サステナブルとは「持続可能な」を意味する言葉です。サステナブルな社会を実現するための具体的な目標が「SDGs」、そのうえで欠かせない考え方が「エシカル」です。
本記事ではこれらの言葉の意味や違い、関係性を解説します。企業がSDGsやサステナビリティに取り組む重要性や、実際に行われている取り組みも紹介します。
- サステナブルの意味、SDGsやエシカルとの違いを解説
- 企業がSDGsやサステナビリティに取り組む重要性とは?
- 企業がSDGsやサステナビリティに取り組む事例5選を紹介
サステナブルとは
サステナブルとは「持続可能な」という意味で、昨今では「持続可能な社会をつくるために何ができるか?」というテーマで、世界中でサステナブルへの取り組みが行われています。英語の「Sustainable」に由来する言葉で、これは「持続・維持できる」「耐え得る」といった意味です。
地球の環境が悪化すれば人間も動植物も困りますし、資源には限りがあります。地球に生きる私たちには、資源を使いすぎないこと、環境へのダメージなどを考えていかなければなりません。
サステナブルと、サステナビリティとの違い
サステナブルと似た言葉に「サステナビリティ(Sustainability)」がありますが、両者に大きな違いはありません。
違いを強いて挙げるなら、サステナブルは「持続可能な」を意味する形容詞であるのに対し、サステナビリティは「持続可能性」を意味する名詞です。
サステナブルとSDGs・エシカルとの違い
サステナブルと一緒に使われることも多い言葉に、「SDGs」と「エシカル」があります。どれも「持続可能な社会をつくる」という軸で使われる言葉であり、それぞれ関係し合いながら、より良い社会へとつながっていきます。
これらの言葉の違いについて理解し、適切に使えるようにしておきましょう。
SDGsとは
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことです。サステナブルを実現するための具体的な目標がSDGsであり、次の17のゴールが設定されています。
出典:持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割 │ 外務省
これら17のテーマの下に、さらに169のターゲットと231の指標が定められています。
SDGsの17の目標は、2030年を達成期限としています。2030年までに、誰一人取り残さずにこれらの目標を達成することで、持続可能で多様性のある社会を実現しようという取り組みです。
エシカルとは
エシアル(Ethical)は「倫理的な」という意味で、「エシカルな消費」「エシカルな取引」といった使い方をされることが多いです。その商品やサービスは地球環境的、人道的に見て問題がないか、配慮されているかという考え方です。
サステナブルやSGDsとの関係性も深く、これらを実現するための企業や個人の行動規範となるのがエシカルといえます。
例えばコーヒー豆のパッケージでよく見かける「フェアトレード」は、公正な取引、つまりエシカルな取引により販売されているという意味です。
コーヒー豆の生産者の多くは発展途上国にいますが、彼らの作ったコーヒー豆が私たちの手元に届くまで、多くの中間業者が介在しています。例えば500円を出してコーヒー豆を買ったとしても、生産者のもとに届くお金はほんのわずかです。
このような問題が起こらないよう、フェアトレードコーヒーは最低価格を決めています。コーヒー豆の市場価格が最低価格を下回っても、生産者には最低価格分の収入が保証されるのです。
企業がSDGsやサステナビリティに取り組む重要性
企業は商品やサービスをつくるために、地球の資源や人材を使っています。企業が率先して取り組まなければ、SDGsの目標は達成できませんし、サステナブルな社会も実現しないでしょう。
もちろん、SDGsやサステナビリティに取り組むことは、企業にとってもメリットがあります。
企業の価値向上に繋がる
SDGsやサステナビリティに取り組むことは、企業価値の向上につながります。これらは国際的な取り組み・目標であり、企業として積極的な姿勢を見せることで、自社のイメージアップにつながるでしょう。
サステナビリティの面でのイメージを果たせれば、エシカルな志向の強い消費者や人材へのアプローチにもなります。このようなポジションを確立できることも、企業の価値向上に寄与します。
ステークホルダーとの関係性を良好にする
SDGsやサステナビリティへの取り組みで企業価値が向上すれば、ステークホルダーとの関係性も良好になります。ステークホルダーとは、社内外のあらゆる利害関係者のことです。ここには顧客や従業員も含まれます。
特に見落としがちなのが従業員との関係性かもしれません。SDGsには「働き甲斐」や「貧困」といった項目も含まれますから、どの企業も従業員にとっての働きやすさ・やりがいを追求することで、直接的な取り組みができます。
最近ではSDGsへの取り組み状況を判断材料とする投資家も増えているため、出資を受けるうえでも重要です。
