誰もが一度は可能性を考える「海外への転職」。海外で働く日本人は増えているものの、言語や文化、生活面など不安に思う点は多いはずです。
そんな海外への転職を考える方に向けて、3つの転職方法をご紹介。併せて、転職を成功させる5つのポイントも解説しています。
- 海外に転職する方法とは
- 環境別に求められる語学力のレベル
- 転職する際の注意点も把握
海外に転職する主な3つの方法
海外に転職するには、主に3つの方法があります。自分の状況や希望に当てはまる方法で、海外への転職を行いましょう。
- 1.現在勤務している企業の海外駐在を検討する
- 2.海外企業の現地求人に直接応募する
- 3.海外の求人を扱う日本の転職エージェントを利用する
1.現在勤務している企業の海外駐在を検討する
海外に転職する1つ目の方法は、現在勤務している企業の海外駐在を検討することです。
大手グローバル企業やグローバル展開をしているベンチャー企業では、海外駐在員として海外に派遣される可能性があります。
新卒では厳しいものの、数年勤めている場合であれば海外に行く機会の多い部署に異動することも検討してみましょう。
「自社には海外展開している部署がない」という場合でも、新規設立を検討している場合もあるので、上司に相談してみるのも一案です。
2.海外企業の現地求人に直接応募する
海外に転職する2つ目の方法は、海外企業の現地求人に直接応募することです。
現職での海外駐在の機会がないのであれば、海外企業の現地求人に応募することもひとつの手です。国や企業を自由に選べるうえ、タイミングも調整できるのがメリットです。
即戦力を求められる海外の求人は、新卒でのチャレンジは難しくても、社会人経験がありスキルや経験を積んだ後ではチャレンジしやすくなります。
現地求人での日本人採用は国にもよりますが、特にチャンスがあるのは東南アジア。経験不問にしている場合も多く、比較的転職のハードルが低いのが特徴です。
ただし、現地の人と同等のスキルが求められるため、言語力があることは基本となることに注意しましょう。
3.海外の求人を扱う日本の転職エージェントを利用する
海外に転職する3つ目の方法は、海外の求人を扱う日本の転職エージェントを利用することです。
例えば「パソナグローバル」や「JACリクルートメント」などは、海外への転職サポートが手厚いことで知られています。キャリアコンサルタントがヒアリングを行い、適性のある企業への就職を支援します。
中には日本人の採用を求めてる企業もあるため、言語力に自信がなくても応募できることもあります。
転職エージェントのなかには、国を限定して求人を掲載しているケースが多いです。利用するべきサービスやサイトが変わってくるので、どの国で働きたいかは明確にしておきましょう。
英語が話せないけれど海外に転職することはできる?求められる言語力
海外に就職する際に気になるのが言語力です。言語力が高いほどコミュニケーションはスムーズになり、業務も滞りなく進みます。ビジネスでの世界共通言語といえば英語ですが、なかには話すことができない方もいるはずです。
これから学ぶ方に向けて、状況別に求められる言語力の目安を解説します。
日系企業の海外駐在員の場合
日系企業の海外駐在員の場合、求められる言語力の目安はTOEIC730点以上。コミュニケーションを取るのに問題のないレベルで、通常の業務であれば支障なく行えます。
外資系企業の場合
外資系企業の場合、日系企業の海外駐在員に比べてより高い言語力が求められます。最低でも必要なTOEICの目安は860点以上。語彙が豊富で文法も使いこなせるレベルで、流暢なコミュニケーションが可能です。
英語以外の言語を使う国の場合
英語以外の言語を使う国の場合に求められる言語力は、英語であればTOEIC600点程度。ビジネスにおいて英語は世界共通の言語ではありますが、やはり仕事をするとなればその国の言語を身に付ける必要があります。
基礎的な英語を学んでおき、国が決まった場合に就職先の国の母国語を勉強するのがおすすめです。
営業や商談・プレゼンテーションが頻繁にある場合
営業や商談・プレゼンテーションが頻繁にある場合は、より高い言語力が求められます。外資系企業と同じくTOEIC860点が目安。加えて、専門的な会話を行うためのビジネス英語も勉強しておきましょう。
開発職の場合
開発職の場合も言語力は非常に重要です。エンジニアやプログラマーはチームで動くため、活発なコミュニケーションが求められます。そのため、言語力はTOEIC730点以上の日常的なコミュニケーションが可能なレベルが目安です。
