資格を取得している人に対して出る「資格手当」。どのような資格で資格手当が出るのか、どのくらいの手当がでるのかなどが気になる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、資格手当とはどのようなものなのか・手当の相場や手当が出やすい資格などをご紹介します。資格手当をもらいたいという人は参考にしてください。
資格手当とは?
そもそも資格手当がどのようなものなのか、詳しくわからない人もいるのではないでしょうか。
資格手当と一口にいっても、①資格を持っていることで給料が上がる資格手当と、②資格に合格したときに一時的にもらえる合格奨学金の大きく2種類があります。
厚生労働省は「建設業」「製造業」「小売・サービス業」の3業種に「資格・検定等の人員配置、昇格及び賃金への反映状況等に係る実態調査」を行いました。
- 41%:企業が資格を持っていることで月々に資格手当を出す
- 20%:企業が一時金の支給
- 23.6%:昇給の際に考慮
- 18.0%:基本給を考える際に参考にする
- 27.7%:一切資格手当が出ない
上記を見ると、資格を持っていることで月々の給料に反映される企業が多いことがわかりますが、一時金の支給や昇給や基本給の検討時に利用するのみの企業も多いです。
また、資格を持っているだけではなくその資格を使う役職についていないと、給料が上がらない場合もあります。
資格手当は難易度が高い資格を取得している場合や、その資格を持っている人が少ない場合に出されることが多いです。自動車運転免許や簡単な資格の場合は手当が出ない会社もあるので、どのような資格で資格手当がつくかは自分の会社を確認しましょう。
企業が資格手当を導入する理由
企業が資格手当を導入する理由を押さえておくと、どのような資格に手当がつくかを推測できます。
企業が資格取得を重視する理由として最も大きいのが「法規対応上、合格者が必要なため」です。全体で「59.8%」の企業が法規対応上を理由としているので、自分の企業で必要とされている需要がある手当を取ることをおすすめします。
参考:資格・検定等の人員配置、昇格及び賃金への反映状況等に係る研究会 とりまとめ
手当が出やすい資格一覧と相場
どのような資格に資格手当が出やすいのか気になる人も多いのではないでしょうか。
以下では、手当が出やすい資格一覧と相場についてご紹介します。
基本情報技術者
IT系の企業に勤めている場合には「基本情報技術者」の取得を検討しましょう。基本情報技術者は、ITエンジニアの登竜門とも呼ばれる資格で、ITエンジニアを目指す人なら取っておきたい国家資格だといわれています。
基本情報技術者の合格率は約25%と難易度は高いです。
参考:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表(平成21年度春期以降)
基本情報技術者の手当の相場は、5千円程度です。
応用情報技術者
基本情報技術者の資格を取ってさらにレベルアップしたい人は、応用情報技術者がおすすめです。応用情報技術者の合格率は約20%と、基本情報技術者の資格よりも難易度が高くなっています。
応用情報技術者の資格を持っていると、ITの技術だけではなく管理と経営などの知識を持っていることを証明できます。
応用情報技術者の手当の相場は、5千円~2万円程度です。
他にもIT関係の資格を知りたい・レベルアップしたいという人は「転職や就活が有利になるIT資格18選!難易度、国家資格など自分に合わせた資格を見つけよう」を参考にしてみてはいかがでしょうか。
危険物取扱者
ガソリンやアルコールなどの危険物を取り扱っている人は「危険物取扱者」の取得がおすすめです。
危険物取扱者は甲種・乙種・丙種の三種類ありますが、資格手当が出るのは一番難易度が高い甲種からであることが一般的です。乙種・丙種は誰でも受けることが可能ですが、甲種の試験を受けるためには要件を満たす必要があります。
始めから難易度の高い甲種の試験を受けたいという人は「危険物取扱者試験 受験資格」を参考にしてくださいね。
危険物取扱者の手当の相場は、千円~5千円程度です。甲種・乙種・丙種によって資格手当の金額が変わってくるので気をつけましょう。
電気工事士
電気に関係する仕事についている人は「電気工事士」の資格がおすすめです。
電気工事士とは以下のような資格を持つ人のことをいいます。
ビル、工場、商店、一般住宅などの電気設備の安全を守るために工事の内容によって、一定の資格のある人でなければ、電気工事を行ってはならないことが、法令で決められています。その資格のある人を電気工事士といいます。
引用:電気工事士って何だろう?
