来客があった際のマナーである「お茶出し」。おもてなしの心が込められた日本独自の文化です。社会人になって初めて、お茶出しをしたり、逆にお茶を出されたりを経験する方は多いのではないでしょうか。
そこで、社会人として知っておきたいお茶出しのマナーと手順を解説。ペットボトルでのお茶出しについてや、コロナ禍でのお茶出しのマナーもご紹介します。お茶出しのよくある質問にも回答しているので、マナーを網羅したい方はぜひチェックしてみてください。
- お茶出しのマナーを7ステップに分けて解説
- コロナ禍でのお茶出しのマナーとは
- お茶出しへのちょっとした疑問に回答
基本のお茶出しのマナー
お茶出しのマナーは、社会人として身に付けておきたいことのひとつです。落ち着いたスマートなお茶出しは、お客様に安心感を与え、好印象。自社への印象に直結するため、正しいマナーを身に付けておきましょう。
まずはお茶出しをする流れを基に、お茶出しのマナーについて紹介していきます。
STEP1.お茶が必要な数を把握する
まずは、お茶が必要な数を把握しましょう。お客様を対応する担当者に何人ですかと確認するほか、自身で来客対応した場合にはその場で失礼にならないよう人数を数えましょう。
STEP2.湯のみを温める
次に、湯のみを温めます。冷えた湯のみに直接お茶を淹れてしまうとお茶の温度が下がり、ぬるくなってしまったり、冷める速度が早くなってしまったりします。
それを避けるには、湯のみにお湯を淹れておくことがおすすめ。少々手間に思えるかもしれませんが、お茶をあたたかい状態のまま最後まで美味しく飲めるようになります。
STEP3.急須で茶葉を蒸す
湯のみを温めるのと同時に、急須で茶葉を蒸しておきましょう。蒸らす時間の目安は1分程度。茶葉が開き、お茶本来の香りとコクを楽しむことができます。
長く抽出してしまうと、渋味や苦味が出てしまうので要注意。茶葉が開きやすいものであれば、30〜40秒ほどの蒸らし時間でも問題ありません。様子を見ながら蒸らしましょう。
STEP4.お茶を淹れる
茶葉が開いたら、湯のみにお茶を淹れます。ポイントは、少しずつ順番に注ぐこと。ひとつずつ淹れてしまうと最初のお茶の味が濃く、最後のお茶の味が薄くなってしまいます。同じ濃さのお茶にするには、少しずつお茶を淹れるのがコツです。
STEP5.ノックをして声をかけ、入室する
お茶を淹れ終わったら、お茶出しを行います。入室する際は必ずノックをし、一呼吸置いてからドアを開けましょう。
「失礼します」と挨拶をしたら、一度おじぎをします。入室後はドアを閉めることも忘れないでください。お盆を持っていないほうの手で静かに閉めましょう。
STEP6.お盆を置き上座の相手の右後ろからお茶を出す
入室をしたら、お盆をサイドテーブルや下席側のテーブルに置き、お茶の準備を行います。下席側のテーブルに置くときは「失礼します」と一言添えるのを忘れないでください。
基本的にお茶出しはお盆を持たずに行います。お盆からひとつずつ湯のみを手に取り、上座に座っているお客様から順番にお茶を出しましょう。
湯呑みをテーブルに置く際は、相手の右後ろから行うのがマナー。後方にスペースがなく後ろに回れないときは、「前から失礼します」と一言声をかけてからお茶を出します。
STEP7.退室する
上座から下座まで順番にお茶を出したら、お盆を左脇に挟んで退室します。
ドアを開ける前に一礼し、ドアを開け部屋の外に出た後にも一例するのが退室時のマナーです。会議や打ち合わせの邪魔にならないよう、なるべく素早く静かに退室することを心掛けてみてください。
会議のときのお茶とお菓子を出すときのマナー
お茶とお菓子を一緒に出す際には、気をつけたいいくつかのマナーがあります。コロナによりお菓子を出す機会は少なくなっていますが、知っておくとお菓子も出す必要があるときにスマートに対応できます。
お茶は右、お菓子は左に置く
お茶とお菓子を出す際は、置く位置に注意しましょう。基本的にお茶は右側、お菓子は左側に出すのがマナーです。先に出したものの上を通過しない順番であれば、お茶とお菓子のどちらから出しても問題ありません。
個包装のものは袋から出して提供する
