始末書はめったに書くものではないため、いざ書くことになったときに書き方がわからないという人も多いのではないでしょうか。
本記事では、始末書を書くときのポイントや注意点を解説。また、寝坊や紛失、事故、破損などのシーンごとの例文を紹介します。
- 始末書とは?顛末書や反省書との違いも紹介
- 始末書を書くときのポイントや注意点
- 寝坊や紛失などのミスごとの始末書の例文
始末書とは?
寝坊や紛失、事故などのミスをした際には「始末書」を書かなければいけない会社も多いでしょう。
始末書は、読んで字の如く「事の始めから終わりまで」を書くものです。トラブルが起こった際は、「どうして問題が起こったのか」「それについて自分はどう対応したのか」「反省や謝罪」などを書きます。
始末書の類似語として、「顛末書」「反省書」がありますが、それぞれ何を書くかが変わってきます。どのような種類の書類を提出するか、改めて確認してみましょう。
始末書と顛末書の違い
始末書と顛末書(てんまつしょ)の違いは、主観的な内容を記載するか否かにあります。
始末書は、問題が発生した理由や対応だけでなく、反省や謝罪の気持ちなども記載します。
一方、顛末書は、「どうして問題が起こったのか」を明らかにするために詳細に報告するためのものです。報告書のような役割があるのが「顛末書」であることを覚えておきましょう。
始末書と反省書の違い
始末書と反省書は、「主観的な内容をどの程度記載するか」という違いがあります。
反省書は、始末書よりも軽い教育指導のひとつで、いかに反省しているかを上司に報告するものです。ミスが起こった経緯というよりもむしろ、反省点や今後どのようにするかにフォーカスを当てるといいでしょう。
始末書を書く目的
「始末書を書いてもミスがなくなるわけではないのに……」と始末書を書かされることを億劫に感じる人もいるでしょう。
しかし、始末書を書くことで客観的にミスをしてしまった原因がわかり、再発防止に役に立ちます。また、自分のミスと向き合うことで、成長を促す効果もあります。
会社側としては、ミスが起こったことを証明する証拠にもなり、「懲戒解雇処分」などの根拠にも役に立ちます。
「書かされているもの」として捉えるのではなく、「自分の成長のために書くもの」として真剣に向き合うことをおすすめします。
始末書を書くときの5つのポイント
始末書を書くときは、以下の5つのポイントがあります。
- ポイント1.5W2Hを意識して書く
- ポイント2.事実を正確に記載する
- ポイント3.簡潔にわかりやすくまとめる
- ポイント4.手書きかパソコンで作成するか確認する
- ポイント5.誤字脱字の確認を行う
以下で詳細について確認していきましょう。
ポイント1.5W2Hを意識して書く
始末書を書くときの1つ目のポイントは、5W2Hを意識して書くことです。
5W2Hとは以下の7つを意味します。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのような方法で)
- How much(いくらで)
5W2Hを意識しながら文章を書くと、説明不足が起きにくいメリットがあります。
もちろん、「How much」のように使わないものがあっても問題ありません。しかし、書いた文章を見返してみてこれらの要素があるか確認することは大切です。
文章を書くことが苦手な人は、一問一答のように5W2Hの回答を考えておき、組み合わせることで文章にするのも一案です。
ポイント2.事実を正確に記載する
始末書を書くときの2つ目のポイントは、事実を正確に記載することです。
恥ずかしさや情けなさで自分のミスに向き合うことを難しく感じる人もいるのではないでしょうか。事実から目を背けて、「自分は悪くなかった」と現実逃避をするのはNG。
深く反省するためにも、事実と向き合い、原因が理解しやすい始末書にしましょう。
その際に、「なんとなく」記載するのはNGです。特に、日時や金額などの数字の部分は、事実を正確に記載できているのかをよく確かめて記載するようにしてください。
