自分がやりたい仕事よりも、経済面や安定を考えて別の道に進むことを決める人は、少なくありません。それも、一つの選択肢です。
株式会社Vookの教育事業部で現在マネージャーを務める稲村樹さん(26)は、クリエイティブ職に興味はあったものの、「本業として食べていくのは難しそう」というイメージがあったこともあり、一度は断念し、システムエンジニアとして会社に就職しました。
しかし、システムエンジニアとして働いた経験が、 後に映像業界での仕事に大きく繋がることになります。
詳しく話を聞くと、そこには経験を成長に活かし続ける稲村さんの姿勢が垣間見えました。
映像クリエイターをサポートする「株式会社Vook」
株式会社Vookは映像クリエイターの学び・仕事・繋がりをサポートする会社。2021年11月には、最短3カ月でプロの映像制作者を育てる映像スクール「Vook School(ヴック スクール)」を東京・渋谷に新規開校。第1弾として「ビデオグラファーコース」をスタートさせました。
「Vook School」を企画立案から担当
稲村さんは2021年の3月に同社へ中途入社。「Vook School」立ち上げの根幹を担い、企画の立案から、どういうプログラムで授業を進めていくかなど、細かいカリキュラム構成まで、全てを一貫して担当していました。
-----入社の経緯を教えてください。
稲村さん:もともとはシステムエンジニアとして別の会社に所属して働いていましたが、映像やカメラを趣味としていたこともあり、仕事と両立しながら映像を作っていたんです。
そんな時に、当時オンライン配信で行われた「VIDEOGRAPHERS TOKYO」という映像クリエイターカンファレンスで、Vook代表である岡本と役員の曽根のトークセッションを視聴する機会がありました。
そこでVookという会社の存在と、ビデオグラファーという仕事があることを知り、「もう少ししっかりと映像を学んでみよう」という思いで、"社会人インターン"というポジションで参加したんです。
エンジニアとして働きながら、Vookでインターンをして経験を積んでいた時に、「Vookに正社員として入社して、スクールの立ち上げを一緒にやって欲しい」という旨のお話をいただいて、「そんなことを言っていただけるなら、断る理由もないし、行くしかない!」という気持ちで、2021年の3月に入社して、スクールの立ち上げを担当しました。
-----「Vook school」の立ち上げに抜擢された理由は何かあったのでしょうか。
稲村さん:曽根さんが運営している、短編映画を作るオンラインサロンに参加したことがあったのですが、映像未経験だったので、最初からカメラマンをやることができなかったんです。そこで自分に何ができるかを考えたときに、「会社員時代に培った全体の進行やマネジメントが活かせるのではないか」と閃きました。
そうして、全体のスケジュール管理や進行、ロケ地を抑えるなどの事務的な仕事まで積極的に行っていったことで、曽根さんに目をかけてもらえたのだと思います。
-----会社員時代の経験が活きたんですね。
稲村さん:そうですね。最初にシステムエンジニアとして大手企業で社会人経験が積めたことは凄く良かったです。社会人としての生き方も学べましたし、それが今でも役立っています。
-----入社後、最も印象に残っているのはやはり「Vook school」の立ち上げでしょうか。
稲村さん:そうですね。まずは現場のことも色々と知っておく必要があると思ったので、自社の仕事以外にも、他社のプロモーション映像のディレクションに携わらせてもらいながら、スクールの立ち上げ準備を行っていました。
そこで映像に携わる様々な人たちと関わって、改めて情熱を持って、0から何かを生み出すクリエイターという仕事は凄いなと痛感しましたし、そういう人たちを、さらに手助けできるような場所を作りたいと強く思うようになりました。
「Vook school」を絶対に成功させたいという気持ちも大きくなった頃、キックオフの時に岡本さんや曽根さんと、「クリエイターの少しブラックな働き方や、業界自体も変えていけるような足掛かりになるスクールにしたいですね」という話をしたことが、結構印象に残っています。
-----システムエンジニアの仕事から、いきなり大きな企画の立ち上げというのは大変だったと思うのですが、そこから学んだことはありますか?
稲村さん:最初は、「何から始めたらいいんだろう」という漠然とした気持ちはありました。けれど、岡本さんや曽根さんと3人で色々と話をしていくうちに、少しずつやるべきことが見えて、進んで行くことができました。
Vookの行動指針に、「失敗を恐れず挑戦する姿勢」や、「何事も成長に繋げる」という言葉があります。「まずはやってみよう」「そこで失敗したとしても良いし、その失敗がさらに次に繋がる」ということを、岡本さんや曽根さんにも常に言われ続け、ひたすらに"今できること"をやってきました。それが、スクールの立ち上げで学んだことですかね。
現場側と経営側、2つの視点から物事を見る
-----力不足や経験不足を感じた経験や、そこから学んだことはありますか?
稲村さん:立ち上げの際に挫折を経験しました。とんでもない量のカリキュラムを作るので、進行が全然追いつかなくて…。その時に自分のスケジュール管理の甘さを痛感して、凄く悔しい思いをしました。クリエイティブの部分と、経営的な部分、双方の視点に立つことができていなかったところが反省点です。
良いものを作ろうと思ったら、どれだけでも時間をかけれるけれど、経営的なスケジュールなどが入ってくると、いかにそのスケジュールで高いコストパフォーマンスのものを出せるかも重要ということを実感しました。
結果的には周りに相談し、「根本から体制を変えていかなければならない」と新しいメンバーに入ってもらったり、一緒にカリキュラムを考えてもらったりと、手助けしてもらい、なんとか立て直してリリースすることができました。
-----仕事で大切にしていることについて教えていただけますか。
稲村さん:映像を作る人、それに関わってくれている人が大好きなので、「その人たちに少しでも還元できるようなシステムを作っていきたい」という気持ちを常々大切にしています。
依頼の仕方や、提出期限の伝え方、作ったものに対してのフィードバックなど、作る人の気持ちがわかるからこそ、クリエイティブに関わる人に対してリスペクトを忘れないような動きは常々意識しています。
あとは、みんなが楽しく働けるように、できるだけ個人プレーを避けて、チームワークを大切にして、一緒に考えられるスタイルを作りたいですね。
クリエイターと映像業界の成長のためにできること
-----キャリアにおける今後の目標について教えてください。
稲村さん:「Vook school」がこれから映像で活躍する人たちの登竜門になれば良いなと思っています。
それから教育以外の部分でもクリエイターのためにできることがあると思っているので、教育という枠にとらわれずに、次世代のクリエイターのための何かを生み出すような物を作りたいです。
具体的なものだと、映像業界のコミュニティを作りたいですね。この業界は人手不足なところがあるので、それが解消できるような環境作りができれば良いなと考えています。
長期的な目標は、日本の映像業界自体をもっと大きくしていきたい。映像では韓国やアメリカが頭ひとつ飛び抜けているので、そこに続くポジションに日本がなれればと。映画祭などもVookが主催でできたら良いなと思っていますし、何か少しでも映像の構造業界が大きく成長できるようなチャレンジを少しずつしていきたいです。
-----ありがとうございました。
2021年の3月に入社後、「Vook School」立ち上げを大きく担ったことが評価され、1年という短期間で今年4月にはマネージャーに就任した稲村さん。その1年間について「人生で一番仕事をしたけれど、凄く楽しくて充実した1年だった」と語ってくれました。
過去の経験があったからこそ、現在のポジションにたどり着くことができたという成功体験。
どんな道へ進んでも「今、目の前にあることを精一杯やる」ことで、その経験が未来を切り開くきっかけになるのではないでしょうか。
出典元:株式会社Vook
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