非言語コミュニケーションともいわれる「ノンバーバルコミュニケーション」はコミュニケーションにおいて重要な役割を担っています。
本記事では、ノンバーバルコミュニケーションの意味や、意識するメリットなどを解説。また、具体例や実用例などを紹介するので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
- ノンバーバルコミュニケーションとは?
- ノンバーバルコミュニケーションが重視される理由
- ノンバーバルコミュニケーションを意識する3つのメリット・効果
ノンバーバルコミュニケーションとは?
「ノンバーバルコミュニケーション(nonverbal communication)」とは、言葉を使わないコミュニケーションのことを言います。
例えば、言葉が通じない外国の人と話す際、ジェスチャーなどの身振り手振り、声色、表情などから読み取り話したことがあるひともいるでしょう。
このように、言葉を使わなくてもコミュニケーションを取ることが可能であり、ジェスチャーなどの身振り手振り、声色などがノンバーバルコミュニケーションです。
ノンバーバルコミュニケーションが重視される理由
「ノンバーバルコミュニケーション」の重要性は、しばしば「メラビアンの法則」と共に語られます。
以下では、ノンバーバルコミュニケーションの重要性をメラビアンの法則を交えながらご紹介していきます。
メラビアンの法則とは
メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者であるAlbert Merabian(アルバート・メラビアン)によって発表された研究結果から導かれた法則のことです。
「視覚情報」「聴覚情報」「言語情報」の3つの情報から受け取る情報の割合は、それぞれ以下のとおりであると記載されています。
- 言語情報:7%
- 聴覚情報:38%
- 資格情報:55%
この実験によって、人間がいかに多くの情報を非言語情報(ノンバーバルコミュニケーション)から読み取っているかがわかります。
ただし、この実験は科学的根拠に基づいておらず、あくまで実験室内の実験であることに注意しておきましょう。
メラビアンの法則に興味がある人は、Albert Merabianによる「Silent Messages: Implicit Communication of Emotions and Attitudes」を読んでみてはいかがでしょうか。
ノンバーバルコミュニケーションを意識する3つのメリット・効果
「ノンバーバルコミュニケーション」から人は多くの情報を受け入れていることがわかりました。
では、コミュニケーションにおいてノンバーバルコミュニケーションを意識するメリットは具体的にどのようなものなのでしょうか。以下では、ノンバーバルコミュニケーションを意識する3つのメリットをご紹介します。
メリット1.言葉だけでは伝えられないものを伝えられる
ノンバーバルコミュニケーションを意識する1つ目のメリットは、言葉だけでは伝えられないものを伝えられることです。
「感動したとき」「嫌だと思ったとき」など言葉にできない気持ちを感じるときもあるでしょう。
例えば、日常生活のコンサートで感動をしたとき、感涙にむせんでいたり、立ち上がって拍手をしたりすることで、言葉に表せない感動を伝えられます。
また、ビジネス面でも、先方にお世話になった気持ちを表したいとき「手を強く握って握手をする」などの方法もあります。
このように、言葉だけでは伝えられない思いをノンバーバルコミュニケーションで意識して伝えるといいでしょう。
メリット2.信頼関係を築ける
ノンバーバルコミュニケーションを意識する2つ目のメリットは、信頼関係を築けることです。
声の大きさや態度などのノンバーバルコミュニケーションを意識すると、「安心感がある」「頼りがいがある」などの印象を与えることが可能です。
例えば、仕事を引き受ける際に「責任を持ってやらせてもらいます!」と、大きな声で言うのと、「責任を持ってやらせてもらいます……」と小声で言うのでは与える印象が異なります。
同じ内容を言っていても、前者はやる気があるように感じられ、後者は不安感を与えてしまいます。
言葉以外の視線や声色などが影響を与えているのを知り、相手に与えたい印象を与えられると仕事にも私生活にも役に立つでしょう。
メリット3.相手の気持ちを推し量れる
ノンバーバルコミュニケーションを意識する3つ目のメリットは、相手の気持ちを推し量れることです。
ノンバーバルコミュニケーションは、自分から相手に影響を与えるのと同時に、相手から自分に影響を与える相互関係です。
ノンバーバルコミュニケーションについて学ぶことで、「言葉に出さない」人の本音に触れることができるようになります。
例えば、相手が嫌だなと思っているけれど言い出せないとき、楽しそうな声色の声を出しているか・めんどくさそうな顔をしていないか・目が泳いでいないかなどに変化があります。
「言葉でいいって言っているのだから問題ないのだろう」と断定せず、相手から醸し出されるノンバーバルコミュニケーションに注目してみると相手の真意を把握しやすくなります。
ノンバーバルコミュニケーションの具体例
ノンバーバルコミュニケーションには「視覚情報」「聴覚情報」などがあることをご紹介しました。
以下では、ノンバーバルコミュニケーションの具体例を紹介。今後の会話にどのように活かすか考える参考にしてみてはいかがでしょうか。
