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コンプライアンスとは?意味をわかりやすく解説!知らずに違反するケースも確認しよう

U-NOTE編集部

2022/07/25(最終更新日:2022/08/25)


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近年、報道やニュースなどで耳にするようになった「コンプライアンス」。法令遵守という単語の意味だけでなく、倫理や道徳などもコンプライアンスに含まれており、意識した行動が求められます。

そんなコンプライアンスの意味をわかりやすく解説。知らずに違反してしまうケースを確認し、改めて自身の行動を見直してみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • コンプライアンスの重要性が高まっている背景にはSNSの普及が関係
  • 大手企業によるコンプライアンス違反の事例をご紹介
  • コンプライアンス違反が起きる3つの要員

 

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは、直訳すると法令遵守という意味です。単語の意味としては法令を守ることですが、現代では法令・条例に加えて社会規範・企業倫理・社内規定なども含む概念となっています。

 

コンプライアンスとコーポレートガバナンスの違い

コンプライアンスとコーポレートガバナンスの違いは、単語が示す範囲です。コンプライアンスが法令や条例、規定などのルールを守ることを指しているのに対し、ガバナンスはコンプライアンスを守るための管理体制のことをいいます。

コンプライアンスとコーポレートガバナンスは互いに作用しており、ガバナンスを強化することがコンプライアンス強化にも繋がります。

 

コンプライアンスが重要な理由

企業が活動を行っていくうえで、それを応援してくれる方々の存在は必要不可欠。法令や条例に違反したことが明るみになれば、あっという間に企業へのイメージは悪くなり信用がなくなってしまいます。

応援してくれる方々が少なくなれば、企業活動にも影響が及びます。商品やサービスの売れ行きが悪くなり業績が悪化。最悪の場合は企業として立ち行かなくなる可能性もあります。そういった事態を避けるためには、すべての従業員がコンプライアンスを意識する必要があるのです。

 

コンプライアンスの重要性が高まっている要因

コンプライアンスの重要性が高まっている要因として考えられるのは、大企業による不祥事の発生と、SNSの普及などがあります。特に注目したいのはSNSの普及です。

人々のコンプライアンスへの意識が高まっているため、企業の不祥事は以前より注目を集めやすくなっているといえるでしょう。

また、大手メディアが取り上げていない内容でも、人々の関心を得るものは一般人の投稿による情報でもSNSにて広く拡散されるようになりました。そのため、法令や条例には違反していないものの、社会道徳に反する行為があっという間に拡散されるケースが目立ちます。

ニュースにはなっていない問題であっても、関係者によりSNSを通じて暴露されたり、企業の発言や行動が問題提議される可能性が高くなっているのです。

不祥事を起こさないことは当然ですが、従業員や元従業員がコンプライアンスを遵守するよう、コンプライアンス研修を行うことも必要とされています。

 

コンプライアンス違反となる事例

実はコンプライアンス違反は、さまざまな企業にて発覚しています。従業員単位から会社ぐるみで意識的に行われていた事例まであるほか、コンプライアンス違反の内容も多様です。過去に起きたコンプライアンス違反となる事例をいくつかご紹介します。

 

法令違反

コンプライアンス違反となる1つ目の事例は、法令違反です。

法令違反は、数あるコンプライアンス違反のなかでも意図せず起こりやすいのが特徴。企業を取り巻く法律は数多く、違法に該当する場合は企業規模に関係なく処罰を受けます。

会社の取引に関する法律であれば「民法」「商法」、人事・労務に関する法律であれば「労働基準法」「労働組合法」「労働安全衛生法」などが適用されます。企業には遵守すべき法律が多いため、知識がなければ意図せずに違法してしまうこともあるでしょう。

企業の形態や事業によって適用される法律は異なります。法令違反を避けるには、あらかじめ顧問弁護士に相談し、確認しておくことが重要です。

 

情報漏えい

コンプライアンス違反となる2つ目の事例は、情報漏えいです。

情報漏えいとは、機密情報や個人情報などが外部に漏れてしまうことをいいます。個人によって基準が曖昧になりやすいため、小規模な情報漏えいの場合は過失によってコンプライアンス違反となるケースが多いのが特徴です。

大規模な情報漏えいの場合は、企業が管理するシステムがサイバー攻撃を受け、情報が流出するケースがほとんど。個人情報を扱うサイトのクライムマネジメントを今一度見直す必要があるでしょう。