ポイント3.簡潔にわかりやすくまとめる
始末書を書くときの3つ目のポイントは、簡潔にわかりやすくまとめることです。
文字数が多いほうが反省しているように見えるという考えで始末書を書いてしまうと、ダラダラと長い文章になってしまいます。
大切なのは、「反省していることを伝えられること」「なぜミスが起こったのか明らかにすること」です。長さは問題ではないので、原因と反省を簡潔にまとめましょう。
ポイント4.手書きかパソコンで作成するか確認する
始末書を書くときの4つ目のポイントは、手書きかパソコンで作成するか確認することです。
始末書は必ず手書きで書かなければいけないという規則がある会社もあります。「始末書は手書きとパソコン、どちらで作成すればよろしいでしょうか」と上司に確認をとってから着手すると間違いないでしょう。
ポイント5.誤字脱字の確認を行う
始末書を書くときの5つ目のポイントは、誤字脱字の確認を行うことです。
反省の意を示す文章で、誤字脱字が多いと「反省していないのでは」と訝しまれる可能性が高いです。
誤字脱字を避ける方法としては、「声に出して文章を読む」または「第三者に読んでもらう」ことなどがあります。声に出して読むことで、目が滑って読めていない文章を正確に読め、誤字脱字の発見に繋がります。
また、第三者に読んでもらうと自分が正しいと思っていた表現が間違えていることに気がついたり、改善点を指摘してもらったりできます。恥ずかしく感じるかも知れませんが、勇気を出して同僚や先輩に読んでもらってみてはいかがでしょうか。
始末書を手書きで書くときの3つの注意点
始末書を手書きで書かなければいけない場合は、パソコンで作成するよりも注意して書く必要があります。
以下では、始末書を手書きで書くときの3つの注意点をご紹介します。
注意点1.なるべく丁寧な文字で書く
始末書を手書きで書くときの1つ目の注意点は、なるべく丁寧な文字で書くことです。
他の仕事が忙しいことはわかりますが、雑な字で書いてしまうと「適当に書いた始末書」と思われてしまう可能性があります。
初めから字があまり綺麗ではないという人も、丁寧に書いた文字と雑に書いた文字では与える印象が変わってきます。できるかぎり時間を取って丁寧に書くことを意識しましょう。
注意点2.下書きをして文字の配置まで気を配る
始末書を手書きで書くときの2つ目の注意点は、下書きをして文字の配置まで気を配ることです。
白紙の紙に始末書の内容を書く際は、ものさしでガイドを入れて文字が斜めにならないように気を配りましょう。また、ガイドを入れる場合は消せるように鉛筆を使うことをおすすめします。
また、始末書を書く紙に特に指定がない場合は、ガイドがある紙を選ぶのも一案です。
注意点3.鉛筆ではなくボールペンで書く
始末書を手書きで書くときの3つ目の注意点は、鉛筆ではなくボールペンで書くことです。
もちろん、鉛筆で下書きを書くことは問題ありませんが、消しゴムで消せる鉛筆で書いてしまうのは、保管され残される書類としてはNG。同様の理由でフリクションで始末書を書くのも避けておきましょう。
ボールペンもしくは万年筆などを使って誤字がないように丁寧に書きましょう。
また、鉛筆で下書きをしたあとは、ボールペンや万年筆で書いた文字が乾いたあとで消すことを忘れないようにしましょう。
寝坊や紛失などのミスごとの始末書の例文
始末書を書いたことがないと、どのような文章を書けばいいか検討もつかない人もいるでしょう。
以下では、寝坊や紛失などのミスごとの始末書の例文をご紹介します。自分のミスを顧みつつ、参考にしながら始末書を書いてみてはいかがでしょうか。
寝坊をしたときの始末書の例文
「寝坊をしたときの始末書」は、一般的には何度も遅刻をしてしまったときに書くことを指示されます。
何度も注意をしてもらったのに遅刻をする習慣を改善できなかったことに対して、反省している旨の始末書を書くといいでしょう。
