HOMEビジネス ホームヘルパーを目指す人が取得したい4つの資格を徹底解説|旧ホームヘルパー2級・1級との違い

ホームヘルパーを目指す人が取得したい4つの資格を徹底解説|旧ホームヘルパー2級・1級との違い

U-NOTE編集部

2022/04/13(最終更新日:2022/08/25)


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訪問介護の専門職である「ホームヘルパー」。無資格でも働くことはできるものの、客観的に専門知識や技術を証明するため、資格を取得しておくのがおすすめです。

本記事では、ホームヘルパーとして活躍したい方に向けて4つの資格をご紹介。2013年に廃止された旧ホームヘルパー2級・1級と各資格の違いも解説します。

 

ホームヘルパーになるには資格は必要?

ホームヘルパーは別名「訪問介護員」とも呼ばれ、介護が必要な方の住居に足を運び、生活の援助を行います。ホームヘルパーになるのに資格は不要ですが、「介護職員初任者研修課程」という研修を受講しなくてはなりません

「介護職員初任者研修課程」は、平成24年度まで実施されていた「訪問介護員養成研修」と「介護職員基礎研修」が一元化されてできた研修です。

そのため、すでに「訪問介護員養成研修」の1級・2級課程を修了している方と、「介護職員基礎研修」の受講が修了している方は、「介護職員初任者研修課程」を受講したものとみなされ、ホームヘルパーとして業務を行うことができます。

参考:全国社会福祉協議会「訪問介護員(ホームヘルパー)」
 

ホームヘルパーになるときに資格を取得する3つのメリット

介護職に就く際気になるのが資格の有無です。介護職の多くは無資格でも従事することができますが、長く働くのであれば資格は取得しておくのがおすすめです。

次に、ホームヘルパーになるときに資格を取得しておく3つのメリットを解説します。

 

メリット1.介護に関する知識を客観的に証明できる

ホームヘルパーになるときに資格を取得する1つ目のメリットは、介護に関する知識を客観的に証明できることです。

介護職は無資格でも就職することができますが、実際にどんな知識があり技術を身に付けているのかは実際に働き始めなければ証明できません。「介護職員初任者研修課程」などを修了し、資格を有していれば一定の専門知識があることの証明に繋がります。

就職や転職で有利になるほか、無資格に比べて給与額にも違いが出るため、資格を保有しておくメリットは大きいといえます。

 

メリット2.介護に必要な知識を体系的に学べる

ホームヘルパーになるときに資格を取得する2つ目のメリットは、介護に必要な知識を体系的に学べることです。

ホームヘルパーの資格である「介護職員初任者研修課程」では、演習を中心に介護の専門的な知識から技術までを習得します。ひとつの内容を深ぼって学習しながら、関連する知識を体系的に学べるのがメリット。介護と医療の連携など、今後介護職に携わるなかで重要とされる部分についても学習でき、現場での実践に活かせます。

 

メリット3.就職や転職、給与UPに効果がある場合も

ホームヘルパーになるときに資格を取得する3つ目のメリットは、就職や転職、給与がUPする場合があることです。

介護職は無資格で就職できる場合も多く存在しますが、なかには「介護職員初任者研修課程」の修了が応募条件になっていることもあります。無資格に比べて就職の幅が広がり、転職もしやすいため、取得しておくメリットは大きいといえるでしょう。

資格手当を支給している勤務先があるのも特徴です。厚生労働省が公開している「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、保有資格なしの方に比べて有資格者の平均給与額は4万円程度低いというデータも出ています。

参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」(P166)

ホームヘルパーとしてキャリアアップを目指すなら、資格を取得しておくメリットは大きいといえるでしょう。次からは、ホームヘルパーとして働きたい方におすすめしたい4つの資格について紹介していきます。

 

生活援助を行う場合は「生活援助従事者研修」

生活援助を中心に行う場合は、「生活援助従事者研修」の取得を検討しましょう。

「生活援助従事者研修」は、2018年に創設された介護に関する資格のひとつ。名前の通り生活の援助を専門に行う職種のことで、主に訪問介護に関する業務に携わります。

「生活援助従事者研修」は資格を取得しやすいのが特徴です。その他介護職への就職・転職を考えている方に向けて、資格の内容や難易度などを解説します。

 

生活援助従事者研修の資格の内容

「生活援助従事者研修」は、約59時間の学習と2時間の実習を修了することで得られる資格です。「介護職員初任者研修」や「介護職員初任者研修」に比べて必要な学習時間が短いため、これから介護に関連する資格を取得したい方におすすめです。

