、この順番で書きます。それぞれの基本的な書き方を紹介します。
賀詞
賀詞とはお祝いの言葉のことで、年賀状に限らず、さまざまなシーンで使われます。漢字1文字、2文字、4文字、文章や英語の賀詞があります。誰に、どんな賀詞を書けばいいのかは、記事の中ほどで紹介しています。
挨拶
挨拶は「お礼」「祈り」「願い」の3要素を基本として書きます。
お礼:日ごろの感謝を伝える
- 旧年中は大変お世話になりました
- 旧年は格別のご指導を賜り 厚くお礼を申し上げます
祈り:相手の健康や活躍を祈る
- 皆さまのご多幸とご活躍をお祈りいたします
- 幸多き一年となりますように
願い:今後の付き合いや指導をお願いする
- 本年もご指導ご鞭撻のほど よろしくお願い申し上げます
- 変わらぬご指導のほどよろしくお願いいたします
添え書き
添え書きでは近況報告や共通の話題、豊富などを書きます。あまり長文にならないよう、伝えたいことを端的に伝えましょう。
- さらなる飛躍の年とするべく努力する所存です
- 本年も貴社のお役に立てるよう努めて参ります
- いつもお心遣いをいただきありがとうございます
日付
年賀状の裏面の最後には、日付を書きます。和暦・西暦のどちらでも構いませんが、年賀状を書いている時点での年号を書かないように気をつけましょう。
- 令和5年 元旦
- 2023年1月1日
年賀状の賀詞の書き方
年賀状のに使える賀詞と、賀詞に添える挨拶や文章の例を紹介します。送る相手やハガキのスペースに合った賀詞・挨拶・添え書きを書いていきましょう。
漢字一文字の賀詞
賀詞 | 意味 |
寿 | めでたい、祝い、よろこび |
賀 | さいわい、幸せ |
慶 | よろこび |
春 | 1年のはじまり |
禧 | めでたい、さいわい、よろこび |
吉 | めでたい |
和 | なごやか |
安 | やすらぐ |
漢字二文字の賀詞
賀詞 | 意味 |
賀正 | 正月を祝う |
慶賀 | よろこび祝う |
寿春 | 新春をことほぐ(喜び祝う) |
迎春 | 新春を迎える |
新禧 | 新年をよろこぶ |
慶春 | 新年をよろこぶ |
賀寿 | 長寿を祝う |
漢字四文字の賀詞
賀詞 | 意味 |
謹賀新年 | 謹んで新年をお祝いいたします |
恭賀新年 | 恭しく新年をお祝いいたします |
謹賀新春 | 謹んで初春をお祝いいたします |
恭賀新春 | うやうやしく新春をお祝いいたします |
慶賀光春 | 輝かしい新年のお喜びを申し上げます |
敬頌新禧 | うやうやしく新年の喜びをお讃え申し上げます |
文章の賀詞
- あけましておめでとうございます
- 新年おめでとうございます
- 新春のお慶びを申し上げます
- 謹んで年頭の御祝詞を申し上げます
- 謹んで新春のお慶びを申し上げます
英語の賀詞
Happy New Year | 新年おめでとうございます |
New Year’s Greetings | 新年のご挨拶 |
bonne annee! | よいお年を! |
May the new year be filled with happiness | 今年もあなたに幸福がありますように |
賀詞は送る相手によって使い分ける
賀詞には1文字、2文字、4文字、文章とさまざまな種類がありますが、相手との関係性によって最適なものは異なります。目上の人には文章または4文字の賀詞を、対等か目下の相手には1文字または2文字の賀詞を使うのがマナーです。
年賀状で使ってはいけない表現・よくある間違い
年賀状には使ってはいけない表現や、間違った書き方があります。これらの表現を把握し、使ってしまわないように気をつけましょう。
書いてはいけない忌み言葉
年賀状をはじめとするお祝いの文書には、書いてはいけない忌み言葉があります。年賀状にはこれらの言葉を使わないようにし、間違って書いてしまっていないか、見直しもしましょう。
- 去
- 滅
- 絶
- 病
- 禍
- 倒
- 破
- 枯
- 衰 など
