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ファクタリングとは?仕組みや種類を簡単にわかりやすく解説

U-NOTE編集部

2022/10/05(最終更新日:2022/10/05)


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企業の経営者や個人事業主の場合は、「ファクタリング」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。ファクタリングとは、手元に資金がない場合に現金を調達する方法のひとつで、キャッシュフローの改善を行えます。

今回は、「ファクタリング」について基礎知識や仕組みをわかりやすく解説します。「買取型」「保証型」などの種類をわかりやすく説明しているほか、利用時の注意点もご紹介しています。ファクタリングの基礎知識を身に付けたい方は、ぜひ一読してみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • ファクタリングは個人事業主や中小企業が、融資以外で現金を調達する方法のひとつ
  • ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい現金化する仕組み
  • 個人の賃金債権を買い取る「給与ファクタリング」には要注意

 

ファクタリングとは?簡単にわかりやすく解説

ファクタリングは、資金調達方法のひとつです。通常、成果物の納品に対する対価は請求書を発行した1ヶ月後に支払われます。この対価のことをファクタリングでは「売掛金」と呼び、企業は対価を受け取る権利である「売掛債権」を保有しています。

すでに成果物を納品し業務は完結しているものの、企業は報酬の支払いを期日まで待たなくてはなりません。その間に設備投資を行う必要が出てきた場合、資金に余裕がある企業であれば問題はありませんが、手元に資金がない場合は資金繰りを行わなくてはなりません。

このような場合に本来持っている「売掛債権」をファクタリング会社に買い取ってもらい、現金を入手できるのが「ファクタリング」です。

 

ファクタリングを利用するシーン

ファクタリングを利用するシーンは主に、現金がなく資金繰りに困ったときです。特に中小企業はキャッシュフローを改善するために、ファクタリングを利用することも少なくありません。

銀行融資の審査が通らない場合にも、ファクタリングは利用されています。担保や保証人の提供が不要で売掛先の審査のみで使えるため、個人事業主や中小企業でも審査が通ります。

 

ファクタリングを活用するメリット

ファクタリングを活用するメリットは、黒字倒産を避けられることです。黒字倒産とは、売上はあるのに支払いに必要な現金が不足しているために倒産してしまうことを指します。

ファクタリングを活用すれば、支払い期日を待たずに売上をスムーズに現金化可能。急な出資にも対応できます。

また、借入金ではないため、返金リスクがなく貸借対照表に影響を与えないのもメリットです。

 

ファクタリングを活用するデメリット

ファクタリングを活用する際、デメリットも生じます。通常、ファクタリングをする際には手数料が発生します。そのため、本来の売掛金よりも、受け取れる金額は少なくなります

銀行融資を利用するよりも高い手数料が設定されていることが多いので、利用する場合には適正な手数料設定になっているかを確認しましょう。

また、資金調達の金額に上限があるのもデメリットだといえます。売掛債権の範囲内の金額しか受け取ることができません。多額の資金を調達したい場合は、銀行融資の利用を検討してみてください。

 

ファクタリングの仕組み

一口にファクタリングといっても、「買取型」「保証型」「医療ファクタリング」など複数の種類があります。次に、各ファクタリングの仕組みについてわかりやすく解説します。自身の事業状況と照らし合わせて、どの仕組みを利用するのが適切なのかを判断しましょう。

 

買取型ファクタリング

買取型ファクタリング」とは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい現金化する仕組みのことです。

売掛債権を売買した後、手数料を引いた金額をファクタリング会社から受け取れます。その後、売掛債権が事業者に支払われたら、その回収した代金をファクタリング会社に送金すれば契約は終了です。

 

保証型ファクタリング

保証型ファクタリング」とは、売掛債権の回収を保証する仕組みのことです。万が一、売掛先が倒産した場合にも売掛金を回収できるため、貸倒の損失を軽減できます。

売上を期日前に受け取るためのファクタリングとは性質が違うことに留意しましょう。

保証型ファクタリングではまず、事業者がファクタリング会社に対して売掛債権の保証を依頼します。独自の審査が行われた後、ファクタリング会社にとって保証することが問題なければ、事業者は保証料を支払って契約を締結します。

その後、何らかの理由で売掛債権を回収できなかった場合、保証型ファクタリングが適用され、事業者はファクタリング会社から保証金を受け取ることが可能です。

 

医療ファクタリング

医療ファクタリング」は、医療機関・介護事業者・調剤薬局などの医療関連機関向けの資金調達の仕組みです。

対象となるのは「診療報酬債権」「介護報酬債権」「調剤報酬債権」。この3つを対象としたファクタリングが行われるため、これを総称して「医療ファクタリング」と呼ばれています。

「医療ファクタリング」は通常、契約者である医療機関とファクタリング会社、そして社会保険診療基金もしくは国民健康保険団体連合会の3社間で行われます。

まずは、ファクタリング会社と利用する医療機関の間で債権の譲渡契約が結ばれます。締結後、ファクタリング会社が社会保険診療基金もしくは国民健康保険団体連合会に譲渡の内容を通知。その後、ファクタリング会社が契約者に対して現金を入金します。

