「自分の研究を社会に役立てたい」そう願う研究者も多いことでしょう。株式会社ACESで時短社員として働く浅見幸悠紀さん(24)は「大学で研究するだけでなく、研究成果を社会に役立てたい」と、大学発のAIベンチャーACES(エーシーズ)の扉を開きました。
インターンとしてエンジニア業務からスタートし、時短社員に切り替わった現在はプロジェクトマネジメントを行うなど、確実にスキルアップを続けています。大学院での研究とACESの業務を両立させている浅見さんに詳しく話を聞きました。
アルゴリズムを用いて事業開発を推進する「ACES」
株式会社ACESは、ヒューマンセンシング・画像認識分野におけるアカデミアの最先端技術を用いた事業開発に取り組むAIスタートアップです。2017年11月に、東大の松尾豊研究室のメンバーが中心となり創業された会社です。アカデミアにおけるDeep Learningの知見を活用し、産業のDXに取り組むDXパートナーサービス、自社アルゴリズムを組み込んだソフトウェアを提供するAIソフトウェアサービスを提供しています。
エース級が集まるACESに目が留まり、インターンをスタート
浅見さんは京都大学大学院で研究を行いながら、ACESの時短社員として仕事をしています。
-----大学院では、どのような研究をされているのですか?
浅見さん:社会情報学を専攻し、災害発生時における情報を扱う研究室に所属しています。災害分野においても最近AIを導入する動きがありますが、データ不足の問題が深刻です。それを補うために災害によって被災した建物の合成画像生成の研究を行っています。
-----どのようなきっかけでAI技術の研究に取り組まれたのですか?
浅見さん:小学校の頃からロボットの大会に出場するなど、パソコンや情報処理に興味がありました。大学入学後、AIに興味を持ち、その分野の研究を始めました。
-----ACESとの出会いを教えてください。
浅見さん:修士課程に進んでインターシップ先を探しているときに、SNSでACESの会社紹介を見かけて応募しました。2021年7月末頃からインターンを開始しています。
-----入社するまでのプロセスはどのようなものでしたか?
浅見さん:最初にオンラインでカジュアル面談を行い、会社説明を受けました。エンジニアを希望していたので、その後はコーディングテストを受けたり、いくつかのインタビューを受けたりして、最終的に入社が決まりました。
大学の研究とは異なる最先端アルゴリズムに衝撃を受ける
-----インターン期間は、どのような業務を行いましたか?
浅見さん:行動認知を主体としたプロジェクトに取り組みました。具体的には画像から人の行動を分析して「危険な行動をしていないか」「正しい順序で行動しているか」など、行動を判別するプロジェクトに携わっていました。
-----実際にインターンを開始してACESに対してどんな印象を受けましたか?
浅見さん:ACESという社名のとおり、優秀な人が集まってるという印象を受けました。物事を決めるスピードが速く、自ら新しいタスクを立てて、それに向かって進んでいくメンバーが多いです。
-----大学院での研究との共通点はありますか。
浅見さん:領域的には、画像に関連したAIという点で共通しています。また、仮説検証の進め方やドキュメンテーションの方法など、汎用的に使えるスキルも多くあるなと感じました。
-----逆にACESで初めて接した技術はありますか?
浅見さん:画像解析から行動認知を予測する技術はACES独自の技術です。ACESの技術はきれいにモジュール化されていると感じました。大学院での研究とは異なる最先端のアルゴリズムに触れて驚かされることが多かったですね。
-----現在は時短正社員として働かれているとのことですが、そもそもインターンと時短正社員はどのような違いがあるのですか。
浅見さん:ACESは学業との両立など、ライフスタイルにあわせて就業時間の異なるインターン・時短正社員・正社員の3つの働き方から自由に選択できるようになっています。最も時間の融通がきくのはインターンです。時短正社員は目安週30時間稼働可能な人向けで、社会保険やストックオプションが付与されるのがインターンとの違いです。
-----インターンから時短正社員へはいつごろ切り替わったのですか。
浅見さん:2022年2月から時短社員にシフトしました。オファー自体はもう少し以前にいただいていましたが、修士一回生で授業も忙しかったので、学期が終わったタイミングで切り替えることに決めました。
-----研究をしながら働く負担はありませんか。
浅見さん:もちろん、セルフマネジメントしなくては両立が難しいです。入社後は研究、仕事問わず自分が持っているタスクとそれぞれの時間見積もり、優先度づけをこまめに行い、いつまでに何をすべきかというスケジュール管理を習慣づけるようにしていますね。
田村代表は大きな存在「自分も同じようになりたい」
-----現在京都にお住まいで、業務はすべてオンライン上でやり取りされているそうですね。会社に出向いたり、他の社員と交流することはありますか。
浅見さん:オンラインが基本ですが、夏休みなどに東京のオフィスに出社することがあります。オンラインだとコミュニケーションできる場が限られてしまうので、普段関わりのないメンバーや代表の田村とも一緒に話ができる機会を持てたことは嬉しかったです。
----田村代表とはどのような話をされましたか。
浅見さん:田村は今年3月に博士号を取ったので、大学での研究の話や会社の方向性などを聞かせてくれました。私はエンジニアの他に、プロジェクトのマネジメントも担当しているので、マネジャーとしての視点も学ぶことができ、仕事の面でも学業の面でも参考になりました。
-----田村代表からかけられた言葉で印象に残っていることはありますか。
浅見さん:「長期的な目標を立てて、タスクに落として行ったほうがいい」という言葉が印象に残っています。これまでは目の前のことに取り組むことに集中していたので、結果を出すためには長期的な計画を立てて、どうすればクリアできるか考えることが必要だと思いました。
将来的にはフルタイムに移行し、さらなるスキルアップを目指したい
-----これからは、エンジニアとして開発を続けていきたいのか。それともマネジメントに力を入れてビジネスに軸足を置きたいのか。どのような未来を想定していますか。
浅見さん:博士課程に進むことが決まったので、将来的には研究と並行してACESでフルタイム勤務に移行したいと考えています。インターンから時短社員になった段階ではプロジェクトマネジメントに挑戦しましたが、フルタイムになった際は、ビジネスにも関ったり、エンジニアと一緒にプロジェクトを深めていったり、もう一段階成長できるよう有意義に時間を使っていきたいと考えています。
-----大学での研究や現在行っている業務を一つずつ積み上げることで、将来の目標の達成に繋がりそうですね。ありがとうございました。
何事も挑戦しなければ結果を導き出すことはできません。「大学での研究をどう社会に役立てるのか」「エンジニア以外にも成長できる方法はないか」と迷っている人は、浅見さんの取り組みを参考に、何か新しいことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
出典元:株式会社ACES
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