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稟議書とは?書き方・テンプレート・決済を通すための5つのポイントを解説

U-NOTE編集部

2022/12/09(最終更新日:2022/12/26)


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ビジネスパーソンであれば、誰もが一度は作るであろう「稟議書」。作成にも承認が下りるまでにも時間がかかるため、初めて作成する方は戸惑うことも多いのではないでしょうか。

今回はそんな稟議書について、意味や必要性、種類などを解説。書き方のポイントや決裁を通すために意識したい5つの点もご紹介しています。初めて稟議書を作る方や、稟議書の差し戻しが多くて困っているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • 稟議書の意味と必要性を理解しよう
  • スムーズな承認のために意識したい5つのポイント
  • 稟議書の基本的な書き方をマスターしよう

 

稟議書とは

「稟議書」とは、裁量権や決定権を持たない事項の承認を得るために作成する資料のことです。上層部の承認が必要な事項について、会議を開くことなく書面で決定を得られるのが特徴です。

稟議書は、複数の役職者からの承認が必要です。企業にもよりますが、直属の上司や課長・部長・役員などに稟議書の内容を確認してもらい、承認を得ます。

企業では、稟議書を回覧して承認を得る行為を「稟議をあげる・かける」といい、稟議が承認された状態のことを「稟議がおりる・通る」と表現します。

 

稟議書の必要性

稟議書の承認は複数人で行われるため、承認を得られるまでにある程度の時間がかかります。稟議書が廃止され個人の裁量権が広くなれば、業務のスピードがあがると考える方も多いでしょう。

しかし、日本の企業において稟議書による決定システムを採用することには、さまざまなメリットがあります。

例えば、企業に返済能力がないにもかかわらず、各従業員が個人で企業融資を決定してしまった場合、自社の被害や影響は甚大です。稟議書があればそうした事態を未然に防ぐことができます。

稟議書により情報共有が行われれば、上層部の承認を得るために会議を設定し、プレゼンを行う業務の手間も軽減可能。稟議書を通して関係各所の合意や総意も確認できます。さまざまな観点から考えても、稟議書は必要性の高い書類および認証システムであるといえます。

 

稟議書の種類

一口に稟議書といっても、いくつか種類があります。それが「契約稟議」「採用稟議」「購買稟議」です。所属部署や担当業務によって、作成する必要のある稟議書は異なります。必要な場合にすぐ作成できるよう、それぞれの稟議書の特徴と作る際のポイントを知っておきましょう。

 

契約稟議

「契約稟議」は、新規取引先との契約を結ぶ場合に作成する稟議書です。

企業間の契約では、大きな金額が動くことがほとんどです。なぜこの企業と契約を締結するのか、何に対してどの程度の費用が発生するのか、自社にどんなメリットがあるのか、リスクがあるとしたらどのようなことが考えられ、どのように対策をするのかなどを記載し、承認を得る必要があります。

 

採用稟議

「採用稟議」は、採用活動を行うときや採用決定時に作成する稟議書です。

新たに雇う従業員の雇用形態は問いません。アルバイト・パート・派遣社員・契約社員・正社員と、どの雇用形態であれ、採用稟議を作成して関係者の承認を得る必要があります。

採用稟議では、企業が求める人物像の採用になっているのかや採用条件や採用人数に問題がないかなどがチェックされます。

基本的に、稟議がおりるまではやや時間がかかります。しかし、採用稟議は契約稟議とは異なり、あまり長く時間をかけてしまうと人材がほかの企業への入社を検討する可能性が出てきてしまいます。

人材確保の面から、採用稟議はあまり時間をかけず、かつ不備がないように作成することが大切です。

 

購買稟議

「購買稟議」は、企業として備品を購入する際に作成する稟議書です。

企業によっては、日常的に使用する細かな備品は、稟議を通さずに購入できるとしているところもあります。複数人が新たに入社してくる場合の準備やパソコンの買い替えなど、大きな金額が動く場合には、購買稟議の作成が必要です。

購買稟議では、購入物の種類や数、具体的に何を買うのかなどを細かく記載します。何の目的で誰が使うために買うのかなど、承認の判断材料となる情報はすべて記入しましょう。

 

決済を通しやすくする稟議書の5つのポイント

稟議書は情報の過不足がないことに加えて、説得力のある内容になっているかやコストやメリット・デメリットが明確に書かれているかなどが、重要なポイントになってきます。決裁を通しやすくするために意識したい、5つのポイントを解説します。

決済を通しやすくする稟議書の5つのポイント

  • ポイント1.必要な項目を簡潔にまとめる
  • ポイント2.金額の根拠となる見積もりを取得しておく
  • ポイント3.決済者に伝わりやすい言葉を選ぶ
  • ポイント4.リスクを上回るメリットを伝える
  • ポイント5.事前に内容を伝え、根回しをしておく

 

