就職や転職など、自分の人生を決める大きな分岐点に立った時、“直感”は切り捨てて考える人が多いのではないでしょうか。
CHOCOLATE Inc.の大澤創太(25)さんは、現在クリエイティブディレクターとして活躍していますが、元々は外資系企業への内定が決まっていました。
本来進む予定だった道とは別の道を選んだ大澤さんですが、決意の裏にはこれまで手掛けられた多くの広告にも通ずる、“好き”や“直感”を大切にする気持ちがありました。
人生と仕事、その両方に共通する大切な要素とは?詳しく話を聞きました。
ジャンルを問わず様々なコンテンツを企画・制作
CHOCOLATE Inc.(以下、チョコレイト)は、企業のブランデッドコンテンツを始め、YouTube番組、アニメーション、映画、ミュージックビデオ、アパレル、雑貨など、立場や分野を越境し、その知恵を総動員して“たのしみ”をつくるコンテンツスタジオ。
その他にもボードゲームなどのオリジナルアナログゲームや、空間・体験設計、漫画企画など、ジャンルを問わず様々なコンテンツを企画・制作しています。
外資系企業への内定を辞退し、未知の業界へ
大学4年生の秋に、チョコレイトのCCOである栗林和明さんに出会った大澤さん。
青春リアリティ映画『14歳の栞』に携わったことをきっかけに、コンテンツ制作の面白さに魅了され、チョコレイトへの入社を決意。当時内定が決まっていた外資系企業への就職を辞退し、卒業を待たずに在学中に入社しました。
現在大澤さんはクリエイティブディレクターとして、広告の企画やコピーライティング、映像制作など多岐にわたって仕事を行っています。
-----卒業を待たず、在学中に入社した理由はありますか?
大澤さん:知り合い経由で栗林に会って、初めて一緒にやった仕事が『14歳の栞』という映画の企画だったんです。ブレストから入ったのですが、それが本当に楽しくて。
4月の入社を待っていたら、撮影が終わってしまうので、できる限り全部ちゃんと見ていたいなという思いから、卒業を待たずに入社しました。
-----入社のきっかけになった作品なんですね。思い出に残っているエピソードはありますか?
大澤さん:最初に試写会を開催した時に、「終わった後に拍手がおこるかな?」と製作陣で映画館のドアに耳を当てながら拍手を待っていたんですけど、実際に映画が終わって拍手が起きた瞬間に、栗林がほぼ泣きながらガッツポーズをしていて…。その時に「社会人になってからこういう青春を体験できるんだ」「凄くよい人生だな」と純粋に思いました。
最初はテーマすらない状態で、映画の企画から考えるというフェーズからのスタート。みんなでアイデアを出し合って、「こういう映画を作りたいよね」というある種無邪気な会話が始まりでした。それが、夢物語ではなく、色々な人が関わる現実となって、1つの映画が出来上がっていくのを間近で見たのも、凄く感動的でしたね。
大事にしているは、小さな思いつきを見落とさないこと
-----実際に入社し仕事をしていく中で、特に思い入れがある作品などはありますか?
大澤さん:スターバックスさんの新商品の映像を作らせていただいたんですが、それは凄く思い入れが強かった仕事ですね。新商品のプロモーションと言われると、新商品をみせがちだと思うのですが、「スターバックスの新商品だからこその価値」があると思っていて、商品をそのまま見せるのではなく、スターバックスらしい画にするよう心掛けたんです。
例えばフラペチーノ(R)を注文してお金を払ってから待つ時間に、ミキサーが回って、ホイップクリームが乗って…と、商品が出来上がっていく工程を見るのはワクワクするし、楽しくなる。そういう工程や時間、空間そのものもブランドの価値だと捉えて映像を作りました。
パートナー(従業員)さんにも出演してもらって、シズル感を強く見せていくよう心掛けたので、ブランド価値としっかりと向き合うことのできた思い入れの深い仕事になりましたね。
-----大澤さんが広告を作る上で一貫して持っている軸はありますか?
大澤さん:あまり軸みたいなものは持っているタイプではないのですが、あるとすれば「小さな思いつきを見落とさない」ことですかね。
1年目の時に花王さんのお仕事で「あの人のマフラーになりたい」という企画を手掛けたのですが、あの時は「〇〇になりたい」という表現が2.5次元舞台で活躍する俳優のファンの間で流行っていて、それが「凄く可愛いな」と印象に残っていたんです。実際に自分も「〇〇になりたい」と感じた瞬間があったので、それを実際に企画に落とし込みました。
-----お話しを聞いていると、大澤さんの作る広告には“フェチズム”が元になっている気がしますね。
大澤さん:その通りで、凄くフェチズムが好きなんですよ。例えば「こういう仕草が好き」というフェチズムもあるだろうし、ブランドにとってのフェチズムもあると思っていて、そういう小さなフェチズムから企画を考えていくというのが、得意な思考なのだと思います。
大逆転へのタイミングと直感が鍵
-----仕事をするうえで大切にしていることを教えてください。
大澤さん:誰と一緒にやるかは大事にしています。ワクワクする環境は、自分一人で作るというより、誰かといるから作れるものだと思っているので、仕事をいただいた時は「どんなメンバーでやれば1番楽しくやれるだろう?」と座組み作りから考えます。
「あと一歩足りないな」という部分を一緒に詰められるメンバーか否かというのは、クオリティにも繋がってくると思っていますし、広告に限らず、仕事のクオリティの担保という意味では重要なポイントだと思っています。そこは自分の中で妥協したくないポイントですね。
-----キャリアにおける今後の目標はありますか?
大澤さん:ある意味考える時間もないほどに、この3年間は突っ走ってきたので、こうなりたいという明確なビジョンを持っていないんです。でもそれが凄く楽しくもあったので、考えないといけない節目に立たされる手前までは、広告やコンテンツを作り続けていきたいです。
-----ご自身の経験を踏まえて、就職活動で自分の道に悩む同世代へアドバイスをお願いします。
大澤さん:僕は本当に軽いノリで「人生で一度くらいは博打を打ってみるのも面白そうだな」と思って、今の道へ進むことを決めたんですが、“大博打を打てるタイミング”というのは人生で限られていると思うんです。
家族ができてからの博打はカロリーが高いし、大学生になる前の博打は親の管轄下にある状態となると、結局、何か1つ大逆転ができるタイミングというのは、大学生や社会人の1年目〜3年目だったりする。そう考えると、タイミングを逃さなくてよかったと思います。
あとは、「直感はあながち間違いではない」と思っているので、生きるという大きなテーマでも、広告やコンテンツを作るということでも、“直感”は切り捨ててはいけない要素だと思っています。
就職活動や仕事において、直感というのは切り捨てたくなると思うんですが、大きな決め事でこそ、「自分の直感をできる限り生かしてあげる」というのは、守って生きていきたい大事なポイントです。その方が自分自身の人生がより楽しくなると思うので。
-----ありがとうございました。
小さな思いつきや、好きという感情、そして“直感”をヒントにして、多くの人に評価されるクリエイティブを作ってきた大澤さん。それは、自身が携わる仕事だけでなく、人生においても大切にしてきたことでした。
就職活動において、直感は切り捨てられがちな感情です。しかし、そこには自分自身が気付いていない本心が隠されていることもあります。
考えすぎて自分の道が分からなくなってしまった時は、大澤さんの「自分の直感をできる限り生かしてあげる」という言葉を思い出し、自分が感じたままに一歩を踏み出すことで、これまでとは違った未来が大きく切り拓けるかもしれませんよ。
出典元:チョコレイト
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