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ラポール形成とは?3原則や5つのテクニック、活用シーンを紹介

U-NOTE編集部

2022/10/14(最終更新日:2022/10/14)


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ビジネスシーンや日常生活で人間関係で悩んでいる人は少なくありません。

良好な人間関係を築くためのコツとして「ラポール形成」を意識する方法があります。本記事では、ラポール形成の意味や原理、テクニックなどをご紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • ラポール形成とは?活用できるタイミング
  • ラポール形成の3原理
  • ラポールを築くための5つのテクニックや、ポイント

 

ラポール形成とは

ラポール形成とは、信頼関係を結ぶことを指します。

ラポールとは、フランス語で「架け橋」を意味する心理学で使用される用語です。「心の架け橋」を作り、相手が居心地のいい状態を作れていたら「ラポール」が形成できていると言えるでしょう。

 

ラポール形成が重視される・活用できるシーン

もともとカウンセリングなどで使用されていた「ラポール形成」という言葉ですが、最近はビジネスシーンでも重視されるようになりました。

信頼関係を築くことが重視される現代では、あらゆるシーンでラポール形成が注目されています。

以下では、ラポール形成が重視されるシーンをご紹介します。

 

ビジネス・営業

ビジネスシーンや営業職は、顧客との信頼関係が大切です。

信頼関係を作るためには、誠実な態度を行動に移すことも大事ですが、ラポール形成することも大切です。

「〇〇さんがおすすめしているからこの商品を買いたい」と思わせられるように、ラポールを築くことを意識してみてましょう。

 

恋愛

恋愛においても信頼関係を作ることは大切です。

ラポールを築けなければ、「相手が浮気しているかも知れない」と無駄に疑ってしまい関係が悪化することも。

お互いを深く信頼しあうためにも、また相手に好きになってもらうためにも、ラポール形成を意識しましょう。

 

看護・福祉

看護や福祉業界では、患者さんとのラポールが重要視されています。

ラポール形成ができていると、患者さんは素直に自身の悩みや苦痛などを伝えてくれます。結果的に病気の早期発見ができたり、よりよい治療が見つかることもあるでしょう。

医療現場は常に忙しく、患者さんとの信頼関係を結ぶ余裕がないかもしれません。しかし、患者さんに心を落ち着ける場所を提供するためにも、ラポール形成を意識しましょう。

 

カウンセリング

ラポールという言葉は、そもそもカウンセリングで使用されていた言葉です。

カウンセリングの場でも、より深い信頼関係を築くことが大切です。信頼できていない相手に対して、悩みを本音で語ることは難しいものです。カウンセリングで相手の悩みを改善するためには、相手の心の深いところまで教えてもらえるようなラポールを形成する必要があります。

 

ラポール形成の3原理

ラポール形成するためには、「肯定と尊重」「行動の類似性と同調」「ペーシングとリーディング」の3つの原理を守る必要があります。

それぞれの詳細について確認していきましょう。

 

原則1.肯定と尊重

ラポール形成の1つ目の原理は、肯定と尊重です。

「相手を思うがままに操りたい」という邪な気持ちでは真のラポールは形成されません。

偽りではないラポールを形成するためには、相手を心から尊敬し肯定することが大切です。

自分が大切だと思っていることを捻じ曲げるのではなく、自分の価値観と同様に相手の価値観も尊重することから始めましょう。

 

原則2.行動の類似性と同調

ラポール形成の2つ目の原理は、行動の類似性と同調です。

趣味が同じな人に安心する人が多いように、人間は、自分の価値観に似ている人を無意識に信頼する傾向があります。

相手との会話の中で、似た属性を見つけ「自分はあなたと同類である」とアピールできれば、ラポールは形成しやすくなるでしょう。

 

原則3.ペーシングとリーディング

ラポール形成の3つ目の原理は、ペーシングとリーディングです。

ペーシングとは相手のペースに合わせることを言い、リーディングは会話をリードすることを言います。

コミュニケーションは相手とのキャッチボール。自分勝手に会話をするのではなく、相手がいることを意識して話すことでラポールを築きやすくなるでしょう。

 

ラポールを築くための5つのテクニック

具体的にラポールを築くための方法を知りたいという人も多いのではないでしょうか。

以下では、ラポールを築くためのテクニックをご紹介します。日常生活やビジネスなどで活用してみてはいかがでしょうか。

 

1.キャリブレーション

ラポールを築くための1つ目のテクニックは「キャリブレーション」です。

キャリブレーションとは、相手の発言ではなく表情や顔色、声のトーンなどの視覚情報や聴覚情報を観察し、相手の心理状態を見抜くことをいいます。

相手の発言とノンバーバルコミュニケーションが矛盾している際に、適切な言葉をかけてあげると信頼してもらえやすくなります。

例えば、「顔色が悪い」けれど「大丈夫」と言っている人に、「疲れているようだから少し休憩してきたら?」「何か手伝えることがありますか?」などと声をかけてあげるだけで信頼関係が結びやすくなるでしょう。

また、キャリブレーションを行うことで、次に紹介する「ミラーリング」「マッチング」などのテクニックを行いやすくなるメリットがあります。

 

