HOMEビジネス ピーターの法則とは?デメリットや解決方法、おすすめの本などを紹介

ピーターの法則とは?デメリットや解決方法、おすすめの本などを紹介

U-NOTE編集部

2022/09/26(最終更新日:2022/09/26)


このエントリーをはてなブックマークに追加

「階層社会における行動経済学」として提唱された「ピーターの法則」。組織に属する人なら知っておきたい法則のひとつです。

本記事では、ピーターの法則の意味や、ピーターの法則を回避する方法などをご紹介します。社会学の法則のひとつ「ピーターの法則」に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • ピーターの法則とは
  • 企業がピーターの法則を回避できないデメリットと解決策
  • ピーターの法則を学ぶためのおすすめの本

 

ピーターの法則とは

ピーターの法則とは、「組織において能力を認められ昇進したものの、昇進したポジションでは期待する活躍ができず、最終的に無能になり、組織全体が無能な集団となる」という内容です。

1969年に南カリフォルニア大学の教授「ローレンス・J・ピーター」と、「レイモンド・ハル」による「The Peter Principle」によって、発表された法則です。原文を読んでみたい人は『The Peter Principle: Why Things Always Go Wrong』をご確認ください。

ピーターの法則は、社会科学における普遍的法則とは立証されていません。しかし、現在の社会科学の問題点を捉えていて、痛快であるとして広まっています。

ピーターの法則によると、社会的な地位がピラミッドの様になっている「階層社会」では、能力の極限まで昇進していきます。有能な人は、昇進をするにつれて求められる能力が異なることや、自分の能力の限界に到達し、「無能化」してしまいます。

一方、そもそも無能な平社員は、昇進すらできずくすぶってしまいます。

このように、有能な人もいつか昇進し続けることで自分の能力を発揮できなくなってしまい、最終的にすべての人が無能になってしまうというのが「ピーターの法則」です。

 

ピーターの法則と関連する法則

ピーターの法則に関連する法則として「ハロー効果」「ディルバートの法則」「パーキンソンの法則」などが有名です。

ピーターの法則の理解を深めるためにも、関連する法則を学んでみてはいかがでしょうか。

 

ハロー効果

ハロー効果とは、ある人の能力とは全く関係ない特徴に影響を受けることで、正しい評価ができなくなり、結果的に能力以上の評価を得てしまうという効果のこと。

例えば、有名人を起用した会社に対して「知名度がある人を起用している=信頼できる会社である」と判断してしまうのは、ハロー効果によるものです。

このようなハロー効果によって能力以上の評価を得てしまうことで、昇進し「ピーターの法則」に繋がる恐れがあります。

 

ディルバートの法則

スコット・アダムスによる風刺的な見解である「ディルバートの法則」。ディルバートの法則では、「無能な人が高い地位につくことで、現場の被害が最小になる」という見解です。

つまり、高い地位の人は現場にはほとんど関与していないという主張になります。

ディルバートの法則について学びたい人は書籍『ディルバートの法則』が参考になります。

 

パーキンソンの法則

パーキンソンの法則とは、人間は時間やお金をあればあるほど使ってしまうということを示した法則です。

パーキンソンの法則
  • 第1の法則「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
  • 第2の法則「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」

30分で完了する仕事であっても、1時間の猶予があることで、1時間かかってしまった、という経験はないでしょうか。これらはパーキンソンの法則によるものです。

パーキンソンの法則の詳細に興味がある人は、書籍『パーキンソンの法則 』が参考になります。

 

企業がピーターの法則を回避できない場合の3つのデメリット

「ピーターの法則」のように、「組織の人材全体が無能になってしまう」ことが現実化すると、企業にはどのような影響があるのでしょうか。

以下では、企業がピーターの法則を回避できない場合の3つのデメリットをご紹介します。

 

1.生産率が低下する

企業がピーターの法則を回避できない場合の1つ目のデメリットは、生産率が低下することです。

例えば、現場で活躍していた人を昇進させ管理職にした場合、現場では有能な社員が減ってしまい生産率が落ちてしまいます。それだけではなく、昇進した人材が管理職としての仕事を果たせなかった場合、会社全体の能力が下がってしまいます。

 

2.優秀な人材が退職する

企業がピーターの法則を回避できない場合の2つ目のデメリットは、優秀な人材が退職することです。

自分にあったポストが用意されなかったと感じる優秀な人材は、その企業にとどまる必要性を感じず、転職・退職してしまう可能性があります。また、優秀な人材が「上司の能力が低い」と見切りをつけてしまうこともあるでしょう。

ピーターの法則を回避できないと、優秀な人材がいなくなり、企業の人材の質が落ちてしまう可能性があります。

 

3.人事評価制度が役に立たなくなる

企業がピーターの法則を回避できない場合の3つ目のデメリットは、人事評価制度が役に立たなくなることです。

人事評価をする立場の人間が自らの能力を発揮できていない場合、正当な人事評価ができなくなってしまいます。人事評価が崩壊した場合、優秀な社員を無能だと判断してしまい、優秀な社員の能力発揮の場を奪ってしまうことになります。

