ビジネスシーンでしばしば使用される「オブザーバー」。言葉の意味がわからない人や、どのような役割を果たすのか詳細を知りたい人もいるのではないでしょうか。
本記事では、オブザーバーの意味や混同されがちな言葉、役割や設置するべき会議などをご紹介します。
- オブザーバーの意味とは?似た言葉との意味も紹介
- オブザーバーに求められる役割
- オブザーバーを設置するべき会議の特徴
オブザーバーの意味とは
「オブザーバー」は、本来「観察者」「監視者」といった意味で使用されます。
以下では、オブザーバーの意味を詳しくご紹介します。
オブザーバーとは
オブザーバーは、ゴルフ、視察団など文脈によって使われている意味が微妙に異なります。
例えば、ゴルフでの「オブザーバー」は「審判員を補佐する人」を指します。何か試合に不備や不正があった際には、審判員に報告し決定を仰ぎます。「試合を見守る・監視する」ことが、ゴルフにおけるオブザーバーの仕事です。
一方、国連インド・パキスタン軍事監視団(UN Military Observer Group in India and Pakistan)における「Observer」の意味は、文字通り停戦ラインを「監視する」ことです。
このように、オブザーバーには文脈に応じた意味はありますが、基本的に何かを監視する・見守る人という意味を持っています。
参考:国連連合広報センター
オブザーバーの語源「Observer」の意味
オブザーバーは「observer」という英単語が語源です。「observer」は、「観察する・監視する」という意味を持つ動詞「observe」の名詞。
「observer」という英単語は、「観察者・監視者」という意味だけではなく「立会人」「評論家」などの意味を持っています。
日本語でのオブザーバーと同様に、幅広い意味があることを覚えておきましょう。
ビジネスでのオブザーバーの意味
ビジネスシーンでは、「オブザーバー」はどのような意味を持つのでしょうか。
ビジネスシーンでのオブザーバーは、会議に参加し、会議の立会人としての役割を与えられている人のことを言います。求められた際に発言や決定権を与えられます。
似たような言葉に「傍聴人(ぼうちょうにん)」がありますが、傍聴人は発言権も決定権もない人のことを言います。オブザーバーとは意味が違うことを覚えておきましょう。
オブザーバーと似た言葉との意味の違い
「アドバイザー」「スーパーバイザー」「オブザーバビリティ」などと、オブザーバーと似た言葉が存在します。
混乱しないためにも、類似した言葉の意味を把握しておきましょう。
アドバイザーとの違い
「アドバイザー」とは「助言(アドバイス)」をする人のことを言います。
コンサルや相談役などがアドバイザーの例です。社外の人がアドバイザーとして活躍することが一般的です。
スーパーバイザーとの違い
スーパーバイザーは、管理者や監督者のことを意味します。
日本では、役職名としても使用され「SV」と省略されることも。
スーパーバイザーは飲食店やコンビニなどで任命されることが多く、店舗やエリアを監視し人材育成を担当します。
オブザーバビリティとの違い
オブザーバビリティとは、日本語では「可観測性」と略されます。オブザーバビリティは「Observe(観測する)」という動詞と「ability(能力)」が合わさった名詞です。
オブザーバビリティは、「いつ、どこで、何が起こっているのか観測できるように保つ」ことを言います。
オブザーバーパターンとの違い
オブザーバーパターンは、オブジェクト指向プログラミングにおけるパターンのひとつです。
「Subject(観察対象物)」が変化したときに「Observer(観測者)」がその状態変化の通知を受け取れます。
このように、オブザーバーに似た言葉は多々ありますが、混同しないように注意しましょう。
オブザーバーに求められる役割
「次の会議では、オブザーバーとして出席してください」と言われたとき、どのような振る舞いをするべきでしょうか。
以下では、オブザーバーに求められる役割をご紹介します。時と場合によって役割が異なるので、オブザーバーを任された場合はどのような行動をするべきなのかを事前に考えることをおすすめします。
第三者として参加し、公平に会議を進める役割
オブザーバーは会議に第三者として参加して、公平に会議を進める役割を持っています。
オブザーバーに限らず、会議では感情的になったり、相手と親しいからといった理由で賛同したりすることはしてはいけません。特にオブザーバーは客観的に会議を見る役割が求められているので、いつも以上に冷静でいることを心がけましょう。
