ハラスメントの一種である、「スメルハラスメント(スメハラ)」との言葉を聞いたことはありますか?
本記事では、スメハラの意味や、スメハラが及ぼす影響や対策などを紹介。相手のスメハラを指摘するためのポイントも紹介しているのでぜひ参考にしてください。
- スメハラとは?意味を詳しく紹介
- スメハラが及ぼす悪影響や、スメハラの事例と対策方法
- 職場でできるスメハラ対策
スメルハラスメント(スメハラ)とは?
「〇〇ハラスメントっていろいろあって意味がわからない」という人もいるのではないでしょうか。
スメルハラスメント、略称スメハラは、口臭や香水、お酒など臭いによって周囲の人に悪影響を与えることをいいます。
スメハラをしている側は、自分の匂いに鈍感で気づいてない場合が多いのが問題です。
スメハラが及ぼす悪影響とは
「スメハラ」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、言葉が誕生する以前から、臭いが相手に与える影響は問題とされてきました。
実際にスメハラが及ぼす悪影響はどのようなものがあるのか詳しくご紹介します。
コミュニケーションに支障が出る
会議室や近距離での会話では、相手の臭いがいいものであれ悪いものであれ届いてしまうもの。臭いが強い場合は、体調が悪くなることもありえます。
臭いはセンシティブな内容のため、指摘するのは難しいものです。そのため、コミュニケーションに支障が出てしまう可能性もあります。
集中力が下がる
臭いが強烈な場合、気を取られて集中力が下がってしまいます。また、センシティブな問題だからと我慢しすぎてストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
改善できない場合は被害者が退職することもある
スメハラをしてしまっている相手が自覚しない場合や、指摘されても改善する気がない場合、改善できてない場合など、スメハラの被害者は毎日の苦痛に耐えられず退職してしまう可能性もあります。
「臭いだけで大げさだ」という人は、臭いに鈍感な人の可能性があります。人によって臭いの敏感さが異なるもの。相手の気持ちになって、被害者の心に寄り添うことが大切です。
安全配慮義務違反に該当する可能性がある
企業は、労働者の生命や身体などの安全を確保することが義務付けられています。
労働契約法では、以下のように労働者の安全配慮義務について記載されています。
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
引用:労働契約法第5条
つまり、スメハラによって苦しむ被害者を放置し、精神的な苦痛を与えて病気にさせてしまった場合は安全配慮義務違反に問われる可能性があります。
スメハラの事例と対策方法
スメハラをしてくる相手は、メハラをしようとして相手に嫌な思いをさせようとしているわけではなく、自覚をしていないケースが多いです。
同様に、自分自身も自覚していないだけでスメハラをしている可能性があります。
以下では、スメハラの事例と対策方法をご紹介します。
体臭
マンダンの職場のニオイに関する意識調査2017によると、職場の「嫌だ」と感じるニオイは、1位「体臭」2位「口臭」3位「タバコのニオイ」と発表されました。
また、「体臭が気になって仕事に集中できないことがある」に同意した人は「56.2%」にも登りました。
汗やワキガ、加齢臭などの体臭がありますが、いずれも対策可能です。
汗をかいてしまう前に制汗スプレーを使用したり、汗が出てきた際はタオルや使って拭ったりしましょう。
また、ワキガには「殺菌剤」「制吐剤」などを使用することをおすすめします。ひどく悩んでいる人は手術をするのも一案です。
加齢臭は、加齢に伴って発生する臭いですが、生活習慣を見直すことで改善することが可能です。
自分がどのような体臭をするのかを把握し、それに沿った対策をすることをおすすめします。
口臭
マスクをしていると、自分の口臭に気づいて改善したいと思っている人もいるのではないでしょうか。
口の中の臭いは、歯磨きや水分補給をすることで改善されます。オーラルケアグッズを使って対策をすることもおすすめ。
また、にんにくやニラなどの臭いがきついものは、次の日に予定がある場合は避けておくと安心です。
タバコ
タバコや電子タバコは、吸っていない人は不愉快に感じる強烈な臭いを放ちます。
また、タバコの煙は、加熱式タバコであっても健康被害にも繋がるため、非喫煙者にとっては嬉しくないものです。
喫煙後は、45分程度、タバコ臭い呼吸をすると研究されています。タバコの臭いを改善する場合は、タバコを吸ったあとに消臭スプレーをしたりうがいをしたりする気遣いをしましょう。
お酒
会社にお酒を飲んで行く人はいないでしょうが、お酒を飲みすぎた次の日にも「アルコール臭」がしてしまいます。
アルコール臭がすると、スメハラになるだけではなく、勤務態度が悪いようにも思われてしまいかねません。次の日に仕事がある場合は、お酒の量に注意しましょう。
香水
香水は適量の場合素敵な香りがしますが、量が多すぎると考えものです。かぎ慣れている自分では「あまり香りがしないかも?」と思っていても、周囲の人には強い香りを発してしまっていることもあります。
特に花粉症や鼻炎で鼻が詰まっている場合は、量を控えめにするなどの工夫を行いましょう。