- 日系企業の海外駐在員の場合:TOEIC 730点以上
- 外資系企業の場合:TOEIC 860点以上
- 英語以外の言語を使う国の場合:TOEIC 600点程度
- 営業や商談・プレゼンテーションが頻繁にある場合:TOEIC 860点程度
- 開発職の場合:TOEIC 730点以上
海外に転職するメリット
海外への転職には、さまざまなメリットがあります。チャレンジするハードルは高いですが、それに見合った貴重な経験を体験することが可能。加えて、キャリア・収入面でもメリットがあります。
1.日本では得られない経験ができる
海外に転職する1つ目のメリットは、日本では得られない経験ができることです。
同じ業界・職種といえど、海外で働く場合、日本にはないさまざまな仕事の機会が待ち受けています。業務の進め方が違うことによる、仕事への視野が広がる経験ができることもメリットです。
2.キャリアアップに繋がる
海外に転職する2つ目のメリットは、キャリアアップに繋がることです。
海外の多くの国ではジョブ型雇用を採用しており、ひとりに与えられる裁量権が大きいのが特徴です。プロフェッショナルのひとりとして扱われるので、成果を出すために自ら考え、動くことが求められます。
能力向上やキャリアアップに繋がりやすいのがメリット。一つひとつの業務に上長の許可が必要な日本とは違い、成長速度もスピーディーです。
3.収入UPになることが多い
海外に転職する3つ目のメリットは、収入UPになることが多いことです。
海外と日本では前提として賃金に差があります。OECDが公開している加盟諸国の「平均賃金」データによれば、例えば日本とアメリカでは2倍近くの差があります。そのため、日本から海外に転職すると収入UPになることが多いのです。
また、日本は年々賃金が減少しているのに対し、アメリカやイギリス、ドイツなどを始めとする海外では賃金が増加傾向にあることも関係しています。
参考:OECD「平均賃金」
海外に転職するときの注意点
海外に転職する際、注意したいポイントが3つあります。「就労ビザの取得」「国ごとの特徴の違い」「海外で評価される働き方」です。この3点を理解しておかないと、海外への転職はスムーズにいきません。各注意点を詳細に解説します。
1.就労ビザが発行されないと働くことはできない
海外に転職するときの1つ目の注意点は、就労ビザが発行されないと働けないということです。
海外で働くには就労ビザの取得が必須です。政府は自国民や自国の経済を保護するために外国人の労働力を制限しており、就労や長期滞在を目的とする場合は就労ビザを得なくてはなりません。
一口に就労ビザといっても、職種によって在留期間や必要書類は異なります。自分が働きたい職種はどのビザに当てはまるのか、転職活動を行う前に把握しておきましょう。
参考:外務省「ビザ」
2.治安・物価・サービス・言語が異なる
海外に転職するときの2つ目の注意点は、治安・物価・サービス・言語が異なることです。
海外といっても国によって言語が異なるのはもちろん、治安や物価、サービスにも違いがあります。例えば、世界でもっとも多くの国で会話言語として使われている英語は、公用語・準公用語としている国を含めて約50ヵ国で使用可能です。
しかし、同じように英語が通じる国でも治安や物価は異なります。転職先の国はすぐには決めず、言語・治安・物価・サービスなど生活環境に関する情報を調べるところから始めましょう。
3.評価される働き方が日本と異なる
海外に転職するときの3つ目の注意点は、評価される働き方が日本と異なることです。
海外は基本的に能力や実績が評価されます。これにはそもそも雇用の考え方が違うことが大きく関係しています。日本はメンバーシップ型雇用を採用しており、人を採用したあと個々に仕事が割り振られるのが基本です。
一方で海外はジョブ型雇用を採用。最初に仕事があり、その仕事を行えるスキルや経験のある人材を雇い、仕事を割り当てます。そのため、ただ業務を行うのではなく仕事で成果をあげるのが、評価の基本的な考え方であることを留意しておきましょう。
海外への転職を成功させる5つのポイント
海外への転職に憧れを持つ方は多いはず。難易度は高いですが、積極的に活動を行えば海外にも転職できます。しかし、転職を成功させるには前準備とあとの行動が大切。海外への転職で後悔しないために知っておきたい、成功させる5つのポイントを解説します。
