HOMEビジネス ソーシャルスタイル理論とは?活かし方と、4つのタイプごとの実践方法

ソーシャルスタイル理論とは?活かし方と、4つのタイプごとの実践方法

U-NOTE編集部

2022/11/11(最終更新日:2022/11/11)


このエントリーをはてなブックマークに追加

ソーシャルスタイル理論とは、人の言動や傾向・特性を4つに大別するコミュニケーション理論です。自他の傾向・特性を把握することで、円滑なコミュニケーションが取りやすくなるとして注目されています。

本記事ではソーシャルスタイル理論の活用方法や、スタイルごとのコミュニケーションのコツを解説します。自他のスタイルを知り、コミュニティづくりに活かしましょう。

本記事の内容をざっくり説明
  • ソーシャルスタイル理論の概要と注目される背景
  • ソーシャルスタイル理論を公私の生活に活かす方法
  • タイプ別の傾向・特性と、各スタイルとの接し方

 

ソーシャルスタイル理論とは

ソーシャルスタイル理論とは、発言や感情表現の方法などの傾向により、人の言動や特性を4つに分類するコミュニケーション理論です。

人の言動をタイプ別に分けることで、自分の特性を知り、ほかのタイプとのコミュニケーションを円滑に進めやすくなります。1968年に、アメリカの産業心理学者のデビット・メリル氏が提唱しました。

 

注目される背景

ソーシャルスタイル理論が注目される背景には、社会の変化により一人の人が接する相手が増えたことがあるでしょう。私たちは公私にかかわらず、毎日多くの人と接しています。

ビジネスの世界では、たとえば接客業やコールセンターなどの仕事で、毎日異なる相手とコミュニケーションを取らなければなりません。このような仕事でなくとも、終身雇用の崩壊やフリーランスの台頭などにより人材の流動性は高まり、直接接する人数は増えています。

プライベートな生活でも、インターネットの普及や交通手段の発達により接する人数は増えました。価値観の多様化やジェンダーフリーにより、友人関係はもちろん、家庭というコミュニティの多様性も高まりました。

異なる価値観・特性の相手とスムーズにコミュニケーションを取ることの重要性は高まっているにもかかわらず、その難易度も上がっているのです。

この「コミュニケーションの難しさ」を解決するひとつの手段として、人の特性を4つに大別し、パターン化するソーシャルスタイル理論が注目されています。

 

ソーシャルスタイルを人間関係に活かすには?

ソーシャルスタイル理論を人間関係に活かすには、自分と相手のスタイルを知り、それに合ったコミュニケーションを取りましょう。ソーシャルスタイルを活用して人間関係をつくる流れを、3ステップに分けて解説します。

 

STEP1.自分のスタイルを知る

ソーシャルスタイル理論を活用するなら、まずは自分のスタイルを知りましょう。自分のことを深く理解することには、相性のいい相手・悪い相手を見極めたり、精神が安定したりといったメリットがあります。

自分のスタイルを知るには、「ソーシャルスタイル診断」をしましょう。ソーシャルスタイル診断は下記のようなWebサイトで、無料で行えます。

>>WOWOWコミュニケーションズ「ソーシャルスタイル診断」 

 

STEP2.相手のスタイルを知る

自分のスタイルだけわかっていても、相手のスタイルを知らなければ、それに合ったコミュニケーションは取れません。

ただ、新しい人と知り合うたびに、相手にソーシャルスタイル診断を受けてもらうわけにもいかないでしょう。ソーシャルスタイルの4つのタイプにはそれぞれ特徴があります。それを覚え、「この人はたぶん、このタイプだな」とアタリをつけられるようにしておきましょう。


相手のスタイルを推量するとき、まずは「自分から発言することが多いか」「感情が表に出やすいか」をチェックします。


それぞれ以下のように分類されます。

  • 周りの発言を待つ+感情が表に出にくい:アナリティカル
  • 自分から発言する+感情が表に出にくい:ドライビング(ドライバー)
  • 周りの発言を待つ+感情が表に出やすい:エミアブル
  • 自分から発言する+感情が表に出やすい:エクスプレッシブ

 

