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日本のアプリなのにベトナム語のFAQ? 在留ベトナム人はなぜカウシェを使うのか

U-NOTE編集部

2022/10/20(最終更新日:2022/10/20)


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在留ベトナム人の利用が増えたので、ベトナム人向けの商品も充実させベトナム語のFAQまで作ってしまったーそんなまさかの展開をしているシェア買いアプリ「カウシェ」。株式会社カウシェの取締役CPOの深谷哲史氏にその背景について話を伺いました。

インタビュー前半はこちら

在留ベトナム人がカウシェで増加

ベトナム語を使用するお客様の増加により、2022年3月にはベトナム語のFAQをリリース

-----なぜ、在留ベトナム人がよくカウシェを使うようになったのでしょうか?

深谷:商品説明はすべて日本語表記ですが、日本に住むベトナム人がベトナム語でSNSに拡散したことで、ベトナム人コミュニティーに一気に広がったのだと思います。

-----現段階でベトナム人のユーザー数はどれくらいでしょうか?

深谷:2022年9月時点のベトナム人お客様は約8万5千人、カウシェ全体のダウンロード数も100万人を超えています。日本に住んでいるベトナム人の数が約43万人なので、そのうち20%の方が使っていることになります。

-----他の国の人々よりベトナム人比率が多いことをどのように分析していますか?

深谷:カウシェの商品と嗜好性がマッチする人が多かったのだろうと分析しています。当社では食料品、日用品、家電、美容コスメを取り扱っていますが、その中でも食品がマッチ。

日本に住む外国人のマーケットとしては在留中国人の方が大きいのですが、中国は地域によって食文化が異なる。一方でベトナムは地域による差異が少ないため、一気にコミュニティで広がったのではと推測しています。実際にカウシェではベトナム料理で使われるような調味料の購入者が多い傾向があります。

-----日本のどの地域からの利用が多いのでしょうか?

深谷:購入データを見ると居住地域がバラバラで、遠方の人同士でシェア買いしていることが分かります。カウシェによって知らない人同士の繋がりが構築されていて、嗜好性が近い人たちがLINEのオープンチャットなどを通してやり取りしているのでしょう。知り合いから始まって、徐々に知らない人同士のシェアが広がっているイメージです。

-----今はベトナム人向けの商品も積極的に扱っていると聞いたのですが。

深谷:当初は、特定の国にフォーカスしていたわけではありませんが、以前から在留ベトナム人の方々に果物が好評で、SNSを通して拡散されていました。

カウシェに出店中のパートナー事業者の中には、みかんを一千万円以上ベトナムの方に売り上げたという方もいらっしゃいます。その後、ベトナム人のニーズを調べたところ、日本ではベトナム料理に使う食材や調味料が入手困難であることを知りました。

ベトナム料理に使う食品の取扱業者と契約を結んで出品し、そこから全国の在留ベトナム人のお客様に広がってさらに購入者が増えたという流れです。

言語や文化の違いに対応したカスタマーサポートを構築

-----言語や文化の違うユーザーが増えたことで、どのような工夫をしましたか?

深谷:カウシェは商品のリンクをシェアすることで、シェアした人もされた人もお得に買い物ができるアプリです。

シェアする際に、TwitterやInstagram以外にもLINEのオープンチャットが人気なのですが、ベトナム人のお客様が増えたことで、LINEのオープンチャットが日本語とベトナム語で混線するようになり多くのお客様が混乱するのでは、という恐れがありました。

その反省を踏まえて、まずはLINEのチャットを日本語とベトナム語に分けました。

カスタマーサポートも日本語だけでは対応しきれなくなったので、ベトナム語でFAQやガイドを作成しました。お客様が自分で問題を解決できる仕組みを作ったことで、問い合わせの件数が減少しました。

-----公式オープンチャットのベトナム語版を作ったのですね。通常は社内でFAQまで作ろうという機運にはならないと思いますが、そのようなことに対して感度が高いスタッフがいらっしゃったのでしょうか?

深谷:スタッフ全員が国籍に関係なくお客様を大事にしています。「お客様にとって価値があることをやる」という発想から、FAQを作ろう、という声が自然にあがりました。

深谷哲史氏/提供:株式会社カウシェ

著者プロフィール

深谷哲史
株式会社カウシェ
取締役CPO

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。2014年にDeNAに新卒入社。マンガボックスの収益化に貢献。2018年6月にメルカリに入社、iOSテックリードとしてメルペイの立ち上げを行う。2020年7月よりカウシェに参画。これまでのPM経験やテックリードとしての知見を活かし、プロダクト戦略を担当。


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