漠然と「起業したい」「あんなことがしてみたい」「こんな世の中を実現したい」と思っていても、具体的なアクションに落とし込むには思考の"解像度"を上げる必要があります。
しかし、一人で考え続けていても、なかなか具体的なイメージは湧いてこないかもしれません。そんな時はどうすればよいのでしょうか?
フラー株式会社の服部 卓史さん(26)は、学生時代「社長になりたい!」という志がありましたが、「自分は何もわかっていなかった」と当時を振り返ります。
インターンを経て同社へ新卒入社した服部さんですが、社会に出て初めて気が付いたことや学んだことが、"起業"や"プロダクト立ち上げ"に関する解像度をぐっと上げてくれたのだそう。詳しく話を聞きました。
デジタルにかかわる支援を行う「フラー株式会社」
フラー株式会社は「ヒトに寄り添うデジタルを、みんなの手元に。」をミッションに掲げ、アプリやウェブなどデジタルにかかわる支援を行う「デジタルパートナー事業」を積極的に展開しています。
新規・既存事業の戦略構築からプロダクト開発・グロースまで"ワンチーム"で伴走。「プロダクト開発」に留まらない、一貫した支援が大きな特徴です。
社長に憧れ、フラー現会長に出会う
服部さんは、2018年4月に、通っていた大学を休学して同社へインターン入社。その後、半年間大学へ戻り卒業した後、2020年4月に正社員として新卒入社しました。
1年半ほどのインターン期間中はアプリ分析サービス「App Ape」のマーケティング部署にて、企業向けイベントの企画・運営を主に担当。新卒入社後の現在は、デジタルパートナー事業の担当者として、クライアントワークのディレクションに携わっています。
-----フラーでインターンを始めた経緯について教えてください。
服部さん:大学3年生の頃、漠然と起業や社長に憧れを持っており、Twitterで企業の社長やVCの方にDMを送るなどして、色々な人に会っていました。
その中で出会ったのが、フラーの現会長・渋谷でした。カフェで1時間ほど、「こんなことがしたい」と自分のことを話しながら、ビジネスアイデアについてフィードバックをいただいたのですが、とにかく直感で「この人に付いていきたい!」と感じたんですよね。その勢いで「フラーで働かせてください!」と直談判し、「いいよ!」と快諾していただきました。
-----それで、休学してインターンを始めることになったのですね。カフェでは具体的にどのようなお話をされたのですか?
服部さん:渋谷は、グリー株式会社にて勤務した後、2011年にフラーを創業しました。
グリー所属の期間中は、会社自体が著しく成長していた時期だったそうで、「若手でも多額のマーケティング資金を使って大きな仕事ができた」「あの時の経験が、フラー創業にも活かせている」と、渋谷は話していました。
その時、思ったんです。当時のフラーがまさに、あの時のグリーのように軌道に乗っているタイミングだったので、「今ここで経験を積めばきっと起業に活かせる何かが得られる!」と。
渋谷から「起業を目指すなら、一回社会に出てみるのもいいんじゃない?」と声をかけてもらったことも、インターンを始める後押しになりました。
インターンで痛感した力不足から「絶対にここで結果を出したい」と思うように
インターン期間中の1年半は、服部さんにとって力不足を感じることの連続でした。そのため、悔しさから「絶対ここで結果を出したい!」という気持ちが大きくなっていったのだそう。
-----服部さんにとって、苦しい期間だったのですね。
服部さん:そうですね。目標のKPIがなかなか達成できなくて…。上司からは「使えるものはすべて使い、頼れるものはすべて頼って、周りを巻き込んで成果を出すことが大切」とアドバイスしてもらったのですが、それでも自分なりのアクションにうまく落とせませんでした。
今振り返ると、「絶対に目標を達成してやる!」というマインドが足りていなかったのかもしれません。
ただ、ここで根拠のない自信が打ち砕かれたことで、「自分は社長を目指したいわけじゃないのかも」と、自然と漠然とした「社長への憧れ」がなくなり、「もっと地に足をつけたい」と思えるようになりました。
そして、別の会社に就職するよりも「フラーで結果を出したい」という思いが強くなって、一度大学に戻り卒業した後に"入社"という道を選びました。
新卒入社後はディレクターとして、信頼貯金の大切さを実感
-----新卒入社後、ディレクターとして仕事をするなかで学んだことなどはありますか?