ポイント1.必要な項目を簡潔にまとめる

決済を通しやすくする稟議書の1つ目のポイントは、「必要な項目を簡潔にまとめる」ことです。

稟議書を作成するのに収集したデータは、すべて記載する必要はありません。承認者が内容を理解しやすいように、情報を取捨選択し、簡潔にまとめることを意識しましょう。

必ずしも長文である必要はありません。箇条書き・ナンバリングなども活用し、一見した際のわかりやすさを心掛けてみてください。目的・理由・手段に分けると、見やすい稟議書を作成できます。

 

ポイント2.金額の根拠となる見積もりを取得しておく

決済を通しやすくする稟議書の2つ目のポイントは、「金額の根拠となる見積もりを取得しておく」ことです。

多くの企業は、期のはじめに当期の予算を決定しています。稟議による承認が必要な案件の予算は含まれていないため、来年度以降で予算の調整をする必要が出てきます。

そのため稟議書には、かかるコストを明確に記載しなければなりません。稟議申請後に変動がある状態では、企業側は申請を通すことができません。

稟議書を作成する際は、金額の根拠となる見積もり書を確実に用意しておきましょう。求められた場合にすぐ資料を共有できれば、決裁者は納得して稟議を承認することができます。

また、見積もりの金額が妥当であるのかは、相見積もりを取って検討することもおすすめです。2〜3社程度から見積もりを取り、金額と条件を検討して、相場の金額を把握しましょう。

 

ポイント3.決済者に伝わりやすい言葉を選ぶ

決済を通しやすくする稟議書の3つ目のポイントは、「決裁者に伝わりやすい言葉を選ぶ」ことです。

稟議書の決裁者が必ずしも、社内のすべての業務を把握しているとは限りません。特に専門的な用語が多い部署の稟議書は、他部署に所属する承認者にとって内容が伝わりにくい場合が多々あります。

稟議書は、社内の誰が読んでもわかるような言葉を選んで作成するのが基本。完成させたら専門用語やわかりにくい箇所がないか、十分に確認してから稟議書を申請しましょう。

 

ポイント4.リスクを上回るメリットを伝える

決済を通しやすくする稟議書の4つ目のポイントは、「リスクを上回るメリットを伝える」ことです。

稟議書には、メリットとデメリットを漏れなく記載する必要があります。承認しやすいようにとメリットだけ書くと、稟議書を確認した際にデメリットについて突っ込まれかねません。

差し戻しになり、より稟議書を通すのに時間がかかってしまいますし、承認者から冷静な判断ができていないと思われかねません。メリットとデメリットはなるべくすべて記載し、その上でリスクを上回るメリットがあると伝わる書き方を工夫しましょう。

メリットは、具体的な数字やデータなどを用いると説得力が増します。 承認者が判断しやすいよう、定量的な内容になるよう心掛けましょう。

 

ポイント5.事前に内容を伝え、根回しをしておく

決済を通しやすくする稟議書の5つ目のポイントは、「事前に内容を伝え、根回しをしておく」ことです。

事前に知らされていない稟議書が申請されてくると、承認者はリスクがあるのではないかと警戒します。稟議書の内容に不備がなくても却下される可能性があるので、申請する前に内容を伝え、根回しをしておきましょう。

根回しは難しく考える必要はありません。「今行っているプロジェクトで稟議を上げると思います」「今度◯◯についての稟議を回しますね」など大まかでも良いので、承認者に稟議書の内容を伝え、提出目処なども共有します。根回しはできるだけ口頭で行うのがベストです。

 

稟議書の基本的な書き方・必要な項目

稟議書には基本的な書き方というものがあります。必要な項目は、「購買稟議」「契約稟議」「採用稟議」とどの種類の稟議でも同様。意識したいのは、簡潔かつわかりやすく、そして具体的に書くことです。3つのポイントを押さえつつ、稟議書の基本的な書き方を覚えましょう。

 

タイトル

まずは稟議書のタイトルを決めます。大切なのは、内容を想像できるタイトルになっているかどうかです。

例えば、「業務効率化に必要な会計ソフト導入について」「新卒社員の入社に伴う備品の購入について」などが考えられます。簡潔かつわかりやすいタイトルを付けましょう。

 

起案者の名前・起案日

次に、起案者の名前と起案日を記載します。書き漏らしてしまうと、決裁者は「いつ」「誰が」起案したものなのかが分からず、承認することができません。申請前には必ず確認するようにしましょう。

 

購入の目的

購入の目的は、なるべく具体的に書きます。例えば、「4月に入社する新入社員の業務に必要なため」「◯◯の作業を効率化するため」などの書き方が考えられます。

決裁者に「これは購入する必要がある」と思ってもらうために、どう書いたら良いのかを意識しましょう。

 

使用用途や、必要な具体的な理由(背景・経緯)

購入の目的とは別に、購入後の使用用途や購買しなければならない具体的な理由もきちんと記載します。

物品が複数におよぶ場合は、物品ごとに使用用途を書き出しても良いでしょう。また、必要な具体的な理由では、購入の判断に至った背景や経緯の説明と共に、メリット・デメリットも書き出します。

決裁者が安心して承認できるよう、裏付けとなるデータやリスクも検討した上での稟議であることを簡潔にまとめます。

 

