ニュース番組でその姿を必ず見る「気象予報士」。気象予報士試験は難易度が高いことで知られており、その合格率は一桁台が基本です。人々の生活に貢献できる職業のため、大きなやりがいを感じられるのは魅力。
そんな気象予報士になる方法をご紹介。年収の目安や就職先、試験の難易度についても解説しています。気象予報士を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
気象予報士とは?
気象予報士とは、気象観測データや数値予報資料をもとに気象予報を行う職業のこと。その活躍は多岐にわたり、気象庁や民間気象会社やニュース番組でのウェザーキャスターなど、さまざまな場所で気象予報士の存在は欠かせないものとなっています。
参考:職業情報サイト jobtag「気象予報士」
気象予報士の仕事内容
気象予報士の仕事は、気象予報を行うことです。気象庁から提供された気象衛星の画像や気象レーダーのデータ、数値予測資料などをもとに総合的に判断し、毎日の天気を予測します。
全国的な気象予報のほかに、個人・企業・地域などのニーズに対応した予報も行います。季節によっては台風や大雨など甚大な被害が予想される防災に関する予報を行い、該当する地域に住んでいる方に注意を促すこともあります。
ニュース番組でウェザーキャスターとしての仕事も重要。あらかじめ作成した原稿をもとに、防災情報や天気予報情報を伝達する役目を担っています。花の開花予想も天気予報士の仕事のひとつです。
場合によっては、気象防災アドバイザーとして活躍することもあります。主に地方自治体に向けて防災気象情報の提供・解説を行っているのが特徴。今後はこうした防災分野での活躍も期待されており、防災気象情報の活用方法を習得している気象予報士の育成も始まっています。
参考:職業情報サイト jobtag「気象予報士」
気象予報士のやりがい
気象予報士の仕事は、人々の生活に密着しています。気象予報が当たれば人々の安全に繋がったり、スムーズな生活を送れるようになったりと、さまざまなよい影響があります。責任感の大きな仕事ですが、それ以外のやりがいを感じられるのが特徴です。
1.人々の安全に貢献できたとき
気象予報士の1つ目のやりがいは、人々の安全に貢献できたときです。
気象予報士は全国的な気象を予報します。そのなかで大雨が予想される地域があれば、いち早くその地域に住んでいる方に情報を届けるのが仕事です。気象現象による災害の影響を最低限に食い止め、人々の安全に貢献できるのは気象予報士ならではのやりがいです。
2.気象予報の精確性が向上したとき
気象予報士の2つ目のやりがいは、気象予報の精確性が向上したときです。
気象予報は当たったり、当たらなかったりと精度がまちまちだと感じたことはないでしょうか。気象庁はコンピューターを活用して気象予報を行っていますが、天気は刻一刻と様子が変わるため、コンピューターのみで精確に予想するにはまだまだ時間がかかるといわれています。
コンピューターでの計算に加え、気象予報士が知識や経験に基づいて気象予報を行うことで、予報の確率は向上。資格取得後もさまざまな気象状況を研究し勉強をし続けることで精確性が向上した際にはやりがいを感じられます。
3.人々の生活に貢献できたとき
気象予報士の3つ目のやりがいは、人々の生活に貢献できたときです。
気象予報士は、県単位の細かな気象予報も行います。地域や季節によって天気の変化の仕方が異なるため精確に予報するのは難しいといわれていますが、そのなかで予報が当たった際には喜びを感じられます。
天候が生活や仕事に与える影響は非常に大きいもの。気象予報がしっかりと当たり、人々の生活がスムーズにいくよう貢献できたときにはやりがいを感じられます。
気象予報士の年収の目安
気象予報士の年収の目安は、約584万円程度。月額給与額は、令和2年度時点で約25万円です。全国的な一般会社員の平均年収が400万円台ということを考えると、高収入といえます。
参考:職業情報サイト jobtag「気象予報士」
気象予報士になるための方法
気象予報士になるには、難関試験を突破する必要があります。なかには独学で合格した方もいますが、試験で学科と実技の両方をクリアするには、通信講座を受講してプロのサポートを受けながら勉強を進めるのが一般的です。
気象予報士を目指すための通信講座は複数あります。料金や講座時間などがそれぞれ違うため、社会人として働きながらや大学・専門学校に通いながら受講する方は、自分に合ったペースで勉強できるかをチェックしましょう。
通信講座選びで迷った際は、公開している合格率の実績をもとに判断するのもおすすめです。そのほか、受講料や教材のわかりやすさ、初学者向けかどうかや学習サポートの体制などを見て総合的に判断するのもよいでしょう。
気象予報士試験は独学でも合格できる?試験の内容や難易度
次からは、難易度が高いことでも知られている「気象予報士試験」について詳細を確認していきましょう。
参考:気象予報士試験
気象予報士試験の受験要件
気象予報士試験には受験要件が設けられていません。学歴や年齢を問わず、誰でも受験することが可能です。
ただし、気象業務法による処分を受けている場合は受験資格の制限があるので注意が必要です。
参考:一般財団法人 気象業務支援センター「気象予報士試験」
気象予報士試験の内容