服部さん:社内外問わず、初めて一緒にお仕事させていただく人との関係構築では「最初が肝心」ということです。
特にはじめの一カ月は、求められているよりもコストをかけるとか、提案資料ひとつとっても「期待値を超えるものを作る」とか、「あ、この人なら頼れるな」と思ってもらうための努力が必要だと感じています。
もちろん、「最初の一カ月だけ頑張る」ということではありませんが、スタート時点で信頼してもらえることが、その後の仕事をスムーズに進め、結果を出すことに繋がっていきます。
-----なるほど。期待値を超える提案資料…難しそうです。
服部さん:難しいですが、労力をかけて作ったものは、きっと相手にも響くのではないでしょうか。
例えば、「プロダクトの作り方がそもそもわからない」という課題をお持ちのお客様に対して、最初に"ワークショップ"的な説明を行ったことがあります。
その時に使った説明資料の制作にはとても労力をかけて、何十枚にもわたり作り込んだんです。その資料を使ってご説明したら、お客様に「一般のセミナーを受けるより、服部さんの説明の方が有益だと感じた」と言っていただけました。
そこで構築できた信頼関係があったからこそ、その後の仕事もうまく進めることができたかな、と今では感じています。
-----信頼貯金を、なるべく早い段階に貯めておくということですね。
服部さん:はい、社内の人に対しても同じ考えです。部署を超えて関係をつくっておくことで、いざという時に巻き込みやすくなりますし、何かトラブルがあった時にも手を差し伸べてもらえます。
もちろんそのためだけにコミュニケーションをとっているわけではありませんが、意識はしていますね。
プロダクトを立ち上げることの解像度が上がった
-----悔しさをバネに入社して、実際その後はどうですか?
服部さん:まだまだこれからだと思っていますが、プロダクトを立ち上げるまでの苦労やグロースの難しさを全く知らなかった時の自分と比べると、かなり解像度は上がったかなと思います。
フラーで様々な経験を積ませてもらって、色んな人と仕事をさせてもらって、その一瞬一瞬が自分の将来の糧になっている実感はあります。
単に「社長になりたい!」と言っていた学生時代が恥ずかしいぐらいです(笑)。今後はさらに「やりたいこと」「挑戦したいこと」の解像度を上げていきたいですね。
-----最後に、キャリアにおける今後の目標についてお聞かせください。
服部さん:まずはディレクターとして力をつけて、ゆくゆくはメンバーをリードできる人材になりたいです。
フラーではプレイヤーとしてのキャリアを極める「エキスパート路線」と、メンバーをマネジメントする「マネージャー路線」の2つから、キャリアを選ぶことができますが、両方目指したい気持ちはありつつ、まずは前者を目指して一つ一つの案件に全身全霊取り組んでいきたいです!
-----ありがとうございました。
インターンを通じて根拠のない自信が打ち砕かれたからこそ、素直な気持ちで仕事にも向き合えた服部さん。
ディレクターとなって半年後には、クライアントから「最初は頼りなかったけど、"いいプロダクトを作ろう"という気持ちが伝わってきたよ」と嬉しい言葉を受け取りました。
「特定分野や起業に漠然とした憧れがある」という若手ビジネスパーソンは、まずは解像度を上げるために、一歩前に踏み出してみてはいかがでしょうか。ふわっとしたイメージが具体化されることで、「いま自分がすべきことは何なのか」が明確になるかもしれません。
出典元:フラー株式会社
出典元:App Ape
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