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企業のCSR活動とは?具体例や取り組み事例、成功させる3つのポイントを解説

U-NOTE編集部

2022/09/13(最終更新日:2022/09/13)


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近年、注目されている企業の「CSR活動」。利益には直結しない企業の社会的責任を指す活動で、消費者のなかには購買行動においてCSR活動を参考にしている人も増えています。

本記事では、そんなCSR活動の基本知識を紹介。具体例や取り組み事例に加えて、成功させる3つのポイントも解説しています。これからCSR活動を行う企業の担当者はぜひ参考にしてみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • CSR活動とサステナビリティ、SDGsの違い
  • 7つのCSR活動の取り組み事例
  • CSR活動に取り組む際の注意したい3つのポイント

 

CSR活動とは?

CSR活動の「CSR」とは、企業が果たす社会的責任のことを指します。従業員・取引先・消費者・投資家などのステークホルダーに対して、自社が企業活動を行うことで与える影響の責任を担うべきというのが「CSR」の考え方です。

2010年11月1日には、企業のCSR活動に関する国際的な統一規格「ISO26000」が定められています。

これによれば、企業が取り組むべきCSRの主題は、「説明責任」「透明性」「倫理的な行動」「ステークホルダーの利害の尊重」「法の支配の尊重」「国際行動規範の尊重」「人権の尊重」の7つ。企業がCSR活動を行う際は、この7原則を守れているかどうかを確認することが大切です。

参考元:一般財団法人CSOネットワーク「ISO26000 (国際標準化機構の社会的責任規格)

 

企業がCSR活動を行う3つのメリット

近年は、特に購買行動において商品・サービスを扱っている企業のCSR活動をチェックする消費者が多いので、企業としてのスタンスを明確にしておくことは非常に重要です。

企業がCSRを行うメリットは以下の3つです。それぞれの詳細について紹介します。

企業がCSR活動を行う3つのメリット
  • メリット1.企業価値が向上する
  • メリット2.ステークホルダーからの信頼を得られる
  • メリット3.従業員満足度が向上する

 

メリット1.企業価値が向上する

企業がCSR活動を行う1つ目のメリットは、企業価値が向上することです。

近年、企業のCSR活動にはステークホルダーから厳しい目が向けられています。企業の不祥事や地球環境の悪化など、大きな社会問題が目立つようになってきたからです。

持続可能な社会の発展を目指すには、企業は自社が得られる利益だけでなく社会や地球環境に与える影響を考慮して事業活動を行う必要があります。

CSR活動を行っていることを公表することで、消費者、株主、従業員などの様々なステークホルダーからの印象も良くなり、ひいては営業利益アップを期待できます。最終的には企業価値の向上に繋がるといえるでしょう。

 

メリット2.ステークホルダーからの信頼を得られる

企業がCSR活動を行う2つ目のメリットは、ステークホルダーからの信頼を得られることです。

CSR活動の内容を公表することで、企業は消費者や取引先、投資家などのステークホルダーからの信頼を得やすくなるのは大きなメリット。ステークホルダーとの繋がりも自然と強まり、企業活動の安定化や利益向上も期待できます。

 

メリット3.従業員満足度が向上する

企業がCSR活動を行う3つ目のメリットは、従業員満足度が向上することです。

長期的に見て企業のCSR活動は、人事採用の面でも良い影響があります。従業員が自分が関わっている仕事が社会貢献に繋がっていることの実感を得やすいため、会社や仕事への満足度が高まります。それにより、離職率の低下を防げたり、生産率の向上を期待できるのもメリットです。

また、就活中の学生や求職者に対して好印象を与えられるのもポイントです。優秀な人材の採用に繋げることもできます。

 

CSR活動とサステナビリティ・SDGsの違い

CSR活動と混合されやすい概念であるサステナビリティ ・SDGsはそれぞれ異なる意味があります。

サステナビリティの意味は「持続可能性」。近年世界的に重要視されるようになった言葉のひとつで、長期的な影響を考えて行動するという概念です。CSR活動は持続可能性な社会を目指すうえで企業が担うべき社会的責任を指しているので、サステナビリティと関連性があります。

一方、SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、世界的に解決すべき課題をまとめた「持続可能な開発目標」のことです。17のゴールと169のターゲットから構成されているのが特徴。2015年の国連総会にて全会一致で採択され、国際目標として2030年までの達成を目指しています。

CSR活動の内容を検討する際には、SDGsのゴールやターゲットを参考にすることもあるでしょう。

より良い未来のための活動という点においては、CSR活動もSDGsも同じですが、CSR活動が企業ごとに実施されるのに対して、SDGsは全世界で取り組むべき課題なのが大きな違いです。

参考元:外務省「SDGsとは?
 

