飛行機を操る「パイロット」に憧れている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、パイロットになるための方法や、必要な資格、年収、仕事内容などをご紹介します。これからパイロットを目指す人が知っておきたい知識を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
パイロットになるための3つの方法
「パイロットになりたい」と思っていても、どのような進路を進めばいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
以下では、パイロットになるための3つの方法をご紹介します。
1.航空大学校への進学
パイロットになるための1つ目の方法は、航空大学校へ進学することです。
航空大学校は「航空大」「航大」とも呼ばれる「省庁大学校」です。「省庁大学校」とは、学校以外の教育施設のことをいいます。
航空大学校は、日本唯一の国立パイロット養成機関で、7ヵ月間のフライトトレーニングを行います。現在では、新型コロナウイルスの感染拡大が原因で教育期間が伸びていることに注意しておきましょう。
航空大学へ進学するためには、年齢制限・学歴制限・身長制限・試験をパスする必要があります。
詳しい試験内容・条件は以下のとおりです。
- 平成10年4月2日から平成15年4月1日生まれ
- 身長158センチ以上
- 英語(筆記、リスニング)、総合(筆記)に合格
- 身体検査に合格
- 面接試験及び飛行訓練装置による操縦適性検査に合格
航空大学を卒業後、航空会社やその他の会社に進学し、飛行機の操縦を行います。
参考:航空大学校
2.航空会社に就職
パイロットになるための2つ目の方法は、航空会社に就職することです。
航空会社の中には、自社負担でパイロットの育成を行っている企業もあります。JAL・ANA・スカイマークなどの大手航空会社が募集しており、大学を卒業していることが必要不可欠です。
現在、新型コロナウイルスのために募集を停止しているため、航空会社に直接就職しようとしている人は注意が必要です。
また、航空会社に就職しパイロットになりたいと思っている人は大勢いるため、倍率が100倍を超えることはざらにあり、簡単なことではありません。
面接や筆記試験、身体検査などの準備を入念にしておくことをおすすめします。
3.大学や専門学校の操縦科・パイロット養成コース
パイロットになるための3つ目の方法は、大学や専門学校の操縦科・パイロット養成コースに進学することです。
法政大学・東海大学などを始めとするパイロット養成を行っている大学に進学するのも一案ですが、学費・進学実績などに注意が必要です。
まず、学費が「約1,300~2,600万円」程度かかり、金銭的な負担が大きいことに注意が必要です。また、進学実績も航空大学校と比べると低いです。
もちろん、自分次第で大手航空会社に勤めることも可能です。自分が進学しやすい方法を検討してみてください。
パイロットに必要な資格
パイロットの免許は「操縦士技能証明」と「航空身体検査証明」の大きく分けて2つの免許があります。「操縦士技能証明」と「航空身体検査証明」の2つの免許を持って、初めて機体を運転することが可能です。
「航空身体検査証明」は、健康であることを示す免許です。最低半年に一度更新する必要があります。
操縦士技能証明は、操縦できる機体の種類によって3つに分けられます。以下では、「操縦士技能証明」の種類をご紹介します。
自家用操縦士
グライダーの操縦や自家用の飛行機を操縦するだけの場合は「自家用操縦士」の資格を取れば可能です。
しかし、自家用操縦士の資格のみの場合は、航空会社で人を乗せて飛行機を飛ばせません。
自家用操縦士の資格を取ったあと、少なくとも「事業用操縦士」の資格を取らなければ有償で飛行機を飛ばせないことに注意しましょう。
事業用操縦士
自家用操縦士の上位資格である「事業用操縦士」の業務範囲は、以下のように定められています。
航空機に乗り組んで次に揚げる行為を行うこと。
(イ)自家用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為
(ロ)報酬を受けて、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。
(ハ)航空機使用事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。
(ニ)機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。
(ホ)機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上、一人の操縦者で操縦することができるもの(特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要する航空機にあっては、当該特定の方法又は方式により飛行する航空機を除く。)の操縦を行うこと。引用:【Ⅲ.航空従事者の業務範囲について】
つまり、有償で人を航空機で飛ばすためには「事業用操縦士」までが必要になります。
定期運送用操縦士
「飛行機の機長になりたい」と思う人は「定期運送用操縦士」を取る必要があります。
定期運送用操縦士の業務範囲は、以下のように定められています。
航空機に乗り組んで次に揚げる行為を行うこと。
(イ)事業用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為。
(ロ)機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上、その操 縦のために二人を要するものの操縦を行うこと。
