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カウンセラーとは?仕事内容・年収の目安・需要について解説

U-NOTE編集部

2022/05/02(最終更新日:2022/08/25)


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心理カウンセラーに興味があるものの、具体的にどのような仕事をしているのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

本記事では、カウンセラーの仕事内容ややりがい、年収、資格などをご紹介します。資格によって働き方が異なるカウンセラーの働き方について詳しく説明しているので、将来カウンセラーとして働きたい人はぜひ参考にしてください。

 

カウンセラーとは?

そもそもカウンセラーとはどのような職業のことをいうのでしょうか。

カウンセラーとは、一般的に「心理カウンセラー」のことを指します。

具体的には、悩みを持っている人に対して相談に乗り、苦しんでいる人がその状況を解決したり、自分が苦しんでいる原因や状況を理解したりすることを助ける人のことをいいます。

心理カウンセラーを名乗るためには、資格は必要ありません。しかし、公認心理師のような国家資格があるほどカウンセリングは知識や技術が必要なものです。

心理カウンセラーになりたい人は、心理カウンセラーの多くは資格を持ち信頼を得ていることを覚えておきましょう。

 

カウンセラーの仕事内容

心理カウンセラーが具体的にどのような仕事をしているのか気になる人もいるのではないでしょうか。

カウンセラーの主な仕事内容は、「傾聴」することです。

傾聴とは、ただ話を聞くだけではなく、相手の立場に寄り添って相手を理解しようと努め、相手の話を否定せず相手の自己理解を促進させることをいいます。

カウンセリングの巨匠「カール・ロジャーズ」は以下のように言っていました。

「人間には成長に向かっていくための資源や回復するための能力が潜在的に備わっており、(そういう資源や力が元々備わっているのだから)その人がどうしたいのか、どう在りたいのか、というのはその人自身が一番知っている」

引用:人間科学研究所

人間は心の中にすでに持っている答えに気づかなかったり、意図的に無視してしまったりしています。つまり、カウンセラーは相談相手の話を傾聴することで、その人の中にある生き方の答えを提示する助けを行います。

 

カウンセラーが活躍している場

心理カウンセラーは病院で働いているイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

実は、カウンセラーは病院だけではなく、学校や企業などでも活躍をしています。

以下では、カウンセラーが活躍している場所と働き方についてご紹介します。

 

小学校・中学校・高校・大学

利用したことがある人は少ないかもしれませんが、小学校・中学校・高校・大学などの学校でも心理カウンセラーは働いています。

学校で働くカウンセラーのことを特に「スクールカウンセラー」といいます。

保健室とは別の部屋が用意され、スクールカウンセラーと一対一で話し合い、生徒の悩みに寄り添います。必要であれば個別に専門機関を紹介してもらうことも可能です。

また、生徒だけではなく保護者や教員のカウンセリングを行うこともあります。

毎日学校にいるわけではなく、特定の日に来る働き方をするので、複数掛け持ちをしている心理カウンセラーも多いです。

 

児童相談所

子供の心に寄り添う場所は学校だけではなく、児童相談所でも行われます。

児童相談所で働くカウンセラーのことを特に「児童心理士」と呼びます。

児童心理士とは、児童福祉法第12条の3第6項で規定されています。

指導をつかさどる所員の中には、次の各号に掲げる指導の区分に応じ、当該各号に定める者が含まれなければならない。
一 心理に関する専門的な知識及び技術を必要とする指導 第二項第一号に該当する者若しくはこれに準ずる資格を有する者、同項第二号に該当する者若しくはこれに準ずる資格を有する者又は同項第五号に該当する者
二 児童の健康及び心身の発達に関する専門的な知識及び技術を必要とする指導 医師又は保健師

引用:児童福祉法

つまり児童心理士とは、カウンセリングや心理検査によって児童の健康や心身の発達を見守る人のことをいいます。

虐待だけではなく非行、心身の発達の相談などを行い、児童本人だけではなく18歳未満の子供に関する相談であれば保護者や学校の先生などの相談も受けることがあります。

 