情報漏えいの場合、一般生活者や企業など影響がおよぶ範囲が大きいため、早急な対応が求められます。事件が起こったあとの企業側の対応も重要であることがよくわかる事例です。

 

経理や会計の不正

コンプライアンス違反となる3つ目の事例は、経理や会計の不正です。

大手企業による不正会計は、コンプライアンス違反の代表的な事例のひとつ。不正会計事件のポイントは、株主による集団訴訟の可能性があることと、不正を暴けなかった監査法人に対しても処分が行われることです。

不正会計は、利益を水増しし経営がうまくいっているように見せる手法です。業績が好調の企業は株価が上がりやすく、株を買う方も増えます。しかし、不正会計が明らかになったあとは株価が下落。株主が損害を受けたとして訴訟を起こす可能性もあります。

監査法人は中立な立場で企業の監査を行います。人の目で経営のエラーを探すため完璧ではないこともあるとされていますが、エラーを見つけるための最善を尽くすことが重要な業務です。監査として最善と思われる判断ができていなかったと見なされれば、監査法人も処分の対象となります。

このように不正会計は、刑事上・民事上の責任が問われるとともに、社会からの信用を失うことにも繋がるコンプライアンス違反の事例です。

 

不正な労働環境

コンプライアンス違反となる4つ目の事例は、不正な労働環境です。

不正な労働環境もコンプライアンス違反のひとつ。近年では、元従業員による訴訟や暴露などで、大手企業の労働環境の実態が暴かれるようになりました。なかには、従業員が自殺したことにより、労働環境の事実が明るみに出る場合もあります。

不正な労働環境で起こるコンプライアンス違反としては、労使協定で決められた残業時間を超えないよう、勤務時間を少なく申告する「労働基準法違反」が多く見られます。従業員に長時間労働を強要しながら、表向きには問題なく見せる悪質なコンプライアンス違反です。

不正な労働環境は、常態化してしまっていることがほとんど。改めて労働環境を整備すると共に、従業員のメンタルケアも導入することが大切です。報道により一般生活者からの信頼を失う結果にも繋がりうるコンプライアンス違反の事例です。

 

誇大広告や景品表示法の違反

コンプライアンス違反となる5つ目の事例は、誇大広告や景品表示法の違反です。

景品表示法は、事業者と消費者の両方の利益を守るために定められている法律です。顧客の誘引や取引に付随して提供されるものを景品類と呼び、景品類には最高額や総額などが規制されています。

この上限金額や取引金額の最高額を知らないと、景品表示法違反は起こりやすくなります。悪質なケースもありますが、多くは知識不足による違法なので、消費省庁が公開している「景品表示法関係ガイドライン等」を一読することがもっとも簡単な対応策といえます。

誇大広告や景品表示法の違反は大きな損失にはなりにくいものの、消費者からの信頼を失うことに繋がりうる事例です。

参考:消費省庁「景品表示法関係ガイドライン等

 

コンプライアンス違反が起きてしまう原因

コンプライアンス違反が起きてしまう原因は、大きく3つに分けられます。その原因と理由について解説します。

 

知識がない

コンプライアンス違反が起きてしまう1つ目の原因は、知識がないことです。

コンプライアンスには、法令遵守という意味があるため、なかには法令や条例に違反していなければ問題ないと考えてしまう方も多くいます。近年では、法令以外に社会規範や社内規定もコンプライアンスに含まれているので、その点を理解していないとコンプライアンス違反に該当する行動が起きやすくなるでしょう。

 

内部で防止する仕組みが整っていない

コンプライアンス違反が起きてしまう2つ目の原因は、内部で防止する仕組みが整っていないことです。

コンプライアンス違反が起きないようにするには、全社員の意識改革に加えて環境を整えることも非常に重要。管理体制を見直したり、内部に相談窓口を設けたりすることで、コンプライアンス違反を未然に防いだり、大きな問題に発展する前に見つけ出したりすることが可能です。

 

従業員を追い詰めてしまっている

コンプライアンス違反が起きてしまう3つ目の原因は、従業員を追い詰めてしまっていることです。

長時間労働や業務負担の増加など、加重労働が起きている場合にもコンプライアンス違反が起こりやすくなります。精神的に追い詰められた社員が、ノルマの達成や業績向上のためにコンプライアンス違反をしてしまうのです。