2.ミラーリング

ラポールを築くための2つ目のテクニックは「ミラーリング」です。

ミラーリングとは鏡のように、相手の行動を鏡のように真似ることをいいます。

例えば、相手が足を組んでいたら自分も足を組んだり、相手がお茶に手を付けたらお茶を飲んだりなどがあります。

信頼関係が築けている人と行動していると、行動が似てくると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ミラーリングはそれを応用したもので、行動が似ていることで無意識に安心感を与えます。

ただし、ミラーリングをやりすぎてしまうと、「真似をしている」と思わせてしまうため相手に意識されない程度に注意して使用しましょう。

 

3​​.マッチング

ラポールを築くための3つ目のテクニックは「マッチング」です。

マッチングは、相手の話しているペースや声の大きさなどに合わせて話すことをいいます。

例えば、相手がゆっくりと話す人ならゆっくり話すことを心がけてみることをおすすめします。

マッチングは、直接対面していない電話相手にも使えるテクニック。汎用性が高く簡単にできるので、試してみてはいかがでしょうか。

 

4​​.ペーシング

ラポールを築くための4つ目のテクニックは「ペーシング」です。

ペーシングとは、コミュニケーションを取るときに「ペース」を合わせることをいいます。

マッチングのように会話のペースだけではなく、呼吸やテンションのペースも観察し合わせるといいでしょう。

ペーシングをすることで、会話に一体感が生まれ「自然と安心できる状態」を形成できます。

 

5.バックトラッキング(オウム返し)

ラポールを築くための5つ目のテクニックは「バックトラッキング」です。

バックトラッキングとは、別名「オウム返し」とも言います。

例えば「最近、料理にハマっているんだよね」と相手に言われたとき「そうなんだ」と相づちを打つよりも「◯◯ちゃんは、料理にハマっているんだ!」と答えたほうがラポールを築きやすいです。

相手の言葉をそのまま使うことで、相手との使用語彙と同じことがアピールでき無意識に「似ている存在」であることがアピールできます。話の内容を聞いていることもアピールできるので、さり気なく使ってみてはいかがでしょうか。

 

ラポール形成を行う際の5つのポイント

テクニックを使うだけで、ラポール形成ができるわけではありません。

以下では、ラポール形成を行う際の5つのポイントをご紹介します。テクニック以前の、相手との向き合い方を見直してみてはいかがでしょうか。

 

ポイント1.相手の話を否定しない

ラポール形成を行う際の1つ目のポイントは、相手の話を否定しないことです。

相手の発言が明らかに間違っている場合でも、「それは的を得ていないよ」と伝えられると相手は嫌な気持ちになってしまいます。

相手の話が間違っていると思っても、一度は受け止めてみましょう。

例えば「〇〇さんはXXだと思っているんだね」とバックトラッキングの技術を使い、相手の発言を受け止めます。その上で「私はXXだと思うのだけれど、どうかな?」と相手にも考えるゆとりをもたせてみるといいでしょう。

 

ポイント2.突然本題に入らない

ラポール形成を行う際の2つ目のポイントは、突然本題に入らないことです。

信頼関係ができていない相手から「この商品がおすすめです!」と営業されると、一歩引いてしまう人も多いでしょう。

まずは、相手との信頼関係を築くために、相手が興味を持っていることや、とりとめのない会話から始めることをおすすめします。

 

ポイント3.相手を心から尊重する

ラポール形成を行う際の3つ目のポイントは、相手を心から尊重することです。

ラポール形成の3原則でもある「尊重」は簡単にできることではありません。相手を尊重したいと思っても、尊重できる場所がないように感じる人もいるのではないでしょうか。

「相手は間違っている」と下に見る態度は、間違いなく相手に伝わっています。

まずは、「相手は相手なりの信念と考え方がある」と意識し直し、対等な関係になることを大切にしましょう。相手に自分にはない特徴を見つけて、本心から尊重するようになることが、ラポールを築くための第一歩となります。

 

ポイント4.相手が重視しているポイントを把握して合わせる

ラポール形成を行う際の4つ目のポイントは、相手が重視しているポイントを把握して合わせることです。

自分の価値観と相手の価値観は必ず異なります。例えば、「仕事」と「私生活」のバランスに対する価値観は社会人の中でも差異があるでしょう。

自分と違う価値観であっても否定せず受け入れることで、「気が合う人」と認識されることも。また、相手が大切だと考えている話を振ることで、ラポールを形成しやすくなるでしょう。

 

ポイント5.テクニックを多用しない

ラポール形成を行う際の5つ目のポイントは、テクニックを多用しないことです。

テクニックはラポールを築きやすくするものですが、真心が伴っていなければ信頼関係は築けません。

また、「ミラーリング」のように認知度が高いテクニックを多用してしまうと、「これはミラーリングだな」「マネをされているようで不快だ」と相手に見抜かれてしまう可能性があります。「テクニックを使って信頼関係を作ろうとしている」と逆に相手から信頼されない原因になる可能性があるため、テクニックを多用するのは避けておきましょう。

 

ラポール形成は初期の段階が重要

本記事のまとめ
  • ラポール形成とは信頼関係を築くことを言う
  • ミラーリングやマッチングなどのテクニックを使うとラポールを形成しやすくなる
  • テクニックだけではなく相手の話を否定せず尊重することが大切

ラポール形成をするためには、小手先のテクニックだけではなく相手を尊重する気持ちが大切です。また、相手の話を初めから否定しないことも注意しておきましょう。

本記事を参考に、ラポールを形成し、良好な人間関係を築いてみてはいかがでしょうか。
 


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