個包装のお菓子は、必ず袋から取り出して別皿に載せて出しましょう。お客様が手間なく食べられるような配慮のひとつです。
手が汚れないように、フォークやピックなどを一緒に準備するのがベストです。どうしても手を使う必要があるものは、手をふけるものも一緒に出すとよいでしょう。
お茶とお菓子の組み合わせを考えて出す
お茶とお菓子の組み合わせにルールはありませんが、バランスを考えて出すことを意識しましょう。
組み合わせは完全にお茶出しをする方の好みになってしまいますが、緑茶や抹茶など味の濃いお茶には甘みが強いお菓子がおすすめ。番茶やほうじ茶など飲みやすいお茶には、乾いた甘いお菓子が適しています。
ペットボトルのお茶出しのマナー
お茶出しはグラスやコップを使うのが一般的ですが、実はペットボトルでも問題ありません。ただし、グラスやコップとは別のマナーが存在するため要注意。お客様に失礼にならずにすむので、ペットボトルのお茶出しのマナーも知っておきましょう。
蓋は閉めたまま、「ペットボトルのまま失礼いたします」と伝える
ペットボトルを出す際は、蓋は閉めたまま「ペットボトルのまま失礼いたします」と伝えましょう。よかれと思って蓋を開封してしまうと、お客様に飲みかけかと勘違いされてしまうので注意してください。
夏場であれば冷えたものを、冬場であれば常温もしくはあたたかいものを出すのがベター。サイズは企業にもよりますが、一般的な500mlもしくはハーフサイズのペットボトルでも問題ありません。
紙コップ、ストローを添える
人前でペットボトルに直接口を付けて飲むのが苦手な方もいるため、ペットボトルと一緒に紙コップやストローも出しましょう。
紙コップはほこりが入らないように、ペットボトルにかぶせて出すのがおすすめ。ストローは裸のものではなく、小包装になっているタイプを用意してください。
「お荷物でなければお持ち帰りください」との声がけをする
ペットボトルのお茶出しのメリットは、その場で飲み切れなくても持ち帰れるところです。
なかには会議中に飲み干すのがマナーだと考えているお客様もいますが、ハーフサイズならまだしも500mlのペットボトルを飲むのは非常に大変。「お荷物でなければお持ち帰りください」と一言添えておけば、遠慮なく持ち帰ってもらうことができます。
コロナ禍でのお茶出しのマナー
コロナの影響により、お茶出しのマナーに変化が起きています。多くの企業では感染拡大対策としてお茶出しを廃止していますが、なかにはお茶を出さないのは失礼にあたるとして継続している会社もあります。コロナ禍だからこそのお茶出しのマナーについて解説します。
ペットボトルや紙パックを提供する
コロナの影響により、多くの企業でグラスやカップでのお茶出しが廃止されペットボトルや紙パックなどの提供に変化しました。
グラスやカップは使用後に洗うものの、菌への対策は企業ではできかねるため、感染拡大につながる可能性があります。そのため、コロナ禍でお茶出しする場合はペットボトルや紙パックが一般的となっています。
お客様にお茶が必要かどうかを聞く
コロナ以前は来客があったらお茶を出すのがマナーでした。コロナ禍でもお茶出しの文化はなくなっていないものの、感染対策の面からお茶を出してもよいかどうか悩んでいる方が多くいます。
その場合は、お客様にお茶が必要かどうかを聞きましょう。断られたらお茶は出さず、必要だといわれたらペットボトルか紙パックのお茶を提供すれば問題ありません。
コーヒーサーバーやティーサーバーを用意する
コーヒーサーバーやティーサーバーを用意するのもおすすめです。導入費用がかかるものの、簡単な操作で飲み物が出てくるため、準備に手間がかかりにくいのがメリットです。
また、1台で複数の飲み物を楽しめるのもポイント。来客だけでなく社員も利用できるため、福利厚生の一環として導入してもよいでしょう。
お茶出しをするときのよくある質問
お茶出しをする際、予期しないアクシデントが発生することがあります。準備をしておかないと慌ててしまい、お客様への失礼にもつながりかねません。起こり得るアクシデントを想定し、対処法を知っておきましょう。
持っていったお茶の数が足らない場合はどうする?