電気工事士の資格は、第一種・第二種と分かれているのに注意しましょう。
電気工事士の手当の相場は、第一種・第二種のどちらを取るかによって異なりますが、千円~1万円程度です。
電気主任技術者
電気工事士よりもさらに難易度が高い資格が「電気主任技術者」です。
電気設備を設けている会社は、必ず電気主任技術者を雇わなければいけないことが法令で定められているため、需要が高い資格だといえます。
電気主任技術者は、取り扱える電圧によって第一種・第二種・第三種に分かれています。
第三種から徐々にステップアップして第一種まで目指すのがおすすめです。
第三種電気主任技術者試験の合格率は10%以下と難しい試験なので、長い時間をかけて努力をする必要があります。
参考:第三種電気主任技術者試験受験者数・合格者数・合格率の推移
電気主任技術者の手当の相場は、5千円~3万円程度です。
建築施工管理技士
建築施工管理技士は、国土交通大臣指定機関が行う国家資格です。
建築施工管理技士は1級・2級に分かれていて、1級・2級ではできることが大きく異なります。それぞれの級で、一次検定・二次検定があり両方合格することで資格を得られます。
2級建築施工管理技術検定の合格率は、一次検定49%二次検定35.1%でした。
1級建築施工管理技術検定の合格率は、一次検定36%二次検定52.4%でした。
1級建築施工管理の第一次検定・第二次検定それぞれの受験料は10,800円です。2級建築施工管理の第一次検定・第二次検定それぞれの受験料は5,400円です。
1級と2級どちらを取るかによって異なりますが、施工管理技士の手当の相場は5千円~3万円程度です。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は宅建とも略される国家資格で、人気の資格です。
宅地建物取引士は、独占業務と呼ばれる宅地建物取引士以外ではできない仕事があります。そのため、需要は高く、難易度もかなり高いので、宅地建物取引士の手当の相場は約1万円~3万円と高額です。
合格率は15%前後で、試験は一年に一度しかありません。
参考:試験実施概要
宅地建物取引士に興味がある人は以下の公式サイトを参考にしてください。
建築士
建築関係の仕事をしている人におすすめなのが「建築士」の資格です。
建築士の資格には、一級建築士・二級建築士・木造建築士の3つの資格があります。
「一級建築士になりたい」という人は、まずは二級建築士を目指さなければいけません。二級建築士の試験を受けるための要件は、建築士法第15 条で定められており、以下のように記載されています。
第十五条 二級建築士試験及び木造建築士試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
一 学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校若しくは中等教育学校、旧大学令による大学、旧専門学校令による専門学校又は旧中等学校令による中等学校において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業した者(当該科目を修めて同法による専門職大学の前期課程を修了した者を含む。)
二 都道府県知事が前号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認める者
三 建築実務の経験を七年以上有する者
引用:建築士法第15 条
二級建築士の合格率は20%前後と難しい試験です。
受験手数料は18,500円ですが、資格手当の相場は、8千円~3万円程度と高額なのでチャレンジしてみるのもよいでしょう。
衛生管理者
職場の作業環境管理や健康管理などに興味がある人は「衛生管理士」の資格がおすすめです。
常時50人以上の労働者がいる事業場では必ず衛生管理者を選ぶ必要があるため需要が高い資格です。
衛生管理者の資格には、大きく分けて第一種衛生管理者・第二種衛生管理者があります。
第一種衛生管理者を取るとどのような業種でも衛生管理者になることが可能です。第二種衛生管理者は有害業務と関連の少ない業種で衛生管理者になれます。
職場で有害業務と関わる場合は、第一種衛生管理者の資格をおすすめします。
衛生管理者の資格手当の相場は、2千円~1万円程度です。
受験資格を知りたい人は公式サイトの「受験資格」を参考にしてくださいね。
衛生管理者の資格の詳細を知りたい人は以下の公式サイトを参考にしてみてはいかがでしょうか。
管理栄養士
栄養士の上位資格である「管理栄養士」の手当の相場は、5千円〜3万円程度です。
管理栄養士とは、病気の人や年配の人、健康な人などに栄養がある食事を提案したり調理したりする仕事です。
管理栄養士は、栄養士の資格を取った上で管理栄養士の国家試験を受ける必要があります。
管理栄養士の資格を取ってみたいという人は「管理栄養士とは?仕事内容・資格を取得する方法・給料の目安・キャリアについて解説」を参考にしてみてはいかがでしょうか。
管理栄養士について詳細に知りたい人は以下の公式サイトを活用してください。
介護福祉士
介護の仕事をしている人におすすめなのが国家資格である「介護福祉士」の資格です。介護福祉士の手当の相場は、5千円〜1万5千円程度。
介護福祉士の資格を取得するためには、介護福祉士の試験を受ける要件を満たす必要があります。