企業のCSR活動の具体例

企業のCSR活動の方向性を決める前に、定番の具体例を知っておきましょう。

  • 地球環境保全に関する取り組みの支援
  • 地域活性化を支援する取り組み
  • 職場環境の見直しと従業員のスキルアップ支援
  • 適切な企業情報の開示

CSR活動は、直接的な収益には繋がらないことがほとんど。多くは寄付・ボランティア・支援など、社会や地域に貢献できる活動です。

 

企業のCSR活動の取り組み事例

企業がCSR活動を行う際のポイントは、経営理念やビジョンに沿った内容になっているかどうかです。展開する事業とCSR活動との乖離がないかは、実施する前に検討し尽くしましょう。

これからCSR活動を行う企業の担当者向けに、参考となる企業の取り組み事例をご紹介します。

 

事例1.日本ロレアル株式会社のシングルマザー就労支援プログラム

日本ロレアル株式会社は、ひとり親世帯、特に母子家庭世帯の相対的貧困の問題に解決に取り組んでいる企業です。

貧困になりやすい母子家庭の経済的安定をサポートするべく立ち上げたのが「未来への扉」という就労支援プログラム。2016年に設立し、2019年時点で参加した165人が56%の収入増を実現しています。

第8期となる2022年は、オフィスワークで必要なスキルを身に付けられる「一般コース」と、美容関係の仕事でスキルを発揮できる「ビューティコース」を開講。定員は25名と召集ですが、講座は無料かつオンラインで受講できます。人々、特に女性の美に寄り添う商品を扱う企業らしいCSR活動の事例です。

参考:シングルマザー就労支援プログラム「未来への扉」第8期を開講


事例2.マムート・スポーツグループジャパン株式会社の山の日特別授業

総合マウンテンブランド「マムート」を生み出したマムート・スポーツグループジャパン株式会社は、2022年で創業160周年を迎えた記念に「山の日特別授業」を実施しました。

第1部では、スイス本社が公開した「マムート レスポンシビリティレポート2021(CSRレポート)」を発表。社会・環境問題に関する取り組みを行い、2050年までに温室効果ガスの排出・吸収・除去の合計値ゼロを目標として掲げているとしました。

特別授業には、ボーイスカウトの小学4~6年生、計23名が参加。環境問題への意識を高め、一人ひとりが日本の自然環境の保護を考えるきっかけとなる、マウンテンブランドらしいCSR活動の事例です。

参考:マムート160周年記念プロジェクト「山の日特別授業~氷河のある世界のために~」開催アンバサダーを務める柴咲コウさんとボーイスカウト23名が参加。約1700年前の貴重な氷河を用いて環境保護の大切さを学ぶ


事例3.クックパッド株式会社のウクライナ支援プロジェクト

料理レシピを投稿・検索できるサービス「クックパッド」を提供しているクックパッド株式会社は、ウクライナ支援プロジェクトとして『ウクライナのレシピ帳』を発売しています。クックパッドに投稿されたウクライナ料理のレシピからピックアップし、1冊にまとめた内容となっています。

本プロジェクトでは、諸経費を除いた売上金を、ウクライナから横浜に避難されて来た方々を支援する公益財団法人横浜市国際交流協会へ寄付。また、料理を通じた支援活動に使用されるとしています。

自社サービスの軸である料理を通じた一貫性のあるCSR活動の参考事例です。

参考:クックパッド、紛争の避難民支援を目的に電子書籍『ウクライナのレシピ帳』を発売

 

事例4.株式会社ジンズホールディングスの「もっと外遊びプロジェクト」

眼鏡の「JINS」ブランドで知られる株式会社ジンズホールディングスは、子供の近視増加と遊び場の減少という問題解決のため、広場や空き地に遊具を届けるプレーカーを制作。東京都世田谷区内の認定NPO法人「プレーパークせたがや」に寄贈しました。

株式会社ジンズホールディングスは元々、自社のサステナビリティ目標のひとつとして「近視をなくす。目を通じた、幸福の追求を。」を掲げています。

近年、子供の近視対策として1日に2時間は外で遊ぶことが推奨されてはいるものの、安心して遊べる場所が減っていることも課題。株式会社ジンズホールディングスはその課題に着目し、本プロジェクトを立ち上げ・実施しました。

自社が掲げるサステナビリティ目標を起点に計画された、参考になるCSR活動の事例です。

参考:“近視のない世界”を目指して取り組む「もっと外遊びプロジェクト」第1弾認定NPO法人へ「JINS見る育プレーカー」を寄贈しました

 

事例5.ファーウェイ・ジャパンの「朴の会」への支援活動

ファーウェイ・ジャパンは、音楽や講演など芸術的な活動を通じて病気の子供たちを支援する、認定特定非営利活動法人「朴の会(ほおの会)」に助成金100万円を贈りました。

この取り組みは、「朴の会」が闘病している子供や家族、医療関係者に生の音楽を届ける「音楽とどけ隊」の活動を支援することが主な目的です。「音楽とどけ隊」のコンサートは2022年6月時点で通算180回を超えており、今後もその活動は続いていきます。