家庭裁判所

心理カウンセラーは「家庭裁判所」でも働いている人がいます。

家庭裁判所で働く心理カウンセラーは「家庭裁判所調査官」と呼ばれ、非行少年や荒れてしまった家庭で育った子をフォローしなだめる役割を担っています。

日本の「裁判所」の公式な見解は以下のとおりです。

家庭裁判所調査官は,家庭裁判所で取り扱っている家事事件,少年事件などについて,調査を行うのが主な仕事です(裁判所法第61条の2)。

引用:裁判所

家庭裁判所で働くためには「裁判所職員採用総合職試験」と呼ばれる試験を受け合格する必要があります。総合職試験の倍率は約20倍と高いため、家庭裁判所調査官になるのは難易度が高いです。

 

企業

企業に就職するカウンセラーは「臨床心理士」もしくは「産業カウンセラー」として働くことが多いです。

臨床心理士とは、臨床心理学という学問を勉強しカウンセリングを行うことを証明する資格のひとつです。

日本臨床心理士資格認定協会によると、臨床心理士とは以下のような人のことをいいます。

「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”です。

引用:日本臨床心理士資格認定協会

企業でカウンセリングを行う人のことを「産業カウンセラー」といいます。人間関係の問題や仕事のストレスについての相談を特に担当し、キャリア形成の支援も行います。

 

医療機関

カウンセラーは精神科・メンタルクリニック・心療内科・産婦人科など様々な医療機関で働いています。

医療機関に来る人は、年齢も性別も悩みも様々なのでカウンセラーの技量が試される場所です。

相談者の話を真剣に聞き、必要であれば問題の解決策を提示したり、対症療法となる薬を提案したりします。

 

独立する

カウンセラーとして独立し、自ら顧客を見つけ寄り添う心理カウンセラーもいます。

独立をすることのメリットは、年収が大幅に上がる可能性があること、顧客に寄り添った接客が可能になることなどがあります。

独立をするためには自分のスキルを磨いておく必要があるので、上記で紹介した機関で働いてから独立をする人も多いです。

 

カウンセラーの将来性

現在カウンセラーの需要は過去と比べて増してきています。

厚生労働省によると、通院患者・外来患者を合わせて精神疾患がある患者の数は「約392.4万」と発表されています。過去15年間で、外来患者の数は2倍にも増えているのが現状です。

参考:最近の精神保健医療福祉施策の動向について

そもそも人は承認欲求を持ち人から「認めてもらいたい」という気持ちがあります。誰かに真剣に自分の話を聞いてもらうことは、承認欲求を満たすことになり気持ちが楽になったり幸せな気持ちになったりします。

人間の根幹的な欲に関連するカウンセラーの需要は高く、将来性もあるといえるでしょう。

 

カウンセラーのやりがい

カウンセラーは、悩んだり苦しんだりしている人を救えたと感じたときにやりがいを感じる人は多いです。

来る前は悩みを抱えてつらい思いをしていた人が、帰るときには「もう少し頑張ってみよう」という気持ちに変わったとき「役に立てたんだな」と実感します。

つらい気持ちを抱えた人を元気づけたい・人を幸せにしたいという気持ちを持っている人がカウンセラーに向いているのではないでしょうか。

 

カウンセラーの年収の目安

求人ボックスによると、カウンセラーの平均年収は約360万円です。

参考:求人ボックス「カウンセラーの仕事の年収・時給・給料

カウンセラーの年収の分布は約321〜874万円と非常に幅広く、スキルやノウハウ次第では給料が平均年収を超えることもあるでしょう。

カウンセラーとして年収を伸ばすためには、資格を取ることや独立をすること、働く先を増やすことなどがあります。

例えばスクールカウンセラーをしている場合は、受け持つ学校を増やしたり、給料が比較的高い私立の学校に就職したりすることがおすすめです。

 

カウンセラーに向いている人の特徴・スキル

心理カウンセラーには向き不向きがあることに注意しておきましょう。

例えば、人の話を最後まで聞けない人や自分のアドバイスどおりに動いてもらいたい人、人の気持ちになって考えられない人は心理カウンセラーに向いていないといえます。

カウンセラーは自分の私情や先入観などで相手の話を判断せず、相手の話をとことん聞く仕事です。

自分の考えを押し付けて「アドバイス通りにして」というのは、自分の考えを押し付けているだけで相手の心を救うことにはなりません。

また、相手が話したいと思ってくれる人間性も必要です。相手に話しやすいと言われる人や相手を第一にしたコミュニケーションなどを普段の生活でも考えて行動できている人はカウンセラーに向いているといえます。