また、周囲の人に香水をつけすぎていないか確認するのも一案です。
柔軟剤
柔軟剤も量が多すぎると、臭くなってしまいます。
説明書に書かれた適量を守り、過度な臭いにしないように注意しましょう。
衣服
洗濯をしていない衣服や生乾きの服は、スメハラの原因のひとつ。
洗濯はこまめに行い、しっかりと服を乾かすことを意識しましょう。
職場でできるスメハラ対策5選
マンダムの「職場のニオイに関する意識調査2017」によると、「職場としてのニオイ対策への取り組み実施」は、10.4%しか行われていません。
スメハラの認識が広まっている現在、職場の意識改革が必要とされています。
以下では、職場でできるスメハラ対策をご紹介します。職場の上司や人事に提案してみてはいかがでしょうか。
1.臭い対策の備品を準備する
職場でできるスメハラ対策の1つ目は、臭い対策の備品を準備することです。
例えば、消臭スプレーやマウスウォッシュを社内に設置したり、空気清浄機を置いたりする企業もあります。
臭い対策の備品を準備したあとは、社内で使いやすい雰囲気を作ることも大切です。
2.社内研修や広報などでスメハラの存在の周知
職場でできるスメハラ対策の2つ目は、社内研修や広報などでスメハラの存在を周知することです。
スメハラの存在を認識させることで「自分の匂いは大丈夫だろうか」と当事者意識を植え付けられます。
社内研修や広報を使うことで、スメハラ加害者に直接指導することなく改善してもらえる可能性があるのがメリットです。
3.被害者と加害者の距離を物理的に取る
職場でできるスメハラ対策の3つ目は、被害者と加害者の距離を物理的に取ることです。
スメハラ被害者が臭いに敏感で、加害者とトラブルに陥っている場合は、被害者と加害者が同じ空間に長時間いないようにしたり、デスクを離したりする対策を取りましょう。
すでにご紹介しましたが、臭いの感じ方は人によって違うもの。他の人が「臭いは気にならない」と言ったからといって、被害者を放置することがないように注意しましょう。
4.本人と関係性のいい同僚にやんわりと指摘してもらう
職場でできるスメハラ対策の4つ目は、本人と関係性のいい同僚にやんわりと指摘してもらうことです。
臭いはセンシティブな問題なので、「臭いです」と言われるのはつらいもの。
なるべく相手を傷つけない同僚に遠回しに指摘してもらうように頼むのも一案です。
指摘する場合は、直接的に「臭いが気になります」と伝えるのではなく、「スメハラ」の存在を教えて調べてもらうなどの間接的な方法をおすすめします。
5.人事や上司から本人に直接指摘する
職場でできるスメハラ対策の5つ目は、人事や上司から本人に直接指摘することです。
やんわりと指摘しても何も改善されない場合は、人事や上司が動かざるを得ません。しかし、直接的に臭いの問題を口に出す際も、相手への配慮が必要です。
スメハラを指摘する際の3つのポイント
すでにご紹介したように、上司や人事などが、スメハラを指摘する際には相手を傷つけないように伝える必要があります。
以下では、スメハラを指摘する際の3つのポイントをご紹介します。
ポイント1.1対1の場を作り、慎重に伝える
スメハラを指摘する際の1つ目のポイントは、1対1の場を作り、慎重に伝えることです。
間違っても、朝礼の場などの多くの人がいる場所で、個人の臭いの問題を指摘してはいけません。相手に屈辱心を与えてしまい、スメハラの加害者が傷ついてしまう可能性があります。
関係者以外がいない部屋で、言葉を選び慎重に伝えましょう。
ポイント2.客観かつ言葉を選び冷静に傷つけないように伝える
スメハラを指摘する際の2つ目のポイントは、客観的かつ言葉を選び冷静に傷つけないように伝えることです。
スメハラ加害者は、スメハラをしたくてしているわけではありません。そのため、臭いがする相手への人格を傷つけるような言葉は避けましょう。
「臭いがしてしまうこと」が問題であって「その人自身」が問題ではないことを理解し、指摘する場合は「臭い」について客観的で冷静な言葉で伝えましょう。
例えば、「〇〇さんのタバコの臭いを気にしている人がいる」「消臭スプレーなどを使って改善できないか」などゆっくりと伝えることをおすすめします。
ポイント3.自分も加害者になっていないか注意する
スメハラを指摘する際の3つ目のポイントは、自分も加害者になっていないか注意することです。
加害者になるとは、スメハラに限らずモラハラやセクハラの加害者になることをいいます。
相手のセンシティブな点を指摘するのは、一歩間違えればモラハラやセクハラになってしまいます。言葉を選ぶことが苦手な人は、予め伝え方を決めておくなどの対策を取りましょう。
スメハラ対策を行って加害者にならないようにしよう
- スメハラは、コミュニケーションや集中力に影響を与える
- 体臭や口臭、タバコの臭いなどの対策を行おう
- スメハラに苦しんでいる場合は、上司や人事に相談をしよう
本記事では、スメハラの意味や事例、スメハラ対策などをご紹介しました。
スメハラを行わないためには、自分自身の振り返りが大切です。親友や家族、パートナーに自分の臭いについて聞いて対策を行いましょう。
本記事を参考に、スメハラ対策を行って加害者にならないよう注意してみてはいかがでしょうか。
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