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ブリーダーとは?仕事内容・なるために必要な資格・将来性などを解説

U-NOTE編集部

2022/06/09(最終更新日:2022/08/25)


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ペットショップにいる子犬や子猫の育て親である「ブリーダー」。在宅ワークが一般化しペットを飼いやすい環境になった方が多い関係で、ペット需要は増しています。それに伴い、血統書付きの優秀な動物を繁殖・育成するブリーダーの仕事にも注目が集まっています。

今回は、そんなブリーダーの仕事内容をご紹介。ブリーダーを目指す場合に必要な資格や年収の目安、将来性についても解説しています。

 

ブリーダーとは?

ブリーダーとは、犬や猫などの動物の繁殖を行う職業のこと。ペットショップにいる犬や猫は原則、ブリーダーが繁殖・飼育・販売を行っているのが特徴です。

ブリーダーは血統書付きの母犬や父犬を所有し、無理なく交配させて生まれた子犬を販売します。さまざまな犬種の種類や歴史についての知識や経験が必要な、専門的な職業です。

 

ブリーダーの仕事内容

ブリーダーの仕事は、主に動物の繁殖と販売です。ただし、それだけでなく動物の健康状態を維持することが重要。そのためには、日々のお世話やしつけも行います。ブリーダーという職業に関心がある方に向けて、ブリーダーの仕事内容について解説します。

 

1.動物の繁殖

ブリーダーの1つ目の仕事は、動物の繁殖です。

ブリーダーのメイン業務。専門知識と経験を活用して動物に無理なく交配させ、健康的な繁殖を管理します。動物の交配には、個々が持つ遺伝的要素や性格まで把握している必要があります。

健康的な繁殖を行うには、動物の日々のお世話にも丁寧に気を配ることが重要。動物が暮らす環境を整えたり、食事に気を付けたりと健康管理もブリーダーの仕事のひとつです。

 

2.動物の販売

ブリーダーの2つ目の仕事は、動物の販売です。

繁殖・飼育した動物を販売するのもブリーダーの重要な仕事。ペットショップに子犬や子猫を預けるほか、個人の方と直接やりとりすることもあります。

以前までは紹介制でブリーダーと顧客が繋がりを持つことが多くありましたが、現在はインターネットの普及により動物と飼い主の適切なマッチングがしやすくなっています。

動物の販売業務を行うには、今後インターネット上での情報発信も必要になるでしょう。

 

3.ドッグショーやコンテストへの参加

ブリーダーの3つ目の仕事は、ドッグショーやコンテストへの参加です。

ブリーダーが手塩にかけた動物がドッグショーやコンテストに参加する際、ブリーダーは必要な点検や審査を行います。健康状態やしつけに問題がないかや美しい見た目が維持できているかどうかを確認します。

 

ブリーダーのやりがい

ブリーダーは毎日犬や猫とコミュニケーションを交わし、家族のように大切にお世話をします。いずれはブリーダーのもとを旅立ってしまいますが、そのときに感じられるやりがいとはなんでしょうか。ブリーダーという仕事の3つのやりがいをご紹介します。

 

1.新しい命が無事に生まれたとき

ブリーダーの1つ目のやりがいは、新しい命が生まれたときです。

ブリーダーは動物たちの性格や個性を把握し、無理のない交配をさせて繁殖をさせます。妊娠後から出産までは油断できず、また生まれてくる子の健康状態はそのときまでわかりません。

なるべく母体に負担をかけないようにお世話をし続け、新しい命が無事に生まれたときには、大きなやりがいを感じられます。

 

2.動物がよい飼い主に引き取られたとき

ブリーダーの2つ目のやりがいは、動物がよい飼い主に引き取られたときです。

ブリーダーの仕事は、ただ子犬や子猫を売り収入を得られればよいというものではありません。自分たちの家族として迎え入れ、大切に育ててくれる飼い主のもとに動物を届けるのが目的です。

そのため、大切に育てた動物が、優しくたくさんの愛情をかけてくれる飼い主に引き取られていったときには、ブリーダーとしてのやりがいを感じられます。元気に成長している様子がわかれば、喜びも大きいでしょう。

 