カリキュラムは以下の通りです。

  • 職務の理解:2時間
  • 介護における尊厳の保持・自立支援:6時間
  • 介護の基本:4時間
  • 介護・福祉サービスの理解と医療との連携:3時間
  • 介護におけるコミュニケーション技術:6時間
  • 老化と認知症の理解:9時間
  • 障害の理解:3時間
  • こころとからだのしくみと生活支援技術:24時間
  • 振り返り:2時間

介護の基本から医療との連携、老化や認知症、障害に対する理解までを学びます。

各都道府県自治体が指定した研修事業者にて受講が可能。ただし、「生活援助従事者研修」は2018年に施行された歴史の浅い資格のため受講できる事業者は少ないのは留意点。59時間の学習のうち、最大29時間は通信でも学べるため仕事しながら取得も目指せます。

参考:熊本県ホームページ「生活援助従事者研修におけるカリキュラム等について

参考:熊本県ホームページ「介護職員初任者研修及び生活援助従事者研修の事業者指定について

参考:東北福祉カレッジ「生活援助従事者研修(通信課程)

 

生活援助従事者研修の難易度・勉強時間の目安

「生活援助従事者研修」は座学と実習を受講することで資格を得られるため、難易度は低いといわれています。

勉強時間は規定の59時間の学習に加え、実習2時間がベース。予習や復習の時間を含めると、その2〜3倍の時間が必要だと考えておくとよいでしょう。

受講期間はおよそ3ヵ月ほどかかるのが一般的。スクーリングにて学習するため、スケジュールの調整ができるかはあらかじめ確認しておく必要があります。

参考:社会福祉法人聖隷福祉事業団「よくあるご質問

 

生活援助従事者研修の取得に必要な費用

「生活援助従事者研修」の取得に必要な費用は、研修を受ける団体により異なりますが、受講料+テキスト代で3万円前後におさまるのが一般的です。

資格取得後に従事する地方自治体によっては、受講料の一部が助成対象になる場合もあります。例えば、豊島区内の事業所に勤務している方はその対象です。「生活援助従事者研修課程」の修了日から3ヵ月以内に豊島区内で介護職員として就労し、3ヵ月以上勤務している場合、受講料全額もしくは5万円分が助成されます。

申請期間や申請人数に限りがあるため、なるべく早い段階で申請するのが重要です。金額 の負担がなくなる仕組みを利用すれば、より資格を取得しやすくなるのでチェックしておきましょう。

参考:豊島区ホームページ「生活援助従事者研修受講料の一部助成

参考:豊島区ホームページ「豊島区生活援助従事者研修受講料一部助成のご案内

参考:東北福祉カレッジ「生活援助従事者研修(通信課程)

 

生活援助従事者研修を取得するための要件

「生活援助従事者研修」は誰でも受講できる資格です。年齢や学歴、経験の有無も問われません。介護職に興味があるけれど、勉強の時間があまり取れない場合に挑戦しやすい資格といえるでしょう。

 

介護職のファーストステップ「介護職員初任者研修 (旧ホームヘルパー2級)」

旧ホームヘルパー2級である「介護職員初任者研修」という資格。施設・訪問どちらの介護も可能な人材を育成するために名称や資格内容が変更されました。介護に関する基本的な知識や技術を習得できるため、介護職への就職・転職を考える方におすすめです。

資格の内容やホームヘルパー2級との違いを解説。加えて、難易度や受験するための要件もご紹介します。

 

介護職員初任者研修の内容

「介護職員初任者研修」は、介護職員の入門資格。元々はホームヘルパー2級と呼ばれていましたが、2013年に名称を変更しています

「介護職員初任者研修」のカリキュラムは厚生労働省が定めており、学習は計130時間が必須。自宅講義40時間、スクーリング90時間が内訳です。各都道府県の知事により指定された団体で実施されます。すべての学習を終え、筆記試験に合格することで資格を取得可能です。

  • 職務の理解:6時間
  • 介護における尊厳の保持・自立支援:9時間
  • 介護の基本:6時間
  • 介護・福祉サービスの理解と医療との連携:9時間
  • 介護におけるコミュニケーション技術:6時間
  • 老化の理解:6時間
  • 認知症の理解:6時間
  • 障害の理解:3時間
  • こころとからだのしくみと生活支援技術:75時間
  • 振り返り:4時間

 

受講はスクーリングのほか、通信でも可能です。ただし、科目ごとに通信形式で実施できる上限時間が定められているため、すべてを通信で行うことは不可能。さらに、通信で受講できる科目の最大合計も40.5時間と決められています。働きながら取得を目指す場合は、スクーリングと通信をうまく活用するのがおすすめです。

参考:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」(P2)

参考:厚生労働省「通信形式で実施できる科目ごとの上限時間と各科目の総時間

 