専門家としてのアドバイス・助言をする役割
オブザーバーとして専門家を招くケースでは、アドバイザーとしての役割も期待されています。専門家としての立場での見解が求められていることを理解しておきましょう。
オブザーバーが会議で心がけておきたいこと
オブザーバーとして会議に参加する際は、以下のポイントに留意することがポイントです。
第三者としての立場を自覚する
オブザーバーは、会議において一般参加者とは異なり「第三者」という立場を持っています。
第三者としての役割を忘れてしまい、自分の意見を情緒的に語ったり、特定の意見だけに賛成したりしないようにしましょう。
行動と発言が影響力を持つことを認識し、責任を持つ
オブザーバーとして立場がある人が参加する場合、アドバイザーとしての発言を求められることも少なくありません。
アドバイスや意見を聞かれた際は、オブザーバーとしての影響力があることを自覚して話す必要があります。また、発言だけではなく、些細な行動が影響を与える可能性があるので注意しておきましょう。
自分の一挙一動が注目されていると思って、発言や行動は慎重に振る舞いましょう。
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オブザーバーがいるとスムーズな会議
オブザーバーを導入すると会議がスムーズに進み、会議の効率が上がる可能性があります。
以下では、オブザーバを導入すると効果的な会議を3つご紹介します。
経験が浅い社員の多い会議
経験が浅い社員が多い会議には、積極的にオブザーバーを導入することをおすすめします。
経験が浅い社員や新入社員の場合、「有意義な発言ができないかもしれない」と自発的に発言ができないことが多いでしょう。第三者としてオブザーバーが参加することで、オブザーバーに発言を促され会議での発言が増える可能性があります。
また、人事がオブザーバーとして会議に参加すると、人事評価を同時にすることも可能です。経験が浅い社員の中でも、誰がまとめ役なのかなどをチェックできるので、これからの人事評価に活かせるでしょう。
進捗が遅れている会議
進捗が遅れている会議にも、オブザーバーを参加させることをおすすめします。
例えば、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなど普段参加しない役職を持っている人がオブザーバーとして参加すると、プロジェクトの改善点が見つかる可能性があります。
また、どのように進めるべきか方針がわかりやすくなり、作業効率もアップするでしょう。
専門家の意見が必要な会議
専門性が高い会議の場合、専門家をオブザーバーとして招くのも一案です。
専門家に意見をもらうことを目的にしてしまうと、専門家は「アドバイザー」としての面が強くなってしまいます。
オブザーバーとして専門家を導入する場合は、会議全体の方向性が間違っていないか、専門的な解釈を間違っていたり、的はずれなことを行ったりしていないかなどをチェックしてもらうために呼ぶことが多いです。
専門家を招く場合は、「アドバイザー」として参加してもらうのか、「オブザーバー」として招くのかを予め伝えておくことがよいでしょう。また、事前にどのような内容をアドバイスしてもらいたいのかを伝えておくことで、より求めている回答を得られやすくなります。
「オブザーバー」を使った例文
「オブザーバー」という言葉は実際にどのように使われるのでしょうか。「オブザーバー」は名詞なので、「オブザーバーとして」「オブザーバーの〇〇氏」などと使われます。
例えば、厚生労働省によると「オブザーバー機関が参加しています」と記載されています。
この場合のオブザーバーは、監視する人・第三者という意味を持っています。
参考:厚生労働省「オブザーバーの参加」
オブザーバーの意味を正確に理解しよう
- 「オブザーバー」は「観察者」「監視者」という意味を持つ
- 「アドバイザー」「スーパーバイザー」との違いに注意して覚える
- オブザーバーとして会議に出るときは、第三者としての立場を自覚する
本記事では、オブザーバーの意味や似た言葉、会議での役割などをご紹介しました。
オブザーバーとして参加をする場合や、オブザーバーを招く場合には、進行役を期待しているのか、専門家としての意見を期待しているのかを明確にしておくと期待に沿いやすくなるでしょう。
オブザーバーを任された人は、第三者としての立場を自覚し、行動と発言に責任を持つように意識してください。
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