 

カウンセラーに必要な資格

カウンセラーには、公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士・社会福祉士などの資格があり、それらの持つ役割は異なります。

「カウンセラーになりたい」と思っている人は、どの資格を取りカウンセラーになるか考えることが大切です。

 

公認心理師

公認心理師とは、心理カウンセラーの資格の中で唯一の国家資格です。

2011年の東日本大震災が原因の不安・苦しみから心理カウンセラーを必要とする人が増えてきました。心理カウンセラーを普及させるためにも、公認心理師の資格が国家資格になったといわれています。

厚生労働省の公認心理師の見解は以下のとおりです。

公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。

(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

引用:厚生労働省「公認心理師

公認心理師の試験を受けるためには、大学院で所定の課程を学んだり、実務経験を二年以上積んだりする必要があります。

公認心理師の資格に興味がある人は「一般財団法人 日本心理研修センター」から確認してみてはいかがでしょうか。

 

臨床心理士

公認心理師が国家資格になる前は、カウンセラーの資格として「臨床心理士」が最も有名な資格でした。

現在でも、医療関係の求人では「公認心理師もしくは臨床心理士の資格を持っていること」と条件を出されることが多いです。

臨床心理士の試験を受けるためには、臨床心理士養成に関する大学院を卒業する・医師免許が必要などの条件があります。

臨床心理士の受験資格を知りたい人は、日本臨床心理士資格認定協会の「受験資格」を参考にしてくださいね。

>>臨床心理士の公式サイトはこちら

 

チャイルドカウンセラー

特に子供のカウンセリングをメインにしたいと思っている人は「チャイルドカウンセラー」の資格を取得することをおすすめします。

チャイルドカウンセラーは、日本能力開発推進協会 (JADP) が認定する資格で、心理カウンセラーの民間資格のひとつです。

チャイルドカウンセリングに関する知識を証明できるので、スクールカウンセラーや家庭裁判所での就活に有利になる可能性が高いです。

>>チャイルドカウンセラーの公式サイトはこちら

 

精神保健福祉士

精神保健福祉士は「精神科ソーシャルワーカー」とも呼ばれる心の病を持った人が日常生活に戻れるように支援をする仕事です。

精神保健福祉士は国家資格であり、社会福祉復興・支援センターによると以下のように定義づけられています。

精神保健福祉士は、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行なうこと(以下「相談援助」といいます)を業とする者

引用:社会福祉復興・支援センター(一部抜粋)

心の病で傷ついた人の助ける仕事をしたいという人は精神保健福祉士の資格を取ってみてはいかがでしょうか。

>>精神保健福祉士の公式サイトはこちら

 

カウンセラーになるための方法

心理カウンセラーになるためには、まずは知識を身につけることが大切です。カウンセラーの知識が学べる大学や通信教育を受けて、将来カウンセラーとして働くための考え方や知識を身につけましょう。

大学院や通信教育を卒業した後は、心理カウンセラーを必要としている企業や学校に就職をします。

どのような場所で働くかによって使える知識や必要な資格が異なるので、自分が将来どうなりたいのか考えて逆算して行動に移すことが大切です。

 

カウンセラーのキャリアパス

カウンセラーは専門性が高い仕事のため、キャリア形成のためには、資格をとったり、得意とする相談者の範囲を増やしたり、より深く傾聴できるようにしたりなど、カウンセラーとしての専門性を磨いていくことが一般的です。

カウンセラーとして幅広く仕事をしたい場合は、専門的な資格を取り、相談を受けれる範囲を広げていくのもよいでしょう。

どのような人を対象にしてカウンセリングを行いたいのかにあわせて、必要な資格の取得も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

 

どのようなカウンセラーになりたいか考えることから始めよう

本記事では、カウンセラーのなり方や年収、将来性などをご紹介しました。

カウンセラーの働き方や資格は多々あります。その中でもどのような働き方をしたいのか・誰を対象にカウンセリングするのかなどを具体的に考えておくといいでしょう。

自分の目標とするカウンセラーが見つかったら、次はどのような方法でなるか、どの資格を取るかなどを決めましょう。

本記事を参考に、カウンセラーに一歩ずつ近づいてみてはいかがでしょうか。
 

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