後日、社会保険診療基金もしくは国民健康保険団体連合会からファクタリング会社に対して「診療報酬」「介護報酬」「調剤報酬」が支払われたら、医療ファクタリングによる契約は終了です。

支払先が異なるだけで、一般的なファクタリングと大きな違いはありません。

 

【注意】給与ファクタリング

個人の賃金債権を買い取る「給与ファクタリング」は、貸金業法上「貸金業」に該当し、貸金業登録をしている企業ではないとヤミ金融業者も存在するので注意が必要です。

ヤミ金融業者と契約してしまった場合、年率換算して数百〜千数百となる手数料を支払うよう請求されたり、家に直接取り立てに来て大声で恐喝されたりするトラブルが発生する可能性があります。

生活が破綻する恐れもあるため、「給与ファクタリング」と名乗るサービスの利用は避けるのが賢明です。緊急で必要な現金が手元にない場合、まずは消費生活センターを頼りましょう。

参考:国民生活センター「給与のファクタリング取引

参考:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起

 

ファクタリングの種類

買取型ファクタリングと保証型ファクタリングのうち、買取型はさらに「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類に分けられます。それぞれ何が違うのか、特徴やメリット・デメリットをカイエつします。

 

2社間ファクタリング

2社間ファクタリング」とは、ファクタリング利用者とファクタリング会社の間で契約する買取型ファクタリングのことです。

売掛先には何も通知されないので、事業者は売掛先に与えるイメージを考えずにファクタリングを利用できます。2社間で契約が成立するので、より素早く現金化したい際に便利です。

ただし、2社間の場合、売掛債権を譲渡して現金化した後、売掛先から支払われた代金をファクタリング会社に送金する手間が発生します。手数料もやや高めになる点も覚えておきましょう。

 

3社間ファクタリング

3社間ファクタリング」とは、ファクタリング利用者とファクタリング会社に加えて、売掛先の合意も取った上でやりとりを行う買取型ファクタリングのことです。

2社間と異なるのは、売掛先にファクタリングの通知が行われ、承諾後にファクタリングを実施できること。3社の同意がなければファクタリングは行えないうえ、合意形成の段取りや資料作成などの手間がかかるのはデメリットです。

ただし、3社間ファクタリングでは、売掛先からファクタリング会社に対して直接売掛金を支払うため、ファクタリング利用者の手間は軽減されます。

 

ファクタリングを活用するときの注意点

ファクタリングは、キャッシュフロー改善に有効ですが、利用時には注意しなくてはならないポイントがいくつかあります。ファクタリングの利用を検討している方は、注意点を理解したうえでファクタリングを依頼しましょう。

 

注意点1.取引先との契約が「債権譲渡禁止」になっている場合はファクタリングできない

ファクタリングを活用するときの1つ目の注意点は、取引先との契約が「債権譲渡禁止」になっていた場合はファクタリングできないことです。

買取型ファクタリングにおける一番の注意ポイントです。ファクタリングを行えるのは、取引先との契約書に「債権譲渡禁止」の記載がない場合のみと覚えておきましょう。

 

注意点2.不良債権はファクタリングできない

ファクタリングを活用するときの2つ目の注意点は、不良債権はファクタリングできないことです。

不良債権とは、金融機関の融資を事業者側の経営悪化により回収できなくなったり、回収が困難になってしまったりした債権のことです。金融機関だけでなく、一般企業でも売掛先の財政難により、不良債権が発生するケースが多々あります。

買取型ファクタリングは、売掛先から売掛金を回収できる保証があって初めて成立します。そのため、回収できる見込みがない不良債権はファクタリングできません。すでに支払い期日が過ぎている売掛債権は買取不可と覚えておきましょう。

 

注意点3.ファクタリング会社への送金は分割できない

ファクタリングを活用するときの3つ目の注意点は、ファクタリング会社への送金は分割できないことです。

ファクタリングは融資ではないため、利用者はファクタリング会社に全額一括送金をしなくてはなりません。分割返済は「貸金業」に該当するため、どんなファクタリング会社も受け付けていないので注意が必要です。

万が一、契約後に分割での支払いを受け付けているファクタリング会社だとわかった場合は、貸金業の可能性があります。貸金業の無登録営業は禁止行為とされているので、確認するように注意してください。

 

ファクタリングの仕組みについて理解しよう

本記事のまとめ
  • ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい現金を調達する方法のこと
  • 買取型・保証型があり、2社間 or 3社間で契約を行う
  • ファクタリング会社への送金は原則全額一括支払い

ファクタリングは融資ではない資金調達のひとつ。ファクタリング会社が売掛債権を買い取り売掛金を現金化することで、ファクタリング利用者は必要な資金を手にすることができます。

個人事業主や中小企業で利用を検討している方は、ファクタリングの仕組みをきちんと理解したうえで活用しましょう。


 


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