介護職員初任者研修とホームヘルパー2級との違い

ホームヘルパー2級が「介護職員初任者研修」に名称変更されたのと同時に、資格の内容や受講時間、修了試験も変わりました。

ホームヘルパー2級は名前の通り、訪問介護を念頭においた資格でしたが、「介護職員初任者研修」は施設での介護と在宅での介護の両方が可能な人材を育成する目的があります。介護に関するより幅広い専門的知識を有し、さまざまな事業所で従事可能です。

学習の内容にも違いがあります。ホームヘルパー2級の資格では30時間の施設実習が必須とされていましたが、「介護職員初任者研修」ではそれを廃止。その代わりにスクーリングが90時間に増えています。

さらに1時間の筆記試験が加わっているのも違いとしてあげられます。受講に加えて、修了試験に合格する必要があるのです。

参考:三幸福祉カレッジ「ヘルパー2級から初任者研修へ 介護職員初任者研修

 

介護職員初任者研修の難易度・勉強時間の目安

「介護職員初任者研修」は合格率が公表されていないものの、比較的難易度の低い資格といわれています。

修了試験の問題数は最低32問。合格は100点満点中70点以上とされています。1問ごとの配点が高いため、全科目を復習し対策することが大切です。

学習期間は3〜4ヵ月程度。最短1ヵ月で取得できる学校もあるので、なるべく早く取得したい方は最短取得コースを受講しましょう。

参考:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について

参考:三幸福祉カレッジ「介護職員初任者研修

 

介護職員初任者研修の取得に必要な費用

「介護職員初任者研修」の取得に必要な費用は、教材費込みで8〜12万円程度。通う学校によって異なるので、予算に合わせて検討してみてください。

県によっては補助金が公布されます。例えば、令和3年度の埼玉県介護職員であれば、上限3万円で受講料の2分の1に相当する額が補助されます。取得に必要な費用を抑えたい方は、助成が適用されるかどうかも確認しましょう。

参考:三幸福祉カレッジ「受講料一覧・割引制度

参考:埼玉県ホームページ「令和3年度埼玉県介護職員資格取得支援事業(初任者研修受講料)補助金について

 

介護職員初任者研修を取得するための要件

「介護職員初任者研修」には受験資格が決められていません。そのため、年齢や学歴などを問わず誰でも資格を取得することができます。

例えば、平成26年度の受講者のうち19歳以下は26.5%、20〜29歳は19.7%、30〜39歳は15.7%となっています。全年代において一定の受講率を維持しているため、取得したいと思った場合に挑戦しやすい資格といえます。

参考:厚生労働省「介護職員初任者研修の実態把握と効果的・効率的な実施に関する調査研究事業報告書」(P31)

 

国家資格への道「介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)」

介護職のなかで唯一の国家資格である介護福祉士の試験を受けるには、「介護福祉士実務者研修」の受講および修了が必須です。旧ホームヘルパー1級を取得している場合、科目を追加受講すれば「介護福祉士実務者研修」修了とみなされ、介護福祉士の受験資格を得られます。

試験の内容から難易度までをわかりやすく解説。必要な費用や負担軽減のための貸付制度・修学制度についてもご紹介します。

 

介護福祉士実務者研修の資格の内容

「介護福祉士実務者研修」とは、介護福祉の国家資格を取得するために受講必須の講座のこと。介護職の入門資格である「介護職員初任者研修」の次に取得を目指すべきなのが「介護福祉士実務者研修」です。旧ホームヘルパー1級に相当するものとして、平成25年度に実務研修と名称を変更しました

厚生労働省により定められている「介護福祉士実務者研修」カリキュラムは以下の通りです。

  • 人間の尊厳と自立:5時間
  • 社会の理解Ⅰ:5時間
  • 社会の理解Ⅱ:30時間
  • 介護の基本Ⅰ:10時間
  • 介護の基本Ⅱ:20時間
  • コミュニケーション技術:20時間
  • 生活支援技術Ⅰ:20時間
  • 生活支援技術Ⅱ:30時間
  • 介護過程Ⅰ:20時間
  • 介護過程Ⅱ:25時間
  • 介護過程Ⅲ:45時間
  • 発達と老化の理解Ⅰ:10時間
  • 発達と老化の理解Ⅱ:20時間
  • 認知症の理解Ⅰ:10時間
  • 認知症の理解Ⅱ:20時間
  • 障害の理解Ⅰ:10時間
  • 障害の理解Ⅱ:20時間
  • こころとからだのしくみⅠ:20時間
  • こころとからだのしくみⅡ:60時間
  • 医療的ケア:50時間(別途演習の修了が必要)

