アルバイトと違い、自分で仕事を作ることも多いベンチャー企業のインターン。長期インターンとしてベンチャー企業で働く中で「自分の役割がわからない」という人もいるのではないでしょうか。
医療系ベンチャーの株式会社REGIEで長期インターンとして働いている岐阜大学医学部・看護学科の4年生・野村奈々子さん(22)は、インターン当初、どこまでコミットすればいいのか戸惑い、精神的にしんどい時期があったそうです。
1人での活動から、いろんな社会人との関わりを持つ中で、どのようにして自分の役割を見つけていったのでしょうか。詳しく話を聞きました。
「医療者の”想い”を支援する」株式会社REGIE
株式会社REGIEは「医療者の”想い”を支援する」をミッションに、医療者が集うシェアハウスの運営や医療者や医療学生のキャリア支援、オウンドメディアの運営を行っています。
医療人材の自己実現を通じて、医療業界を変えていくことを目指しています。
自身で立ち上げたWebメディアをインターン先企業に譲渡
野村さんは2019年の大学1年時、Webメディア「看たまノート」を1人で立ち上げました。看たまノートは看護師や看護学生になりたい人をターゲットにして、看護師資格を取ってからの働き方やキャリア形成の参考になる情報を発信しています。
2年ほど野村さんを中心にメディア作りをしていましたが、野村さんが2021年にREGIEのインターン生になったタイミングで「看たまノート」を同社に譲渡し、自身は看たまノートの編集長をしながら、営業やイベント企画などにも携わっています。
今年5月には看たまノートの内容をまとめた「看たまブックス」というフリーペーパーも発行しました。
-----REGIEでインターンをはじめた経緯を教えてください。
野村さん:看たまノートを立ち上げて1年ほど経ったころ、代表の藤本に会ったのが最初のきっかけですね。そのときは「いつか一緒になにかできたらいいね」という話をしていたんです。
1年ほど経って2021年になって藤本と会う機会が多くなり、話し合いを重ねる中で、「今ならできると思う。一緒にやりませんか?」と声をかけてくれたんです。私は看たまノートの事業を通じ、企業と仕事ができればいいなと思っていました。
この人となら多くの人を巻き込んでスケールの大きい仕事ができそうなだと思い、REGIEの事業として看たまノートを運営していくことにしたんです。
戸惑ったインターン当初「責任所在も役割も曖昧だった」
REGIEでインターンとして働きはじめた野村さんですが、最初はいろいろと悩みが尽きなかったそうです。
-----インターンとして働いてみて、どんな環境の変化がありましたか?
野村さん:それまでほとんど1人で活動をしていたので、「一緒にやろう」と言ってくれる人が現れて、"嬉しさで舞い上がった"までは良かったんです。でも、インターンとして契約を結んだ後、業務としてのゴールも決めておらず、責任はどこまで誰が負うのかも曖昧だったんです。
REGIEとしてメディア事業を扱うのは初めてだったことから、インターンを始めて最初の1〜2カ月は代表の藤本にかなり時間を取ってもらってコミュニケーションを図っていました。
私も会社側も互いに何とかしようという思いはあるのですが、リモートでのやり取りということもあってかコミュニケーションが取りづらい部分もありましたね。「私自身の役割ってなんだろう」と考え込む日々が続きました。
-----急激な環境の変化に戸惑いもあったんですね。
野村さん:ちょうど、その頃は大学を1年間休学して三重県の病院で看護師さんの業務をサポートしていたので、看たまノートの活動時間もなかなか取れていなかったんです。
今までは1人のペースでやってきたけど、会社側からいろんな業務のすり合わせ日程が舞い込んできて、病院勤務もしないといけない。でも会社から「あの業務はどうなっていますか?」とslackで連絡が来る。精神的にいっぱいいっぱいな時期が続きましたね。何をやっていても面白いと思えませんでした。
起業家の話を聞いて「メディアだけでなく、何でも挑戦しよう」と思った
-----その状態から、どうやって抜け出したのですか?