SDGsの「誰一人取り残さない」というビジョンに賛同しているファーウェイ・ジャパンらしいCSR活動の参考事例です。

参考:ファーウェイ・ジャパン、小児がんの子どもたちを支援、「朴の会」2022年音楽とどけ隊へ助成金

 

事例6.江崎グリコ株式会社の「CSRレポート2022」

食品メーカーである江崎グリコ株式会社は、2022年1月~6月のCSR活動の主な取り組みを「CSRレポート2022」として自社ホームページで公開。同社は「Glicoグループ環境ビジョン2050」を掲げ、2050年の中長期的な視点でさまざまなCSR活動を実施しています。

「CSRレポート2022」では、二酸化炭素の排出量の削減や学校給食用牛乳ストローの廃止に加えて、「令和3年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」国土交通大臣表彰の受賞について述べています。

一つひとつのCSR活動をプレスリリースとして都度配信できない場合は、江崎グリコ株式会社の用に半期ごとの活動内容をまとめて公開するのもおすすめです。

参考:【Glico NEWS LETTER 6月は環境月間】Glicoグループの2022年1月~6月のCSR活動 茨城工場で再生可能エネルギー由来の電力を100%調達

 

事例7.ロクシタンジャポン株式会社のサステナビリティ活動参画キャンペーン

ロクシタンジャポン株式会社は、6月5日の「世界環境デー」にちなんだプロジェクトとして、ロクシタンが実施しているCSR活動に参画できるキャンペーンを実施しました。

このキャンペーンでは、消費者が特設サイトでロクシタンが行う6つのCSR活動について知り、支援したい活動に投票することができます。投票1口100円として、合計金額をロクシタン側が各団体に寄付する仕組みになっています。

自社が行うCSR活動を知ってもらいつつ、自然な形で消費者もその活動に関わってもらうことができる、参考となる事例です。

参考:1クリックで未来へのアクションを!誰でもロクシタンのCSR活動に投票できるキャンペーン実施 2022年6月1日(水)~6月30日(木)

 

企業がCSR活動に取り組むときの3つのポイント

CSR活動にはコストがかかるため、どんな目的のために実施するのかを明確にすることが重要です。長期的に見て利益を得られる活動なので、無理のない活動計画を立てましょう。

最後に、これからCSR活動に取り組む企業が大切にすべき3つのポイントを解説します。

 

ポイント1.経営理念やビジョンに沿ったCSR活動を検討する

企業がCSR活動に取り組むときの1つ目のポイントは、経営理念やビジョンに沿ったCSR活動を検討することです。

CSR活動はとにかく実施すれば良いというものではありません。ステークホルダーは、活動内容以外に、企業として一貫性があるかどうかも見ています。

そのため、経営理念やビジョンとは関係のないCSR活動はかえってイメージの低下に繋がる可能性があります。幅広くCSR活動を行うのではなく、これまでの企業活動と矛盾が生じていないかを確認してから実施に踏み切りましょう。

 

ポイント2.長期的に、無理なく持続できる計画を立てる

企業がCSR活動に取り組むときの2つ目のポイントは、長期的に、無理なく持続できる計画を立てることです。

CSR活動は企業側にメリットがあると同時に、コストがかかるものです。短期的な利益がのぞめないため、活動初期は一時的に利益が減少することがほとんどです。

そのため、CSR活動は長期的な視野で取り組むことが大切。活動領域も限定し、数年規模のプランを立てるのがポイントです。

 

ポイント3.ステークホルダーへの広報活動も行う

企業がCSR活動に取り組むときの3つ目のポイントは、ステークホルダーへの広報活動も行うことです。

企業のCSR活動は、より多くのステークホルダーに知ってもらい、支援してもらうことが大切。ステークホルダーにとって好印象を与える活動であれば、ステークホルダー自身がその内容を外部に広めてくれる可能性があるからです。

ステークホルダーへの広報活動は、プレスリリースを活用するのがおすすめ。業界関係者だけでなく記者やメディア関係者の目にとまる可能性があり、各媒体で記事になればより多くの消費者に自社のCSR活動を知ってもらうことができます。

 

無理なく長期的にCSR活動に取り組もう

本記事のまとめ
  • CSR活動は、企業価値や従業員満足度の向上などのメリットがある
  • サステナビリティやSDGsとは異なる活動
  • 持続できるCSR活動の計画を立てる

企業がCSR活動を行う際には、長期的に実施する視点が欠かせません。持続することで社会的責任を果たしていると評価されるため、長い視野で見て企業の成長に繋がります。

継続するには、無理なく実施できるCSR活動の計画を立てることが大切。多くの企業は、経営理念やビジョンに沿ったCSR活動を行っています。

本記事でご紹介した事例を参考に、自社にあった活動を実施してみてください。

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