通常時なら判断できたことも、疲れている状態では正常な判断が困難になります。従業員がそのような状況に陥っていないか、業務体制を整えるだけではなく、上司やマネージャーなどは部下の仕事状況や精神面にも気を配る必要があるといえます。

 

コンプライアンス遵守するための対策・取り組み例

コンプライアンス遵守のためには、社内での対策や取り組みを検討してみてください。実施しやすい取り組みの例をいくつかご紹介します。

 

従業員へのコンプライアンス教育・研修

コンプライアンス遵守するための対策・取り組み例の1つ目は、従業員へのコンプライアンス教育・研修です。

まず大切なのは、従業員の意識を変えることです。コンプライアンスについてなんとなく意識はしているけれど、明確な基準については把握していない方が多いため、うっかりとコンプライアンス違反になってしまうケースもあります。そのため、社内で共通認識を作っておくことが大切です。

研修会社を利用して全社員を対象とした研修の機会を設け、意識改革を行いましょう。

 

規則や行動基準の策定と周知

コンプライアンス遵守するための対策・取り組み例の2つ目は、規則や行動基準の策定と周知です。

コンプライアンス違反を未然に防ぐには、社内規則や行動基準を明確にすることも重要です。例えば、社内のことはSNSに投稿しない、社用パソコンは外に持ち出さない、システムのパスワードは個人で保有して記録に残さないなどがあげられます。

通常このような規則や入社時の資料として手渡されますが、なかには忘れてしまっている方もいるので、改めて周知を行いましょう。

 

委員会や監査部門の設置

コンプライアンス遵守するための対策・取り組み例の3つ目は、委員会や監査部門の設置です。

コンプライアンス委員会や監査部門は、コンプライアンス体制の構築・維持が主な役割。定期的に会議を実施し、社内規定の見直しや教育・啓蒙活動を行います。従業員がコンプライアンスを日々意識できるような環境づくりをするのが目的です。

相談窓口や問題発生時の対応窓口としても機能します。

 

意図せずコンプライアンス違反してしまうシーン

法令や条例などは意識することで遵守することできますが、なかには十分に気を付けないとコンプライアンス違反に該当するケースも。注意すべき3つのシーンをご紹介します。

 

エレベーターや飲食店などでの会話

意図せずコンプライアンス違反してしまうシーンの1つ目は、エレベーターや飲食店などでの会話です。

情報漏洩のコンプライアンス違反に該当します。友人や同僚、家族と仕事の話をする際に具体的な社名を出してしまわないように気を付けましょう。エレベーターや飲食店ではさまざまな人がおり、誰がどの程度、周囲の話を聞いているかわかりません。

その場にいた方がSNSで会話の内容を投稿してしまうとも限らないため、公共の場所では具体的な社名や人名は避けるのがベターです。

 

SNSへの投稿

意図せずコンプライアンス違反してしまうシーンの2つ目は、SNSへの投稿です。

SNSは気軽に多くの方がと繋がれるツール。匿名で使えたり、アカウントに鍵をかけられたりできるものの、自身が発信した内容がどんなタイミングで外に漏れたり、拡散されたりするのかはわかりません。

友達のみに公開しているアカウントだからと、会社のことや自分の業務などを投稿したことをきっかけにコンプライアンス違反が発覚するケースも。どんなアカウントであっても社内のことを口外しないという社内規定を設けることで、コンプライアンス違反を未然に防げます。

 

家族や恋人・友人への会話

意図せずコンプライアンス違反してしまうシーンの3つ目は、家族や恋人・友人への会話です。

自身の仕事についての話が、家族や恋人・友人によって口外されてしまい、コンプライアンス違反となる場合も少なくありません。信頼関係に関係なく、仕事の詳細を話したり、社内事情について話したりするのは避けましょう。


コンプライアンスへの意識を高め、意図せず違反することをなくそう

本記事のまとめ
  • コンプライアンス違反は企業の利益やブランドイメージに直結する
  • ひとり一人の意識改革が急務
  • 意図せずコンプライアンス違反してしまうケースも存在する

コンプライアンスは企業に勤める方は必ず意識すべきことです。違反内容の大小に関係なく、事件が発覚した際には企業・従業員ともにさまざまな影響があります。

コンプライアンス違反を起こさないためには、従業員の意識改革から社内規定の策定、コンプライアンス委員会を設置することが大切です。

本記事の内容を元に、コンプライアンスについて不安な部分がある場合は事前に確かめ、意図しない違反を回避できるように努めましょう。
 

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