「ピーターの法則」を考慮に入れていないと、会社全体が緩やかに崩れ落ちていく可能性があります。

 

ピーターの法則を回避する解決方法

ピーターの法則が現実化すると、組織全体が自分の能力を発揮できなくなるという恐ろしい状態に陥ります。「無能になりたくない」という人もいれば、「人材を有効に配置したい」という経営者の人もいるでしょう。

ピーターの法則を回避するためには、以下の5つの方法があります。

ピーターの法則を回避する解決する方法
  • 1.昇進する前に試験を行う
  • 2.有能なメンバーを昇進させず、昇給する<
  • 3.昇進後に能力を発揮できなくなった際は降格する
  • 4.セミナーや研修などの能力を向上させる機会を作る
  • 5.現在の地位で満足する

以下では、それぞれの方法の詳細をご紹介します。

 

1.昇進する前に試験を行う

ピーターの法則を回避・解決するための1つ目の方法は、昇進する前に試験を行うことです。

昇進後、能力の限界で無能になることを防ぐために、その地位にあった能力を持っているかを試験を通してチェックします。予め求められたポジションに必要な能力を兼ね備えている、もしくはポテンシャルがあることを証明した上で昇進させることで、昇進後に能力不足となることを回避できます。

また、難易度は組織全体に開示しておくことで、人事への納得感や、上司への信頼も厚くなるだけではなく、昇進したときに達成感を感じやすくなります。

 

2.有能なメンバーを昇進させず、昇給する

ピーターの法則を回避・解決するための2つ目の方法は、有能なメンバーを昇進させず、昇給することです。

ピーターの法則は、優秀な社員を昇進させることで起こってしまうもの。そもそも昇進させなければ、事前に防ぐことが可能です。しかし、昇進も昇給もなければモチベーションが下がってしまう可能性は高いです。

先に紹介したように、昇進について明確な基準を設けて開示しておくことで、人材配置への納得感を増やします。そして、ポストを準備するのではなく、昇給をすることで仕事へのモチベーションを保つことも一案です。

 

3.昇進後に能力を発揮できなくなった際は降格する

ピーターの法則を回避・解決するための3つ目の方法は、昇進後に能力を発揮できなくなった際は降格することです。

「降格」は一見厳しく見えますが、自分自身の能力の限界を感じている本人にとっても救いになる選択になることもあるでしょう。

もちろん、自分の能力を発揮できなくなった社員との話し合いは大切です。

「地位を守りたいのか」「やりがいや能力発揮の場を守りたいのか」などの仕事への方向性について話してみましょう。

 

4.セミナーや研修などの能力を向上させる機会を作る

ピーターの法則を回避・解決するための4つ目の方法は、セミナーや研修などの能力を向上させる機会を作ることです。

能力が足りずに無能化してしまっている場合は、能力をつけるためにもセミナーや研修などで補うことをおすすめします。経費での書籍の購入や、ウェビナーの参加、資格手当などをつけてサポートすることも効果的です。

 

5.現在の地位で満足できるようにする

ピーターの法則を回避・解決するための5つ目の方法は、現在の地位で満足できるようにすることです。

ヒエラルキー型組織では、上に行けば行くほど幸せだと思ってしまいがちです。しかし、昇進すれば昇進するほど、活躍でき幸せになるとは限りません。

従業員それぞれ、どのような形で組織に関わりたいのか、どのような業務を行いたいのかを確認し、それぞれにあったポジションを準備することが求められます。

 

ピーターの法則を学ぶためのおすすめの本

ピーターの法則について、さらに深く知りたい人は、原文である『The Peter Principle: Why Things Always Go Wrong』を一読するのがおすすめです。

以下では、日本語で読めるピーターの法則についての本をご紹介します。

 

『ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由』

ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由』は、2018年に販売された新書版の解説書です。

 

『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』

ピーターの法則 創造的無能のすすめ』は、ピーター博士と、レイモンド・ハルによる法則の解説書です。

2003年に販売されたも書籍であり、すでにご紹介した『ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由』の旧書版です。

新書版に比べて少々安くなっているので、低コストのものを選びたい人は、こちらも参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

ピーターの法則を理解し、解決に努めよう

本記事のまとめ
  • ピーターの法則は「最終的には、組織全体の人間が無能になる」ことを示す
  • 組織の無能化を回避するためには、昇進前の試験や、学習が効果的
  • 昇進することがすべてではなく、自分の能力を発揮しやすいポジションを探す

本記事では、ピーターの法則の意味や、関連する法則、回避する方法などをご紹介しました。

昇進後に能力が発揮できないような状態にならないためにも、セミナーや研修などに参加して積極的にスキルアップを図りましょう。

そのうえで、自分が最も活躍できるであろうポジションで仕事をすることで、組織としてパフォーマンスを最大化できます。

ピーターの法則について詳細を知りたい人は、本記事で紹介した書籍なども参考にして学びを深めてみてはいかがでしょうか。
 

【関連記事】


hatenaはてブ