目標があり、そこに向けて懸命に進んでいたとしても、「うまくいかないこと」「自信がもてないこと」に直面し、足取りを止めてしまうことは誰にでもあるでしょう。
あなたはそんな時、どのような行動を起こしますか?
株式会社My Fitの代表取締役・山田真愛さん(23)は、起業した数カ月後に「ピボットすら頭をよぎった」と振り返るほど、モヤモヤと悩む時期があったといいます。しかし、今は気持ちを切り替え、ピボットはせずにブランドの認知拡大に向けて新たな挑戦に取り組んでいます。
山田さんは、どのようにして悩み多き「モヤモヤ期」を乗り越えることができたのでしょうか?
オーダーメイドプロテイン「myfit」
山田さんは、17歳の時に癌で闘病していた母を亡くしたことがきっかけで「健康寿命を延ばしたい」と思うようになり、2021年2月にオリジナルプロテイン「Health Drink」のクラウドファンディングを実施。
集まった資金をもとに、同年3月に株式会社My Fitを創業し、その4カ月後にはオーダーメイドプロテイン「myfit」をリリースしました。オンライン上で約20問の簡単な質問に答えるだけで、成分・タンパク質量・味の全てをユーザーに合わせたパーソナライズプロテインが届くサービスです。
U-NOTEではクラウドファンディング実施期間中に山田さんをインタビューしており、今回は当時からさらに一歩を踏み出した彼女を改めて取材。この1年間に起きた出来事について、詳しく話を聞きました。
前回インタビュー記事はこちら▼
クラファンの成功、資金調達を経て本格リリースへ
-----クラウドファンディングでは目標金額を達成されたそうですね。その後、どのような流れでオーダーメイドプロテイン「myfit」のリリースに至ったのですか?
山田さん:お蔭さまで昨年2月に行ったクラウドファンディングでは、100人以上の支援者の方から100万円以上の資金が集まりました。翌月には会社を創業し、試作品を完成させ、7月にはリターン品の発送を終えました。
当時流行っていた音声SNS「clubhouse」での後押しがきっかけで資金調達も実施し、7月19日にオーダーメイドプロテイン「myfit」をリリースすることができました。
-----リリースに至るまでの道のりは順調だったのでしょうか?
山田さん:いえ、小ロットで商品を作ってくださる工場がなかなか見つからない、味の"正解"がわからず自分で1グラム単位で味見をしながらフレーバー開発を試みるなど、色々と試行錯誤がありましたね。
でも、最終的には納得のいく形でリターン品も出来上がりましたし、無事に「myfit」のプレスリリースも出すことができました。
プレスリリースはこちら▼
「このままでよいのか」とモヤモヤ悩んだ3カ月
山田さんは「myfit」をリリースした後、今年3月には上野マルイでのPOPUPイベントや、ボディメンテナンス専門店「co-nect」とのコラボイベントなどを開催。現在はブランドの認知拡大に向けて確実に前に進んでいます。
-----この1年間を振り返って、一番大変だったことや苦労したことは何ですか?
山田さん:「myfit」リリース後の9~11月頃は、「このままでよいのか」とモヤモヤ悩んだ時期でした。この3カ月間はピボットすら頭をよぎってしまうほど、一人で考えこんでしまって、動きも止まってしまっていましたね…。
-----なぜそんな風に悩んでしまったのでしょうか。
山田さん:おそらく起業家であれば誰でも直面するモヤモヤだと思うのですが、新規顧客がなかなか増えないことや競合の存在などから、"勝ち筋"が見えなくなってしまい、「市場の選択は合っていたのだろうか」「このまま進めてよいのだろうか」と、そもそもの事業内容に自信が持てなくなっていたんです。
この時期は、本当に「人と話すこと」をしておらず、一人で考え、足取りを止めてしまっていました。実際に「こんな事業に方向転換しようかな」とピボットの案まで考えていましたね。
人と話すことで気持ちを切り替え、世界観を作り直した
-----そのモヤモヤ期から抜け出せたきっかけがあったのでしょうか?
山田さん:人と話すようになったことがきっかけでした。
先輩起業家などに相談しているうちに「まだ何もトライ&エラーしていないのにピボットをしてしまっては、今後また同じことを繰り返してしまうかもしれない」「もっと今のお客様と向き合おう」と思えるようになりました。
特に同じtoCブランドで成功している先輩起業家には、過去に自分と同じような苦労をした経験のある人たちも多くいらっしゃいました。そういった人たちから背中を押してもらえたことが、大きな勇気と励みになったように思います。
-----そこから具体的にどのような行動を起こしたのですか?
山田さん:そもそもプロダクトに心から自信が持てなかったことが、積極的に広報の取り組みができなかった原因だと考え、まずは自信の持てるブランドにしようと、ブランドの世界観、パッケージ、ロゴを作り直しました。
これまで「myfit」は、「健康」というキーワードを押していましたが、健康に興味のない人に向けて「健康に興味を持って」と謳っても、そこに労力をかける人はとても限定的。そのため、「ボディメイク」というキーワードにシフトしたんです。
ブランドの世界観を「自分のことをもっと好きになろう」という方向性に定め直し、パッケージやロゴもそれに合わせて修正。自分の好きな体形に近づき、自分を好きになり続けることで、健康にも繋がっていく…そんな価値観を大切にしようと決めました。
「止まらずに動き続けたほうがいい」
今は心機一転、広報や他社との協業など新しい取り組みに積極的に活動していますが、「数カ月間、モヤモヤと悩んでいた時期は本当にきつかった」と、山田さんは振り返ります。
-----同じような悩みを抱えている人が今、目の前にいたとしたら、どんな言葉をかけたいですか?
山田さん:「止まらずに動き続けたほうがいい」と伝えたいですね。
今振り返ってみると、モヤモヤ悩んでいた時期は私にとって必要でしたし、「遠回りは逆によかった」とさえ思っています。誰かに「こうしたほうがいいよ」と言われるよりも、自分で悩んで気付いて学び、それを行動に移していったほうが納得して進むことができるからです。
でも、一人で悶々と頭の中で考えていただけの時間は無駄だったと思います。考えるだけではなく、問題点を書き出して、それをもとに検証するなど、とにかく足を止めずに動き続けているべきでした。
-----でも、今は動き始めていますよね。今後はどんなことに挑戦したいとお考えですか?
山田さん:まずは広報活動に注力したいです。具体的には飲食店やジム、冷凍食品などとの協業を通じて、「myfit」や、その世界観をもっと広めていきたいと考えています。
また、SNS等を活用したデジタルマーケティングにも力を入れていきたいですね。やっと自信の持てるブランドとして世界観を固めることができたので、今後はさらに行動を増やしていきたいです!
前回のインタビューでも「行動」の大切さを語ってくれた山田さん。困難や不安な気持ちに直面した時こそ「行動を起こし続けること」が必要不可欠だと、ご自身の経験から改めて私たちに教えてくれました。
足取りが止まってしまっている要因を突き止め、その解消に努め行動を起こしたことで、さらなる一歩を踏み出すことができた彼女の姿を見ていると、思わず応援したくなるだけでなく、「自分は足取りを止めてしまってはいないだろうか?」と自分自身を振り返る勇気をもらえる気がします。
「止まらずに動き続けたほうがいい」不安な時こそ、この言葉を思い出し、自分なりに小さな一歩でも踏み出していきたいですね。
出典元:myfit
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