予算の目安

最後に予算の目安を書きます。見積書が手元にある場合はその内容を元に費用を記載し、明確な予算が決定していない場合は、できるだけ承認後の差が出ないよう具体的なコストを書きましょう。

すでに今年度の予算に組み込まれている稟議なのであれば、その旨を記載しておくと承認がおりやすくなります。

 

稟議書のテンプレート・フォーマット

稟議書は、企業ごとにテンプレートやフォーマットが用意されています。従業員が一から作成する必要がないため、非常に便利です。どんなタイプの稟議書でも使えるよう、汎用性の高いテンプレート・フォーマットを用意しておきましょう。

件名:
申請者:
申請日:
内容:
目的(成果予測):
費用:
添付資料:
特記事項
決裁日:
決裁者のコメント:

 

稟議書の書き方・例文

稟議書の書き方は、何を目的とした稟議書なのかによって多少違いがあります。稟議書のなかでも作成する機会の多い「接待交際費」「物品購入・備品購入」「システム導入」の3つに絞り、それぞれ書き方のポイントと例文を説明します。

 

接待交際費

「接待交際費」の稟議書を書く場合は、接待先の企業名・相手に加えて、接待理由や接待日時、当日の支払い方法などを細かくかつ具体的に記載します。予算は、予約しているコースや手土産代などの内訳も忘れないようにしましょう。

件名:プロジェクト結果報告および慰労会
申請者:◯◯部 ◯◯(氏名)
申請日:2022年11月25日(金)
接待目的:◯月◯日〜◯月◯日まで実施していた「プロジェクト名」の結果報告および慰労会を株式会社◯◯の関係者と実施予定。今後も良好な関係を続けていくための食事会とする予定です。

株式会社◯◯からの参加者:◯◯様、◯◯様、◯◯様
当社からの参加者:◯◯、◯◯、◯◯

実施日時:2022年12月16日(金)20時〜22時
実施場所:◯◯(店名)

接待予算:70,000円
内訳:1万円コース×6名分、手土産代1万円
支払い方法:現地にて現金支払い

 

物品購入・備品購入

「物品購入」や「備品購入」の稟議書は、複数あるタイプのなかでもっとも作成する機会の多い稟議書です。稟議をスムーズに通すには、見積書や導入までの経緯をまとめた資料などを添付しておくと良いでしょう。

件名:開発用パソコンの新規購入について
申請者:◯◯部 ◯◯(氏名)
申請日:2022年6月17日
購入理由(成果予測):業務拡大による人員増加に伴い開発環境に必要な機器が不足しているため。機能性に優れたパソコンの導入により、開発スピードの向上が期待できる。
費用:◯◯円
添付資料:見積書、人員計画資料

 

システム導入

「システム導入」の稟議書は、導入前後でどのようなメリットがあるのかを説明すると決裁者も納得して承認することができます。

件名:経費精算システム導入の件について
申請者:◯◯部 ◯◯(氏名)
申請日:2022年10月9日
導入理由(成果予測):全部署を対象にしたアンケートの結果によれば、月末の経費精算業務に多くの従業員が1時間弱ほど時間を要していることがわかりました。Web上での申請が可能な経費精算システムの導入は、本来取り組むべき業務のための時間確保が目的です。
費用:月額◯◯円
添付資料:見積書

 

稟議書の保管期間

企業で扱うさまざまな書類には、保存年限が定められています。例えば、人事・労務部で扱う雇用保険に関する書類の保管期間は2年保存。株主総会議事録は10年が保存期限です。

実は、稟議書には期限が定められていません。ただし、定款や株主名簿、登記済証などと同じく重要な書類のひとつであるため、永久保存が望ましいとされています。

 

稟議書はクラウド・電子化を検討すると効率的

稟議書は年々数が増え続けるため、保存場所の確保や管理コストがかかります。書類の数が多いと探すのも大変になるため、クラウド・電子化すると効率的に見つけられます。稟議書を紛失したり、改竄・漏洩されたりするリスクも減らせるのがメリットです。

ただし、紙を電子化し管理するだけでは業務効率化には不十分です。稟議書のワークフローシステムを導入できるクラウドサービスを使うのがおすすめ。Web上で申請・承認・決裁ができるので、稟議フローそのものをデジタル化可能です。

稟議書の電子化にあわせて、フローそのものを変えることも検討してみましょう。

 

稟議を確実に通すためのポイントをおさえよう

本記事のまとめ
  • 稟議書は、企業のリスクを未然に防ぐために重要なシステム
  • 汎用性の高いフォーマットを用意しておくと、作成の手間が省ける
  • 稟議書を確実に通すには、簡潔かつわかりやすい内容になっていることが大切

稟議書は通るまでに時間がかかるのが留意点。これで大丈夫だと思っても、意外と差し戻しが頻繁に起きてしまいます。大切なのは、決裁者にとってわかりやすい内容やメリットや必要性を感じやすい書き方になっているかどうかです。

本記事の内容を参考に、差し戻しがないようにポイントを押さえて作成することを意識してみてください。

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