野村さん:社内外の社会人の皆さんや、同じく自分で事業を起こしている学生にいろいろと相談しました。特に大きかったのは「MAKERS UNIVERSITY」という若い世代のイノベータープログラムに参加できたことですね。メンターと呼ばれる相談相手は全員が起業家で、仕事観をたくさん教わりました。
-----そのプログラムで最も大きかった学びは何でしたか?
野村さん:私は「看護職が、卒後10年後も『今が一番楽しい』といえる世界をつくる」をミッションに活動しています。そのために一生懸命Webメディア作りをしていますが、メディアにこだわってばかりいると視野が狭くなるなと思いました。
印象に残っているのが、認定NPO法人フローレンスの代表理事・駒崎弘樹さん。起業家として国に対して政策提言をしているのが、すごいと思ったんです。
私は、看たまノートが看護業界の旗振り役となって先頭を走るようになりたいと思っていたので、スケールの大きなことをやりたいし、「やらねばならぬ」と思うようになりました。
もっと先の未来を見据えた考えを持つことで、自分の視座も上がりましたし、今はメディアだけではなくいろんなことに挑戦したいという気持ちでいっぱいです。そういう意味でREGIEという組織の一員として働いているのは、自分にとってプラスでしかないと気づけたし、もっとREGIEにコミットしようと思いましたね。
「自分に求められている役割」を常に考え、意識する
1人の活動から組織の一員となることで着実にステップアップしている野村さんへ、仕事への意識についてもうかがいました。
-----野村さんが仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
野村さん:「その場で野村奈々子が求められている役割」はかなり意識するようになりましたね。
私は看たまノートの活動を通じて学生とコミュニケーションを取る一方で、REGIEのインターンとして社会人のみなさんとお話する機会もあります。
私が今持っている課題のひとつが「中間管理職ってなんだろう?」ということ。私は社会人と学生の間に立って活動しているので、ハブの役割を果たしていくことが大切かなと思っています。
そのためには、仕事をより因数分解する力が必要だと感じています。メンバーたちがやりたいことができているかどうか、メンバー全員が気持ちよく仕事をするためには何が必要なのか、それを仕事に落とし込むには自分に何ができるのかを常に考えていますね。
-----考える中で、野村さんなりの答えは見つかりましたか?
野村さん:上司もメンバーも、それぞれがパフォーマンスを発揮しやすい環境をつくれるような動き方を意識しています。例えば言葉遣い。言葉の節々には、発する人は気づいていない、その人の意識が現れると感じます。
社会人と学生のミーティングをしていると、フラットな場であっても社会人の言葉遣い一つで無意識に学生に対する圧力が加わることがあります。
例えば上司が使う「報告」という言葉を「みんなでシェアしてみよう」と変えてみることで場の空気も柔らかくなるんです。
まずは看護師としてのキャリアを積み、職業人のキャリアを積んでいく
大学4年生の野村さん、将来のキャリアをどう作っていくのでしょうか。
-----ファーストキャリアについてはどのように計画を立てていらっしゃいますか?
野村さん:実は、看護師として働くつもりで就職活動をしています。私は看護師としてのキャリアも大切にしたいと思っています。まずは看護師としてのキャリアを数年積んで、それからどうしていくかを考えていくつもりです。
将来は学生のチャレンジを応援する活動をしていきたいと思っています。学生時代って、すごく貴重な時間だと思うんです。いろんなことに挑戦できるし、とことん時間が使えます。
その中で自分の価値観に気づいたり、やりたいことが見つかったりすれば、社会に出ても何かに没頭できる人間になれると思うんです。学生の応援はライフワークにしていきたいです。
-----ありがとうございました。まずは素晴らしい看護師になって、その後は素敵な職業人を目指してくださいね。
「学生時代はとても貴重な時間」という言葉が印象的でした。何となく学生時代を過ごしている人もいるかもしれませんが、まずは自分が没頭できるものを見つけることができれば、さらに楽しい学生生活が送れるでしょう。
「役割」は与えられるものでもあり、見つけるものでもあります。迷ったときは野村さんのように、社会に出て活躍している先輩社会人の話に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。「もっと挑戦してみよう」「他の手段も試してみよう」と思えるヒントに出会えるかもしれませんね。
出典元:株式会社RIGIE
出典元:看たまノート
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