働き方の多様化に伴い「副業を始めようかな」「いくつかの仕事を掛け持ってみようかな」と考え始めている若手ビジネスパーソンも多いでしょう。
しかし、せっかく異なる仕事を掛け持つのであれば、お互いに相乗効果のある状態を目指したいもの。どうすればそのような理想の環境に近づくことができるのでしょうか。
新卒採用サービスを提供する株式会社i-plugで営業を担当している鷹野 翔太さん(25)は、家業を継ぎ「住職」としての顔も持つダブルワーカー。
一見全く異なる世界に感じる二つの仕事ですが、意外にも共通点がかなり多いといいます。相乗効果を生み出す秘訣も含め、鷹野さんに詳しく話を聞きました。
新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」
株式会社i-plugは、新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox(オファーボックス)」を運営しています。
企業は学生にオファーを送ることで能動的に採用活動を進めることができ、学生は企業からオファーを受けることで、それまで知らなかった企業を知ることができます。
2022年卒業学生は約19万人以上、2023年卒業予定学生は約18万4300人以上が登録しており、登録企業数は、大手からベンチャーまで1万800社を超えています(2022年4月末時点)。
家業のお寺を継ぐタイミングで、ダブルワーカーに転身
鷹野さんは、大学時代はパティシエを専攻しており、お菓子作りの道に興味があったそうですが、「おいしいお菓子を作っても、届けられなければ価値は提供できない」と考え、マーケティングに関心を抱くようになりました。
大学卒業後は、一般商社に新卒入社。通信端末の営業として働いていましたが、家業であるお寺を継ぐという転換期をきっかけに、2019年10月にi-plugへの転職を決めました。
-----パティシエに、営業に、住職。とても彩り豊かなご経歴ですね。
鷹野さん:そうですね(笑)。ただ、マーケティングに興味を持つようになったのは「家業の発展にも役立てられるかもしれない」と思ったからで、i-plugに転職したのも住職として家業を継ぐタイミングであったことが大きく影響しています。
-----i-plug入社の経緯について、詳しく教えていただけますでしょうか。
鷹野さん:1社目の一般商社では通信端末を訪問販売する仕事をしていました。ここで営業の勉強はできたのですが、商社という性質上「自社の商品」を扱うという仕事ができないことにもどかしさを感じるようになったんです。
「売ること」の楽しさや難しさはわかったけれど、売った後の満足度は追うことができない。そのため「満足度も追及していきたい」「自社のサービスや商品の営業がしたい」と思うようになりました。
-----転職先としては、人材業界を主に見ていたのですか?
鷹野さん:いいえ、とくに人材業界に注力していたわけではありません。
i-plugには、ビジネスSNSでオファーをもらったことがきっかけで出会いました。面接でi-plugの想いや、就活のミスマッチの実態に関する話を聞いて、強く共感したことを今でもよく覚えています。
たしかに就職した同世代を見ていても「入社後のミスマッチ」「モチベーション高く働けない」などの課題は肌で感じていましたし、面接を通じて「自分の後輩たちには同じ思いをしてほしくない」「世の中を変えてみせる!」と気持ちが奮い立ちました。
-----他に入社の決め手となった出来事はありましたか?
鷹野さん:家業を継ぐタイミングでしたので、転職活動では正直にそのことを話していました。そしてi-plugだけが「ダブルワーカー、面白いね!」と受け入れてくれたんです。
「住職は、相手のことを想って話す仕事ですよね。この部分がOfferBoxに必要な要素だし、君なら企業も学生も双方を幸せにすることができるはず」このような言葉をもらったことが、一番大きな決め手ですね。
「想いを伝えることが大切」と学んだ成功体験
独自の働き方を認めてもらえたことで、セカンドキャリアの一歩を踏み出した鷹野さん。面接でもらった言葉の通り、「相手を想うコミュニケーション」が成果を出した成功体験もあったといいます。
-----入社後、一番印象に残っていることは何ですか?
鷹野さん:入社半年後、自分が提案した内容で、初めてクライアントの採用が成功した時です。
「鷹野さんに提案してもらった通りにやってみたら、うまくいきました!」と、クライアントからお電話をいただけたときはすごく嬉しかったですね。
「あなたの"想い"に負けたから契約したけれど、信じてみて良かった」とも言っていただけました。この経験から「やっぱり、自信を持って想いを伝えることが大切なんだ」と改めて学ぶことができました。
-----具体的にどのような提案をされていたのですか?