- 特に気をつけたいのが「去」で、年賀状に「去年は~」ではなく「旧年は~」と書くのは、忌み言葉を書かないようにするためです。「旧年」と書くべき部分に「去年」と書いてしまっていないか、重点的に見直しましょう。
よくある間違った書き方
年賀状によくある間違った書き方には、次のようなものがあります。
句読点を入れる
句読点は文章の切れ目、終わりを意味するものです。縁の切れ目や終わりを連想させるため、年賀状には入れません。
重複表現
たとえば「新年あけましておめでとうございます」という表現がありますが、これは厳密には重複表現です。あけましておめでとうございますは「新しく年が明けておめでとうございます」という意味であり、これに新年をつけると「新しい年」という意味の言葉が2つ入ってしまいます。
「一月一日元旦」も重複表現で、「元旦」は一月一日の朝を意味します。年賀状の末尾に書く日付は「令和5年元旦」「2023年1月1日」のようにしましょう。
年賀状に関するよくある質問
年賀状に関するよくある質問に、Q&A形式で答えていきます。年賀状に関する不安や疑問がある方はここで解決し、早めに準備を進めましょう。
年賀状はいつまでに投函する?
年賀状を元日に届けたいなら、12月25日までに投函するのがおすすめです(参考:2023(令和5)年用年賀はがきなどの発行および販売 │ 日本郵政)。
また、一般的に年賀状は1月7日までに届けば失礼にならないとされています。それまでに届けられないようなら、年賀状ではなく「寒中見舞い」として送るようにしましょう。
年賀状に普通のハガキは使ってもいい?
「旅先や雑貨店で見つけたオシャレなハガキで年賀状を出したい」という人もいるでしょう。このような普通のハガキを年賀状に使っても問題ありません。
このような普通のハガキ(私製ハガキ)を年賀状に使うときは、切手の下に赤く縦書きで「年賀」と、表面に「郵便はがき」または「POST CARD」と書きましょう。
「年賀」の記載がないと、郵便局から年賀状であると認識されず、年内に届いてしまうかもしれません。「郵便はがき」または「POST CARD」の記載がないと手紙扱いとなり、切手代が高くなってしまいます。
コロナ禍だからこその注意点は?
年賀状を書くうえでの、コロナ禍だからこその注意点が2つあります。1つはコロナ禍の「禍」は忌み言葉であり、年賀状に入れてはいけません。
もう1つは、年賀状の内容をなるべくポジティブにすることです。たとえば新型コロナウイルスに感染してしまい、そのことを書くとしても、「おうち時間を楽しめました」「今年こそは家族そろって会いにいけるよう 感染症対策に取り組んで参ります」のような表現が好ましいです。
旧姓の書き方とは?
年賀状で結婚報告をする場合、相手は自分の苗字が変わったことを知らないでしょう。新姓と旧姓の両方を書かなければ、誰からの年賀状かわからないかもしれません。
旧姓を書くときは、新姓で氏名を書いた左側に、(旧姓〇〇)と書きます。普段より1行多く書くことになるので、ハガキのスペースが足りなくならないよう気をつけましょう。
年賀状の書き方・マナー・投函時期を守って、気持ちよく新年を迎えよう
- 年賀状の書き方は相手との間柄で変わる
- 忌み言葉や句読点、重複表現を使わないよう気をつける
- 年賀状の投函は12月25日までに終わらせる
年賀状の書き方は、送る相手との間柄によって変わります。ビジネスシーンでは相手が目上か目下かで適した賀詞も変わるため、間違えないよう気をつけましょう。
年賀状を元日に届けてもらうには、12月25日までに投函しましょう。また、年賀状は1月7日までに届けば失礼にあたらないとされています。1月7日を過ぎてしまいそうなら、年賀状ではなく「寒中見舞い」として送りましょう。
本記事を参考に、お世話になっている人への年賀状を準備してみてはいかがでしょうか。
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