企業のSDGs・サステナブルな取り組み事例
企業がSDGsやサステナブルに取り組むにはどうすればいいのか、取り組みによりどんな恩恵が受けられるのかは、事例をチェックするのが早いでしょう。企業のSDGs・サステナブルな取り組み事例を5つ紹介します。
事例1.個人のリサイクル貢献の価値を可視化する「株式会社DATAFLUCT」
株式会社DATAFLUCT(以下DATAFLUCT)は「個人のリサイクル貢献の価値の可視化」をテーマに、プラスチックリサイクルに関する技術を保有するDIC株式会社(以下DIC)との協業を開始しました。
DATAFLUCTはデータ活用を軸に、持続可能な社会をつくるための取り組みをしています。今後は保有データやデータ活用のノウハウを活かし、DICと共同で、「使用済み包装容器の回収促進につながるアプリケーション」の開発に取り組んでいくとしています。
参考:DATAFLUCT、「個人のリサイクル貢献の価値」の可視化をテーマに、DICとプラスチック包装容器の完全循環型リサイクル実現を目指し協業開始
事例2.茨城県小美玉市とSDGs教育の推進を行う「ウォータースタンド株式会社」
ウォータースタンド株式会社は、水道直結のウォーターサーバーのレンタル事業を行っています。茨城県小美玉市では、コロナ禍での子どもたちの学習環境を整えることを目的に、市立の義務教育学校にこのウォーターサーバーを設置することを決めました。
設置されるウォータースタンドは、マイボトルへの給水ができるタイプです。これはコロナ禍での熱中症対策であると同時に、子どもたちを通して家庭にマイボトル普及を促すことも目的としています。
参考:8/24(水)茨城県小美玉市と「SDGs教育の推進に向けた協定」を締結
事例3.Ruby開発者を技術顧問に迎えた「スターティアホールディングス株式会社」
SaaS事業を展開するスターティアホールディングス株式会社(以下スターティアホールディングス)は、プログラミング言語のRubyの開発者であるまつもとひろゆき氏を技術顧問に迎え、自社のSaaSをより使いやすいものへと改善していく方針です。
オンラインでソフトウェアが使えるSaaSは、リモートワークや、離れた拠点との共同作業に欠かせないものです。スターティアホールディングスは「働くを楽に。」というコーポレートスローガンと、働き方の面で持続可能な社会を実現するために、まつもと氏を顧問に迎えました。
参考:“Rubyの父” まつもとゆきひろ氏が、クラウドサーカスの技術顧問に就任!
事例4.サステナビリティと顧客体験を融合させる「株式会社ADKホールディングス」
株式会社ADKホールディングスと日本アイ・ビー・エム株式会社は、CXコンサルティング・ユニットalphaboxを共同事業として展開しています。両社はこの事業を通して企業のサステナビリティ活動を支援するために、新たな手法「CASES」の提供を開始しました。
サステナビリティとCX(顧客体験)向上のための取り組みは、両立しづらいことも多いです。サステナビリティとCXを両立させるための方向性を見つけ、取り組みを支援することで、サステナビリティを高めようとする企業を増やそうという活動です。
参考:ADKマーケティング・ソリューションズ、日本IBMと共同で“サステナビリティ×顧客体験”を融合した商品・サービス開発支援パッケージ「CASES」を提供開始
事例5.製造業のサステナビリティ向上を支援する「フューチャー株式会社」
フューチャー株式会社(以下フューチャー)は製造業におけるサステナビリティの向上、カーボンニュートラルな社会の実現に向け、製造業向けグリーントランスフォーメーション支援サービス『製造GX』の提供を開始しました。
フューチャーは長年にわたり、さまざまな製造工程のデータを活用し、製造品質の向上に努めてきた企業です。これにより得られた知見を活かし、カーボンニュートラルの実現を戦略策定からモニタリング、実行支援までを提供します。
参考:製造業向けグリーントランスフォーメーション支援サービス『製造GX』の提供開始
サステナブルとSDGs・エシカルとの違いを把握して、取り入れよう
- サステナブルやSDGsは、持続可能な社会をつくるための取り組み・目標
- サステナビリティの高い社会を実現するためには、エシカル(倫理)への意識も欠かせない
- サステナビリティを高めることは、企業価値を高めるためにも重要
「持続可能な」を意味するサステナブルは、世界中で重要視されているテーマです。地球環境や限られた資源を守るために欠かせない取り組みであり、そのための具体的な目標がSDGsです。
サステナブルな社会を実現するには、「倫理的な」を意味するエシカルの意識が欠かせません。環境的・人道的に見て倫理に適っているか考えることが、これからの社会では重要です。このような目線で商品・サービスを選ぶ消費者も、今後増えていくでしょう。
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