鷹野さん:その時は、ターゲットの学生が4回生の冬という時期だったので、学生側に必ず「焦り」の気持ちがあると思っていました。
そのため、その不安を企業側が汲み取って、配慮したうえでコミュニケーションをとったほうがいいとご提案させていただきました。
「一方通行のコミュニケーションでは振り向いてもらえない」「学生の志向や時流などを鑑みてアプローチすべき」このようなメッセージを伝えた結果、採用がうまくいったようで嬉しかったですね。
-----それは嬉しいですね。そのようにどんどん成果を上げていったんですね。
鷹野さん:いえ、実は…この話は成功エピソードとしてひとつ挙げてはおりますが、実際に納得のいく成果が出せるようになったのは入社して1年半ほど経ってからでした。それまではかなり苦戦していて、「自分に営業は向いていないのでは?」とさえ考えていました。
「クライアントと本気でぶつかったことはあるか?」
-----その状態から、どのようにして抜け出せたのですか?
鷹野さん:学生と企業の「パワーバランス」を保った営業を心がけるようになってから、徐々に成果を出せるようになっていきました。
入社してしばらくの間は、「ファーストキャリアは人生において最も重要な要素のひとつだから」と、学生を中心とした視点で営業を行ってしまっていました。その分、クライアントにとって「納得のいかない部分」もきっとあったと思います。
しかし、就職というのは、学生のためだけのものではなくて、企業側にとっても重要なイベント。そのため「どちらかに偏りすぎる」考え方は、双方を幸せにすることはできないと気が付いたんです。
------どのような時に、気が付いたのですか?
鷹野さん:なかなか成果が出ずに上司に相談した時ですね。「君は、クライアントと本気でぶつかったことはあるか?」と聞かれてハッとしました。
学生の動向や時流を把握している立場だからこそ、クライアントに「それは違う」と意見をすることを躊躇してはいけないし、本当にクライアントのことを想っているならぶつかることもあるはずだ、と。
それ以来、クライアントと本気でぶつかり合い、議論する機会も少なくありません。だからこそ、採用がうまくいったとき「鷹野さんの提案を試してみてよかった」と言っていただけることも増えました。
自分自身も「ブレた営業」から「軸のあるフェアな営業」ができるようになったのではないかと感じています。
たったひとつ、強い信念があるだけ
-----住職の仕事に活きていると感じる部分はありますか?
鷹野さん:もちろん、ありますね。i-plugでは、複数のステークホルダーがいて、それぞれの意見や考えを理解したうえで、自分の気持ちも交えてコミュニケーションを図ることが求められます。
住職としても、単に個人の考えを話すのは簡単ですが「お寺として」「宗教上では」を交えて話をするのは本当に難しい。ただi-plugで「調和のしかた」を学んでいるので、それは住職の仕事にも役に立っていると感じます。
-----互いに相乗効果を生み出すためには、どんなことを意識すればよいと思いますか?
鷹野さん:私はもともと「お寺一本のキャリア」は考えていません。世の中を見渡せば、いろんな課題があります。そのひとつひとつに寄り添うためには、自分自身が色々な経験をしていかなくてはならないと思っています。
そのうえでひとつだけ言えることは、「世の中を変えたい」という強い信念があるということでしょうか。
世の中を良い方向に変えていくために「こういう世界観ていいよね」と思うことを、周りを巻き込みながら広く"正しく"伝えていく。この軸があれば、その手段である仕事や職種は限定しなくてよいと思っています。
「相乗効果を生み出すために」と意識しているわけではありませんが、軸があれば共通点も浮かび上がり、自然と相乗効果も生まれるのではないでしょうか。
今後はマーケティングや営業など、社会で経験し学び得たものを、ゆくゆくは家業の発展にも活かしていき、さらなる相乗効果を目指したいです!
-----ありがとうございました。
営業と住職の二足の草鞋で活躍する鷹野さんが持つ「世の中を変えたい」という軸。この想いがあるからこそ、互いに相乗効果の生まれる働き方ができていることがわかりました。
仕事や職種は、自分の目指す夢や成し遂げたいことに辿り着くための手段。ひとつひとつのタスクや経験が互いに掛け合わさっていった先に、目指している未来があると考えられると、より一層前向きに仕事に取り組むことが出来そうですね。
出典元:株式会社i-plug
出典元:OfferBox
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