合計の受講時間数は450時間。ただしこれは介護に関連する資格を保有していない場合です。「介護職員初任者研修」や「訪問介護員研修」をすでに修了している場合は免除される科目があるため、受講時間が異なります。

受講は通学と通信を組み合わせて行えます。働きながらでも取得しやすいのがメリットです。例えば、三幸福祉カレッジで「介護福祉士実務者研修」を受ける場合、通学日数は7日のみ。そのほか大部分の学習を自宅で行えます。ワークスタイルに合わせて学習計画を立てられます。


参考:三幸福祉カレッジ「介護福祉士実務者研修

参考:三幸福祉カレッジ「学習(コース)の内容 介護福祉士実務者研修

参考:厚生労働省「実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について」(別添1)

 

介護福祉士実務者研修とホームヘルパー1級との違い

「介護福祉士実務者研修」とホームヘルパー1級との違いは、介護福祉士の受験資格になるかどうかです。ホームヘルパー1級は「介護福祉士実務者研修」と同等の資格とされているものの、「医療的ケア」と「介護過程Ⅲ」を追加受講しなければ介護福祉士の受験資格にはなり得ません。

参考:厚生労働省「実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について」(別添1)

 

介護福祉士実務者研修の難易度・勉強時間の目安

「介護福祉士実務者研修」の難易度は、スクールによって異なるため正確な数値が出ていません。

科目受講後の修了試験を実施している団体もあれば、実施なしの団体もあり、もし修了試験が不合格でも無料で再試験が受けられるサポートを用意しているところがほとんどです。そのため「介護福祉士実務者研修」は比較的合格が容易な資格といわれています。

受講を受ける期間は6ヵ月と定められています。無資格の場合は450時間を受けきる必要があるので、働きながら日程を調整し、自宅学習の時間も確保しなければなりません。介護職が未経験だと知識を持ち合わせていないため、効率的な学習計画が求められます。

参考:湘南国際アカデミー「実務者研修の合格率

 

介護福祉士実務者研修の取得に必要な費用

「介護福祉士実務者研修」の取得に必要な費用は、保有している資格によって異なります。無資格の場合は、15万円程度が相場です。例えばベネッセスタイルケアでは、158,400円(税込)とされています。

介護職員初任者研修またはホームヘルパー2級の資格を有している場合は、93,500円(税込)、ホームヘルパー1級の有資格者であれば受講料は84,700円(税込)です。

「介護福祉士実務者研修」は都道府県によって助成対象となり得ることがあります。貸付制度や修学制度も設けており、条件を満たせば返還が全額免除されるため、負担額を少なくしたい場合には申請を検討してみてください。

参考:江東区ホームページ「介護福祉士実務者研修受講料助成事業

参考:ベネッセスタイル ケア「お申し込みの流れ・費用

参考:厚生労働省「実務者研修の受講のための負担軽減策」(P44・P55)

 

介護福祉士実務者研修を取得するための要件

「介護福祉士実務者研修」には受験資格が設けられていないため、誰でも取得を目指せます。厚生労働省が推奨するキャリアのステップとしては「介護職員初任者研修」の上位資格とされていますが、初任者研修を修了していなくても受けることが可能です。

受講時間がもっとも長く、また科目数も多いため未経験・無資格の場合、初めは難しいと感じるかもしれません。介護福祉士の国家資格を取得するには必須かつ最短のルートではあるので、なるべく早く国家試験を受けたい方にはおすすめといえます。

 

介護職で唯一の国家資格「介護福祉士」

「介護福祉士」は介護職で唯一の国家資格です。特別養護老人ホームや社会福祉施設などで介護職員として就労し、介護を必要とする方の生活行為や生活動作の支援を行います。

これまで紹介した資格と比較すると難易度は高くなりますが、介護に関する専門的な知識や技術を有している客観的な証明となるため、職場で重宝されるほか、就職や転職でも有利になります。認知症高齢者や高齢者世帯の増加など、介護の多様化が予測される今後において、重要な役割を持つとされています。

「介護福祉士」の仕事内容や資格取得の方法については「介護福祉士に必要な資格とは?資格取得のための条件やルートなどを紹介」で解説しています。

 

ホームヘルパーとして活躍する幅を広げるために資格取得は有効な手段

ホームヘルパーを目指すなら、まずは「介護職員初任者研修」の取得を検討してみてください。試験がなく指定科目を受講し、修了すれば資格を得られます。受講時間がほかの研修に比べて短時間のため、働きながらでも取得しやすいのがメリットです。

ホームヘルパーは本来資格なしでも働くことができますが、活躍する幅を広げるためには資格の取得は有効な手段です。これからホームヘルパーとして仕事をしてみたい人は、ぜひ本記事を参考に、ネクストステップを検討してみてはいかがでしょうか。
 

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