STEP3.相手のスタイルに合わせたコミュニケーションを取る

自分と相手のスタイルがわかったら、相手のタイプに合わせたコミュニケーションを取ってみましょう。円滑なコミュニケーションを目指すなら、自分ではなく、相手のスタイルやルールを優先します。

ただ、自分のスタイルを知っておくことで「そのタイプのよくあるミス」に気をつけたり、「相性のいいタイプ」を見極めやすくなったりします。

 

4つのソーシャルスタイル

ソーシャルスタイルには次の4種類があります。ここからは、各スタイルの傾向と特徴、ほかのタイプとコミュニケーションを取るコツを解説します。

  • アナリティカル:感情表現や主張が控えめな分析タイプ
  • ドライバー:意見は主張できるが、感情は抑えやすい
  • エミアブル:協調性が高く、自分より全体を優先する
  • エクスプレッシブ:感情表現が大きく、人間関係を重視する

 

分析型のソーシャルスタイル「アナリティカル」

分析型のソーシャルスタイル「アナリティカル」には職人気質、研究者気質な人も多いです。考えたり決断を下したりするときはデータを重視し、矛盾やあいまいな部分などの気になる点は、徹底的に追求する傾向にあります。

 

傾向・特性

アナリティカルには次のような傾向・特性があります。

分析型
粘り強い
主張や感情表現が控えめ
データや論理を重視する
慎重で、計画や決断に時間をかける

 

各タイプとのコミュニケーション方法

対ドライバー

ドライバーもデータや論理を重視するタイプであるため、相性はいいです。ただ、じっくり考えることが多いアナリティカルに対し、ドライバーは行動派で発言のスピードも早いです。議論の中で気になる部分があったらメモしておくか、その場で質問するといいでしょう。

 

対エクスプレッシブ

分析型のアナリティカルは、感情派のエクスプレッシブとは対極の位置にいます。議論をするときは相手の気持ちを大切にしながら、矛盾点や根拠の弱い部分をさりげなく指摘し、思考をサポートしてあげるといいかもしれません。

 

対エミアブル

エミアブルには結論や選択肢を示すのが苦手な人も多く、議論の際にこれらを求めると、相手が困ってしまうかもしれません。

ただ、エミアブルは共感力が高く、人の話をしっかり聞いてくれます。意見を求めるよりも、自分の考えを整理するために壁打ちの相手になってもらうといいかもしれません。

 

実行型のソーシャルスタイル「ドライバー」

実行型のソーシャルスタイル「ドライバー」は成果主義で、意見をしっかり主張できます。しかし、成果にこだわるあまり自分の感情を抑えてしまう傾向もあります。

 

傾向・特性

ドライバーには次のような傾向・特性があります。

  • 合理的
  • 成果主義
  • 行動派
  • 決断が早い
  • 上昇志向
  • 独立心や競争心が強い
  • 論理やデータを重視

 

各タイプとのコミュニケーション方法

対エクスプレッシブ

ドライバーもエクスプレッシブも発言が多いタイプなため、活発な議論ができそうです。ただし、成果重視のドライバーに対し、エクスプレッシブは感情に重きを置きます。相手の意見が間違っている、自分に合わないと思っても、ひとまずは受け止めてあげることが大切です。

 

対エミアブル

協調性が高く全体の調和を大切にするエミアブルタイプは、人からの頼みを断るのが苦手な傾向にあります。心の底では「それは違う」「断りたい」と思っていても、相手の意見や頼みを仕方なく受け入れてしまうかもしれません。エミアブルとのコミュニケーションでは、相手の意見や気持ちを、特に慎重に推し量るべきでしょう。

 

対アナリティカル

分析型のアナリティカルは、成果主義のドライバーにとっていいサポート役になってくれるかもしれません。ドライバーと同じく論理を重視する傾向にあるため、議論もしやすいでしょう。ただし、アナリティカルには慎重な人が多いため、結論を急ぎすぎてはいけません。

 

協調型のソーシャルスタイル「エミアブル」

協調型のソーシャルスタイル「エミアブル」は共感力が高く、全体の調和を大切にします。メンバー間の対立や衝突を避ける傾向にあるため、ファシリテーターにも向いているでしょう。

ただし、人の頼みを断れないところがあります。自分のキャパシティを把握し、できることとできないことを区別しておきましょう。

 

