どんな人にとっても、キャリアチェンジには「不安な気持ち」がつきもの。未経験分野に転身する時であれば、なおさらです。
しかし、新しい場所で伸び伸び働くためには、「不安」よりも「期待」や「希望」の気持ちを大きく持っていたいですよね。そんな風に気持ちをうまく切り替えるためには、一体どんなことを意識すればよいのでしょうか。
アドバイザーナビ株式会社の高野三朗さん(25)は、社会人2年目で大手証券会社から同社へ転職。創業間もないスタートアップに入社すると決めた当時は、「不安9割、期待1割」だったそうですが、今はその割合が逆転し、ポジティブに仕事を楽しんでいます。
「期待」が「不安」を上回ることができた背景には、どのような意識の変化があったのでしょうか。詳しく話を聞きました。
IFA転職支援のアドバイザーナビ
アドバイザーナビ株式会社は、2019年の事業開始から延べ100人近くのIFA(独立系ファイナシャルアドバイザー)の転職支援/転職後サポート事業を行っています。
IFAとは、金融機関に所属しないファイナンシャルアドバイザー。独立した立場から、中立的な視点に立ったアドバイスを行うことができるうえ、異動もなく生涯にわたって担当することが可能であり、長期的な視点でアドバイスすることを特質としています。
4月1日(金)には、IFA同士の交流、接点を持つことが難しい専門家、資産運用会社担当者との定期的な情報交換を行える場として、IFA向けの無料コワーキングスペース「IFA HUB」を東京・日本橋にオープンしました。
大手証券会社から、元上司が創業したスタートアップへ
高野さんは、2019年4月に大手証券会社へ新卒入社。当時の上司が同年5月にアドバイザーナビを創業し、声をかけられたことがきっかけで、2020年12月に転職しました。
現在はIFAに特化したキャリアコンサルタントとして、金融機関で働く人への転職支援、IFA法人向けの人事・採用コンサル、セミナーやイベントの企画運営など、幅広い業務を担っています。
-----就活時にはどのような軸を持っていましたか?
高野さん:主に「スピード感を持って成長したい」「グローバルで活躍したい」「ネットワークを広げたい」の3つの軸で就活に取り組んでいました。
特に成長速度については、早い段階で「どこでも活躍できる人材」になりたいと思っていたため、どんどん"できること"を増やしていける環境を求めていました。
-----大手証券会社に入社を決めた理由は?
高野さん:一番最初に内定をいただき、自分を必要としてくれたから…というのが正直なところです。
「寝る間も惜しんで働くぞ!」というほどの意気込みだったのですが、入社してみると働く環境はとてもホワイトで、そんな風にオンオフの切り替えを持たずに働いている人はほとんどいませんでした。
もちろん、働くにあたってこのような環境に身を置けることはありがたくもあり、"そうあるべき"だとわかってはいたのですが、少し「物足りなさ」を感じていた部分はありますね。今振り返るとプライベートの時間でも仕事のことを考える、もしくは自己研鑽に励むことができればよかったのだと思いますが、環境に流されてしまった自分の弱さは間違いなくあります。
もっといろんな経験がしたかったし、挑戦もしたかったのですが、自分の中で「前に進めず足踏みをしている」感覚がありました。
-----そうして転職を考え始めたのですか?
高野さん:いえ、足踏みをしてしまっていたのは自分に要因があるとも思っていたので、特に転職を考えていたわけではありません。
当時の上司が会社を辞めてアドバイザーナビを創業し、その後、近況報告を兼ねてお会いした時に「一緒に働きませんか」と声をかけてもらったことが、転職のきっかけでした。
-----その声かけに対して、高野さんはどう答えたのですか?
高野さん:一度目は辞退しました。まだ何も経験できていなかったし、成果も出せていなかったので、「今いる場所で活躍したい」という気持ちが大きかったからです。
しかし、3カ月後にもう一度オファーをいただいた時、代表の平と、共同代表の松岡にアドバイザーナビが目指す世界やビジネスモデルについて話を聞く機会がありました。
その時、素直に「この人たちと、このビジネスモデルで戦ってみたい」と感じたため、思い切って転職を決意しました。
IFAに特化したキャリアコンサルタントとして再スタート
こうして、大手証券会社から創業間もないスタートアップへ転職した高野さん。IFAに特化したキャリアコンサルタントという未経験の職種で、新しい挑戦が始まりました。
-----ご自身がIFAに転身するのではなく、あくまでIFAのキャリアコンサルタントという役割を選んだのはなぜでしょうか?