(ハ)機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要するもの(当該特定の方法又は方式により飛行する航空機に限る。)の操縦を行うこと。引用:【Ⅲ.航空従事者の業務範囲について】
最上位資格である「定期運送用操縦士」を取ることは、飛行時間の規定などもあり簡単なことではありません。パイロットとして経験を積んだ後に、チャレンジする資格となります。
参考:国土交通省「パイロットになるには」
パイロットの仕事内容
パイロットといえば「飛行機を操縦する人」というイメージを抱く人は多いかもしれません。
パイロットは操縦だけではなく、飛行高度の計算や飛行機の点検、燃料の量の確認などを行います。また、天候の確認や、グランドスタッフやキャビンアテンダントとの入念なミーティングを行い、チームとして快適な空の旅を提供する役割を果たしています。
パイロットが活躍している場面
パイロットが活躍しているシーンと聞くと「航空会社」が初めに思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
しかし、パイロットが活躍している場所は航空会社だけではありません。例えば、以下のような就職先があります。
- 自衛隊のヘリコプター操縦士
- 海上保安庁
- 警察や消防署
- マスメディアや新聞記者
- 民間のチャーター飛行
このように、働き方はひとつではなく様々な企業でパイロットは活躍しています。
パイロットに向いている人の3つの特徴・スキル
パイロットは誰でも向いている仕事というわけではありません。
「健康であること」「コミュニケーション能力があること」「判断力が高いこと」などの望まれる特徴があります。以下では、3つの特徴がなぜ必要とされるかについて詳しくご紹介します。
1.常に健康であること
パイロットに向いている人の1つ目の特徴は、常に健康であることです。
パイロットが飛行機を操縦中に倒れてしまうと、操縦に支障をきたし、乗客の安全が脅かされる可能性があり大変危険です。
そのため、「半年に一度」もしくは「一年に一度」は、航空身体検査を受け健康であることを証明しなければいけません。
内科・眼科・耳鼻咽喉科・精神神経科などの様々な検査を受けることが航空法によって義務付けられています。太り過ぎないように運動したり、お酒を飲みすぎないようにしたりと、健康に注意する必要があります。
参考:航空医学研究センター
参考:航空法
2.コミュニケーション能力があること
パイロットに向いている人の2つ目の特徴は、コミュニケーション能力があることです。
パイロットは、キャビンアテンダントやグランドスタッフなどの航空会社で働く仲間と協力しあって仕事を行わなければいけません。そのため、「誰とも話さず一人で集中して仕事をしたい」という人にはパイロットは向いていないでしょう。
コミュニケーション能力を磨くためには、相手の話によく耳を傾けることが大切です。
また、コミュニケーションに関する「メラビアンの法則」によると、非言語コミュニケーションは言語コミュニケーションよりも大事だと言われています。話す内容だけでなく、声のトーンや話すスピード、うなずき方などを意識してみましょう。
3.判断力があること
パイロットに向いている人の3つ目の特徴は、判断力があることです。
パイロットは常に状況が異なる空の中で、操縦を行わなければいけません。誰かに指示をもらって確認をしてからではないと行動に起こせないとしたら、待っている間に重要な事故につながるかもしれません。
状況を冷静に把握し、適切な判断をできる人はパイロットに向いているといえるでしょう。
パイロットの年収の目安
パイロットと聞くと「高年収」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
厚生労働省によると、パイロットの年収は「1072.3万円」です。
国税庁によると、日本人の平均年収は「461万円」。なぜパイロットの年収は日本人の平均年収の2倍ほどあるのでしょうか。
パイロットの年収がなぜ高いかは、以下の3つの理由が考えられます。
- パイロットになることが簡単ではないこと
- 養成コストがかかること
- パイロットが激務であること
基礎的教育でも、一人あたりのコストが「 約3,700万円」かかると言われています。そのため「パイロットになりたい」と思っている人でも容易に教育を受けさせるわけにはいかず、狭い門を通る必要があります。
また、パイロットは大勢の客の命が託されているため、その責任は大きいです。このような理由からパイロットの年収は高額であると考えられます。
参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
参考:国税庁「II 1年を通じて勤務した給与所得者」
参考:国土交通省
パイロットの将来性
「人工知能が発展してパイロットの需要がなくなるかもしれない」「新型コロナウイルスの影響でパイロットの仕事は少なくなるのかな」と思う人もいるのではないでしょうか。
パイロットは、格安航空の発展や、発着数を増やす政策などによって需要が高い仕事です。
また、人工知能は予期できない現象に対しての応用力にかけるため、人間のパイロットはこの先も必要だと言われています。
パイロットは将来性が高く、給料もやりがいも見込める仕事であるといえるでしょう。
パイロットになるためには資格が必要
- パイロットになるためには資格の取得が必要
- パイロットは常に健康である必要がある
- パイロットの年収は高いが、責任が大きい仕事
本記事では、パイロットになるための方法やパイロットに必要な資格などをご紹介しました。
パイロットになるのは簡単なことではありません。航空学校に入学するのも、操縦科に入るのも難易度が高く、その上資格の取得も必要です。
本記事を参考に、パイロットになるための進路を検討してみてはいかがでしょうか。
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