声・視線・表情
声や視線、表情から、人は無意識で相手の感情を読み取っています。
声と一概に言っても、「高い声」「低い声」「声の大きさ」「声の速さ」などの要素があります。
プレゼンでノンバーバルコミュニケーションを意識する場合は、聞きやすいようにゆっくり、大きな声で話すことで、堂々としていているようにうつります。
また、視線は相手の目を見ること、表情は自信がある顔を意識することなどと、気を使ってみましょう。
身振り(ジェスチャー)・動作
身振り手振りなどのジェスチャーもノンバーバルコミュニケーションの一例です。
例えば、相手に話を聞いていることを伝える「うなずき」や、髪の毛を触ること、サムズアップ(親指を立てるグッドサインのジェスチャー)などがあります。
髪の毛をしきりに触ることや、爪を噛むことなどは「落ち着きが無いこと」を相手に知らせるネガティブなノンバーバルコミュニケーションです。
普段の癖で、相手に悪い印象を与える動作をしていないか今一度確認してみてはいかがでしょうか。
服装
「どのような服を着ているか」も、ノンバーバルコミュニケーションの一例です。
服装は、色や形、流行に乗っているかなどその人の個性が現れているもの。
明るい服を着ていると「明るい人」「陽気な人」、寒色の服を着ていると「クールな人」「冷静沈着」というイメージを持つでしょう。
このように、色が与えるイメージは大きいため、ネクタイの色を与えたい印象や気分によって変えてみるのも一案です。
ネクタイの色で与える印象について知りたい人は「ネクタイの柄・色別の印象とは?第一印象を良くするためのネクタイの選び方」を参考にしてみてはいかがでしょうか。
対人距離・パーソナルスペース
自分を取り囲む空間である「パーソナルスペース」もノンバーバルコミュニケーションのひとつです。
人が近づいてきても不快に思わないスペースは、個人によって異なり、近づく人によっても異なります。一般に、家族や恋人とのパーソナルスペースは狭く、互いの距離が近くなる傾向があります。
姿勢
人間は、興味がある会話をしているときは「テーブルに乗り出して聞き」、つまらない会話をしているときは「肘をついたり」「携帯を触ったり」する傾向があります。
このように、姿勢からも相手の感情を読み取ることが可能です。
相手の姿勢を見るだけで、相手が自分の話や自分自身をどのように思っているか推し量れるのが「ノンバーバルコミュニケーション」を知るメリットです。
姿勢が与える印象について深く知りたい人は「姿勢としぐさの心理学 」を読んでみてはいかがでしょうか。
ノンバーバルコミュニケーションの実用例
ノンバーバルコミュニケーションは、会話の中で無意識に大きな影響を与えていることをご紹介しました。
以下では、ノンバーバルコミュニケーションの実用例を紹介。実際にノンバーバルコミュニケーションを使って、快適なコミュニケーションを取ってみましょう。
恋愛におけるノンバーバルコミュニケーションの実用例
意中の人と目が合うと「ドキッ」としてしまうもの。
しかし、すぐに目をそらしてしまっては「チラ見された」と嫌な思いを抱かせてしまう可能性があります。
ロンドン大学の研究によると、3.3秒ほどのアイコンタクトの長さがもっとも好印象を与えると言われています。
そのため、好きな人と目があった場合は、すぐにそらさず「3秒ほど」我慢してみてはいかがでしょうか。
参考:「Video: How long can you make eye contact before things start to get uncomfortable?」
仕事におけるノンバーバルコミュニケーションの実用例
営業や商談で活用できるノンバーバルコミュニケーションは、相手に信頼感を抱かせることを意識しましょう。
例えば、身だしなみを整えたり、靴を磨いたり、ハンカチやティッシュなどを持ち歩いたりと、簡単なことから始めてみましょう。
また、声が小さい人は大きな声で話す練習をしたり、大きすぎる人はTPOにあった声の大きさにできるようにしたり、自分の特性にあった練習をすることをおすすめします。
ノンバーバルコミュニケーションを実行するときの注意点
特に身振り・手振りなどのノンバーバルコミュニケーションは、文化やコミュニティによって意味が異なることがあるので、注意が必要です。
例えば「小指を立てる」動作は、日本では「恋人」や「彼女」を表しますが、中国では「つまらない」というネガティブな意味を表します。
文化の違いによって誤解を生じさせないためにも、相手の文化について勉強をしておくことをおすすめします。
ノンバーバルコミュニケーションを活用して好印象を与えよう
- ノンバーバルコミュニケーションとは言語以外のコミュニケーションのこと
- 言葉だけでは伝えられないことや、相手の気持ちを推し量ることに活用しよう
- 身振り手振りなどのノンバーバルコミュニケーションには文化の違いがある
本記事では、ノンバーバルコミュニケーションの意味や、メリット、事例などをご紹介しました。
ノンバーバルコミュニケーションは、少し意識することで、日常会話や仕事でも役に立ちます。まずは、声色や身だしなみなどの簡単なところから始めてみましょう。
本記事を参考に、ノンバーバルコミュニケーションを活用して相手に好印象を与えてみてはいかがでしょうか。
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