高野さん:「業界を変えたい」と思っているからです。IFAの場合は、じっくり投資家の方に寄り添ってアドバイスをする仕事のため、一人で担当できるお客様の数は限られています。
一方、キャリアコンサルタントとしてIFAの方々を幅広くサポートできれば、その分、最終的に多くの投資家の方々に喜んでいただけるため、アドバイザーナビが目指す世界の実現に大きく貢献できるのではないかと考えています。
-----業界において、より大きなインパクトを生み出したいということですね。高野さんが転職支援された方の中で、「特にこの人は今でも忘れられない!」という方はいらっしゃいますか?
高野さん:アドバイザーナビに入社後、初めて転職支援をさせていただいた方ですね。
その方は、外資系の保険会社からIFAへの転職を考えていらっしゃったのですが、やはり大きなキャリアチェンジということで「転職後も活躍できるのか」と大きな不安を抱えていらっしゃいました。
-----その不安に対して、高野さんはどのようにアプローチされたのですか?
高野さん:IFAに転職した後のイメージや将来像を具体的に想像できるようにお話することを心がけました。具体的にはIFA転身後の行動計画やお客様との会話方法、営業手法などをエクセルにまとめて可視化できるようにしました。より明確にイメージが持てるようになったことで、その方の不安な気持ちを「希望」へと変えていくことができたと思っています。
責任ある事業を任され、転職前の「不安」は「期待」に
-----未経験の職種ということもあり、力不足や経験不足を感じる場面もあると思いますが、そういった時に「かけてもらってよかった言葉」はありますか?
高野さん:以前は自分の力不足やできないことばかりに目が行ってしまって、そんな自分が好きではありませんでした。特に転職支援の相手は、自分よりも経験を積んでいる上の年代の方。その方々の悩みに寄り添うことは、決して簡単なことではありません。
転職当時も実は「不安が9割、期待が1割」でした…。
しかし今の上司は日々「悩んでいること自体、素晴らしい経験だね」と言ってくれます。この言葉をかけてもらうと、「悩んだ経験を次に活かしていけばいいんだ」とポジティブに思えるようになるので、自分にとって"救いの言葉"ですね。
------すてきな言葉ですね。今の「不安」と「期待」の割合は?
高野さん:今は、ほぼ逆転しましたね。「期待」が非常に大きいです。
と言うのも、転職前は「自分が成長できるかどうか」だけを考えていたため、ベクトルが自分に向いていたのですが、アドバイザーナビに入社して責任ある事業を任せてもらうようになったことで、徐々にベクトルが「市場」や「お客様」に向けられるようになったと思っています。
業界を改革するために、お客様に喜んでもらうために、何をすればよいのか。このような視点で物事を考えられるようになったことが、「期待」が「不安」を上回ることができた要因だと考えています。
-----最後に、今後の展望についてお聞かせください。
高野さん:自分の成長やキャリアアップを目的とするのではなく、プロとして「お客様に喜んでいただけること」を一番に考えて仕事に取り組みたいと考えています。そして、市場や会社をもっとスケールさせるべく、貢献できる人材になっていきたいです。
-----ありがとうございました。
大手証券会社からスタートアップへ転職を決めた当時は「不安」が9割だった高野さんも、今では「期待」の気持ちを大きく膨らませ、業界変革のために奮闘しています。不安な気持ちを乗り越えた経験は、キャリアコンサルタントとしても貴重な糧となるでしょう。
キャリアチェンジを目の前に不安が拭いきれない理由は人によってさまざまかもしれませんが、一度「ベクトルはどこに向いているのか」「何のためにキャリアチェンジをするのか」を改めて考えてみると、意識を少し変えることができるかもしれませんね。
出典元:アドバイザーナビ株式会社
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