傾向・特性

エミアブルには次のような傾向・特性があります。

  • 協調性が高い
  • 共感力が高い
  • 依存心が高い
  • 協力的で世話好き
  • 人間関係を大切にする

 

各タイプとのコミュニケーション方法

対ドライバー

成果主義で行動派なドライバーは話すペースが早く、意見を押し付けられているように感じるかもしれません。仕事を頼まれることも多く、キャパシティオーバーになってしまうこともあるでしょう。

しかし、相手に悪気はありません。ドライバーと一緒に仕事をするときは、「断るべきときは断る」と、強めに意識しておきましょう。

 

対エクスプレッシブ

感情派で積極的に発言するエミアブルとは、コミュニケーションが取りやすいはず。話を聞いて相手が喜んでくれれば、世話好きなエミアブルとしても嬉しいでしょう。

ただし、エミアブルは依存心が強い傾向にあります。相手に依存したり、何でもかんでも受け入れてしまったりしないよう気をつけましょう。

 

対アナリティカル

分析型のアナリティカルは発言するのも慎重で、口数が少ないかもしれません。難しい顔をしている、黙っているからといって怒っているわけではないと、頭に入れておきましょう。

相手が判断に迷っているときは、自分の意見や新たな選択肢を示さなくとも、壁打ちの相手になってあげるだけでも十分です。

 

直感型のソーシャルスタイル「エクスプレッシブ」

直感型のソーシャルスタイル「エクスプレッシブ」は社交性も独創性も高く、クリエイティブな人が多いです。しかし、直感的で慎重さに欠けるところ、予定にルーズなところもあります。一人で突っ走ってしまったり、周囲から浮いてしまったりしないよう気をつけましょう。

 

傾向・特性

エクスプレッシブには次のような傾向・特性があります。

  • 直感的
  • 感情派
  • 承認欲求が高い
  • 自分の気持ちに素直
  • 話すことが好き
  • ひとつのことに熱中しやすい

 

各タイプとのコミュニケーション方法

対ドライバー

エクスプレッシブもドライバーも発言が多いため、議論や会話は弾みやすいでしょう。ただし、感情重視のエクスプレッシブに対して、ドライバーは成果主義で合理的です。相手の意見が正しいと頭では理解できても、感情的に納得できないこともあるかもしれません。

幸い、ドライバーは論理やデータを重視するタイプです。納得できない部分について説明してもらうことで、感情的にも相手の意見を受け入れられるかもしれません。

 

対エミアブル

協調性が高く親しみやすいエミアブルとは、気持ちよくコミュニケーションが取れるでしょう。相手の主張や気持ちを受け入れてくれる傾向にあるため、感情派のエクスプレッシブとは相性がいいです。

ただ、エミアブルが気持ちを押さえ込んでしまうことがないよう、相手の様子をよく見て、こちらも積極的に話を聞くようにしましょう。

 

対アナリティカル

分析型で控えめなアナリティカルとは、コミュニケーションが少し取りづらいかもしれません。アナリティカルは黙って考えを整理することが多いです。沈黙が多いからといって話を聞いていない、自分に興味がないというわけではありません。相手の発言を待ってあげましょう。

 

自分と所属するコミュニティのソーシャルスタイルを知り、関係づくりに活かしてみよう

本記事のまとめ
  • 自他のソーシャルスタイルを知ることで、コミュニケーションが取りやすくなる
  • 自分のスタイル(傾向・特性)を理解するだけで、精神的な安心が得られることも
  • 相手の傾向・特性を理解し、それを尊重したコミュニケーションを取ろう

人の傾向・特性を4つに分けるソーシャルスタイル理論は、人間関係が多様で複雑になった現代において、コミュニケーションの道しるべとなります。

自他の特性を知ることで、「あの人は私の話をあまり聞いてくれないように感じていたけど、それは自分の意見を話すことに一所懸命なところがあるからなんだな」「あの人は口数が少なく接しづらく感じていたけど、黙っているときは考えを整理しているんだな」といったことがわかり、気持ちが楽になるかもしれません。

本記事を参考に、自分や関わる人のソーシャルスタイルを把握し、関係の構築やコミュニケーション方法を検討することに役立ててみてはいかがでしょうか。


hatenaはてブ