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ワーキングプアとは?年収や原因、日本における実態などを紹介

U-NOTE編集部

2022/10/31(最終更新日:2022/10/31)


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働く貧困層とも呼ばれる「ワーキングプア」。言葉は聞いたことがあっても、詳細についてはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、現在注目されているワーキングプアの意味や、ワーキングプアだといえる年収などを解説。日本におけるワーキングプアや、生活の特徴、原因なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • ワーキングプアとは?年収・手取りの目安
  • ワーキングプア生活の特徴や考えられる原因
  • ワーキングプアからの脱出に期待されているもの

 

ワーキングプアとは

ワーキングプアとは、「貧困線以下」で労働を行っている人のことをいいます。「貧困線以下」の定義は、日本では公式に設定されていません。

 国際労働基準の制定を行っている国際労働機関(ILO)によると以下のように定義されます。

persons defined as extremely poor if living in households with a per capita income under US$1.90 PPP per day, moderately poor if the household daily per capita income is US$1.90 PPP or higher but under US$3.10 PPP and not poor if living on more than US$3.10 PPP per day.

引用:「The working poor - ILO

つまり、一日当たりの所得が約280円の人が「極貧」、約450円の人が「中程度の貧困」と定義づけられています。これは、アメリカの物価や価値観があるため、あまり日本では参考にならないでしょう。

 

ワーキングプアだといえる年収・手取りの目安

日本では、一般的に「生活保護」を基準に貧困線が考えられています。

生活保護の給与水準は「月額約17万円」「年額約200万円」です。この金額よりも給与が低い場合、「ワーキングプア」であると考えられます。

参考:厚生労働省「生活保護制度

参考:ワーキングプア・ボーダーライン層と生活保護制度改革の動向

 

日本におけるワーキングプアの実態

日本のワーキングプアの現状はどのようなものなのでしょうか。

以下では、データから分かる日本のワーキングプアの実態をご紹介します。

参考:総務省統計局「平成29年就業構造基本調査

参考:中高年ワーキングプアの現状と課題

 

ワーキングプアは女性に多い

総務省が5年に一度公表する就業構造基本調査では、「20代未満の女性」の年収200万円未満の就労者割合は「40.57%」でした。

「20代未満の男性の」年収200万円未満の就労者割合は「25.88%」と、女性よりもかなり少ない結果です。

また、30代で年収200万円未満の割合を男女で比較してみると、女性が「43.9%」男性が「9%」と、明らかに女性のほうが多いことがわかります。

妊娠や出産、扶養など様々な要因が考えられますが、ワーキングプアは女性に多いと言えるでしょう。

 

ワーキングプアの推移

出典:日本総研「中高年ワーキングプアの現状と課題

日本総研の「中高年ワーキングプアの現状と課題─キャリアアップ・就労支援制度に新しい視点を─」内で紹介されているワーキングプアの世帯数とワーキングプア率の推移を見ると、ワーキングプア率はピーク時からは減っていることがわかります。

ただし、これは2017年までの情報であり、コロナ禍以降のデータは含まれていません。物価の上昇や消費税の引き上げなどを考えると、ワーキングプアの定義が代わってくるので一概に「ワーキングプア」が減ったとは言いにくいのが事実。アフターコロナでどのように推移するのか引き続き検証が必要です。

 

ワーキングプア生活の特徴

ワーキングプアの人は、金銭的に厳しい生活をしていることは想像しやすいのではないでしょうか。以下では、ワーキングプアを知るためにワーキングプア生活の特徴をご紹介します。

 

特徴1.食費や交際費を極限まで抑えなければいけない

ワーキングプア生活の特徴の1つ目は、食費や交際費を極限まで抑えなければいけないことです。

ワーキングプア生活では、娯楽に使えるお金がないことがほとんど。生きていくだけで精一杯なので、飲み会やデートなどの交際費を削るしかありません。

 

特徴2.ひとり暮らしではなく実家暮らしをせざるをえない

ワーキングプア生活の特徴の2つ目は、ひとり暮らしではなく実家暮らしをせざるをえないことです。

固定費の中でも高額なのが「家賃」。ワーキングプアの場合、家賃を支払うと生活が苦しくなることもあります。そのため、ひとり暮らしをするという選択肢が消えてしまい、実家を出たくでも出れない状況に苦しんでしまうことも。

ひとり暮らしをしている場合は、十分な住環境が整っていないケースも考えられます。

 