気象予報士試験は、年に2回実施されています。試験地は、北海道・宮城県・東京都・大阪府・福岡県・沖縄県の計6都道府県。希望する試験地にて受験が可能です。
受験料は、免除科目なしの場合で11,400円。学科1科目免除の場合は10,400円、学科2科目免除の場合は9,400円です。
試験は、学科・実技の両方があります。学科はマークシート方式で、実技は記述式。学科試験は予報業務に関する一般知識と、予報業務に関する専門知識の2つのカテゴリーから各15問ずつ出題されます。
▼予報業務に関する一般知識
- 大気の構造
- 大気の熱力学
- 降水過程
- 大気における放射
- 大気の力学
- 気象現象
- 気候の変動
- 気象業務法その他の気象業務に関する法規
▼予報業務に関する専門知識
- 観測の成果の利用
- 数値予報
- 短期予報
- 中期予報
- 長期予報
- 局地予報
- 短時間予報
- 気象災害
- 予想の精度の評価
- 気象の予想の応用
試験時間はそれぞれ60分。合格基準は、15問中11問以上です。
実技試験の科目は3つ。このうち2つを受け、実技の総得点が満点の70%以上であれば合格となります。
- 気象概況及びその変動の把握
- 局地的な気象の予報
- 台風等緊急時における対応
実技の試験時間はそれぞれ75分とされています。試験日は1日しか用意されていないので、学科・実技ともに集中力を途切れさせずに受け切ることが重要なポイントです。
参考:一般財団法人 気象業務支援センター「気象予報士試験」
気象予報士試験の難易度や合格率・勉強時間の目安
気象予報士試験は非常に難易度が高いことで有名です。平成6年度から令和3年度までに通算57回試験が実施されていますが、もっとも合格率が高いのは第1回目の18.0%。そこから回を重ねるごとに合格率が落ちていき、令和3年度は1回目の試験が4.2%、2回目の試験が4.9%です。
この難易度の高さから、気象予報士試験に合格するには多くの勉強時間が必要とされています。一般的に、合格するまでに必要な学習時間は平均800〜1000時間程度。特に実技試験は学科試験よりも難しく、独学の場合はより長い勉強時間が必要です。
気象予報士になるには、気象に関する専門的な知識のほか、化学や物理学の基礎知識が求められます。苦手意識がある場合には、化学や物理の勉強を一からやり直すことも検討してみてください。
参考:一般財団法人 気象業務支援センター「気象予報⼠試験結果⼀覧」
気象予報士に向いている人の特徴
気象予報士を目指すうえで気になるのは、気象予報士に向いている素質を持っているかどうかです。後天的に身に付けられる部分は多いので、試験対策を行いながらこの点も意識しておくのがおすすめ。気象予報士に向いている人の特徴3点を解説します。
1.知的好奇心がある
気象予報士に向いている人の1つ目の特徴は、知的好奇心があることです。
気象は日々異なります。地球環境によって新たな事象が発生することもあるため、気象予報士になる場合はそうした事象が起こる原因を調べたり、分析したりする知的好奇心が重要です。
資格を取得したあとも、実務のなかでの疑問を理解するために勉強し続けられる人は、気象予報士に向いています。
2.分析することが好き
気象予報士に向いている人の2つ目の特徴は、分析することが好きなことです。
気象予報士の仕事は、気圧・気温・湿度などの気象データから気象を予報すること。データの組み合わせによって気象が変わるため、気象予報士にはさまざまな角度から分析する力が求められます。
データをきちんと読み取り、そこから予想され得る気象を導き出すことが好きな方は、気象予報士に向いているといえます。
3.簡潔にわかりやすく伝えられる
気象予報士に向いている人の3つ目の特徴は、簡潔にわかりやすく伝えられることです。
気象予報士が予報したデータを伝える相手は、気象に関する専門的な知識のない層がほとんど。専門用語を用いるのではなく、一般生活者でもわかりやすい表現で具体的に伝えることが求められます。
気象予報士に必要なスキル
気象予報士には優れた読解力が必要です。主な業務は気象を予報することですが、予報をするには気象庁が提供したデータを正しく読み取ることが求められます。
大雨や台風などが発生しやすい季節には、被害を最低限にとどめるため気象予報士の予報が非常に重要。正しくデータを読み取れない場合には、大きな自然災害が起きてしまう可能性があります。気象観測データから起こり得る気象現象を予測し、影響がある地域の方に素早く伝えるため、気象予報士には優れた読解力が求められます。
気象予報士になるためには難関試験の突破が必要
- 気象予報士試験の合格率は一桁
- 年収は一般的な会社員平均よりやや高め
- 気象庁・民間気象会社に加え、ニュース番組でのウェザーキャスターなど活躍の幅が広い
合格率が非常に低い気象予報士。多くの方は働きながらや、学校に通いながら、通信講座を受講して合格を目指しています。合格後は実務経験を積みながら、気象予報の精度を高めていくことが重要です。人々の生活に密着しており大きな責任感がありますが、それだけに予報が的中した際にはやりがいを感じられます。
試験は年齢や学歴などを気にせず誰でも受験が可能なので、社会人や学生など興味のある方は気象予報士を目指してみてはいかがでしょうか。
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