3.飼育した動物がコンテストで賞を獲得したとき

ブリーダーの3つ目のやりがいは、飼育した動物がコンテストで賞を獲得したときです。

ブリーダーが繁殖し飼育する動物のなかには、優秀な母犬と父犬の間で生まれる子もいます。コンテストでの優勝を目的に繁殖を行うことはないものの、偶然に誕生した動物が賞を獲得したと知ったときは、やりがいを感じられます。

 

ブリーダーの年収の目安

ブリーダーの年収は、会社員と独立で異なります。会社員の場合の年収の目安は、20代で220万円程度、30代で400万円程度。ただし、あくまでも目安のため、もっと高い収入を得ている方もいます。

独立開業の場合の目安は250万円程度。犬の飼育から繁殖、日々のお世話までさまざまな経費がかかるため、なかなか安定した収入を得にくいのが実情です。独立してすぐに売り上げを立てるのは難しいため、本業と両立しつつ、ブリーダーでの収入が安定したら独立する流れが一般的です。

 

ブリーダーに向いている人の特徴

ブリーダーになるには、多くの知識や優れたスキルはもちろんのこと、素質も重要な要素です。ブリーダーに向いている人の3つの特徴をご紹介します。

 

1.動物に対して愛がある

ブリーダーに向いている人の1つ目の特徴は、動物に対して愛があることです。ブリーダーとして活躍するためのもっとも重要な素質といえるでしょう。

ブリーダーは一度に多くの動物のお世話をします。動物が快適にそして健康的に育っていけるよう配慮するには、動物に対して愛がなければ難しいのです。

動物は家族であり、そして商品でもあります。そうした意味でも動物のことを一番に考え、行動できる方はブリーダーに向いています。

 

2.向上心がある

ブリーダーに向いている人の2つ目の特徴は、向上心があることです。

ブリーダーの仕事に必要な知識や技術は専門学校で学べるものの、実際にブリーダーとして働き始めたあとのスキルアップは、自分次第です。動物という生き物を相手にしている以上、一度として同じ繁殖方法や飼育方法はありません。

日々動物たちにしっかりと向き合い、学んだ知識を活かして仕事を行います。同じ種類でも個体差がある動物を健康的に繁殖・飼育するには、一匹一匹を大切にし、その子に適した方法を考える向上心が大切です。

 

3.誠実である

ブリーダーに向いている人の3つ目の特徴は、誠実であることです。

ペット需要が増しているなか、特に意識したい素質です。血統書付きの優秀な動物は、非常に高い値段で売られています。購入を検討している方の多くは血統書で動物を判断し、購入を決定します。ブリーダーから見れば、売るほど儲かる仕組みになっているのが特徴です。

しかし、昨今は血統書だけでなくブリーダーの人柄込みで動物を購入する方も多くいます。動物に対して愛情を注げるブリーダーなのか、きちんとしたお世話をしてきたのかなどを見られるため、誠実であることは非常に重要な要素です。

 

ブリーダーになるための方法

ブリーダーになる一般的な方法は、専門学校でブリーダーに必要な知識と技術を習得することです。必要とされる資格はないため、専門的に学んだあとはすぐにブリーダーとして活躍できます。

ただし、ブリーダーとして独立したい場合には、「第一種動物取扱業」の登録が必須です。登録するには「動物取扱責任者」としての認定が求められ、指定されている要件のうち、いずれかひとつを満たす必要があります。

開業ではなく会社員としてブリーダーになる場合は、「第一種動物取扱業」「動物取扱責任者」の登録は不要。まずは経験を積むため、専門学校卒業後はブリーダーとして就職を目指すのがおすすめです。

 

ブリーダーに必要なスキル

ブリーダーになるには、専門的なスキル以外にコミュニケーション力や営業力があることも重要です。それぞれどんな場面で必要となるのか、詳細を解説します。

 

1.ブリーダーとしての幅広い知識と技術

ブリーダーに必要な1つ目のスキルは、ブリーダーとしての幅広い知識と技術です。

動物の交配は非常に複雑です。遺伝学・生理学などに基づき、適切な方法で行う必要があります。母犬と父犬の組み合わせによっては遺伝的リスクが発生する可能性もあるため、幅広い専門知識がなければ望ましいタイミングでの交配は行えません。