特徴3.貯金できない

ワーキングプア生活の特徴の3つ目は、貯金ができないことです。

ワーキングプアの場合、固定費や食費を払うと給与がほとんど残りません。その日暮らしになってしまい貯金ができず、将来の不安がつきまといます。

また、「病気になったら」「怪我をしたら」などと、不安な気持ちを感じることもあります。

 

ワーキングプアの考えられる原因

ワーキングプアはなぜ発生してしまうのでしょうか。以下では、ワーキングプアの考えられる原因についてご紹介します。

参考:論文「ワーキングプアの増加による問題と新たな解決策

 

原因1.非正規雇用の増加

ワーキングプアの原因として考えられるのが「非正規雇用の増加」です。

令和2年における非正規雇用者の割合は、「女性は54.4%」「男性は22.2%」です。

出典:男女共同参画局「I-2-7図 年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移

男女共同参画局による「I-2-7図 年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移」で、赤い線で書かれた年齢計を見るとわかるように、非正規雇用者は右肩上がりに増加しています。

非正規雇用者と正社員では、給料に差があることは多くの人がご存知でしょう。

実際に、内閣府では以下のようなデータを発表しています。

「2016年時点の非正社員と正社員の差については、所定内給与額ベースで 1.5倍、年収ベースで 1.8倍程度となっている」
引用:3 正社員・非正社員の賃金差の現状 - 内閣府

非正規雇用として自由な働き方ができたとしても、給料が安いためワーキングプアに繋がりやすい状況になっているといえるでしょう。

参考:男女共同参画局「第1節 就業をめぐる状況

 

原因2.不景気による平均年収の減少

日本経済は、デフレにより落ち込み、物価は上がっても給料が上がっていないのが現実です。

2022年の日本の平均年収は「445万円」である一方、1999年の平均年収は「461万円」と下がっています。

日本全体の不景気もワーキングプアに大きく関係しているでしょう。

参考:【2022年最新】日本の「平均年収」「年収中央値」を調査 日本全体の平均年収は4,453,314円、中央値は3,967,314円

 

原因3.物価の上昇

給料が昔よりも下がっていることに加え「物価」が上昇していることもワーキングプアの原意のひとつです。

出典:総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)8月分

総務省における「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)8月分」を見ると、前年と比べても、生鮮魚介が「13.7%」電気代が「21.5%」ガス代が「20.1%」と大幅に上昇しています。

生活は苦しくなる一方で、ワーキングプアになる人が増えていると考えられます。

 

ワーキングプアからの脱出に期待されているもの

ワーキングプアは、ワークシェアリングや、転職・副業をすることで脱出することが期待できます。それぞれの詳細を紹介します。

 

ワークシェアリング

ひとつの業務を複数人とシェアする「ワークシェアリング」。ワークシェアリングをすることで、一人ひとりの業務負担が減り、副業や私生活に時間を当てやすくなることから、注目を集めています。

また、雇用の機会も増えるため、ワーキングプアの状態になっている人の収入を増やすことが期待されています。

 

転職

ワーキングプアから脱出するためには、収入を上げる必要があります。現在の仕事で昇給の見込みがない場合は「転職」を考えるのも一案です。

転職をすることで、給料の底上げを図りワーキングプアから脱出できるでしょう。

 

副業

空いた時間がある人は「副業」を行うのも一案です。

副業をするためには、会社の就業規則で副業が禁止されていないか調べる必要があります。現在は副業を推進する企業も多いので、まずは調べてみてはいかがでしょうか。

関連記事:「家でできる仕事とは?在宅で始められる副業・おすすめの仕事20選紹介」を参考に、仕事を探してみてはいかがでしょうか。

 

ワーキングプアの意味や原因を正確に押さえよう

本記事のまとめ
  • ワーキングプアは日本では正確に定義されていない
  • ワーキングプアになるのは圧倒的に女性が多い
  • ワーキングプアから脱出するには「副業」「転職」がおすすめ

本記事では、ワーキングプアの意味や原因、現状などの基礎知識をご紹介しました。

日本だけではなく、世界中でワーキングプアで苦しむ人がいるのが現状です。ワーキングプアから脱出するためには、国の制度に期待するだけではなく、働く環境を変えることが重要だといえるでしょう。

女性がワーキングプアになりやすいというデータはありますが、高学歴・年齢などの要素に問わずワーキングプアになる可能性は誰にでもあります。ワーキングプアから脱したいと願う場合は、転職を検討したり、副業を始めたりなど、できる範囲から行動に移してみてはいかがでしょうか。
 


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