人数を確認したのに持っていったお茶の数が足らない場合は、上席の方から順番にお茶を出せば問題ありません。来客者を優先し、残った分は自社の上席の方に出します。
足りていない分は「改めてもう一度お持ちします」と断って退室し、追加で持っていきましょう。足りないからといって慌てず、落ち着いて対応することを意識してください。
お茶を断られた場合はどうする?
お客様によっては「お茶は結構です」と断られる場合もいます。悩んでしまうこともあると思いますが、相手の主張を尊重して対応するのが一般的。本当に大丈夫なのかと不安になるかもしれませんが、断られた場合はお茶は出さなくて問題ありません。
ただし、会社によってはお客様が断ってもお茶出しするのがルールとなっていることもあります。いざというときの対応に困ることが少なくなるので、事前に確認しておきましょう。
2杯目を出すタイミングは?
商談や打ち合わせなど、時間がかかる会議の場合は2杯目のお茶を出しましょう。2杯目を出すタイミングは、30分が目安。多くの会議は最長でも1時間で設定されていることが多いので、1杯目を出した30分後だと打ち合わせの中盤になります。
ただし、30分後きっかりではなく様子を見て2杯目を出すのが大切。例えば、机の上に資料が並べられているようであればお茶を出しても邪魔になってしまいます。整理されたタイミングを見計って2杯目を持っていきましょう。
お茶をこぼしてしまったらどうする?
持っていったお茶を万が一こぼしてしまったら、まずお客様に丁寧に謝りましょう。続いて、衣服が汚れていないか、資料が濡れてしまっていないかを確認します。もしお茶により汚れてしまっていたら早急に拭いて綺麗にしましょう。
万が一のときのために、お茶出しする際には布巾を用意しておくのがおすすめです。
資料などが広がっていてお茶を置くスペースがない場合は?
お茶出しをする際、机に資料が広がっていてお茶を置くスペースがないことがあります。
その場の方がスペースを作ってくれればよいですが、そうではない場合は自社の下位の方に一言「お茶をお持ちしましたが、いかがいたしましょうか」と確認しましょう。もしくは、お盆ごとそのまま渡してしまっても問題ありません。
手土産をいただいた場合は一緒に出すの?
自宅に訪問した方から手土産をいただいた場合は、いただいたものをお茶受けとして出すことが一般的です。
しかし、ビジネスシーンではお客様からいただいた手土産をお茶受けとして出すのは、失礼にあたるので注意してください。手土産はその場で丁寧に受け取り、その後は別室に移せば問題ありません。
手土産をお茶受けとして出すのは、お客様から「一緒に食べましょう」と一言があったときのみ。お礼の言葉を伝えて一度持ち帰り、お茶と共にお出しします。
給湯室と会議室が遠い場合はどこでお茶を入れる?
給湯室と会議室を長い距離移動するとほこりが入ってしまったり、熱いお茶がぬるくなってしまったりします。給湯室と会議室が遠い場合は、移動可能なお茶出しセットを用意しておくと便利です。
また、蓋付きの湯呑みを利用するのもひとつの手。お客様に対して失礼にならないようにするためには何が必要かを考え、準備をしておきましょう。
マナーを守って自信を持ってお茶出しをできるように
- 基本のお茶出しマナーを知っておけば問題ない
- ペットボトルのお茶出しは失礼にあたらない
- 起こり得るアクシデントを想定しておけばスマートに対処できる
お茶出しは誰しもが経験することですが、正しいマナーを教えられる機会はほとんどありません。自信を持ってお茶出しをできるようにするには、自らマナーを知る姿勢が大切です。
本記事を参考に身につけたマナーを守り、スマートにお茶出しをしましょう。
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