就活を経て入社が決まっても、「具体的にこんなことがしたい」「入社後はこの目標に向かってスタートを切りたい」と啖呵を切れる人がどれぐらいいるでしょうか。
株式会社ジェイックの新卒1年目・加藤大智さん(24)は、内定者期間中に「他社と協業した新サービスの開発」という特殊な業務に関わりました。そこで経験したことや感じたことがヒントとなり、"入社後の明確な目標"が定まったといいます。
加藤さんが内定者期間中に経験したこととは?そこから生まれた目標とは?詳しく話を聞きました。
面接練習アプリ『steach』
株式会社ジェイックは、企業向けの教育研修事業と若年層向けの就職支援事業を展開しています。
同社は5月、神奈川県が企業同士の共創を支援する「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」がきっかけとなり、株式会社エフィシエントと共同開発した面接練習アプリ『steach(スティーチ)』を正式リリース。
ユーザーがスマートフォンで面接の質問に回答した音声と動画をAI解析エンジンが解析し、表情、声、身振り等をもとに定量的なアドバイスをAIが行うアプリです。面接で頻出する質問のパターンを用意するほか、自分で質問を作成する機能もあり、就活や転職活動などの多様な面接シーンの対策に活用することができます。
学生時代に固まった軸「孤立しがちな若者に対する支援がしたい」
加藤さんは2021年5月頃から内定者インターンとして同社へ入社。面接練習アプリ『steach』開発の構想段階から関わっており、プロモーションのミーティングにも参加していました。2022年4月には新卒入社し、現在は研修期間。既存事業に関する情報をインプットしたり、学生にイベントを周知したり、日々新しいことを学んでいる最中です。
-----就活時にはどのような軸を持っていましたか?
加藤さん:「ひきこもりやニートなど、孤立しがちな若者に対する支援がしたい」と考えていたため、HR業界をメインに就活をしていました。
-----そのような方向性が固まった経緯について教えていただけますでしょうか。
加藤さん:大学に入学する前は、天文学や物理学に興味があって、「未知を開拓すること」の面白さに魅了されていました。
その流れで脳科学も勉強したのですが、そこで「人の生きづらい感覚」や「日本の自殺率の高さ」などを改めて知って、純粋に「なぜだろう」と…。
これを理解するにはもっと広い世界を見た方がよさそうだと思って、大学1年生の時、アフリカのウガンダに日本の学生を送り出すプロジェクトを立ち上げ、運営していました。
アフリカでは、いわゆるニートと呼ばれる若者が多いのに、彼らはとっても楽しそうでした。「日本の若者のほうが息苦しさを抱えているんじゃないか」と感じましたね。
-----そうして、孤立しがちな日本の若者を支援したいと思うようになったんですね。ジェイックに入社を決めた理由は?
加藤さん:ジェイックでは、多くの学生や第二新卒、既卒の方々に「ジェイック 就職カレッジ(R)」などの就職支援を行っています。事業としてもグロースしながら、社会問題に立ち向かい、確実に人を支援できている部分に魅力を感じました。
「人が生きていくためには"強さ"も必要だけど、それと同じぐらい"優しさ"も必要なのではないか」といった自分の価値感とジェイックの持つビジョンが一致していること、これからジェイックが挑もうとしている取り組みに大きく共感できたことなどから、入社を決めました。
発言することに対する「怖さ」や、アイデアを出せない悔しさも
加藤さんは内定者インターンとして入社した直後に、新サービスである面接練習アプリ『steach』の開発に携わることになりました。
-----具体的にどのような仕事をしていたのですか?
加藤さん:社内で仕様や要件を決める過程に携わっていました。
「ちょっと前まで就活生だった」という視点を活かして意見したり、提案したり…という内容でしたが、意外と難しかったですね。
-----一番難しかった部分は?
加藤さん:最初は、アイデアとして自分の意見を発言することに「怖い」と感じてしまっていました。もちろん幅広いニーズの調査などを行ったうえでの議論ではありますが、「自分の意見が就活生代表の意見になってしまう」と考えると、「こんなことを言ってもいいのだろうか…」と不安になってしまったんです。
求められた時に、いいアイデアが出せなかった時も悔しい気持ちでいっぱいになりました。
-----発言することに「怖さ」があったのですね。それは最終的に克服できたのでしょうか?
加藤さん:はい、ミーティングの雰囲気や役員の"聞き入れる姿勢"にとても助けられました。
"今時の感覚"について、具体的なエピソードを入れて自分なりに話をすると、役員やメンバーが面白がって聞いてくれたのはありがたかったですね。
「今の若い人ってそうなんだね!」「面白い」とリアクションをいただけると、徐々に「正しさや事実ももちろん大切だけど、このプロジェクトではそれよりも"面白い感覚"を重視していいのかもしれない」と思えるようになりました。
そこから、「怖さ」がなくなり、自分も楽しんで発言できるようになったような気がします。
-----アイデアをうまく出せなかった時には、どのような工夫をしていましたか?
加藤さん:大学の友人との雑談でヒントをもらったり、ベンチマークとなるアプリやAIのソフトウェアなどを実際にインストールして使ってみたり、自分の中だけで考えるのではなく、外部の情報との"結びつき"を探すようにしていました。
そして、アジェンダに対して徹底的に準備し、いつ聞かれてもいいようにアイデアを考えておく。こうした行動が、徐々に自信を持ってアイデアを出せることに繋がっていきました。
-----内定者インターンとは思えないほど、濃い仕事内容ですね。この期間での一番の気付きや学びは何でしょうか。
加藤さん:今回のアプリは、テクノロジーに強みを持つ株式会社エフィシエントとの協業により開発したもの。そのため「テクノロジーと結び付けることで自社の強みを提供していくこと」の大切さに気が付きました。
もちろん今回のように、技術力のある他社と連携していくことも重要ですが、自社の技術力も高めていく必要があると思えたのは、今回の経験があったからです。
自社の技術力を向上させる人材を目指す
困難をひとつずつ乗り越えながら、真摯に仕事に向き合った内定者インターン。この期間があったからこそ、入社後の具体的なビジョンも見えてきたと言います。
-----最後に、キャリアにおける展望についてお聞かせください。
加藤さん:根底には、自社の強みである「人への優しさ」や「人への接し方」を未来に残したいという気持ちがあります。
そのうえで今の目標は、CTOになって自社の技術力を向上させ会社をもっと強くしていくことです。
これは、必ずしも新しいサービスをゼロイチで作るというわけではありません。ジェイックには素晴らしい既存事業がたくさんあるので、それらをもっと強くするために、技術的なイノベーションを起こし続けていきたいと考えています。
いわゆる「社内起業家」の精神で、切り拓いていきたいですね。
-----応援しています!ありがとうございました。
「あまり大きな戦力にはなれなかった」と謙虚に内定者期間を振り返る加藤さんですが、入社後のビジョンを語っている時の表情はとても力強く、頼もしく感じられました。
彼が爽快にキャリアのスタートを切ることができたのは、明確な軸があり、「ひとつひとつの経験から可能な限り吸収しよう」という強い意志があったからでしょう。
「まだ具体的なビジョンまでは描けていない」という人も、焦る必要はなく、これから経験を積み重ねていく過程で見つけていけばよいのではないでしょうか。
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