専門学校で身に付けた知識以上に、実務経験での知識と技術が重要です。

 

2.コミュニケーション力

ブリーダーに必要な2つ目のスキルは、コミュニケーション力です。

会社員、開業に関係なく、コミュニケーションは必要なスキル。動物を販売する際には、動物の性格や親のこと、必要なしつけや食事内容などを伝えるのがブリーダーの役割です。それらを理解したうえで引き取ってもらうのと、そうではないまま引き取ってもらうのでは、動物の健康状態や寿命に与える影響が大きいからです。

伝えるべきことを伝えるコミュニケーション能力は必須。円滑にやりとりを行うことができれば、業務もスムーズに進みます。

 

3.営業力

ブリーダーに必要な3つ目のスキルは、営業力です。

1匹の動物を飼育するのには、食事や健康管理、しつけなど膨大なお金がかかります。売れればよいというわけではないものの、職業として成り立たせるためには育てた動物を引き取ってくれるペットショップとの関係性や、個人顧客の新規開拓が必要です。

そのためには、営業力があることも重要。金額の交渉をしたり、長期的な契約を結んだりと、能動的に動くことが求められます。

 

ブリーダーに必要な資格

ブリーダーになるためには、資格が必要なのか気になる人も多いでしょう。次に、資格について確認していきましょう。

 

ブリーダーになるためには資格は必須ではない

ブリーダーになるために必須の資格はありません。資格を有していなくてもブリーダーを名乗ることができるので、未経験から始めやすい職業といえます。

ただし、ブリーダーはいぬや猫の命を扱う仕事です。責任感が大きいため、ブリーダーとしての専門的な知識や技術を有している必要があります。独学で学ぶことは難しいので、ブリーダーの多くは専門学校を修了し、民間資格も取得しています。

 

ブリーダーとして開業するためには「第一種動物取扱業」の登録が必要

ブリーダーとして開業するためには、「第一種動物取扱業」の登録が必要です。登録するには、事業所ごとに常勤職員のなかから動物取扱責任者を配置することが求められます。第一種動物取扱業は自らを動物取扱責任者にすることができるので、まずは動物取扱責任者になることを目指しましょう。

参考:福岡県「第一種動物取扱業を営むには登録が必要です

 

動物取扱責任者

「動物取扱責任者」は、「第一種動物取扱業」の登録をする際に必要な要件です。独立開業を目指す際はまず申請を行いましょう。一般的には、第一種動物取扱業者から選任されて「動物取扱責任者」になることができますが、第一種動物取扱業者自らを動物取扱責任者にすることも可能です。

「動物取扱責任者」になるには、以下のいずれかの要件を満たしていることが必須です。

  • 獣医師の免許を取得している
  • 愛玩動物看護師の免許を取得している
  • 指定の実務経験・飼育経験年数を満たし、かつ1年間以上教育する学校を卒業もしくは資格を有している

さらに、上記の条件を満たしたうえで、動物取扱責任者研修を受講することが条件。飼育経験・教育機関については事前に確認、実務経験・資格は認められる種別が多いため、動物愛護相談センター業務担当に問い合わせしてから申請を進めましょう。

参考:東京都動物愛護相談センター「動物取扱責任者等

 

JKC愛犬飼育管理士

「JKC愛犬飼育管理士」は、一般社団法人ジャパン ケネル クラブが実施している民間資格です。動物取扱業の登録要件のひとつとして認定されているのが特徴です。

資格を取得するには、まず動物の愛護及び管理に関する法律に基づいて作成したテキストを使用した講習会に参加。その後、筆記試験に合格すれば資格を得られます。

講習会および筆記試験は、満18歳の方であれば参加が可能。大阪・仙台・岡山・京都・札幌・名古屋・沖縄と全国で実施されているため、参加しやすいのも魅力です。合格率は8〜9割と高く、初学者にも向いています。

参考:一般社団法人ジャパン ケネル クラブ「愛犬飼育管理士制度について・講習会・試験情報

参考:一般社団法人ジャパン ケネル クラブ「愛犬飼育管理士でのよくある質問

 