- 1.簡単な意思疎通ができることは大前提だと考える
- 2.なぜ海外で働きたいのかよく検討する
- 3.自分の強みを活かせる職場・職種を探す
- 4.自分にあった国を検討する
- 5.海外駐在後のキャリアも検討する
1.簡単な意思疎通ができることは大前提だと考える
海外への転職を成功させる1つ目のポイントは、簡単な意思疎通ができることは大前提だと考えることです。
海外で働くうえで基礎的な語学力を身に付けておくのは基本。言葉が通じないと業務が滞ってしまいますし、本来だったら起こり得ないトラブルも発生してしまいます。働きながら語学力を磨き続けるのはもちろんですが、まずは意思疎通が問題なくできる程度の基礎的な部分は最低限習得しておくことが大切です。
2.なぜ海外で働きたいのかよく検討する
海外への転職を成功させる2つ目のポイントは、なぜ海外で働きたいのかよく検討することです。
海外へ転職する理由は人それぞれですが、なんとなく海外に住みたいから・環境を変えたいからなどでは、理由としてざっくりとしすぎておりモチベーションが継続しない可能性があります。
多くの方はキャリアのために海外へ転職しますが、理由をもっと深堀りするのがおすすめ。特に、海外転職後のキャリアも含めてなぜ働きたいのかをよく検討しておくと、後々の失敗やトラブルを避けられます。
3.自分の強みを活かせる職場・職種を探す
海外への転職を成功させる3つ目のポイントは、自分の強みを活かせる職場・職種を探すことです。
日本から海外への転職は難易度が高いため、人によっては職種を選ばずに働ければよいと入社を決めてしまうこともあります。その分野での知識を有していたり、興味関心が強かったりすれば高いモチベーションを維持しながら働けますが、まったく知らない分野だと行き詰まりを感じることも。
職場や職種は妥協しないのがおすすめ。活躍のイメージができる、自分の強みを活かせる職場・職種を探しましょう。
4.自分にあった国を検討する
海外への転職を成功させる4つ目のポイントは、自分にあった国を検討することです。
自分にあった国とは、文化や生活環境などがあっている国のこと。言語や金銭的な部分は働きながら解決していけることも多いですが、その国が自分の肌にあっていないと快適に生活することは難しいと留意しておきましょう。
治安の良さや、食べ物や水、気候が肌に合うのかは、実際に長期間住まないとわからないことも多いため、時間がある場合は事前に長期滞在をしてみるのもおすすめです。
また、働き方についての考え方が似ているのかどうかも重要です。「何としてでも結果を出す」といった働き方と「長期間のバカンスが重要」との働き方は相容れない部分もあるでしょう。自分にとって譲れない部分はなんなのかを考え、自身にあったカルチャーを持つ国への転職を検討しましょう。
5.海外駐在後のキャリアも検討する
海外への転職を成功させる5つ目のポイントは、海外駐在後のキャリアも検討することです。
海外への転職は、理想とするキャリアを叶えるためのステップのひとつ。日本国内では得られなかった経験ができるのは間違いありませんが、得た経験やスキルを活かすためのプランを考えておく必要があります。
そのまま海外駐在を続けるのか、駐在後に日本へ帰国するのか選択肢は人によってさまざま。日本に帰国した際はどんな企業で働き、キャリアを積んでいきたいのか、海外駐在後に焦らず転職先を見つけるために、その後のキャリアも検討しておきましょう。
これまでのキャリアを活かして海外転職を成功させよう
- 海外で働くには就労ビザが必須
- 海外駐在後のキャリアも考えておくこと
- 海外に転職する方法は主に3つある
海外への転職を考えている場合、職種や職場は妥協せずに選びましょう。海外で一からキャリアを築くのは非常に大変です。海外では一人ひとりがプロフェッショナルとして扱われるため、すぐに活躍するには言語力があることはスタートラインとして、これまでのキャリアを活かして働ける職場を見つけるのがおすすめです。
また、国や職場が自分にあっているのかを見極めるためには、ときに実際の訪問が必要になるケースもあるでしょう。短期間で転職活動を完了させようとせず、長期的に慎重に見極めることも検討してみてください。
記事内でご紹介した海外に転職するための3つの注意点もおさえておき、情報収集をしながら海外転職を成功させましょう。
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