- 令和〇年〇月〇日から、令和〇年〇月〇日の間に、正当な理由もなく不注意による遅刻を繰り返し、会社の皆様だけではなく取引先の方にも多大な迷惑をおかけしたことを深く反省します。
自己管理能力にかけていることが原因であり、弁解の余地もありません。
今後は、自己管理を徹底し、二度と遅刻をしないように注意しながら業務に努めることを誓います。
紛失をしたときの始末書の例文
「紛失をしたときの始末書」を書くときは、「紛失してしまって反省している」という内容を書くだけでは不十分です。
現在見つかっているのか・見つかっていないのか、これからどのように振る舞うかなどを丁寧に書くことが求められます。
- 令和〇年〇月〇日に、会社で貸与されている制服の予備を、会社外で紛失し、皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
現在、警察に遺失届を提出し捜索中ですが、未だ発見できていません。
今後このようなことが起こらないように、会社で貸与されている備品を丁寧に扱い、二度となくさないようにすることを誓います。
事故をしたときの始末書の例文
「事故をしたときの始末書」を書く際は、5W2Hを駆使しながら、時系列ごとに事細かく内容を書くことが大切です。
また、相手との事故の場合、怪我の有無や保険会社への連絡など、事故の対応を書くことを忘れないようにしましょう。
- 令和〇年〇月〇日午後◯時◯分ごろに、会社近くの交差点で、前方不注意のため接触事故を起こしてしまいました。
株式会社〇〇との打ち合わせが終わり会社に帰る途中で、前方の確認を怠ってしまい、前に止まっていた一般車両に接触し、相手車両のボディーの一部を損傷しました。
軽い追突だったため、相手の方と私には怪我がありませんでした。また、保険会社を通して示談が成立しております。
今後このようなことを繰り返さないためにも、車を運転中には安全確認を怠らず、周りに注意をはらうことを固くお誓いいたします。ご迷惑をおかけしまして、大変申し訳ありませんでした。
データを削除するミスをしたときの始末書の例文
「データを削除するミスをしたときの始末書」は、どのようなデータをなぜ削除してしまったかを詳細に書くことが大切です。
- 令和〇年〇月〇日に、同日に行われた新商品の会議の議事録のデータの一部を削除してしまいました。
データを削除した経緯としては、内容の順番を変更しようと思い変えたところ、必要な内容を誤って削除してしまいました。自分の注意力が欠けており、大変なご迷惑をおかけしたことを謝罪いたします。
今後二度とこのようなことが怒らないように、一つひとつの作業を行う場合は動作を確認しながら注意深く業務に当たることを誓います。
破損したときの始末書の例文
「破損したときの始末書」を書く際は、「原因が何なのか」を特に深堀りしながら書くことをおすすめします。
- 令和〇年〇月〇日に、会社から貸与されているパソコンを、会社のデスクで作業中に不注意で落としてしまい破損させてしまいました。
積み上げていた書類に気を取られ、立ち上がる際にパソコンを落としてしまいました。パソコンの画面が欠けてしまい、多大な迷惑をおかけしたことを謝罪申し上げます。
二度とこのようなことが起こらないようにするためにも、業務開始前・開始語には机の上の整理整頓を行い、デスクの上のスペースを十分に確保するように努めることを誓います。
始末書を書く際は二度と同じミスをしないことを意識しよう
- 5W2Hを意識し事実を正確に書く
- 手書きで書く場合は、丁寧な字でボールペンを使って書く
- 二度と同じミスをしないように、深く反省しよう
本記事では、始末書を書く際のポイントや、注意点、例文をご紹介しました。
始末書を書く際には、表面的な反省ではなく、二度と起こらないようにするにはどうすればいいのか対策を考え、二度と繰り返さないように誓いを立てながら執筆しましょう。
本記事を参考に、反省していることが伝わる始末書を作成してみてはいかがでしょうか。
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