上記の画像のように、受験資格を得るルートは多々あります。どのルートで資格を取るか・要件を満たすためにはどうすればいいかを考えることをおすすめします。
過去の試験問題も公式サイトで発表されているので、どのような試験か気になる人は以下の公式サイトを参考にしてみてはいかがでしょうか。
中小企業診断士
経営コンサルタントの人におすすめの資格は、経営コンサルタントの国家資格である「中小企業診断士」です。
転職や就職に有利になることから独学で勉強している人も多い資格です。
中小企業診断士の合格率は一次試験が20〜40%二次試験が20%前後と難易度は高め。需要も高いため、中小企業診断士の手当の相場は、約1万~3万円と高額です。
中小企業診断士は特別な受験資格を必要とせず、誰でも試験を受けられます。資格の詳細は以下の公式サイトからご確認ください。
社会保険労務士
人事や労務などの仕事をしている人におすすめなのが「社会保険労務士」です。
社会保険・年金・雇用などに関する唯一の国家資格のため、社会保険労務士は人気が高い資格です。
社会保険労務士の合格率は6%前後と非常に低いため、社会保険労務士の手当の相場は約3万~5万と非常に高額な資格手当が出ます。
学歴・実務経験・厚生労働大臣の認めた国家試験合格のいずれかを満たしている場合、受験資格を得ることが可能です。
自分が受験資格を満たしているのか気になる方は、公式サイトの「受験資格について」を参考にしてくださいね。
社会保険労務士に興味がある人は以下の公式サイトから確認してみてはいかがでしょうか。
TOEIC
英語の能力を測る試験として知られているTOEICはスコアによって手当の相場が異なります。TOEICの手当の相場は、3千円〜2万円程度と言われています。
TOEICの種類は以下のとおりです。
TOEICの種類
- TOEIC Listening & Reading Test:聞く、読む能力に特化した主流のテスト
- TOEIC Speaking & Writing Tests:話す、書く能力に特化したテスト
- TOEIC Speaking Test:話す能力に特化したテスト
- TOEIC Bridge Test:聞く、読む能力を測る英語初学者向けテスト
英語の力を活かした仕事に付きたい人は「【完全版】英語を活かせる仕事って何?必要なTOEICの点数は?英語力が役立つ仕事ガイド」を参考にしてくださいね。
TOEICの公式サイトで受験申請をしたい人は以下の公式サイトを参考にしてください。
日商簿記
日商簿記の主な資格は、3級・2級・1級と三段階に分かれています。
1級の合格率は10%を切るときがあるほど難しい試験ですが、需要が高いので毎回1万人程度の受験者がいます。
2級の合格率は10%〜30%と回によってバラバラです。3級の合格率は50%前後でしたが、直近二年では合格率は30%以下になっています。
参考:受験者データ
このように日商簿記試験の難易度は高く、資格手当の相場は3千円〜2万円程度です。
秘書検定
「秘書検定」は、秘書の仕事をしている人だけではなく、社会人全体におすすめの資格です。
秘書検定は、3級・2級・準1級・1級と4段階に分かれています。
どの級を取るかによって資格手当の相場は異なりますが、秘書検定の手当の相場は5千円〜1万円程度です。
秘書検定の2級の合格率は57.9%・3級の合格率は75.8%です。秘書検定の勉強をしたことがない人は、まずは3級を受けてみることをおすすめします。
参考:秘書検定
秘書検定に興味がある人は、以下の公式サイトを参考にしてくださいね。
インテリアコーディネーター
デザインや家具の販売などの勉強になる「インテリアコーディネーター」の手当の相場は5千円〜1万円程度です。
インテリアコーディネーターは、一次試験・二次試験に分かれています。
一次試験は学科試験でインテリアコーディネーターに関する知識が問われます。二次試験はプレゼンテーション・論文の記述試験です。
一次試験の合格率は32.8%で、二次試験の合格率は59.1%です。
インテリアコーディネーター試験の一次試験・二次試験ともに合格した人の割合は23.5%と低いので、一次試験に合格した後二次試験を取るという方法を取ることをおすすめします。
MOS
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、WordやExcelなどを使用するスキルがあることを証明する資格です。
MOSの試験にかかる費用は、1科目1万円ほどで3科目同時に受けることが可能です。学割も使えるので、学生はMOSを取ることをおすすめします。
MOSの試験は、WordtやExcelなどそれぞれに一般レベル・上級レベルがあります。
どのレベルを受けるかによって手当の相場は変わりますが、MOSの手当の相場は千円~2千円程度です。
資格手当の支給を受ける際には就業規則をよく確認しよう
本記事では、資格手当の意味や手当が出やすい資格と相場をご紹介しました。
資格手当の支給は会社によって異なるので、就業規則をよく確認しましょう。就業規則を確認する場合は、どのような資格に資格手当が出るのかだけではなく、資格手当の期限や内容、条件などもチェックすることをおすすめします。
本記事を参考に、資格手当がつく資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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