ペット繁殖指導員

「ペット繁殖指導員」は、一般社団法人 日本ペット技能検定協会が実施している民間資格です。動物の命を扱ううえで、専門的な知識と勘を有した指導員の存在は必要不可欠。「ペット繁殖指導員」は、そうした役割を担える人材を育成するための資格です。

同協会指定のカリキュラムを修了することで、受験資格を得られます。年齢制限は設けられていないため、自身のタイミングで受験が可能。試験は筆記のみです。合格後、ライセンス交付申請料として14,000円を支払うことで、「ペット繁殖指導員」として登録されます。

参考:一般社団法人 日本ペット技能検定協会「ペット繁殖指導員

 

愛玩動物飼養管理士

「愛玩動物飼養管理士」は、公益社団法人日本愛玩動物協会が実施している資格。「動物の愛護及び管理に関する法律」に基づき、ペットの適切な飼養管理やしつけの知識・技能を有した人材を養成する目的で設置されました。

「愛玩動物飼養管理士」の資格は、動物取扱責任者の資格要件のひとつに当てはまります。過去の受講者は多岐にわたり、さまざまな方が資格を取得。ペット業界をはじめ、介護・福祉業界などで、幅広く資格が活用されています。

満15歳以上の方であれば、誰でも受験が可能。教材をもとにオンライン方式で受講し、認定試験に合格することで資格を得られます。春期・夏期と年に2回試験があり、試験地は全国なので、受験しやすいのも魅力です。

合格率は非常に高く、2021年11月実施の認定試験では、1級の受験者1757名のうち、1426名が合格。2級は9468名の受験者のうち、8293名が合格しています。自宅で自分のペースを守りながら何らかの資格取得を目指したい方にぴったりです。

参考:公益社団法人日本愛玩動物協会「愛玩動物飼養管理士について

参考:公益社団法人日本愛玩動物協会「2021(令和3)年度 愛玩動物飼養管理士認定試験(11月試験) 結果について

 

愛玩動物看護師

「愛玩動物看護師」は、農林水産省が実施する国家資格。適正な獣医療を提供するのを目的に制度が作られました。

受験区分は3つに分けられており、通常ルートに加え、既卒者・在学者ルートと現任者ルートがあります。通常ルートには、愛玩動物看護師を養成する大学や指定の養成所で指定科目を修了し、卒業した方が該当。卒業後すぐに試験を受けられます。

既卒者・在学者ルートと現任者ルートの方は、国家試験の前に講習会の受講が必須。さらに、現任者ルートの場合は講習会後に予備試験を合格する必要があり、その後国家試験を受けられます。講習会の総学習時間はルートによって異なり、既卒者・在学者の場合は26時間、現任者の場合は30時間です。

「愛玩動物看護師」は、令和元年に国家資格になったばかり。そのため、公式が発表している合格率のデータはありません。ただし、国家資格は通常難易度が高いもの。ほかの民間資格に比べて、「愛玩動物看護師」の資格は取得が難しいと覚えておきましょう。

参考:農林水産省「愛玩動物看護師

 

ブリーダーの将来性

ブリーダーは将来性のある仕事です。在宅ワークが一般化した今、家にいる時間がコロナ以前より増えた方は多く、ペットを飼いやすい環境が整っています。

悪質なブリーダーによる繁殖・飼育がニュースで取り上げられたこともあり、信頼の置ける優良なブリーダーから直接、犬や猫を購入する人も増えています。動物がどのような環境で繁殖・飼育されてきたかを重視している傾向にあるのです。

お金を目当てにしたブリーダーの数は減り、繁殖に関する知識と高い技術を有したブリーダーであれば、需要はあるでしょう。

 

動物に対する愛情が重要なブリーダー

本記事のまとめ
  • ブリーダーは資格なしでなれる
  • 開業する場合は「第一種動物取扱業」「動物取扱責任者」の登録が必要
  • 手元を旅立った動物が元気に成長していることが大きなやりがい

動物を繁殖・飼育し、顧客のもとに送り届けるのがブリーダーの仕事。一度に多くの動物のお世話をするため、体力と愛情がなければ続きません。資格は不要で、専門学校で必要な知識とスキルを身に付ければ、誰でもブリーダーとして活躍可能です。

動物が好きで毎日でも触れ合いたいという方は、本記事を参考にブリーダーを目指してみてはいかがでしょうか。

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